No.89565

真・恋姫†無双~物語は俺が書く~ 第10幕

覇炎さん

お久です!今回の物語は…正直、なんとも言えません。
さて、この物語の行方はいずこに!?

2009-08-13 01:42:27 投稿 / 全16ページ    総閲覧数:6534   閲覧ユーザー数:4890

 

―――今、俺は何かを“観”せらせている。何処かの宮殿の広間で二人の青年が睨み合っていた。

 

 

 

『死ね、北郷 一刀!!』

 

 

―――道士の服を着た青年…左慈が蹴りを放つ。“いつも”の俺なら避けれるのに“今”の俺は無様にもその上段の蹴りを喰らい、床に転がる。

 

―――俺はこれほど弱かったのだろうか?俺は血反吐を吐きながら立ち上がり、左慈を睨んだ。同時に左慈が苛立った声で諦めるよう呼びかける。

 

 

『諦めろ、北郷。もう、外史の崩壊は止められない。この世界は壊れる……人、物、生きとして生きるもの全てだ。もともと、無かったものが元に戻るだけの話』

 

『違う!!』

 

 

―――俺が声を荒上げ、それを否定する。

 

 

『愛紗も鈴々も朱里も…星、紫苑、翠、蓮華、華琳もここに確かにここいる。共に過ごした思い出もある!この思い出すら創り物なんて、言わせない!!』

 

 

―――その答えに更に苛立ちを覚えたのか、左慈の顔が歪み“今”の俺には見切れない速さで腹部に蹴りを入れ、吹き飛ばす。それでも俺は再度、立ち上がり手に持っていた護身用の剣を左慈に向ける。その行動を鼻で笑う左慈がこう言った。

 

 

『それなら、その想い…ここで終らしてやるよ。その想いを抱いて死ね、北郷 一刀!』

 

『左慈!!』

 

 

―――俺は護身用の剣を振るうが左慈の蹴りに勝てず、剣が宙を舞う。そして、

 

 

――グシュ。

 

 

―――何かが潰れて砕け、貫かれる。俺はそれが何か理解し、同時に否定する。倒れるのは……俺で有った。

 

 

 

―――そして、左慈の後ろに有った鏡が光り始めた。

 

 

 

真・恋姫†無双~物語は俺が書く~

第10幕「朋友と競う事。それ、成長の促進なり[後篇]」

 

 

 

〈……マ…イ……ター…〉

 

「(…誰だ?…頭が痛い……割れそうだ…)」

 

 

 一刀は朦朧とする意識の中で、誰かが自分に話かけているのを感じたが頭痛が酷く、何を言っているのかが理解出来なかった。

 

 しかし、時間が経つにつれて少しずつ痛みが引き、声が聞き取れるようになってきた。

 

 

〈…マイ…ター!!…っかり…てください!〉

 

 

 徐々に回復していきやっと話し相手が誰なのかを理解する。

 

 

「朔?」

 

 

 そして、五感が感覚が戻り意識がはっきりした…瞬間。

 

 

―――ゾクッ。

 

―――シュン!

 

 

 背筋が凍りつく感覚と何かが風を切り、自分の方に向かってくる感覚に襲われた一刀はすぐさま前へと飛びのき、その場を離脱した。

 

 同時に聞こえるのは破裂音。振り向かずとも一刀には分かる。誰が、何をしたかが。ゆっくりと立ち上がり、後ろを振り向く。そこにいるのは一刀が予想していた通り、左慈が陥没した地面に手を埋めていた。ただ一つ。

 

 

「……朔、俺はどれ位の時間、意識を失っていた?」

 

〈ほんの10秒ほど…〉

 

 

 さきほどと違う部分がある。もう一度、左慈を見る。

 

 

「…10秒。たった10秒、されど10秒…か…」

 

「……………俺はチビじゃない…平均身長だ…そうだよ?今時の奴らが成長しすぎなんだよ…それに俺は―――じゃない…それは于吉だげだ…付け加えるなら貂蝉と卑弥呼だ…俺はゲ――じゃねぇ。どうしてあいつ等と同類項で結ばれるのだ?……一緒にいるからか?……そうだよ。だからだよ!何で気付かなかったんだ。よし、一人旅に出よう……ふ、フッフッフッ布ッ賦ッ腐ッ………」

 

 

 その顔は疲れきっていた。髪がより一層白くなり目が虚ろになっていた。その左慈を不思議そうに見つめながら一刀は朔に何があったかを尋ねると、猫なで声で説明してくれた。

 

 

〈別に~大した事はしてないし、言ってもいませんよ?ただ、『このチビで童顔野郎が!?どうして、オンダァラギッタンデスカ!?そんなんだから…』・・・〉

 

「……もう、いい。そこから先は聞きたくない!」

 

 

 頭を振りながら耳を塞ぎ、左慈に同情を禁じ得なかった一刀であった。それからしばらくして、平常心を取り戻した左慈が、薄笑いを浮かべて誠意の欠片すら感じさせない謝罪をしてきた。

 

 

「見苦しい所を見せてしまった上に待たせてしまい悪かったな?」

 

「別に気にすんなよ、童顔チビ」

 

〈うゎ、人(?)には止めておけと言っておきながら…そんな……そんなマスターに私は痺れる!!〉

 

 

 変なノリの朔はスルーするが、流石に左慈は流せないのか額に青筋が立っていた。それでも目を瞑り、『落ちつけ左慈、Koolにいや、coolになるんだ』などと呟く。

 

 そこに一刀は無表情で、最後の核爆弾を投下する。

 

 

 

「――ゲイ――」

 

 

 と。

 

 

―――ブッツン!!

          &

            ―――ブウォォン!!!

 

―――ヒョイ。

 

 

「危っね!?」

 

 

 左慈がキレて、目で追えないほどのストレートが飛んでくるが軌道が単純な為にスウェーで避ける。ギリギリで避けれたと思わせる為に、ワザと焦ったフリをする。

 

 それが解らないほど冷静さを失っているのか、自我を失った猛虎のように襲いかかってくる。

 

 

「………これほどの怒り………!!!感じさせた“北郷 一刀は”貴様が初めてだぁ!!」

 

「……(なんか言語が変だぞ?どういうことか解るか、朔?)」

 

〈(…………さぁ?私には解りかねます)〉

 

 

 怒りに身を任せた攻撃だが、やはり軌道が見え見えの為に一刀には当たらない。しかし、気になる言葉を言う為に朔に尋ねるが、興味が無いようで知らないと返される。

 

だが、最近一刀が朔について気がついた事がある。それは朔が何か自分に隠す時は考えて発言する為か、即答出来ないという事だ。その証拠に常の朔ならば、『私が知るとお思いですか?時には自分のその脳味噌を絞ったら……あぁ、絞っても一滴も出ないんですね?すみません、それは…』などと、一言えば十の毒舌が返ってくるはずである。

 

 

「(それが無いという事は、なにか知ってんな。そう言えば貂蝉は兎も角、何故に卑弥呼、左慈が朔の事を知っている?)」

 

 

 考えてみれば、可笑しな話だ。朔は貂蝉によって生まれた。それから一刀と共に過ごしてきたのだから、朔が左慈と会っているなら一刀も知っているはず。それなのに…と考えていたが。

 

 

「(俺は何処かでこいつに…左慈と会っている。何処で?あの宮殿は?何故、俺は“朔夜”を使ってなかったんだ?)…って、うわっ!?今、掠った!?マジで危ねぇぞッ!!?」

 

「ふんっ。俺を相手に考え事とは、随分と余裕だ…なっ!!」

 

 

 徐々に息を整えてきたのか、拳一つ一つの軌道が読めなく、そして鋭くなる。

 

一刀も思考を遮断し、“朔夜”を構えるが何分相手の手数の方が多く、長刀の『朔夜』とその鞘『望月』だけでは捌けなくなってきた。なので体勢を立て直す為に距離を置こうと、足に氣を溜めて『望月』を放物線を描くように後ろへ投げる。左慈の視線が『望月』へと移った瞬間、空いた手で『亜門』から手裏剣を投擲。そしてバックステップし、一気に距離を取る。同時に上から落ちてきた『望月』をキャッチ。

