No.891936

英雄伝説~灰の軌跡~

soranoさん

第3話

2017-02-05 11:44:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:5087   閲覧ユーザー数:4854

その後……リウイ達はセオビット達が捕えたアルティナと共に大使館に戻る事となり……リィンとセレーネ、トヴァルとルシア夫人はリウイ達の見送りをしようとしていた。

 

~ユミル・転移魔法陣の間~

 

「リウイ陛下、ペテレーネ神官長。父さんの治療の事といい、先程のゴーレムの退治や母さんを結社の魔の手から守って頂いた事といい、今日は本当にお世話になりました……」

「陛下達より受けた御恩、一生忘れません……」

「―――礼は不要だ。俺達はメンフィル皇家として当然の事をしたまでだ。」

リィンとルシア夫人に頭を下げられたリウイは静かな表情で制して答えた。

「兄様……本当に私はユミルに残らなくていいのですか?私もユミルの領主の娘として領主代理を務める兄様を支えるべき立場ですのに……」

「エリゼはリフィア皇女殿下の専属侍女長という重要な役目があるだろう?それに”蒼の深淵”がエリゼを諦めるとはとても思えない。結社に狙われている身であるエリゼはむしろリフィア殿下達の傍にいた方が安全だと思えるから、俺も安心して心置きなくユミルを守る事に専念できると思うんだ。」

「兄様…………―――わかりました。ユミルの事はお願いします。セレーネ、私の分も兄様を支えてあげてね。」

「はい!エリゼお姉様もお勤め、頑張って下さい……!」

「――――明日にはセントアークからユミル防衛の為の臨時の防衛部隊が到着するように手配しておく。それと本格的な防衛部隊の方も可能な限り早く到着するように急がせておく。」

「わかりました。郷の防衛部隊の手配、どうかよろしくお願いします。」

リウイの説明に頷いたリィンはリウイに会釈をした。

 

「えっと……リウイ陛下。そちらの方―――アルティナさんはどうされるおつもりなのですか?」

その時アルティナの事が気になったセレーネは水の結界によって囚われているアルティナに視線を向けて訊ね

「まずはその小娘が持つ情報を全て話してもらう。正直に嘘偽りなく答えたのならば、危害を加えるつもりはなく、エレボニアの内戦が終結した際には解放するつもりの上、その小娘自身が望むのならばメンフィルで保護し、16歳になるまでは”癒しの女神(イーリュン)教”が運営している孤児院にでも預け、16歳に成長すれば仕事も用意してやるつもりだ。話に聞く所その小娘自身はユミル襲撃には関わっていないし、ルシア夫人の誘拐も”未遂”の為現状その小娘の罪はそれ程重くない。」

「……………」

「そうですか………」

リウイの話を聞いたアルティナは黙り込み、ルシア夫人は自分を誘拐しようとしたとはいえ、15歳のエリゼよりも幼い少女がメンフィルによって罰せられる可能性はない事に安堵の表情で溜息を吐いた。

「……ちなみに頑なに口を閉ざして、情報を話さなかったらどうするおつもりですか?」

一方ある事が気になったトヴァルは真剣な表情でリウイに訊ねた。

「その時は自白剤を投与して、話してもらうだけだ。」

「なっ!?恐れながら意見をさせてもらいますが、さすがにそれは非人道的なやり方ではありませんか!?先程陛下も仰ったようにそちらの少女の罪はそれ程重くないのに、自白剤まで投与するなんて幾ら相手が犯罪者と言えど、やり過ぎかと思われます……!」

そしてリウイの答えを聞くと血相を変え、厳しい表情で指摘した。

 

「え、えっと……薬物を投与する危険性を考えて意見をされていると思いますが、リウイ様が仰っている自白剤は私自身が調合する自白剤ですから、毒や副作用とかは一切ありませんよ?」

「それに自白剤の投与は捕えた”敵勢力”に所属する者に対してする”処置”としては一番人道的な”処置”だ。」

「自白剤の投与が一番人道的な”処置”って、酷い”処置”だとどんな内容になるんだよ……」

トヴァルの意見に対してペテレーネがリウイの代わりに答え、リウイの話を聞いたトヴァルは疲れた表情で溜息を吐いて独り言を呟き

「「「……………」」」

メンフィルは時には”拷問”や”拷問すらも生温いと思うような非人道的な処置”を躊躇う事なくする事をメンフィルの皇族や軍属の関係者から教えられているリィンやエリゼ、セレーネはそれぞれ複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「……リウイ陛下。恐れながらそちらの少女の件とは別に、”遊撃士協会”として一つだけお訊ねしたい事があるのですが……」

