注1:この話は『終わらぬループの果てに』番外短編2の翌日のエピソードです。
注2:基本設定は一部を除き(ry
注3:本編の進行具合と短編の(ry
注4:一刀氏ね
魏の王である華琳のみが座る事を許されている絶対不可侵の聖域。
このたった一つの場所を守り抜くため、これまでに多くの命が失われてきた。
そんな国の象徴とも呼べる王座に今、俺は腰掛けている。
「「「「「………………」」」」」
王座の前に立ち並ぶ優秀な武官、文官の面々。
それぞれが己の持つ才を余すところなく発揮し、華琳の覇道を成さんと戦い続けている。
その彼女達からすれば、今の俺の行いは決して許されない暴挙以外の何物でもない。
しかし、声を荒げ怒りたりを露わにしている者は誰一人としていなかった。
その理由は至極単純。
「時間ね。では、始めようかしら」
王座に座っている俺の膝の上に、魏の王たる華琳がいつもより素敵な笑顔で座っているから。
「………………」
そして、そんな華琳を見つめる風が洒落にならないほどの殺気を撒き散らしているからである。
恋姫†無双 終わらぬループの果てに
番外短編3 漢の夢と乙女の願い 後編
華琳が会議の始まりを告げたにもかかわらず、誰一人として口を開こうとしない。
それもそのはずで、風の放つ殺気はかつて俺がたった一人で劉備軍を追い返した時のそれに匹敵していた。
例え今自分に向けられているモノではないとしても、もし何かの弾みで直接向けられるような事になれば……
僅かでもその考えが頭を過れば迂闊な行動は一切取れなくなってしまう。
「春蘭、報告はどうしたのかしら? まずは貴女からでしょう?」
「………え? あっ、申し訳ありません!」
魏の筆頭武将であり、人一倍華琳への忠誠心厚い春蘭。
普段なら見た瞬間俺に斬りかかってくるだろう彼女ですら、完全に風に呑まれそれどころではない様子だ。
華琳から直接名指しされ、硬直の解けた彼女は戦々恐々しながら報告を始める。
しかし、少しばかり行動に移すのが遅かったらしい。
「……春蘭ちゃん? すみませんけど、早くしてもらえませんかねぇ」
この混沌とした場を生み出している風からの催促。
一刻も早くこの会議を終わらせたいと思っているだろう彼女にとって、
その進行を遅らせることは何よりも許し難い行為。
春蘭に向けられた言葉は感情の起伏が一切なく、どこまでも平坦で冷たかった。
「ヒッ……す、スマン、風!」
実際に対峙すればものの数秒もいらずに殺せる相手から向けられた言葉に対し、本気で怯える春蘭。
これ以上風の機嫌を悪化させぬため、たどたどしくい口調で矢継ぎ早に報告を始めた。
こんな春蘭を見るのは初めてだが、誰も今の彼女の事を幻滅したり責めたりはしないだろう。
むしろ、風の殺気の一端を直接受けてなお気絶しなかったことに称賛を贈りたいくらいだ。
「………ふぅ」
俺はそんな春蘭の様子を見ながら人知れず溜息をつく。
『俺の力が及ぶ範囲で何でも一つ言う事を聞く』
かつてのお茶会事件の折、破壊神と化した華琳の怒りを鎮めるために俺が彼女と交わした約束。
昨日の一件で再び破壊神に覚醒した華琳に捕まりフルボッコにされた俺は、
この約束を盾に華琳から出された『お願い』を了承させられていた。
『明日一日、私の下僕になりなさい』
という一部の人間なら狂喜乱舞して喜びそうな理不尽極まりない、風に仕返しするための『お願い』を……
ちなみに最初の指示は『会議の間、私の椅子になりなさい』である。
(………風って、メチャクチャ独占欲強いからなぁ)
チラリと視線を向けた先にいるのは相変わらず胸がでかくなったままの風。
彼女の性格を考えれば、これ以上うってつけの仕返し方法はない。
そう言えば風の胸が大きくなった事で一騒ぎあるかと思ったけど、この状況じゃそれもありえないか。
今の風にそんな雑談を振れるような猛者などこの世に存在するはずがない。
そう考えたら怪我の功名と言えなくもない……いや、全然助かってないんだけどね?
