No.897765 英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルートsoranoさん 2017-03-18 22:18:58 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:2436 閲覧ユーザー数:2078 |
同日、20:00――――
~アルゼイド子爵邸・食堂~
「―――それで?聞きたい質問は決まったかしら?」
「はいっ!えっと……まず一つ目ですがメンフィル帝国はユーシス君とアルフィン皇女殿下を含めたエレボニア皇家の方々に対してどのような処遇をされるのですか?」
トワはⅦ組を代表してレンに質問をした。
「へえ?ユーシスお兄さんの件を聞いてくる事は予想していたけど、まさかそこに加えてアルフィン皇女どころか、他のエレボニア皇族も含める”実質一つの質問で三つの質問の答えがわかる”質問の仕方をするなんて、中々欲張りさんね♪―――ま、いいわ。まずユーシスお兄さんの処遇だけど……メンフィルとエレボニアの戦争終結まではバリアハートの元アルバレア公爵城館にて軟禁、当然ユーシスお兄さんへの危害は厳禁とし、戦争終結後は”アルバレア公爵家”の財産の4分の1を現金にして渡して解放する事になっているわ。」
「えっと……と言う事はメンフィル帝国はユーシスを処刑したりしないのでしょうか?」
レンの答えを聞いたエリオットはレンに確認し
「当たり前よ。ユーシスお兄さんが貴族連合に所属していない事は諜報部隊の調べで最初からわかっていたし、第一幾らメンフィルにとって憎きアルバレア公の息子とはいえ、まだ10代の若い命を摘み取るような”人でなし”な事はしないわよ。」
「その割には貴族連合に加担しているという理由だけで貴族達を処刑して”晒し首”にしたみたいだけど~?」
「口を謹んで下さい、ミリアムちゃん!」
レンの説明に対して指摘したミリアムにクレア大尉は注意をした。
「そちらも知っている通り処刑したのは貴族連合に加担した貴族の”当主達のみ”よ。大体レン達の世界――――ディル=リフィーナでは戦争相手の重要人物や国家の反逆者並びにその関係者は”一家郎党処刑”―――つまり両親や妻、子供を含めた”家族全員処刑”が常識なんだから、むしろレン達はまだ優しい処罰をしたくらいよ?」
「い、”一家郎党処刑”が常識って………!」
「異世界はどれだけ物騒な世界なんだよ……」
「……なるほどね。”晒し首”の件と言い、異世界ではゼムリア大陸では既に廃れた古臭い慣習がまだ残っているのね。」
レンの答えを聞いたアリサは信じられない表情をし、トヴァルは疲れた表情で呟き、セリーヌは呆れた表情で呟き
「それにどの道エレボニアでもメンフィルが介入していなくても、貴族連合に勝利した際、内戦の元凶となった貴族達を纏めて処刑するのだから、そんなに驚くような事じゃないと思うわよ。むしろエレボニアの手間を省いてあげたのだから、エレボニアはメンフィルに感謝すべきじゃないかしら♪」
「……確かに内戦を引き起こし、多くの民達を傷つけ、苦しめ、そして国を疲弊させた彼らにも罪はありますが、釈明の機会も与えずに処刑するなんて余りにも非道ではないでしょうか……!?それに我が国ではそんな簡単に”極刑”の判決は出ません!」
レンの説明を聞いたラウラは厳しい表情で反論した。
「うふふ、それは”エレボニア帝国の常識”の話であって、”メンフィル帝国の常識”ではないわ。戦争している相手の国家の常識に合わせてあげるなんて、普通に考えてありえないでしょう?」
「……ッ……!」
「ラウラさん………」
「……………レン皇女殿下。メンフィル帝国が生かす事を決めたアルバレア公の次男―――ユーシスはバリアハートの各貴族達の元を訪問しているとの情報が入っているのですが、それは何の為でしょうか?」
レンの暴論ともいえる正論を聞いて唇を噛みしめているラウラをエマが心配そうな表情で見つめている中、重々しい様子を纏って黙り込んでいたアルゼイド子爵はレンに質問した。
「ああ、それはユーシスお兄さん自身の申し出よ。」