するとその時ある事をリウイに訊ねる事を忘れていた事を思い出したトヴァルは複雑そうな表情でリウイを見つめて訊ねた。

「何が聞きたい。」

「………メンフィル帝国は今回の件―――ユミル襲撃によって発生してしまったエレボニア帝国との外交問題について、”どういう解決方法”を取るおつもりですか?まさかとは思いますがユミル襲撃の”報復”としてエレボニアとの戦争に踏み切るおつもりですか……?」

「あ…………」

トヴァルの質問の内容を聞き、最悪の場合エレボニアとメンフィルが戦争状態に陥る事を悟り、不安そうな表情をした。

「―――それはエレボニアの態度次第だ。メンフィルは”ハーメル”の件を黙認させられたリベールとは違う。今回のユミルの件を”ハーメル”の件のように誤魔化す事は絶対に許さん。そして……メンフィルの民達に手を出した愚か者達やその愚か者達に同調する者達には”報い”を必ず受けさせる。例え”どのような形”になろうとな。―――行くぞ。」

そしてトヴァルの質問に全身に覇気を纏って答えたリウイは外套を翻してペテレーネ達を促し、転移魔方陣へと入ってメンフィル大使館へと転移し、ユミルから去っていった。

 

その後……リィンはシュバルツァー男爵の代わりにユミルの領主代理として働き、セレーネは領主代理として忙しく働いているリィンを補佐した。翌日セントアークからユミルの防衛部隊が到着し……防衛部隊の到着を確認したトヴァルはアルフィン皇女の救出や内戦で苦しんでいるエレボニアの民達を”遊撃士”として自分ができる事をして助ける為にリィン達に別れを告げ、ユミルから去っていった。

 

一方リウイはメンフィル大使館に帰還後、帰還したその日にリベール王国の王都、グランセルに存在するエレボニア帝国の大使館を訪問、ユミル襲撃の詳しい経緯をエレボニア帝国の大使であるダヴィル・クライナッハ男爵に説明し、襲撃の”謝罪”に対する様々な事を要求した。ユミル襲撃の詳しい経緯を聞かされたダヴィル大使はメンフィルとエレボニアの間にいつ戦争が勃発してもおかしくない事を即座に悟り、今にも倒れそうなほど表情を青褪めさせたが、リウイ達―――メンフィル帝国の要求―――『ユミル襲撃に対する慰謝料、並びに賠償金の支払い、襲撃をした張本人である”北の猟兵”達並びに猟兵達の雇い主であるヘルムート・アルバレア公爵とアルバレア公爵の正妻、そしてアルバレア公爵の長男であるルーファス・アルバレア、エリゼやルシア夫人の誘拐を企てた貴族連合の”裏の協力者”である”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの身柄の引き渡し』に必ず全て応えるとその場で確約した。

 

しかし――――貴族連合側はリウイ達が求めてた慰謝料と賠償金の10分の一にあたる金額だけ支払い、他の要求については色々と理由をつけて行わなかった。そして自分達の要求に応えない様子のエレボニア帝国の態度に業を煮やしたメンフィル帝国は既に同盟関係となったディーター・クロイス政権を崩壊させ、新たなるクロスベルを建国する”六銃士”達の代表者である”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダーと”微笑みの剣妃”ルイーネ・サーキュリーに”クロスベル帝国”にいくつかの条件を見返りを贈与する代わりに”クロスベル帝国”建国前に先にエレボニアにだけメンフィルが戦争を仕掛ける同意をしてもらい、エレボニア帝国に戦争を仕掛ける事を決定した。

 

エレボニア帝国との戦争を決定したメンフィル帝国は内戦で国内が混乱している事を利用して多くの諜報部隊をエレボニア帝国へと解き放ち、更に様々な”才”に長けているメンフィル皇女の一人であり、プリネの義妹でもあるレン・ヘイワース・マーシルンは導力端末のハッキングで貴族連合の新兵器である”機甲兵”の設計を始めとした様々な情報を盗み、それらの情報を様々な形で利用した。

 

メンフィル帝国がエレボニア帝国との戦争に向けて本格的に準備を行っている中、リウイ達がユミルから去って数日後シュバルツァー男爵は目を覚ました。シュバルツァー男爵の目覚めに喜んだリィン達は病み上がりのシュバルツァー男爵を補佐し続けた。そんなある日、シュバルツァー男爵が目覚めた事を知ったエリゼはリフィアの親衛隊の副将軍―――シグルーン・カドール中将と共にシュバルツァー男爵の見舞いやリィン達にメンフィル帝国が正式にエレボニア帝国と戦争する事になった事を伝える為にシュバルツァー家を訊ねた――――

 

 

 

と言う訳でアルティナがメンフィルに囚われた為、アルティナは原作序章の時期で退場させられちゃいました(速っ!)ただ、後にリィン達の味方として再登場する可能性はあります(ぇ)

 


 
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