 

 手裏剣は左慈の“拳”によって打ち落とされていた。一刀は瞬時に、左慈の拳が氣によって強化されていると分析する。

 

 

「(このまま、やってても埒が明かないどころか、手数で負けるか間合いに入られて命を取られるか。)……仕方ない。正直、扱い難いが…」

 

「そんなものか、北郷 一刀?」

 

 

 一刀が『朔夜』を『望月』に納刀した時、左慈が神妙な顔つきで訪ねてきた。一刀も一瞬、呆けてしまったが隙を作るほど愚かでは無かった。左慈は興味無さそうに続ける。

 

 

「初陣の時の気迫はどうした?あの殺気は?あの氣は?あの時の殺気を出して戦ってくれよ!?俺、そんな顔しているだろ?」

 

 

 今度は先ほどの表情から一変し、猛禽類を思わせるかのような表情で一刀を睨みつける。その顔を見て、左慈の歪んだ精神の一端を垣間見た。背筋が凍り眉を顰め、後退りをしそうになる。それをなんとか踏み留め、逆に睨み返す。が、最後の言葉が一刀の思考を凍らせる。

 

 

「―――俺が壊した傀儡[くぐつ]人形の奴の時みたいな……お前が初めて殺したそいつの時と同じ殺気を出せよ!!?―――」

 

「――――えっ?――――」

 

 

 一刀が潤滑油のきれた機械のように横を向く。そこには先ほど左慈に蹴り飛ばされた、黄巾党の首が転がっている。その顔をよく見ると、思考が凍りつき、違う所で記憶の検索が行われていた。

 

 

―――検索……1件ヒット。

 

 

――――結果……。

 

 

 

「思い出したか?」

 

 

 左慈の一言で我に返る。すぐさま左慈の方を向き、納めた『朔夜』を抜刀出来る体勢を取るが、左慈は攻撃する処か構えを解き一刀を見てニヤニヤしていた。

 

 それはいつでも殺せるという、当てつけか。それほど一刀が弱いという事か。苛立つ自分を隠そうと気丈に振舞い質問に答える。

 

 

 

「……あぁ、だがどういう事だ。何故に俺が初陣にて、“討ち取ったはずの盗賊の頭”がここにいる?」

 

 

 そう、転がっている頭はあの時に討ち取った頭。しかし、この者は確かに先ほどまで一刀を殺そうとし、使えないと左慈に壊されたもの。

 

 その理由を教えてくれた者は左慈本人であった。

 

 

「なに。俺の仲間には道術に通じている者が居てな、その者によって“転成”されただけの話。覚えたか?」

 

 

 己が頭を指で軽く小突き、一刀をバカにしているような仕草をする。左慈は心の中でしてやったりと思っているが…。

 

 

「おう、記憶したぞ。そいつがお前のこれだろ?」

 

 

 っと、小指を立てる。先ほどの仕返しとばかりに、良いスマイルである。予想していた反応とは違うその事に対応に、固まったしまう。

 

 朔も驚いているのか、一時的に刀が震えた。そんな事は無視して一刀は真剣な顔つきで左慈を睨みつける。

 

 

「…左慈。お前がどんな悪辣な手を使おうとも、今の俺は止まる訳にはいかないのだよ」

 

 

 一刀はここに来て、嫌でも学んできた事があった。それは……人の死。どう足搔いても助からないものがある。騒動を静める際にとて、少なからず死人が出た。どんなに頑張ろうともそれは変わらない。しかし、だからと言って手を抜けば更に多くの兵が死んでいく。

 

 

「本音を言えば、コイツを殺した罪悪感が無い訳じゃない。だからと言って、ここで喚いたって戦況が変わるどころか悪くなる一方だ。故に考えるのも喚くのも後。それに…」

 

 

 左慈を指差し、強気な笑みを浮かべる。一刀は、まるで華琳みたいな決めポーズみたいだと思っていた。

 

 

 

「護る者が後ろにいると、人っていうのはとても強くなるみたいだぜ?」

 

 

「……お前は本当に俺が知っている“あの北郷 一刀”ではないな。貴様、何者だ?」

 

 

 

 左慈が両手を前へと突き出して、構える。

 

 一刀も『朔夜』を『亜門』に突っ込み、代わりに何かの柄を二つ『亜門』の口から覘かせる。そして腰を低く落としてニヒルに笑う。

 

 

「いつだったかな。ある占い師が俺をこう呼んでいたよ。『世界を壊す破壊者』ってな…だから敢えてこう名乗らせて頂くよ」

 

 

 一刀が言い終わる前に、左慈が吶喊してくる。だが一刀の笑みが崩れる事は無かった。

 

 

「おいおい、人の話は最後まで聞くものだぜ?ボーイ」

 

 

 

―――天衣無縫流、水の型……蓮華流[レンゲル]。

 

 

―――ズガッガッガッ!!

 

 

「なっ!?」

 

 

 左慈の見えない拳が、一刀を襲う。しかし、すぐさまその拳は叩き落とされる……いや、何かに当たり軌道がずれて拳が一刀の横を通り過ぎる。更にそれだけでは済まなかった。

 

 

―――水の型……榎裏珠[カリス]。

 

 

 一刀の手元から、幾多もの“閃”が左慈を狙う。しかもその一閃一閃が頭、手首や首の動脈、身体の筋と言う筋へと閃が走る。

 

 

「これは…(確か、技は知らんが型は水。特徴は流水の如く、流れる様な“連撃”と防御をすり抜ける“徹し”だが一撃の攻撃力は大したことはない)それなら!!」

 

 

 左慈は外氣功で身体を鋼のように硬くし、一刀の撃を弾いて驚いている所を止め差すという、単純ながら確実な仕留め方を選んだ。

 

 

「ふっ。(勝った)」

 

 

―――だが左慈は“今の”一刀の事を知っていながら、理解をしていなかった―――

 

 一刀が細くほほ笑む。

 

 

「『ギミックトリガ―』、発動…」

 

 

 カチンっという、銃の撃鉄を起こすような音が“二回”聞こえた。しかし、左慈は気づかない。目にはもう、勝利という物しか目に映っていなかった。

 

 

―――正史で一刀が……―――

 

 

 紺青色[コンジョウイロ(ナイトブルー?)]の一閃が、左慈の額に中った瞬間に“ガチン”という撃鉄が戻るような音と共に一刀がこう叫んだ。

 

 

「『臥壊(ガカイ[バスター])』!!!」

 

 

―――ドッォォォォオオオン!!!!!

 

 

「っ!?ぐわぁぁぁぁッ!!!?」

 

 

 左慈は額に物凄い衝撃受け、頭から後方の宙へ飛んでしまった。更に受けた場所が熱く、煙までたっていた。ブラックアウトしそうな意識を保つ為、拳を固く握り爪を皮膚に食い込ませる。

 

 空中で身体を捻って体勢を立て直し、自分を吹き飛ばした正体を確認しようとする。しかし、一刀の方を向いた瞬間。

 

 

「『金剛斬(コンゴウザン[スパーダ])』……」

 

―――キィィィィン。

 

 

 音叉を鳴らしたような澄んだ音と、幾多もの深紅(クリムゾンレッド)の閃が左慈の両手首、アキレス腱、首を掠る。掠った部分を確かめるように触れるが何ともない。

 

 

「…外した?」

 

 

 そう感じ、これ以上可笑しな真似をさせる前にと構えた時、確かめたはずの手首から赤い液体が流れ始める。

 

 それが血と解った時にはアキレス腱を“切断”されていると気づいた後であった。

 

 

 

―――『神童』と呼ばれ、何故周りがそう呼んでいたのかを―――

 

 

 

 

 

 左慈は恨めしそうに睨んでいる先には、宝刀“朔夜”では無く右手に紺青色のサバイバルナイフを思わせる片刃剣(刀)を。

 

