No.897307

英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルート

soranoさん

外伝~仔猫の宅急便~前篇

2017-03-15 00:38:47 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1965   閲覧ユーザー数:1721

12月5日、同日18:10――――

 

翌日、バリアハートに潜入して情報収集をしていた鉄道憲兵隊からの連絡を聞く為にアリサ達はレグラムにある”アルゼイド家”の屋敷の執務室に集合し、部下達からの報告を受け取っていたクレア大尉がアリサ達に説明を始めた。

 

~湖畔の町”レグラム”・アルゼイド子爵邸・執務室~

 

「―――それでクレア大尉。メンフィルによって占領されたバリアハートの様子はどうだったんだい?」

「はい。まずメンフィル軍による略奪や虐殺は一切起こっていなく、平民達に関しましては普段通りの生活をしているとの事です。」

「とりあえず最悪の事態には陥っていないようだな……」

「恐らくケルディックも同じような状況でしょうね。」

「ま、メンフィルは民には優しいって評判だしね。」

「”平民達に関しては”……?クレア大尉、その言い方だと貴族達は違うように聞こえるのだが。」

オリヴァルト皇子の質問に答えたクレア大尉の説明を聞いたトヴァルとエリオットは安堵の表情で呟き、フィーは静かな表情で呟き、ある内容が気になったラウラはクレア大尉に訊ねた。

「………バリアハートに住居を構えている貴族達や取引等の関係でバリアハートを訪れ、滞在している貴族達にはメンフィル帝国から謹慎の命令が出されている上屋敷の門やホテルの出入り口の前にはメンフィル軍の兵士達に見張られている為、事実上の軟禁状態との事です。」

「貴族達は軟禁状態か………」

「まあ~、今の所メンフィルは貴族連合軍を”滅ぼすべき明確な敵”としているみたいだから、貴族連合軍に加担している貴族達を殺さないだけマシじゃないかな~。」

ラウラの質問に答えたクレア大尉の答えを聞いたマキアスは複雑そうな表情をし、ミリアムは静かな表情で呟いた。

 

「…………いえ、既に貴族連合軍に加担していた貴族達はメンフィル軍によって処刑されてしまいました。バリアハートが占領されたその日にメンフィル軍が貴族連合軍に加担していた貴族達の屋敷や宿泊しているホテルの客室に踏み込み、当主達を拘束し、占領した城館へと連行。そして翌日の朝には連行された当主達の生首がアルバレア公爵夫妻の生首と共に貴族街に”晒し首”にされていたとの事です。」

「何ですって!?」

「さ、”晒し首”………」

「バリアハートでの騎馬隊による突入の時と言い、”晒し首”と言い、メンフィルは随分と時代遅れな考え方をしているみたいね。”晒し首”なんて、相当昔―――”獅子戦役”の時代にされていた”見せしめ”じゃない。」

クレア大尉の口から出た凶報を聞いたサラは厳しい表情で声を上げ、アリサは表情を青褪めさせ、セリーヌは厳しい表情で呟いた後呆れた表情で溜息を吐いた。

「ハハ……”リベールの異変”の件からメンフィルは敵には一切の容赦はしないと知っていたから覚悟はしていたが、まさかそんな大それた事をするとはね……」

「恐らくバリアハートの防衛部隊の領邦軍の兵士達も一人残らず殲滅されているでしょうね。かつて”リベールの異変”で投入した結社の猟兵達はメンフィル軍によって一人残らず殲滅されたとの事ですし。」

「そ、そんな……確かに貴族連合に加担した貴族の人達にも罪はあるけど、処刑をして、しかも晒し首だなんて幾ら何でも酷すぎるよ……」

「そうなると……メンフィルはクロウもいつかは殺すんだろうな……」

オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟き、シャロンは真剣な表情で答え、トワは悲痛そうな表情をし、ジョルジュは辛そうな表情で推測した。

 

「あ………」

「クロウは貴族連合に協力しているから、間違いなくメンフィルにとって”滅ぼすべき明確な敵”の一人なのだろうな……」

「しかもクロウ―――――いえ、”帝国解放戦線”は”西ゼムリア通商会議”で”鉄血宰相”の暗殺が失敗した後オルキスタワーに乗り込んで来た飛行艇に積んだ爆薬を使ってオルキスタワーにいる多くの人達や各国のVIP達ごと”鉄血宰相”を葬ろうとしていたわ。その件もあるからメンフィルは当然”帝国解放戦線”も皆殺しにするつもりでしょうね。」