「へ………」
「ユーシスは一体メンフィル帝国に何を申し出たのだろうか?」
レンの予想外の答えにマキアスが呆けている中ガイウスはレンに質問した。
「メンフィル帝国とエレボニア帝国との戦争勃発の元凶の家族として、せめてもの償いにメンフィルに当主達を処刑された貴族の家族に対する慰問と謝罪、そして中立の貴族達を含めたバリアハートの貴族達にメンフィルの指示に決して逆らわないで欲しいという嘆願の為の訪問よ。ちなみにユーシスお兄さんがその件を実行する代わりにメンフィル帝国は今後クロイツェン州の他の領土を占領しても、貴族連合に加担した貴族達は当主を含めて危害を加えない事、クロイツェン領邦軍への降伏勧告を行う事並びに降伏してきたクロイツェン領邦軍の兵士達の身の安全の保証の約束をしたわ。」
「ユーシス君がそのような事を………」
「ユーシス………」
「………………ユーシスに同行しているメンフィル軍の兵士達は監視や逃亡防止に加えてユーシスの説得に耳を貸さずに逆上してユーシスに襲い掛かるかもしれない貴族達からユーシスを守る為かしら?」
レンの説明を聞いたジョルジュは複雑そうな表情をし、エリオットは辛そうな表情でユーシスの顔を思い浮かべ、ある事に気づいたサラはレンに訊ねた。
「ええ。―――さてと、ユーシスお兄さんの件は話し終えた事だし、次はアルフィン皇女を含めたエレボニア皇族達の件ね。結論から言うとアルフィン皇女を含めたエレボニア皇族達の処遇についてだけど、まだ明確な結論は出ていないわ。だけど少なくても”処刑”のような厳しい処罰にならない事は現時点で決定しているわ。」
「それは本当かい?特に今回の戦争勃発にアルフィンも原因の一端を担っているから、アルバレア公爵同様アルフィンにも相当厳しい処罰を与える事を予想していたのだが。」
レンの答えを聞いたオリヴァルト皇子は目を丸くした後辛そうな表情でレンに問いかけた。
「まあ、完全な”加害者”であるアルバレア公爵と違って”被害者”でもあるアルフィン皇女に厳しい処罰―――例えば”処刑”とかしたら、他国―――いえ、ゼムリア大陸のメンフィル帝国に対するイメージが残虐な国家と見られて、その事によってメンフィル帝国が掲げている理想―――『全ての種族との共存』の弊害にもなるもの。ただでさえ今回の戦争で”ゼムリア大陸の国家にとっては残虐な行為"―――例えば”晒し首”とかしているのだから、必要最低限以上の”ゼムリア大陸にとっての残虐行為”をするつもりはないわよ。」
「……ちなみに異世界では国家間同士による戦争で和解や降伏等で敵国の皇族が戦争相手の国家に引き渡され、相手の国家に処遇される事になった場合、どのような処遇が常識なのでしょうか?」
レンの説明を聞いてある事が気になったシャロンはレンに質問した。
「そうねぇ……男性の皇族は処刑並びに”晒し首”が常識だけど、女性の皇族の場合”処刑すらも生温い”と思えるような処罰方法が常識よ。」
「”処刑すらも生温い”って……一体どんな処罰方法なんですか……?」
レンの話を聞いたジョルジュは不安そうな表情でレンに問いかけた。
「うふふ、”娼婦”って知っているかしら?」
「しょ、”娼婦”ですか……?」
「初めて聞く言葉だな……」
意味ありげな笑みを浮かべているレンの問いかけにその場にいる全員が不思議そうな表情で首を傾げている中マキアスは戸惑いの表情で呟き、ガイウスは考え込み
「……”娼婦”って言ったら、”身体を売る事を生業としている女性”―――今の時代で言うと売春行為をする女性の事よ。」
「ええっ!?」
「ば、”売春行為をする女性”って、ま、ままままままま、まさか……!?」
「ふふっ、お嬢様には少々早すぎる話でしたわね。」
「え、えっと……それって、もしかして…………」
厳しい表情をしているセリーヌの話を聞いたエマは驚き、アリサは顔を真っ赤にして混乱し、アリサの様子を見たシャロンは苦笑し、トワは表情を引き攣らせ
「男が女を抱きたくなった時にお金と引き換えに男に抱かせる女の事でしょ?わたしがいた団の男連中も法をかいくぐって裏でコッソリやっているそういう施設に行ったみたいな話をしているのを聞いた事があるし。」