そして左手に深紅の刀身をした西洋剣(両刃剣)を持っていた。

 

しかし、どちらも刃渡りが300mmほどしか無く刀身と柄の間にリボルバー[回転式拳銃]の回転式弾倉(装填数は異なる)と撃鉄(ハンマー)、そして引き金(トリガー)が付いていた。

 

その右手に持つ刀を肩に担ぎ、飄々として態度で佇み自分を睨んでると気づくと、もう片手に握っている西洋剣を左慈に突き付ける。

 

 

 

 

「俺は……通りすがりの『破壊者[ブレイカ―]』だ。覚えておかなくていい」

 

 

 

 

 

 

「通りすがりの『破壊者[ブレイカ―]』だ。覚えておかなくていい(恥ずかしいからな)」

 

《なら名乗らなければいいでしょうに…》

 

《…でも、そこが一刀らしい…》

 

 

 『亜門』に入れたはずにも関わらず、朔ともう一人……知らないものの声が聞こえたが正直に言うと一刀はそこまで頭が回らなかった、

 

 一刀が今、使用している武器の名は『災厄――パンドラ――機重双剣[ギミック・ツインソード]』という自作双剣であった。※詳細は後ほど。

 

 左慈を吹き飛ばし紺青色の片刃剣(刀)――『絶望』の『ギミックトリガー・〈臥壊(ガカイ[バスター])〉』は相手と接触する瞬間、トリガーを引く事により“破壊”するほどの威力を兼ね備えている分、自分にも返ってくる反動が大きい。その為に現在、一刀の右腕は力が余り入要らない状態だった。しかも、誤算として左慈の意識を刈り取れなかった。

 

 その為に左手に持つ深紅の西洋剣――『希望』の『ギミックトリガー・〈金剛斬(コンゴウザン[スパーダ])〉』を使う羽目になってしまった。これはトリガーを引く事により、刀身を超振動させもの“切断”する事に特化しており、『絶望』の『ギミックトリガー』と違い連続使用可では有る。

 

 

「(右腕の感覚も戻ってきたが…“スパーダ”を使い過ぎた。本来、4発以上使用すると腕の感覚が無くなっちまうのに…)」

 

 

 今の一刀には左腕が動きはしても感覚が無い。折れているのか怪我をしているのかも解らないので、余り使用したくないモノである。以前、それを知らずに全弾使用し痺れが消えた後に複雑骨折だった。その為、一回の使用に4発までと決めていたが…。

 

 

「(意識を刈り取れなかったから、即座に首の左右と両手首の脈、両アキレス腱を“切断”…斬ったが計6発。そりゃ、腕がしびれるか…。だがこれで相手も…)」

 

「どういう事だ?」

 

 

 動けないはずであった。しかし、一刀の目の前には切断された所から流血しているにも関わらず、立ち上がり一刀前に立つ。信じられない光景に目を疑うが、そんなのお構いなし左慈が質問してくる。

 

 

「なぜだ?本来、水の型は連撃と防御すらも貫通する『徹し』に優れてはいるがこんなに鋭く、こんな威力は…」

 

「………どうして水の型の事を知ってるかは知らんが、威力がないならそれを補えばいいだけの話だろ」

 

 

 どういう構造で経っているかは知らないが、存在自体がそんな物なので気にしないようにする。答えるのはそれだけの余裕があるという、ハッタリだ。

 

 双剣を軽く宙へと投げ、また手の中に収まる。それを何度も行ない遊んでいるように見せ、軽く種明かしをした。

 

 

「ウチの流派…天衣無縫は型に囚われない事がモットーでね?水の型を教えられた際に“どうにかして威力を上げれないか”と悩んだ際にね、ピンと来たんだ。『武器を改造すれば』ってね」

 

 

 左慈もなるほど、と静かに頷く。そして今度は一刀が『どうして、水の型を知っている?』と問う。同時に自分の現状況を把握する。

 

 

「ふんっ、お前と戦う前に違う奴戦ったからな」

 

「俺以外の?(現在、両足と頭部は損害なし。右腕の痺れ…無し。左腕…問題なし。体力…上の下(氣により徐々に回復中)。戦闘…続行可。)」

 

「あぁ。しかし、アヤツも水と氷の型を使っていたが貴様のように、威力(質)を上げるのではなく連撃(量)の数で押し切ったがな」

 

「悪かったな。規格外でよ?」

 

 

 左慈の戦った者が使った型が本来の戦い方。一刀もそれは解っているが、今となってはどうでもいい。まぁ、その双剣の“せい”で戦いにパワーとスピードが付く分後に来る反動がでかい。

 

―――開けたら(使えば)災厄(反動)降りかかる。

 

故に双剣の名がパンドラ。

 

 

 話が途切れ、それが戦いの再開の合図となり互いに構える。左慈も一刀の『災厄』を警戒しているのか、もう突っ込む気配が無く一刀も剣で遊ぶのを止めて『災厄』の『絶望』を前に、それに『希望』添えるように構える。

 

 その構えは空手に置ける『夫婦手』という構え。前の手で攻撃もすれば防御もし、後ろの手で防御もすれば攻撃もできる、実戦敵な身体運用法。この技で祖父の小十郎に散々苦い汁を飲まされた為にその能力については否応でも知っている。

 

 打って変って左慈の構えを見ると、なにやら中国拳法の構えで有る。流石の一刀もそこまで精通してはいないが……。

 

 

 

 

「(爺さんに『漫画の中国拳法を試したい』って付き合った時には死にかけたからな…。慎重に)……くそッ!目から涙が」

 

 

 なにかを思い出したのか突然、涙を流しそれを合図に左慈が動き出す。

 

 右手が一刀の脇を狙うがそれを『絶望』で受け流し『希望』で反撃。しかし、それを左手で一刀の手首を払って前方をがら空きにする。すると左慈が右手を引き左足を踏み込む。

 

 

「―――形意拳、『直線の軌道』!!―――」

 

「なっ!?」

 

 

―――スパァァァン!!

 

 

 今までにない程の速さで拳を放つ。それを身体を反転し、回避するもその勢いが生んだ風に吹き飛ぶ。

 

 一刀は着地すると脚に氣を溜めて、すぐさま左慈に奇襲し動きを止めようと脚を狙う。

 

 

「水の型、騎呀憐[ギャレン]!!」

 

 

 『災厄』を逆さに持ち、左慈の太腿に突き刺そうと振り下ろすが左慈も脚に氣を溜めて、後ろに飛ぶが一刀も先を呼んでいたように一緒に飛ぶ。

 

 

「なにっ!?」

 

「お前、何時も驚いてばかりだな?因み“騎呀憐”の技はここからだ…ぜ、っと!!」

 

 

 『希望』を突き出し、それを左慈は外氣功の手で弾こうとするが『絶望』がそれに絡み付く様に斬り付ける。それに交差し『希望』が左慈の心臓を捕らえ、そのまま突き付ける。

 

 それを左慈が自分の能力を過大評価しているのか嘲笑い、一刀が『ギミックトリガー』を引く前に拳を振るおうと逆の腕を引いた。

 

 

「“徹し”。破ッ!」

 

 

 出来事は瞬間。一刀が突き付けた『希望』に力を込め押すと、ドスンという鈍い音と共に左慈の胸部の服が弾け飛び、そのまま意識が飛ぶと共に頭から地面に落ちる。一刀は左慈よりも少し跳んだ先に綺麗に着地する。

 

 

「どんなに外気功に優れていようと“徹し”の前では防御・耐久力は無意味だ」

 

 

 一刀は立ち上がり、左慈を見るともう意識を取り戻したのかよろけながら立ち上がろうとしていた。

 

 

「しぶといな。本当、どういう身体のつくりをしているんだ?」

 

 

 左慈のしぶとさに感服しながら腰を落とし、逆さに持った『災厄』を背に隠すように後ろに持っていく。

 

 

その時だった。一刀の背後に忌々しい気配を感じたのは!