あっ、風の隣に立ってた稟と桂花が耐えきれなくなって失神した。
「では次に……風、お願い」
「はい、華琳様」
そんな2人に誰一人注意を払う様子…もとい余裕もなく、ついに直接対決の時がやって来た。
一言一言に殺気と怨念を込め、しかし表情だけは淡々としながら言葉を紡いでいく風。
それを真っ向から受けて動揺しないどころか、むしろ楽しんでいるようにさえ見える華琳。
いつもと真逆の立場で繰り広げられる攻防は、いつも以上に凄まじい迫力だった。
「……以上になります」
やがて報告すべき事柄の全てを話し、自らの出番終了を告げる風。
この時点で意識を保っていられたのは当事者を除けば俺、春蘭、秋蘭、霞の4人。
他の皆は全員仲良く地に伏していた。
どんな会議だよ、これ。
「なるほど、今後もその調子でお願いするわ。それと風?」
「…なんでしょうか?」
「一刀の膝の上、貴女の言ったように本当に座り心地がいいわね」
喋り終えた風に対し、さらに挑発的な発言を行う華琳。
わざと自分の身体を俺に押しつける仕草のオマケ付きで。
「っ……そうですか。それは良かったですね~」
その挑発に一瞬眉を動かしたものの、最後まで表情を崩さず無難に対応しきった風。
しかし今ので彼女の怒りと殺気が一段階上の領域に達したのは間違いない。
最後に残っていた俺以外の3人が倒れた事が何よりの証拠である。
異常事態なんて言葉では到底片づけられない会議が(強制的に)終わった直後、
思いも寄らない知らせが俺達の元に飛び込んできた。
なんとこの城の近くにある村に突如として賊が押し寄せ、そのまま村を占拠してしまったというのだ。
涼州を平定して名実ともに大陸一の大国の座に君臨している我らが魏の国。
その国内、しかも王である華琳のお膝下という場所での信じられない愚行。
一体どんな考えがあってこんな真似をやらかしたのか理解に苦しむ。
ともあれ華琳の命によって即ちに討伐隊が編成されたのだが……
「今回は私自らが指揮を執るわ」
「えっ! 華琳が直接出るのか!?」
「ええ。示威行為も必要でしょう?」
誰を派遣するのか相談するまでもなく、自ら出陣宣言する華琳。
これにはさすがに驚いたが、よくよく考えてみると理に適っていた。
魏の国中で最も華琳の影響力が強い地域で発生した賊の反乱。
風評を考えた場合、華琳自ら早期に鎮圧するのが最善と言えるだろう。
「それから一刀、貴方もついてくるのよ」
「あっ、やっぱり俺も行くんだ?」
そして当然の如く俺にもお呼びがかかる。
まぁ、呼ばれなくても自分から志願したけどね。
賊相手とは言え、華琳を危険な目に遭わせるわけにはいかないからな。
ただし今回に限り一つだけ、絶対に無視できない不安要素が存在していた。
「それから後は………風、貴女も来なさい」
「………ご命令とあらば」
「よろしい。ならば出陣よ」
人選悪すぎじゃね?
そんな訳で華琳を総大将に据えて出陣した討伐隊。
しかし、賊と一戦交えるどころか目的地にたどり着く前に早くも瓦解寸前だった。
原因は説明するまでもないだろうが、会議の時に比べてちょっとした変化があるので話しておこう。
・出発間際に自分の胸を(風よりも)大きくしろと命令され、華琳に豊胸を実施。
・何故か華琳と同じ馬に乗せられてしまい、しかも華琳が前で俺が後ろ。
・一刀です。馬が歩くたびに華琳の大きくなった胸がブルンブルン揺れて正直辛抱堪らんとです。
とりあえず3行で収めてみた。
巨乳と言うアドバンテージまでも失った風の怒りは留まるところを知らないらしい。
おかげで出発した当初は風の殺気に当てられた兵士達が気絶して大変だった。
そのため俺達3人のみが先行して進み、かなり後ろを本体が追従するという隊列になっている。
こんな行軍風景ありえないだろ。
「一刀」
「……な、なんだ?」
「胸が大きいっていうのも結構大変なのね。馬に乗っただけでこんなに揺れるんですもの」
「っ!!!」
しかも華琳の奴ときたら、物凄いドSな笑顔でちょくちょく俺を誘惑してきやがる。
おそらく狙いは『風の見ている前で俺の方から手を出させる』ことに違いない。
「………………」
すぐ横に並び、俺と華琳の一挙手一投足に目を光らせている風。
今はまだ俺が受動的な対応だけだからこの程度で済んでいるが、俺の方から手を出したとなれば話は別。
故に俺は理性を総動員させて生殺し状態を耐え抜かねばならなかった。
「それにしても服が少しキツいわね……もう少し大きめにして貰った方が良かったかしら」
今度は服の胸の部分に手を掛け、無造作を装って服を引っ張り始める華琳。
華琳が服を引っ張るたびに服に包まれ圧縮された胸の谷間が深くなり、
かと思えば先端が見えそうなほどにギリギリまでずらしてみたりとまさにやりたい放題。
さすがに覇王の称号は伊達じゃない。
だがな華琳、残念ながらこのアングルからの誘惑は既に風で体験済みなんだ。
この北郷 一刀、一度喰らった罠に二度も釣られるほど甘くはない!