「そ、そんな……」

ジョルジュの推測を聞いたトワは呆けた声を出して辛そうな表情をし、ガイウスの後に重々しい様子を纏って答えたサラの推測を聞いたエマは悲痛そうな表情をした。

「……クレア大尉、先程メンフィルは貴族連合に加担した貴族達の当主達を処刑したとの事だが、彼らの家族や貴族連合に加担していない貴族達には手を出していないのか?」

「はい。それと肝心のユーシスさんの安否の件ですが、今の所生存している事は確認されています。」

目を伏せて黙り込んでいたアルゼイド子爵は目を見開いてクレア大尉に問いかけ、アルゼイド子爵の問いかけに頷いたクレア大尉はアリサ達にとって朗報となる情報を口にした。

「ほ、本当ですか!?」

クレア大尉の答えに仲間達が血相を変えている中エリオットは驚きの表情でクレア大尉に訊ねた。

 

「ええ。理由は不明ですがユーシスさんはメンフィル兵達と共にバリアハートにいる各貴族達の元へと訪問していたとの事です。」

「へ……な、何でそんな事を?」

「しかも何故メンフィルの兵士の方達と共に行動をしているのでしょうか……?」

「状況から考えるとメンフィル兵がユーシスと行動をしているのは恐らくユーシスの監視と逃亡防止の為だろうが……何で貴族達の元へと訪問しているんだ?」

クレア大尉の説明を聞いたマキアスとエマは困惑し、トヴァルが不思議そうな表情で首を傾げたその時、扉がノックされた。

「お館様、会議中の所申し訳ありませんが、少々よろしいでしょうか?」

「ああ、構わない、クラウス。」

「――――失礼します。」

アルゼイド子爵の許可を聞いたアルゼイド子爵家に仕えている執事であるクラウスは扉を開けて部屋に入って来た。

「それでクラウス、何かあったのか?」

「はい。少々風変わりなお客様がお館様達との面会を希望されています。」

「”風変わりな客”だと?クラウス、その者は何者なのだ?」

クラウスの報告が気になったラウラは眉を顰めてクラウスに訊ねた。

 

「はい。名前を伺った所”仔猫の宅急便”とお答えしまして……お館様とオリヴァルト皇子殿下、そして”Ⅶ組”の皆様に直接届ける必要な物がある為、お館様達との面会を希望しているとの事です。」

「”仔猫の宅急便”……?」

「一体何者なんだ……?」

「しかも何で私達にまで用があるのよ……?」

「どう考えても怪しすぎ。」

「!ちょっと待って……子爵閣下はわかるけど、この屋敷にあたし達やオリヴァルト殿下がいる事をその”仔猫の宅急便”と名乗っている人物は何で知っているのよ!?」

クラウスの話を聞いたガイウスとマキアス、アリサは不思議そうな表情で首を傾げ、フィーはジト目で呟き、ある事に気づいたサラは厳しい表情で声を上げた。

「あ……っ!」

「その人物は貴族連合やメンフィルから身を隠している私達の正体に加えて居場所まで把握していたとの事になりますね。」

「……状況から考えて貴族連合かメンフィル、どちらかの勢力に所属している人物でしょうね。」

サラの言葉を聞いたトワは声を上げ、クレア大尉とセリーヌは真剣な表情で推測した。

 

「クラウス、その”仔猫の宅急便”と名乗っている人物は一体どういう人物なのだ?」

「そうですな……年齢はフィー様くらいに見える菫色の髪の少女です。」

「え……フィーちゃんくらいの年齢の女の子ですか?」

アルゼイド子爵の質問に答えたクラウスの答えを聞いたエマは戸惑い

「菫色の髪の少女に”仔猫”………―――!」

「まさか……いや、でも”彼女”ならこんな大胆な事をしてきてもおかしくないな……」

一方クラウスの話にあった謎の人物について心当たりがあるシャロンは目を見開き、オリヴァルト皇子は信じられない表情をしていたがすぐに苦笑した。

「殿下はその人物について心当たりがあるのですか?」

「ああ。―――私の予想通りなら、”彼女”とすぐにでも会って話をするべきだ。”彼女”ならばユーシス君の件を含めたメンフィルとエレボニアの戦争についての事情に詳しいだろうしね。」

「ええっ!?じゃ、じゃあ、その人って……!」

「間違いなくメンフィル帝国の関係者だろうね。」

トヴァルの質問に答えたオリヴァルト皇子の答えを聞いたエリオットは驚き、ジョルジュは不安そうな表情で呟いた。

「子爵閣下、その”仔猫の宅急便”と名乗っている人物をこの場に通してもらえないかい?」

「―――わかりました。クラウス、すぐに連れてきてくれ。」

「かしこまりました。」

そして数分するとクラウスが突然何の前触れもなく自分達を訪ねてきた謎の人物と共に部屋に入って来た―――

 

 

”仔猫の宅急便”と名乗っている謎の人物とは何者なのか、バレバレかとww


 
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