 

すぐさま、左慈に注意しながら振り返ると黄巾党が大人数で、一刀に突撃していた。呆れる様な溜息を吐きつつ、先ほど左慈に構えた姿勢を見せる。

 

 

「全く、いくら低能でも空気ぐらい読めよ。そんな奴らには俺の2000の…いや、今は2009年だから……どうでもいいけど、その技の一つをお見舞いしよう!!」

 

 

それは何かを溜める様な仕草で、敵との距離を縮めていく。そして自分の攻撃範囲内に全員入ると、溜めた物を爆発させたような勢いで敵をすり抜ける。

 

気づけば一刀は敵の後ろに降り、刃を振り下ろした状態であった。黄巾党は一刀がただすり抜けたものと思い、反転し再び一刀を襲おうとする。が、身体が動かず、そのまま全員がその場に倒れこむ。

 

 良く見れば、黄巾党の一人一人の首筋には何かで殴打された痕があった。一刀は剣を振り払い再び左慈が居る方を向く。

 

 

「…水の型、撫黎弩[ブレイド]。俺の速さには誰も追いつけない」

 

〈(後で言うのですね)〉

 

 

 朔が律儀に『亜門』の中から突っ込みをいれるが、一刀は気にせずに左慈に止めを刺そうと探すが。

 

 

「……いない?」

 

 

 先ほどまで左慈が居た場所には何もなく、代わりに横の方から言い争う声が聞こえた故にそちらの方を見ると……左慈が眼鏡ロン毛に襲われていた。

 

 

 

「離せ、于吉!?俺はまだやれるッ!」

 

「…はぁ、はぁ。だ、駄々を捏ねないで頂きたい。これでもかなり危険な事をしているのですよ?貂蝉や卑弥呼も流石に私と傀儡[くぐつ]では止めきれませんし、貴方も心臓に大ダメージを受けた。手当を…はぁー、しなければ、はぁー、後遺症が!」

 

「ヤバい息遣いしているような奴の手当など受けん。おいッ、服を脱がすな!??」

 

 

 于吉と呼ばれる者に襲われ、暴れ狂う左慈。そこに今殺したい宿敵の声が耳に入る。

 

 

―――風の型、空我[クウガ]。

 

 

 振り向けば、風の牙がこちらに飛んで来ていた。

 

 

「なぁっ!?くそ、テメェこそ空気読め!!?」

 

 

 驚きながらも突っ込みを入れる、左慈。それに対し目が血ばっしている于吉が一刀の睨み、物凄い速さで印を結び地面に手を置く。

 

 

「私のウハウハ、イチャイチャタイムを邪魔するな!!!?『傀儡来々』」

 

 

 地面が妖しく光る太陰対極図が現れ、そこから大勢の白装飾の者が現れる。勿論、『空我』の軌道上にいる以上。

 

 

―――ジシャァァァ!!

 

 

 左慈たちの代わりに攻撃を受け、斬り裂かれる。更に一人斬り裂いていく度に威力が落ちていき、10人斬ったところで完全に『空我』が消滅。左慈たちに届く事が無かった。

 

 

「…チッ。やはり爺さんほどの威力は出ないか!ならば…」

 

 

 一刀は苦虫を噛潰した顔で舌打ちし、もう一度同じ技を放とうと構える。

 

 

「させるか!!」

 

 

 それを阻止しようと、痛手の身体に鞭を討ち迎撃しようとするが于吉に止められる。それを忌々しそうに睨むが、神妙な顔つき于吉が、一刀に聞こえないよう小声で話すと左慈が大人しくなった。

 

 

「……あの方が…北郷 “小十郎”がこちらに向かっています」

 

「っ!?…くそ。奴が関われば、此方の不利は確実か」

 

 

 左慈は俯き、悩んだ末に于吉に撤退命令を出す。それを受け、先ほどとは違う印を組む。

 

 

「裂!!」

 

 

 その瞬間、空間に罅が入り于吉が叩くと硝子のように砕け大きな穴が開く。一刀がそれに気付き即座に『空我』を放とうとする。

 

 

「逃がすかよ!天衣無…以下省略ッ!行けぇ…え?」

 

 

 一刀は左慈たちが入った、空間の歪の奥の物を見た瞬間、身体が『稲妻の氣』が解け……思考が動かなくなった。そして、思考が活動し始めたのは貂蝉の顔がマジかに迫り、反射的に蹴り上げていた時であった。因みに10m位跳んだとか。

 

 

「おい、大丈夫か?顔色が悪いぞ?」

 

「…華陀?」

 

「うむ。しかし、黄昏ている北郷殿の顔もこう…」

 

「その先は言うな、腰をふるな、赤面するな、見るな、聞くな、息するな、卑弥呼」

 

「ぐっ、ぐふっ。ご主人さまも恥ずかしぶるぁぁっ!?」

 

「誰が話していいと?初回で死ぬ怪人みたいにしてやろうか、あぁん?」

 

 

 気づけば周りには華陀が心配そうな顔でおり、卑弥呼が熱い眼差しで此方を見つめていた。貂蝉は相も変わらず、気色悪かったので踏み潰しておいた。しかし、心配している気持ちを無碍に出来ずにいる一刀はすぐさま脚を退かした。すると、後ろから知っている声が聞こえた。

 

 

『にしても、これ全部オメーがやったのか?』

 

「その声は…夜葉。いや、紅か」

 

 

 紅の方を向こうとして、脚に何かが転がっているのに気付く。

 

それは……過労時で息をしている黄巾党”らしき”者であった。らしきというには語弊あった。正確には黄巾党なのだが、顔が蒼く腫れ上がっており元の顔が解らないほどであった。更に一人二人では無い。少なく見積もっても50はいる。

 

多分、自分がぼーっとしている時に好機と思いこんだ阿呆どもが突っ込んできて、『翼ある銃』の異名を持つ『刃の子供』バリの反射神経で返り討ちにしたのだろう。

 

 一刀は無表情で見た後、紅をみる。視線が合った所でサムズアップしてボケた。

 

 

 

 

「いくら出番が無いからってここまで…でも、お前らしい!!∑d」

 

『俺は!オメーがやったのかって!!訊いてんだよ!?』

 

「あれ、違うの?( ̄∀ ̄;)」

 

『んっだよ!?その顔は!!?」

 

 

 一刀のボケに紅が突っ込むが、話が進まないので華陀が仲裁に入った。華陀が言うには、自分たちが戦場を駆けまわっていると”風の刃”が空を駆けるのを目撃した為、此方に来たらしく、行けばその場所に黄巾党の残骸と呆けている一刀が佇んでいた。それを訊いた一刀は呆れた顔でこう言った。

 

 

「……心配で来たような言い方をしているが。本音は『此方の方から人の助けを呼ぶ声が!』とか」

 

「その通りだ!!」

 

 

 包み隠さず、笑顔で胸を張る華陀。

 

 

「『あちらから良い漢[オノコ]の香りが』とか」

 

「ギクリッ!」

 

「ドッキリッ!」

 

 

 気持ち悪いぐらいに抱き合い、振るえるカマ×2。

 

 

「『あっちから“黒いマスク”の気配がするぜ!』 と <だ~か~ら“くらいまっくす”でしょ?> で 『いくぜっ!いくぜっ!』 となり <だから、人の話を……> だろうな」

 

『なっ!?何の事かな?助平侍くん?』

 

<バレバレだね>

 

 

 ソッポを向き誤魔化す紅に、その紅を制御していた為に疲れきっている声で夜葉が空笑いをしていた。

 

 一刀はそれぞれの反応に、呆れよりも笑いが込みだしてきて笑いだす。それに釣られるように皆も笑う。

 

 

「(取り敢えずは勝ったんだよな?)」

 

 

 戦が終わった訳ではない。兵士も今だ戦っている為、一刀も立ち上がり戦場に向かおうとする。

 

 

「待て、北郷」

 

 

 それを華陀が一刀の肩に手をかけ止める。

 

 

「何だ?速く兵士の指揮を執らねば…」

 

「その前に治療しよう」

 

 