「うふふ、レン達の世界ではそういう施設を”娼館”と言う名前で呼んでいてね。ちなみにゼムリア大陸の国家は売春行為による商売を違法行為扱いしているみたいだけど、メンフィル帝国では売春行為による商売は違法じゃないわよ?何せディル=リフィーナでは”娼館”も立派な公共施設扱いされていて、メンフィルだけでなくどの国にもあって当然の”公共施設”だもの。」
「ば、売春行為の商売をする施設が”公共施設”って……!」
「そう言えばメンフィルは売春行為の商売をする施設を違法扱いせずに公に認めていたね~。その事で七耀教会や遊撃士協会が抗議しても異世界では認められている事を理由に抗議を無視しているって話を”情報局”でも掴んでいたけど、あれってホントの話だったんだ~。」
ジト目のフィーの後に答えたレンの説明を聞いたマキアスは信じられない表情をし、ミリアムは興味ありげな表情でレンを見つめて呟いた。
「悲しい事に娼館について文句を言っている人達は異世界の文化の違いを理解できていないのよね。」
「異世界の文化の違い………」
「……仰っている事は理解できるのですが………」
「だからと言ってそんな違法施設を国家が公に認めているなんて、色々な問題があると思われます。」
若干呆れた様子で答えたレンの答えを聞いたガイウスは呆け、ラウラとジョルジュは複雑そうな表情をし
「”娼館如き”を問題にしていたら、キリがないわよ?異世界ではそこの黒猫さんが言っていたようにゼムリア大陸では廃れた文化やありえない事がたくさんあるし、第一”娼館”は国家にお金以外の利益をもたらせる施設よ?」
「え……”娼館”が国家に”お金以外の利益”をもたらす……ですか?」
「……一体どのような利益なのでしょうか?」
レンの説明を聞いてある事が気になったエマは不思議そうな表情をし、シャロンはレンに問いかけた。
「―――”情報”よ。」
「え……じょ、”情報”……ですか?そんな施設で”情報”をどうやって手に入れるのですか?」
「”娼館”なんだから勿論”娼婦”に決まっているじゃない。―――”娼館”は貴賤問わず様々な国家の様々な立場だった女性が”娼婦”になって集まる施設。更に”娼婦”に情報収集を命じておいたら、その娼婦を抱く男性が女を抱いた事による満足感や征服感で得意げになって娼婦に色んな情報をポロッと口にする事もあるのよ♪」
「はわわわわわっ!?そ、そんな方法で情報収集をするなんて……!」
「な、なななななな……っ!?と言うかレン皇女殿下は私達よりも年下の女の子なのに何でそんなとんでもない事を平気で口にできるんですか!?」
「ハハ、レン君は普通の女の子と比べると相当マセているからね。」
「ハア……生徒達の情操教育に悪いから、これ以上娼館について話す事を止めてくれないかしら?」
ジョルジュの質問に答えたレンの答えを聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中顔を真っ赤にして混乱しているトワとアリサにオリヴァルト皇子が苦笑しながら答え、サラは疲れた表情で溜息を吐き
「なるほどね~。まさかそんな方法で情報収集をするなんて、盲点だったね。オジサンが生きていて、”娼館”の事を知ったら実行するかもね~。」
「ミリアムちゃん……さすがの宰相閣下でも”娼館”が国家にとって益になると判断したとしても実行する事はないと思います……実行するにはゼムリア大陸では様々な問題がありますし、さすがに売春行為を行う商売施設を公に認めるなんて、知事閣下どころか陛下も猛反対するでしょうからどう考えてもエレボニアで”娼館制度”を実現する事は不可能ですよ。」
一方ミリアムの推測を聞いたクレア大尉は困った表情で指摘した。
「話を続けるけど”娼館”には様々な理由で”娼婦”になった人達がいるわ。様々な理由によってお金を稼ぐ為……快楽を得る為……そして戦争に敗北した国の皇女や皇妃が”娼婦”として”娼館”に売られたりとかね。ここまで言えばアルフィン皇女は最悪の場合だった時どんな処遇にされる事になるか、予想できるでしょう?」
