「これから、僕達は旅立つ。
待ちうけるは、腐りきった官によって敷かれた悪政の世。
弱き民は悪政により苦しみ、弱き者がさらに弱き者を虐げる現実。
僕達は、立ちあがったんや!民の安寧を乱す奴らには、粛清してやるんや!」
「「「「ォォオオオオォオオォォオオオ!!」」」」
「んっ、お疲れ様。樹夜、なかなかに気合の入った鼓舞だったぞ?」
「ありがと」
こうして、樹夜達は鼓舞が終わり士気の高まった家臣達と共に屋敷を出立するのであった。
Side:時雨 樹夜
兵達にも、そろそろ疲れが見え始めてるなぁ……
休息をとったほうがええやろな。
「皆、今日と明日は近場の邑で休息するで~。それじゃぁ、各自で自由に行動してや。
ただし、困っている人がいたら助けてあげてや?」
さて、皆に伝える事もこれだけやなぁ。
「樹夜、私と一緒に昼食とらんか?」
「んっ、ええよ~」
ほへぇ、混んでるなぁ。
やっぱり、料理屋は今の時間帯が書き入れ時やからなぁ。
「うぅ、こんなにも混んでるとは……樹夜、他の店にするか?」
「神楽、大丈夫やよ。ここで、少し待てば席も空くやろうし」
んっ、騒がしいなぁ~。あれは、この店の店主やろうなぁ。
あの脅してる方は、黄色の布を頭に巻いてるって事は黄巾党やな。
少し様子を見て、助けに入った方がええな。
「店主よぉ~、俺様に虫を食わせる気か?!客に対して、これは失礼だろうよ……
まぁ、金を出したら許してやるぜ?」
「そんなぁ、無茶苦茶な言いがかりじゃないですか!?」
「あぁ!!俺様の言う事が聞けないのかよ!!じゃぁ、その減らず口を聞けない様にしてやるよ!!」
俺が助けに出ようとした時には、黄巾党の奴が泡を吹いて気絶していた。
「あらあら、静かに食べれないのですか?そんな所で、泡を吹いて倒れるなんてみっともない」
あれは、勝手に倒れたんとはちゃう。
あそこに座っている女性が、一振りの腕の動作した後に倒れたんや……
得物は、何かわからんかったけどな。この女性は、相当な武の持ち主やわ。
「いやぁ、お姉さん。盗賊を、あっという間に倒すなんてなぁ」
その女性にだけ聞こえる様に、こっそりと囁いた。
「いえいえ、何もしてませんよ?それより、私の屋敷で一緒に昼食をとりませんか?
ここでは、騒動が起きたばかりで食事もできませんから」
女性は、何故か俺を見て頬を赤くしていた。
後ろから、むっとした神楽の視線を感じる。
「そうやねぇ~。あははっ……」
「うむ、すまないな」
うっ!?俺は、悪くないんやぁ~……
お姉さんの方には龍が、神楽の方には虎が見えるようやわ~。
「そういえば、お姉さんの名前をなんていうん?」
屋敷まで暇だったので、名前をきいてみた。
名前を聞くのは建前で、本音はあれほどの武の持ち主なのだ。
僕が知っている武将やったら、情報を把握しておく方が何事も有利に運べる。
「まだ、自己紹介をしてませんでしたね。私の姓は 波 名を 才 字はありません」
「ふむ。私は姓を 太史 名を 慈 字を子義という者だ」
「僕は、姓を 時雨 名は 樹夜 や。字は、無いわ」
黄巾党の指導者である武将の波才……
そんな人が、僕達を屋敷に招待するなんて何かしらあるはずや。
「ここが、私の屋敷です」
「おぉ、すごい大きいんやねぇ。ここには、波才さんが一人で住んでいるん?」
「そうですよ」
「ほぅ、立派な屋敷だな。私の屋敷に比べれば見劣りするがな」
「あらあら、私は派手好きじゃないので見栄を張らないだけですよ?」
「くっ……」
「ふふふっ……」
僕達は、部屋に通されて昼食の席につく。
出された料理は、波才の手作り料理。
「さぁ、お二人とも昼食を頂きましょう?」
「うわぁ、めっちゃ美味しそうや!?いただきます!!」
「それじゃぁ、頂くとするか」
「はい、どうぞ♪」
Side: 波才
ふふふっ、美味しそうに食べてくれてるわ。
それに、子犬の様な可愛らしい目に純粋無垢な心の持ち主。
あの子、家に絶対欲しいわ!!
でも、どうしましょう。んー、何かいい策は無いかしら。
そうだわ、こんな時こそ黄巾党の名前を使えば……
「それにしても、ふたりはどうしてこの邑に立ち寄ったんですか?
この辺りは、黄巾党の縄張りが近くにあって危ない所ですよ?」
「僕達なら、大丈夫やで。普段は、義勇軍として動いてるから兵も少なからずいるんよ」
「それに、黄巾党がいるなら好都合だな。名を上げるには、絶好の機会だ」
ふふっ、喰らいついてきたわ。
「義勇軍ですか……実は、私がこの辺りの黄巾党の指揮官なんです」
「ふぅ、そうなんや。いきなり、屋敷に招待されたから怪しいとは思ってたけどな」
「ほぅ、波才よ。お主は、主殿に何か言いたげな様なだが?」
「ふふっ、よくわかっていますね。樹夜さん、私に降ってくれませんか?」
さて、どう出るのかしら?
楽しみです♪
「んー、降るのは嫌や」
「樹夜さんのお仲間が、我々に捕らわれていたとしてもですか?」
「貴様、ここで殺されたいか!!」
「神楽、落ち着きや」
「うぅ、すまない」
ここで、決めどころですね。
「私との一騎討ちで勝てば、黄巾党に誘うのも諦めますしお仲間もお返し致します。
樹夜さんが負けた場合は、私に降って下さい」
「ええよ、その勝負受けたる!さっきの条件だけじゃ、不釣り合いや!
もし、僕達が勝てば波才さんがこちらに降って下さい」
「んー、いいでしょう。その条件で、明朝に勝負しましょう。
もう遅いですし、今夜は泊って行って下さい。
そうだ、少しお話があるので樹夜さんだけ私の寝室に来て下さい」
「なにっ?!」
「神楽、僕は大丈夫やよ。そこまで、波才さんは卑怯な人ちゃうやろうから」
「主殿が、そういうのであれば従うしかあるまい」
ふふふっ、ちょっとした夜のお楽しみがふえました♪
あとがき
更新遅れました……まっことにすいませんです(><;)
夏の暑さと立て込むスケジュールが(ry
これから、更新が週一になりそうな予感です。
不定期ですが、お付き合いのほどよろしくお願いします(><;)
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今回のお話は、ついに出てきた波才のお話になります。
P.s お話の都合で、波才が一番になりました><
何儀と黄邵もすぐに出ますのでお待ちくださいませ。