 華陀の目を見れば、何やら燃えていた。一刀は自分の身体の外傷を確認、軽くステップを踏んで骨や神経に支障が無いか確認するが特に問題が無く、華陀に大丈夫だと宣言した。が、それでも離さないので何処に治療する部分があると、尋ねた。

 

 

「お前のその腐った頭と神経だ!!」

 

 

 と、拳を握り真顔で力説してくれた。一刀は良い笑顔で拳を握っていたが。

 

 

「ま、まてッ。いえ、待ってくださいッ!?場を和ます冗談で」

 

「時と場所選べや。(○♯^-^)=○)д゜゜)」

 

 

 取り敢えず、殴り倒した上でマウントポジションをとり……

 

 

 

―――――しばらく、お待ちください。良い子の皆さまは、仲が良い友達相手でも真似しないように―――――

 

 

 

 

「で?用がないなら本当に行くからな?」

 

「…い、や。本当に…治療を……」

 

 

 後遺症にならない程度に殴った一刀が、行こうとすると地面を這いずりながら一刀の脚にしがみ付く。見上げた医者根性に肩を竦め溜息を吐く。

 

 

「ホント、疲れる……で、何の治療だ?もう、御ふざけは無しだ」

 

「あぁ。お前の病名は……経絡系の損傷だ」

 

 

 沈黙が続く中、一刀は朔と念話をして“経絡系”の事を尋ねた。

 

 

「(…朔、“経絡系”ってあれだろ?あのラーメン好き忍者で出てくる、チャクラが流れる管の事だよな)」

 

<(えぇ、その通りです。先ほど左慈の『直線の軌道』を避けた時に何か細工をしたのでしょう?因みにチャクラも氣も同じような物ですよ。先ほど于吉が印を結んでいたでしょう?後、貴方は印を結ばなくても大丈夫…ですが)>

 

 

 チャクラと聞き、子供のように目を爛々させてさっそく何かの印を結び手に氣溜めようとしていた。だが、すぐに華陀がそれを阻止して腕と胸に“何か”を撃ち込んだ。

 

 すると、溜めこんだ氣が霧散化し身体から力が抜け落ち、地面に座り込んだ。

 

 

「あ、ありゃ?」

 

「経絡系が損傷していると告げているのに、何故に氣を使おうとするんだッ!?」

 

「そうよっ、ご主人さま。身体は大事にしなくちゅわね♡」

 

「何事も自分を大事にしてから始まるもんじゃよ」

 

<(なんです?貴方ごときがサ○ケ君の真似ですか?まずはナル○君みたいに努力しなさい)>

 

「声優が一緒だからって、贔屓すんな…確かにナ○トはカッコイイし螺旋○も使ってみたいが…『千○』は男のロマンだ」

 

 

 

 

 華陀は医者として、無理をしようとした患者(一刀)を怒り、貂蝉を無視して卑弥呼が何となくカッコイイ科白を吐き、朔の声優ネタに突っ込みを入れる一刀。何とも微笑ましい光景だが、唯一人。馴染めていない者もいた。

 

 

『…あ~、ゴホンッ。お前ら、和んでいるはいいんだが……』

 

 

 馴染めない(展開ついていけない)為に、良い感じに苛立っている紅。そして…。

 

 

<今、僕たち。敵の陣のど真ん中に居て……その、囲まれているみたい>

 

 

 訂正、二人?であった。そんな二人の忠告に他の者はと言うと。

 

 

「華陀、俺に何を刺したんだ?眼は動くが顔が動かなくて、見えないんだよ?」

 

「んっ?あぁ、“鍼”だ。我が五斗米道は鍼治療を得意とする」

 

「“針”?それなら俺も使うぞ」

 

「なにっ!?五斗米道の継承者たる俺以外に、鍼治療を行える者がいようとは」

 

「独学だけどな」

 

「や~~んご主人さま!すてき~~!」

 

「なんとっ!?このワシがだぁりん以外にムネムネするなど、ありえんっ!?しかし、この胸の高鳴りはいったい…」

 

 

〈(貴方達、そこまでですっ!それ以上私のマイスターに、近づかないでくださいまし!だから、近づくな~~!聞こえない振りをするな~~!マイスター、私をここから出して下剋上してやりましょう!?)〉

 

 

 全く動じていなかった。寧ろ、気づいていないのかと思い紅が怒り交じりに『聞いてんのかっ!?』と怒鳴ると、皆が一斉に紅を見て。

 

『解ってるから、黙れっ』

 

 息を合わせ、一言一句違える事無く言葉の刃を紅に刺す。本来の口調まで変えて言った事が効いたのか落ち込み……いや、グレ始める紅を必死に宥める夜葉を余所に華陀が大声で『善(ぜん)利益(りゃく)・注利薬(ちゅうりゃく)・威(い)禍(か)消(しょう)離厄(りゃく)!げ・ん・き・に・なったぁぁぁぁぁっ!』と叫ぶ。

 

 そして、一刀から鍼を抜くと一刀は跳び上がりすぐさま『稲妻の氣』を使う。そして、

 

 

「…あまり、変わんない気がするな?“自分でやった”方がまだ増しかな?」

 

『!?』

 

「…なんだとっ?」

 

 

 実際に、あちらの正史で経絡系の治療なんてやった事も無ければ、自分がどんな状態だったかも判らなかった為に軽い発言をしていまい、華陀のプライドに点火したことに気づいていない一刀。

 

 それにより、己の氣を吹き出す華陀に漢女たちは気持ち悪いぐらいに震えていた。

 

「それは、どういう意味かな?北郷殿…いや、北郷!」

 

「…別に他意(悪意)はないぞ?(何を怒っているんだ?)」

 

〈(貴方が逆鱗に触れた…それだけです)〉

 

「他意はない?つまりそれは俺に、いや。五斗米道に対する挑戦と受け取らせ頂く!!」

 

「…なんでさ」

 

 

 某正義の味方の見習いみたいな科白と共に、前々回の次回予告を行う事となった。

 

 

『…くそっ。生まれてきて悪かったな?憑いてしまって悪かったな?』

 

<そんな事無いってっ!ねっ!>

 

<わ~い。紅って雑魚だねッ>

 

<龍ちゃん、ホントの事言っちゃ先輩に悪いよ?あっ、今のは独り言ですから気にしないでくださいね♪>

 

<蒼も酷いなぁ~>

 

<お前ら、煩いと全員食っちまうぞ?>

 

<…ワタシの出番はまだか?>

 

 

―――みなさん、フライングはいけませんよ?

 

 

 

 

―――黄巾党 seid

 

 

「頭!あいつらまだ、話してやすぜ?いいんですかい?」

 

 

子分の一人が頭に尋ねる。

 

今、黄巾党は不思議な双剣を使う青年…一刀と変な集団を囲んでいた。一刀が率いた軍が余りにも強かった(大半の活躍はお解りだろうが)為に、この頭が率いた黄巾党は壊滅であった。正直言ってもう時間の問題の為、自分を慕う者たちのみ招集して他の同志に殿を押し付け逃げ出だそうとしていた。

 

同志と言っても所詮は素姓の知れぬ者。いざとなれば切り捨てる事が出来るほどの団結力しか無かった。

 

そしていざ、逃げ出そうとしてふと一刀が『空我』を放っている所を目撃。この頭は『空我』を一刀の技では無く、一刀の双剣が織りなすモノと思い“張三姉妹”の貢物として、これを奪おうと何人か嗾けた。しかし、結果はぼろ糞で自分の部下が三分の二に減少。しょうがないので体力切れを待っていたが、華陀たちも合流し状況は最悪であった。内心は『潮時か?』と考えてはいると、殿を押し付けた奴らもこっちに向かってくるという情報を受けて焦り始める。

 

 

「(ちっ、しょうがねぇな。幾ら強そうでもあっちは五人、こっちは百人前後。隙を見れば奪えるか?奪った後でこいつらを囮に……)よし!」

 

 