「!まさか……!」
「アルフィンが”娼婦”としてメンフィル帝国内の”娼館”に売られてしまう……と言う事かい?」
意味ありげな笑みを浮かべたレンの問いかけを聞いてある事を察したサラは厳しい表情でレンを睨み、オリヴァルト皇子は辛そうな表情でレンに問いかけた。
「大正解♪娼婦として使い物にならなくなるまで不特定多数の男性に犯される―――つまり女性としての尊厳が最大限に汚され続けるから、”処刑の方が生温い”って思えるでしょう?」
「………………」
レンの話を聞いたその場にいる全員は重苦しい雰囲気を纏って黙り込んだり悲痛そうな表情をしていた。
「うふふ、そんな暗い顔をする必要はないわよ。さっきも言ったようにアルフィン皇女を含めたエレボニア皇族達に厳しい処罰を与えない事は既に決定しているし、”幻燐戦争”の件も含めるとアルフィン皇女がそうなる事は絶対にありえないから安心していいわよ。」
「”幻燐戦争”……?それは異世界で起こった戦争なのでしょうか?」
レンの口から出たある言葉が気になったラウラはレンに問いかけた。
「簡単に言ってしまえばそうなるわね。”幻燐戦争”で勝利したメンフィルは広大な領土を得たけど、支配下に置いた国家の皇族は殺さずに支配した植民地を”王公領”として統治させていたし、皇女に関しては全員パパ―――前メンフィル皇帝であるリウイ・マーシルンの側室として嫁いで、それぞれの皇女が生んだ子供達が皇女達の”実家”――――各皇家の跡を継いでそれぞれの”王公領”の領主として務めているもの。」
「……と言う事は仮にメンフィル帝国がエレボニア帝国を占領した場合、エレボニア帝国の皇族であるユーゲント皇帝陛下を含めた”アルノール家”にエレボニアの統治権を委任し、アルフィン皇女殿下に関しましては現メンフィル皇帝であられるシルヴァン皇帝陛下の側室として嫁ぎ、アルフィン殿下が御産みになった御子がメンフィルの植民地となったエレボニアの領土の領主になる可能性があるという事でしょうか?」
レンの話を聞いてメンフィルの考えを冷静に分析したクレア大尉はレンに確認した。
「半分正解で半分間違いね。アルフィン皇女が嫁ぐ相手で何人か候補が挙がっているけど、その中にシルヴァンお兄様はいないわ。」
「その口ぶりだとアルフィンへの処罰はメンフィル帝国の皇族や政府、或いは軍や貴族関係の誰かと政略結婚させる事に傾いているのかい?」
レンの答えを聞いてある事に気づいたオリヴァルト皇子はレンに訊ねた。
「ええ。―――”帝国の至宝”と称えられているアルフィン皇女の責任の取り方が思ったよりも軽くなりそうで安心したでしょう?」
「………………」
「まあ、ある意味安心はしたけど……メンフィルと和解するにせよ、降伏するにせよ、”帝国の至宝”の片翼が失われる事が決まっている事だけは今の話でよく理解できたよ……」
「殿下………」
意味ありげな笑みを浮かべたレンの問いかけに対してアリサ達がそれぞれ複雑や辛そうな表情で黙り込んでいる中疲れた表情で溜息を吐いて呟いたオリヴァルト皇子の様子をアルゼイド子爵は心配そうな表情で見つめていた。
書いていたら長くなってきたので、一端切りました。次でこの外伝は終わると思います。この話でおわかりと思いますがレンちゃんはもっとえげつない事がある事(奴隷制度が存在している事や敗北した国家の皇女や皇妃は下手したら兵士達にレ○○される事等)はさすがにしゃべっていません。それとアルフィンの嫁ぎ相手が誰になるかは……これについては既にわかる人達もいるかと思いますwwそして閃Ⅲですがまたリィンが主人公っぽいのを見てえー……と思いました。後まさかのアルティナのメインメンバー化に噴きましたww個人的にアルティナのイメチェンはよかったですwwというか現在判明されているあのメンバーだとアーツ担当がいない上、前衛ばっかりで銃使いのような後衛がいませんけど、どうなるんでしょうねぇ……
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外伝~仔猫の宅急便~後篇(前半)