「あん♪ もう、一刀たら……そんなに強く揉まないでよ」
「……え?」
普段の華琳なら絶対に言わなそうな違和感バリバリの台詞。
俺の胸の内とは裏腹に俺の両手は華琳のおっぱいをしっかりと掴んでいた。
しかも服の隙間から手を入れて、しっかりと生乳を揉みしだいている。
道理で手のひらの感触が気持ち良い訳だよ。
だけど風と同じように大きくした乳房でありながら、華琳の乳房はまた違う素晴らしさを備えているな。
揉めば指を押し返さんばかりの弾力を備えている風のおっぱい、
揉めば何処までも沈み込んでいくような柔らかさを備えている華琳のおっぱい。
勿論風のおっぱいも十分に柔らかいし、華琳のおっぱいにだって凄い弾力がある。
言うなれば些細な、しかしおっぱいを愛する漢には確かに解る違いなんだ。
しかし風のおっぱいが究極だと思っていたが、華琳のおっぱいも間違いなく至高の存在。
そうか、つまりどれが究極だ最高だなんて話じゃないんだな。
この世に存在するおっぱいの一つ一つ、それら全てがオンリーワンでありナンバーワンなんだ!
「………で、いつまで華琳様の胸を揉みしだくつもりですか?」
「え?」
「…ぁ……そん、な………むねだけ…で………はぁん………かずと、らめぇ………」
風の声でハッと我に返ると、いつの間にか華琳は顔を真っ赤に上気させて息も絶え絶え。
あと少し続けてたらそのまま達してしまうんじゃないかという状態になっていた。
もしかして俺、ずっと揉んでたのか?
いや、だとしても揉んでただけでこんなには……
「………お兄さん?」
「………ごめんなさい」
俺は素直に華琳のおっぱいから手を離した。
それから目的地到着後、俺は風の指示によって賊の一団に単騎突撃させられてしまう。
しかも妖術なしで四半刻以内に全員生きたまま捕縛しろという無茶苦茶な条件を付けられて。
ちなみに華琳は未だ夢の世界に旅立っていたため、フォローしてくれなかった。
「な、七乃~! なんとかするのじゃ~!」
「往生際の悪いお嬢様も素敵ですよ~。あと、どうにもなりませんからね~」
「………私の出番はこれだけか?」
途中、どっかで見た事ある顔を見たような気もしたけど、一々気にしていられなかった。
だって1000人を一人でとか……一人も逃がすな殺すなとか……ありえないって。
色々あったが賊の鎮圧も無事完了し、俺達は城へと引き返す。
幸い距離が距離だったため日没前に無事到着。
何とも波乱に満ちた一日だった。
「………では、風はこれで失礼させていただきます」
城に戻った直後、風はそれだけ言って俺達の前から立ち去って行った。
どうやら度重なる華琳の挑発に加えて俺の無意識の行動がトドメになったらしく、
怒りを通り越してしまったらしい。
怒りと同時に殺気もなりを潜めたので一安心だが、今日の事はかなり根が深いだろう。
機嫌を直してもらうには骨が折れそうである。
ああ、骨が折れるっていうのはあくまでも例えだから………例えだよね?
「普段自分のしている事がどういう事なのか、風も思い知ったでしょうね」
しかしさすがは華琳と言うべきか、風に対して全く罪悪感を感じていない様子だった。
「それじゃあ一刀、そろそろ眠るわよ」
しかも俺を解放して風を慰めに行かせる場面だろうというお約束的な流れをスッパリと無視。
当然のように俺を連れて私室へと戻っていった。
ん? それからどうしたって?
「今日一日ご苦労だったわね、一刀。だからご褒美をあげるわ………コレ、好きにしていいわよ?」
なんて小悪魔チックな表情でおっぱい持ち上げられながら挑発されたら……ねぇ?
そしてこの翌日、俺は風の本当の恐ろしさを思い知らされるのだが………それはまた、別の話だ。
続かないよ?
あとがき
どうも、『ささっと』です。
前後編になっちゃったんで、とりあえず短編の方から終わらせました。
話の流れに色々無理がある気がするけど、そこは大人な心でスルーしてください。
今までやってた事を華琳様にやり返されてしまった風さん。
いつものようなオチもなく、終始涙目というか怒り目でした。
ぶっちゃけ、胸を大きくした意味がなかったかも……でも、巨乳は(作者的に)正義だから仕方がない。
あと、作者はヤンデレも好きですが当作品の風は一応ヤンデレではありません。
次回はようやく本編更新に。
三羽烏VS風の激闘?
そして再会した華琳様はなんと……
コメント、および支援ありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。
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P.S.巨乳華琳様のイラスト発見! これで勝つる! ついでに風も描いてくれ!!!
P.S.のP.S.全然関係ないけど、PCゲームの『civilization4』デラックスパック買っちゃった。
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ループ一刀君のシャレにならない日常?