 頭といっても結局は人の仮面を脱ぎ棄てた獣…いや、獣も縄張りや集団行動、仲間意識が強い分、この男は獣以下であろう。その男が捨て駒になる者たちに号令を出す。

 

 

「野郎どもっ!!天和ちゃんの笑顔が見てーーかっ!?」

 

『ほぉわぁぁ!!』

 

「普段は“ツンツン”の 地和ちゃんが“デレデレ”になる所を見てーーかぁっ!??」

 

『ほぉうほぉうわぁぁぁぁ!!!!』

 

「冷静な人和ちゃんがほほ笑む顔を見たかぁーーーねぇぇのぉくぅあっ!!!!!???」

 

『ほぉうわぁ?…ほぉぉぉぉわぁぁぁぁ!!!!!!』

 

「なら、奪え!!」

 

『ほぉわぁ!!』

 

「そして、貢げ!!!」

 

『ほぉわぁぁあ!!』

 

「俺らが!!!張三姉妹こそが『正義』だぁぁぁぁぁ!!!」

 

『ほぉぉぉぉぉぉわぁぁぁぁぁああ!!!』

 

 

 馬鹿な奴らと言わんばかりに、口の端を釣りあげる頭。幾らあいつ等が強かろうと、これだけの士気があれば簡単に負けるわけがない。そう鷹をくくり、いざ突撃命令を出そうと一刀達の要る方向を向いた。

 

 

「よしっ!!おまえら突撃だ…あぁ?」

 

 

 ふと、視界に小さな光が目についた。それは此方に向かう度に強く大きくなり、良く見ようと目を凝らして何か解った時には全てが遅かった。

 

 

―――ブスッ!

 

 

「アニキ、どうしたんですかい?速く突撃命令を…」

 

 

 号令を出す途中で黙ってしまう頭が不思議に思い、軽く肩を叩くとそのまま崩れ落ちた。

 

 

「か、頭~~~!!!?どうしたんですか!?何が……んっ?」

 

 

 倒れた頭を起こしてみると、顔に何かが刺さっていた。それは太陽の光によって銀色に反射している針だった。

 

 

「…頭。貴方は眠っていてください。貴方の仇は俺が取ります。お前ら!!!いくぞ!!!!!!!!」

 

『ほぉぉぉぉぉわぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!』

 

 

 

「おい、一刀ッ!?いきなり決め事をブッチギリで破ってんじゃねぇッ!」

 

 

 紅が一刀に向かって怒鳴るが、当の本人は面白く無さそうに耳を塞ぎ取り敢えずは平謝りを紅にしておく。

 

 

「すまんな、耳障りな“言葉”が聞こえたもんでね。つい、な」

 

「ついだとッ!?……ついじゃ、しょうがねぇな」

 

<それで納得していいの?>

 

〈バカだから良いんですよ〉

 

 

 誤魔化させていることが解らず、納得した顔で頷いている紅に今後の不安を隠せない夜葉。それを嬉々としている朔がフォロー(?)する。

 

 双剣『災厄』を『亜門』に収納し、代わりに『朔夜』を取り出していた。そして、貂蝉が嬉しそうな顔をして皆の前に立ち再びルールの確認を始めた。

 

 

「はーい、はーい。じゃあ、もう一度先奔ったご主人さまの為に決まり事の確認をするわよ?目的はご主人さまと華陀ちゃんのどちらが“ハリで多くの敵を倒せるか”で“ハリ以外の攻撃は禁止”。あと敵も多いし、時間を取る訳にもいかないから私たちも参加するわ。良いわね?」

 

「あぁ、今のはノ―カン…無効で構わない」

 

「んぅ、いいのか?俺は一向に構わないぞ。高々一人ぐらい」

 

 

 挑発するかのように華陀が、口元を釣りあげる。何時もの華陀らしからぬ挑発に驚きを隠せない漢女二人に対し、一刀は無関心を装いつつ。

 

 

「…そうかい?じゃ、今の頭みたいだし50人分でいいか?良いよね?答えは聞いてない」

 

「なッ!?それは何でも……い、いや、ここは年上の威厳を見せる為に敢えて飲むべきか?しかし、いくら何でも五十の差。ん~~っ」

 

 

 見掛けに寄らず、こうゆう勝負事が大好きで内心は楽しんでおり、鼻をフフ~ンと鳴らし華陀の反応を愉しんでいた。しかし、それも黄巾党が咆哮により終わりを告げた。

 

 

「ふんっ!相変わらず、空気が読めんのう」

 

『いいじゃねぇか。俺はこういうノリの方が好きだぜ!』

 

「うふっ、祭りみたいで良いわん」

 

<およよ~~!速く家に帰りたい…>

 

〈其の為にもとっとと終わらせましょう〉

 

「ん~~っ?五十…」

 

「華陀…俺が悪かった。あれは数に入れんでいい。じゃ、いきますか?」

 

 

 一刀の合図で皆、自分の得物を構える。

 

 

 

 貂蝉と卑弥呼は氣で肉体強化を。

 

 

「ぐふっ。じゃあ卑弥呼、行きましょうか?―――華麗に激しく」

 

「最後、人が変わったようじゃぞ?」

 

 

紅が天我連邪―剱形態―を。

 

 

『あそこまで盛り上がられたら、こっちもそれ以上に盛り上がんねぇとな!いくぜ、いくぜ、いくぜっ!!』

 

<今、僕に出来る事を…やるだけなんだ>

 

 

 一刀と華陀がハリを構える。

 

 

「はぁ~~、とっとと終わらせますか」

 

「勝つのは五斗米道の俺、華陀元化だ!」

 

「はい、はい」

 

 

―――それぞれの戦いが始まる。

 

 

 

――――圧倒的な勝利で有った事は言うまでも無い。ここからはダイジェストでお送りします。

 

 

―――貂蝉&卑弥呼 side

 

「あーたったったった!!」

 

「ほぉあぁぁぁぁぁあああぁあ!!!!」

 

「いやぁぁぁあああ!」

 

「来るなぁぁああぁああッ!!」

 

 

 

―――紅<夜葉> side

 

 

『いくぜっ!俺の必殺技、真・恋姫†無双版!其ノ一!!』

 

 天我連邪―剱形態―の紅い刃が光輝き本体から切り離される。飛翔し、その紅く輝く刃が空中から獲物に襲い掛かる。

 

 

「なんだ、あれは!?」

 

「良くわかんねぇが逃げるぞ!!」

 

『逃しゃしねぇよ!』

 

 紅が天我連邪本体を振るうと同時、刃が敵を殴打する。それから円を描く様に周りの敵を薙ぎ倒した。

 

 

『へんっ!どうよ、俺の強さは!』

 

<どうでも、いいけど。“真・恋姫†無双版”ってなに?>

 

『さぁ?心の中から誰かが囁いたんだよ』

 

 

 

――― 一刀&華陀 side

 

「頭の仇~~!死にさら……」

 

「うっさいわ…」

 

「せっとぉあっぷろ!!?」

 

 

 斬りかかってくる敵に、避け際に首に“針”を突き刺す。そのまま、敵は倒れていくがそれは興味が無く見向きもしない。

 

 肩を竦めながら敵の多さに溜息を吐く。

 

 

「ふっー、これで四十八人。そっちは?」

 

 

 そう言って華陀の方向を向けば、丁度四十五人目の敵を“治療”しているところであった。

 

 

「俺は医者だ!殺しはしない!治癒するのはその根に巣食う病魔なり!」

 

「うぎゃ!?」

 

「お前の膝のツボを突いた……厠で用を足すときにも座れない恐怖、半月ばかり味合うがいいっ!」

 

「おぉ!」

 

〈流石です。これが五斗米道…〉

 

「―――あの効果。使える!!」

 

〈そこですか…誰か、この方を何とかして下さいまし〉

 

 

 熱い眼差しで見詰めている一刀に呆れる朔。そんな一刀に敵が十人ほど迫ってくる。しかし、この状態の一刀に近づくのはとても危険という事を朔は知っていた。

 

 

「おっ、良い所にッ!」

 

 

 一刀の眼が、獲物を狙う鷹の眼になった。敵もそれに気づき一斉に反転、今来た道を爆走して逃げる。

 

 朔はこの敵は皆、実験台にされるんだな、と心の中で合掌しておいた。

 

 一刀が両腕にスナップを利かせると、袖口から幾つ物針が出てきた。それを指の間で掴み、敵に投擲する。その針は外れる事無く、敵の首や背中、手や足に突き刺さりあっという間に全員が前のめりに倒れていった。

 

 そんな状況を見て朔が、感想を言う。

 

 

〈技の華陀、速さの一刀様という所でしょうか?〉

 

 

 

 実際に朔の言うとおり、華陀の戦いは“確実な治療”。どれほどの時間がかかろうとも、相手を確実に治療する事を前提で戦う事に対し、我らが一刀はどれだけ敵を“速く始末”するかであった。一刀はまず、素早く敵を“無力化”してその後に始末するのが一刀のやり方であった。

 

 だからこそ、今回の勝負は圧倒的に華陀に分が悪い。今回は勝負内容は『どれだけ敵を多く倒すか』である。敵の人数が決まっている以上、素早く敵を倒せる一刀の方が断然有利であった。

 

 

〈(それを知りつつ、言わないなんて…。本当にマイスターは下郎ですねぇ)〉

 

 

 自分のマスターを卑下してはいるが、それに悪意が感じられないのは朔自身が一刀に、そういう生き方を望んだが為である。

 

 

「これで!!」

 

「五十九!!」

 

 

 そうこう言っている間に周りの敵は倒され、この戦場に立っている敵は一刀達の目の前の一人だけであった。その敵はと言うと、あの最初に倒された頭であった。乱闘になる前に子分が針を抜くという“要らぬ事”をしてくれたおかげで、この方は再び悪夢を見ようとしていた。

 

 

「どうなってんだ!?何時の間に皆突撃して、何時倒れたんだ?どうして、俺の目の前に腹を空かした猛獣のような眼をした奴が、俺を見てんだよッ!!?」

 

 

 状況が飲み込めず、パニックになった頭は腰を抜かしながらも逃げようとしていた。

 

 

「うっ。気が引けるがこれも勝負…。怨むならこのような悪事を働いた自分の行いを怨んでくれ……。よし、北郷!倒した数は同じ。正々堂々しょ…」

 

「うぎゃっ!」

 

「ぶ…だぁ。あれ?」

 

 

 横を振り向き、一刀に最後の勝負をしようと言おうとしたが既に本人はそこにいない。声をする方を向けば、這いつくばっている賊に容赦なく針を突き刺している一刀が居た。

 

 

「安心しろ。曹孟徳の命令により、殺しはしない…が、今までにやった悪行は消えんぞ?故に身体が動けなくなるツボと“発情”してしまうツボをついた。自慰がしたくても出来ない苦しみ、誰かに助けてもらうまでとくと味わえッ!!……まぁ、助けてもらう際にすごく恥ずかしいだろうがな。あっはははは!」

 

「……最低だ」

 

〈いくら何でも腐ってる。同じ男でしょう〉

 

 

 名医と相棒に批判を喰らいつつ、バカ笑いを続ける我らが主人公であった。

 

 

―――第1回遊戯、ハリで敵を倒せ!

 

――勝者 北郷 一刀。 武器…針(戦闘特化型) 撃破数―60人。

 

――二位 華陀元化。  武器…鍼(医療特化型) 撃破数―59人。

 

――三位  貂蝉。   武器…肉体(拳)    撃破数―21人。

 

――四位   紅。   武器…天我連邪(剱形態) 撃破数―18人。

 

――五位  卑弥呼   武器…肉体(蹴り主体)  撃破数―02人(貂蝉の取りこぼしのみ撃破)。

 

                         敵の人数…計160人   以上。

 

 

 

 

 

「隊長、あの者達は連れて行かなく宜しかったんですか?」

 

 

 あの戦いの後、何だかんだで一刀もあれが失言だと気づき、華陀に素直に謝ると温厚な華陀はすぐに許してくれた。

 

 あれはあれで、華陀も楽しんでいたようだ。それから貂蝉にまで負けたと、悔しがっていた紅を皆で宥めていると、兵が急いで駆けより、とんでもない情報が持ってきた。

 

 

『ここから北に六里ほど離れている街が黄巾党の奇襲を受けており、現在、夏候淵将軍、許緒将軍の両二名が指揮を執っていますが状況が不利!現在、曹操さまの軍がこちらに向かわれている為に北郷軍は北に進軍し将軍たちの援護をとのことです!!』

 

 

 此方の軍はあまり…というより貂蝉たちが暴れた御蔭で殆ど被害が無い。華陀による治療のおかげでもあり、すぐにでも進軍する事は可能であった。よって、すぐに行動を起こすように各指揮官に伝達する。その時華陀たちが言いにくそうな顔で近づいてきた。

 

 

『一刀。すまないが、俺たちはここでお別れしなければいけないようだ』

 

『…そうか』

 

 

 一刀は別段驚く様子も無く、静かに頷いた。華陀は優しい、敵に慈悲を与えるほどに。多分、倒した黄巾党の治療を行いたいんだろう。正直に言えば、そのような“正義感”は大嫌いだったが華陀という青年には好意を持てる為に敢えて止めはしない。

 

 

『華陀、俺は黄巾党を直すのは反対だ。でも、お前がする事に異論は述べる気も毛頭ない』

 

『一刀…』

 

 

 華陀の顔が綻ぶ。友情が芽生えたと、思ったのか手を差し出してくる。

 

 うれしい。その感情が先行し、手を掴もうとするがその感情を押し殺す。もし、握るならこの先を言ってからだと。一刀の真剣な眼差しに気づき、華陀も一端手を引く。そして言葉を紡ぎだす。

 

 

『しかし、こいつらがまた、俺の前に立ち憚るのなら今度こそ……殺す』

 

『これからの未来を護る為に…か』

 

『大切な人の為でもあるがな。用は自分の為でもある』

 

 

 一刀が自嘲気味に笑うと、華陀が目の前に手を突き出す。

 

 

『一刀、俺はそれを軽蔑などしない。寧ろ、誇るべきだ!君は人の為に戦える…そして、戦っている。それは素晴らしい事だ、一刀。俺と友達になってくれ』

 

『……は、はっは。後悔すんなよ!こんな奴と友達になって』

 

『後悔なんかしないよ。俺から言ったのだからな!』

 

 

 

―――パシンッ!

 

 

二人が熱く握手をする。その時の笑顔はこの外史に来たから初めて心より笑った笑顔である。

 

 

『改めて、性は華[カ]、名は陀[ダ]、字は元化[ゲンカ]、真名は旺我[オウガ]だ』

 

『えぇ~~ッ!!!?』

 

『なんだッ?!』

 

『華陀ちゃん、真名あったの!?』

 

『知らんかった…』

 

『…あ~ぁ、教えるのを忘れてた。本当は教えたくないが(ボソッ)』

 

『その気持ち、解るぜ。それでは俺も。性は…以下省略。とにかく、一刀って呼んでくれ。変態以外は』

 

『いや、省略していいのか?』

 

 

 真名を交換した後、旺我は天幕から出て行こうとしてそれを一刀が止める。

 

 

『旺我、曹操に仕える気はないよな』

 

『すまない。俺は助けを求める人が居る以上、誰かに仕えたくないんだ』

 

『それは良いんだが、陳留に寄っていくか?』

 

『確かに陳留には寄るが?』

 

 

 旺我が首を捻りつつ、一刀は横にいる紅…は拗ねてしまって今は夜葉が横にいた。一刀は横にいる夜葉も送って行くようにお願いした。

 

 

『僕が居なくても…』

 

『寧ろ、足引っ張るから帰ってくださいm(_ _)m』

 

『そこまで……』

 

 

 取り敢えず、指摘しようの無い見事な土下座をしつつ夜葉に帰るよう指示。旺我たちには夜葉の不幸体質を話、眼を離さないように連れてくように頼んだ。

 

 

『貂蝉、今度あったら』

 

『その時、ご主人様が良い意味で成長していたら…今起こっている事を話すわ』

 

 

 意味深な言葉に疑問を抱きつつ、皆を見送り軍の方も準備が出来た為に進軍を開始した。

 

 

『一刀!怪我、病気になったらこの俺、旺我を呼んでくれッ!!またな!!』

 

 

 

 

 

「“またな”…か。そうだよな、また会えるよな」

 

「北郷将軍?」

 

「んっ?あぁ、確かにあいつ等は強いが、頼ってばかりでは軍の質も落ちるし、自分で守れるくらいにならないとな。それに」

 

「それに?」

 

「あれを見たら華琳…曹操が卒倒するか、連れてきた俺たち全員の首を刎ねるとか、言いだし兼ねんぞ?あと、俺軍師だからな?」

 

「あぁ~。納得しました」

 

 

雑談をしていると、先行していた者から街が見えてきたとの報告を受け、先鋒の陣を敷く様に指示。

 

 

「お前たち!今から黄巾党に襲撃をかける。先の戦いでは完勝に等しかったが、それで気を抜いている者は前にでよ!!切り捨てるぞッ!!!今、奴らは俺たちが護ってきた者を殺し奪おうとしている。それを許すな!曹孟徳より殺人を許可された。者ども、護る為に殺せ。そして、未来を掴む為に―――戦えぇぇええぇぇ!!!」

 

 

『応ッ!!!!!』

 

 

 また、戦いが始まる。しかし、一刀はもう止まらない。少なくとも今は止まろうとは思わない。大切な者達を護る為に―――。

 

 

 

 

 

 

 

 終わった。色々な意味で。正直、眠いので後書きは次回という事で。

 

 取り敢えず、遅れてゴメンナサイ~~~~!!!!

 

 

 後書きもどきという事で一刀君の武器パートⅡ!!双剣のデータ及び水の型の技を載せておきます。誤字脱字の報告御願します。

 

 

○災厄[パンドラ]―――機重双剣[ギミック・ツインソード(Gimmick twin sword)]

……一刀が独学で製作した機械仕掛けの双剣。刃渡り300mmのとサバイバルナイフを思わせる片刃剣(刀)でどちらも、刀身と柄の間に回転式弾倉(装填数は異なる)と撃鉄(ハンマー)、そして引き金(トリガー)が付いている。トリガ―を引いた際の能力は剣によって異なる。正史では弾丸に火薬を使用していたが、外史で氣が使えるようになってからは弾丸に氣を使用しようと、日夜実験と氣の訓練に励んでいる。

 一刀は能力を発動の事を『ギミックトリガー[gimmick trigger]』とよんでいる。

 

 

・希望(装填数8発)―――超振動剣[ハイパーバイブル・ソード(Hyper bible sword)] 撃発方法――ダブルアクション※2

  ギミックトリガー……『金剛斬(コンゴウザン[スパーダ])』

 

クリムゾンレッドの西洋剣。刀身に太陽の絵が掘られており、一度撃鉄を起こしてトリガ―を引くと超振動してその振動を利用してモノを“切断”する。その切味はウォーターカッターと同等。2回目以降は、引き金を引くだけで『金剛斬』を発動出来る。

 それだけの装置が備わっている為にかなり重く、春蘭でも片手で持てはしても戦闘となると両手で無いと扱えず、『ギミックトリガ―』など発動した際は『希望』が手から落ち、しばらく手が痺れて動かない。

 

 

・絶望(装填数6発)―――爆裂刀[バースト・ブレイド(burst blade)] 撃発方法――シングルアクション※1

  ギミックトリガー『臥壊(ガカイ[バスター])』

 

  夜を思わせる紺青色[ナイトブルー?] の刀身に朧月(満月に暗雲がかかっている状態)が描かれており、柄の横に二本ずつ車の排気口ような小さなパイプが付いている。ギミックトリガーの『臥壊』は、撃鉄を起こし斬る・若しくは接触する瞬間にトリガーを引くと弾丸を爆発させて、刀身に物凄い威力を加え対象物を“破壊”、“大被害”を与えるが多少ではあるが自分にも反動が返ってくる為に連続使用は不可。更に一回使うと『絶望』自体が高温になり、時間を置かずに二回目を使うと一刀も長く持つ事が出来ない。

  その為に装填数が少なく、撃鉄方法が“シングルアクション”なのは誤発動を無くす為。

 

※1.シングルアクションとは弾丸を一発撃つごとに手で撃鉄を起こす必要がある銃、または一発撃つごとに手で撃鉄を起こす操作法を指す。

1. 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃に戻す。

2. 撃鉄(ハンマー)を指で引き起こす。銃内部のバネを圧縮した状態で撃鉄は止まる。

3. 上記操作と連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。この状態をコッキングと呼ぶ。

4. 引き金を引く。撃鉄が作動して落ち、弾薬の底部にある銃用雷管を叩いて火薬が発火し、弾丸が発射される。

引き金が撃鉄を倒すという一つ(シングル)の動作しかしないことからこう呼ばれる。西部劇で多く登場する。片手撃ちの場合、基本的には親指でコッキングして発射準備をする。

速射する場合には空いている手の親指と小指で掌を扇ぐようにコッキングし連続射撃を行う。この動作をファニング(ファニングのファンとは扇のこと)といい、西部劇などでよく見られる。元始のリボルバーにはダブルアクション機構がなかったための連射技。しかし、実弾射撃の場合は一発発射するごとの反動が大きいので、次弾以降の命中精度を維持するのは難しい。空包を使用した映画やショーならではのテクニック。

※2.ダブルアクションとは弾丸の発射に際し、引き金を引くだけで撃鉄が起き上がってから落ち、連続で発射が行える機構やその操作法のことを指す。

1. 弾薬を回転式弾倉に装填し、銃に戻す。

2. 引き金を引く操作と連動して撃鉄が起こされる。さらに連動して弾倉が回転し、弾薬が発射位置まで移動したところで弾倉が固定され、発射準備が完了する。

3. 弾倉の固定とほぼ同時に、引き続けていた引き金が定位置に来た段階で連動していた撃鉄が落ち、弾丸が発射される。

引き金が撃鉄を起こし、さらに倒すという2つの動作をすることからダブルアクションという。引き金を連続して引くだけの簡単な操作で連射できるが、撃鉄を起こす余分な力がいるため引き金を引くのに必要な力(トリガープル)がシングルアクションより大きいことや、引き金を引く距離(トリガーストローク)が長くなり撃ちづらく、命中精度が落ちるなどの欠点もある。

 

 

〇水の型

 

・蓮華流[レンゲル]

 高速の速さで、敵を打ち抜く技。しかし、一発の威力が小さいために一刀はフェイントは敵の軌道をずらしたりするのに使う。因みに命中精度はあまり良くない(一刀の修行次第で改善化)

 

・榎裏珠[カリス]

 蓮華流[レンゲル]とは違い速度は多少軽減している分、命中精度を上げた技。軽減していると言っても達人でも避けてるかどうか。

 

・騎呀憐[ギャレン]

 双剣を逆さに持ち、どこからでも奇襲できる技。本来の水の型は手や武器と言ったものが流れるような攻撃を行うのに対してこの技は体全体がそういう動きを行うことができる。

 

・撫黎弩[ブレイド]

 最初の三つの能力が融合した技。高速で相手の死角に入り、相手の急所を的確にそして素早く斬り付ける。まさに暗殺に持って来いの技だが使用した直後、身体に負担を掛けるために数秒は動けない。

 

 

〇風の型

 

・空我[クウガ]

 離れた敵を触れずに斬り裂く。空を自由自在に飛び、使いこなせば途中で方向転換も出来、小十郎はしばらくその場に固定し、飛び乗って共に敵陣営に突撃したことがあるとかないとか。

 

 

 

至らぬ点は後日、修正いたします。


 
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