「私もトモダチ……っぽい?」
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マイ「艦これ」(短編)
「トモダチっぽい・前編」改1.6
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海の上を6隻の艦娘たちが航行していた。ちょうど今しがた彼女たちは敵と一戦を交え、やっと戦闘に一区切り着いたばかりだった。かろうじて敵を3隻、撃破したものの、こちらの被害も大きかった。
「夕立、大丈夫?」
「大丈夫じゃないっぽいぃ」
ぼやく彼女には、しっかりと大破マークがついていた。
旗艦の比叡が呟く。
「このまま、撤退命令が出れば良いんですけど」
そう言いながら少々、落ち込んでいた。実は彼女、まだ改も付いていない新人の艦娘だった。
しかし『戦艦だから』という簡単な理由で提督から旗艦に据えられて居たのだ。
すると大井がボソッと応える。
「うちの提督は気まぐれだからねえ」
さらに後ろから島風が叫ぶ。
「ねえねえ、うちらの提督って、やっぱ女だよね?」
五十鈴が応える。
「うん、そうかも」
伊19も呟く。
「大破になれば普通、撤退するのね」
だが艦娘たちの淡い期待は無情にも裏切られた。部隊は、そのまま夜戦に突入したのだ。
「えぇっ 夜戦?」
「なんでっ」
絶句する艦娘たち。だが提督の命令は絶対だ。
五十鈴は砲を構えながら言う。
「夕立、もうちょっとだから頑張って!」
「うん、頑張るっぽい」
弱々しく応える彼女。
「大丈夫、敵は残3隻。こっちは、まだ6隻。うまく回避すれば後は何とかなるって……」
大井が努めて冷静に言った。
しかし彼女の台詞が終わるや否や敵弾が夕立を直撃する。
「きゃあっ!」
「夕立ぃ!」
皆が振り返る。夕立の緑色の瞳の色は失われ、そのまま凍りついた。そこに被さるように轟沈という表示が出て彼女は消えた。
「夕立……」
あまり見たくない場面だと艦娘たちは思った。だが、これが艦娘たる彼女たちの宿命なのだ。
その後、夜戦が終了するまでに何とか敵を全滅させた彼女たち。
しかし戦闘後、母港へ戻る皆の表情は暗かった。特に旗艦である比叡は自責の念に捉われていた。
「……」
そんな比叡を勇気付けるように大井は声を掛けた。
「自分を責めなくて良いよ、比叡」
「はい……」
夜が明けつつあった。
「……バッカだなあ、大破したら普通、進んじゃダメなんだよ」
私は、いつの間に後ろに来ていた兄にたしなめられる。余計な、お世話だと思った。
まあ夕立が大破しているのは気付いていたし。ついガンガンと行ってしまったのも確かだ。
私は、ごまかすように反論する。
「えぇ? たかがゲームでしょ?」
兄は腕を組んで苦笑する。
「だいたい可愛い萌えキャラが轟沈するって、衝撃的じゃないか?」
「別にぃ」
私は、そのままスマホの画面を閉じた。
「アケミは、お兄ちゃんと違ってゲームも強くないし。どうせ艦娘だって同じのが何度も出てくるんでしょ?」
「えぇ? そりゃまあ、そうだけど……」
「だったら別に良いじゃん」
これは「艦これ」というゲームだ。
私も最初は面白がってプレイしていたが最近は部活もあるし、ご無沙汰だった。
私は今年、中学に入ったばかり。運動部にも入った。部活は小学生のときから続けていたスポーツの延長で入部する人も少なくない。
でも逆に中学から入った部で新しい競技を始める人だって居る。
私は後者だった。何となく惹かれるようにして剣道部に入った。
今、季節は6月。まだ梅雨は明けていないが学校ではそろそろ新人戦の時期になる。運動部を中心とした各クラブでは、それぞれ先輩を中心にレギュラー陣に緊張感が漂い始めている。
私と同じ一年生でも小学生の頃から剣道を続けていた人はいきなりレギュラーに選ばれたりする。でも私のように中学に入ってから始めたような人は、まだ試合に出る機会は無いだろう。
試合とは程遠い一年生は、今ひとつ煮え切らない状態で悶々としている時期だ。そんな事情もあってか今日の私は晩ごはんの後、兄に言われて久しぶりに「艦これ」をやっていたのだ。
基本的に憂さ晴らしが出来るゲームは嫌いではない。でもシューティング系は苦手なので、適当にまったりとプレイ出来る艦これは好きな方だ。
そういえばプレイし始めたばかりの頃は、しょっちゅう艦娘を沈めていたような気がする。ある程度、回数を重ねると艦娘も強くなるし闇雲に轟沈することも少なくなった。
ただ今日は久しぶりだったから、ついうっかり夜戦に突入したのだ。そして夕立の轟沈……萌えキャラ好きな兄には衝撃だったとしても、私にとっては、この艦娘だって、しょせんはデータに過ぎない。
「やれやれ」
私は立ち上がると仏壇に近寄って線香を手向けた。それは一番上の姉のものだ。
私は手を合わせた後、振り返って言った
「兄ちゃんも手を合わせなよ。守ってくれるかもよ」
「……」
兄は苦笑したが近寄ると仏壇に手を合わせた。
私には姉が居たらしい。でも私は彼女のことは全然知らない。私が生まれる前……そう、兄がまだ小さい頃、事故か病気で死んだ。それがショックだったのか兄は引きこもりがちになってしまった。
両親も姉のことはあまり触れたがらない。その気持ちは私だって分かる。ゲームの夕立が沈んでも何とも思わないのは、こういった背景があるからなのだろうか?
我が家を薄っすらと覆う陰みたいな……停滞した、その雰囲気が嫌な私は、部活に打ち込もうとしている。
もし私にも姉が居たら……もう少し違った性格になっていただろうか?
私は食器を片付けている台所の母に声を掛けた。
「明日も部活だから遅くなるよ」
「ふーん」
ガチャガチャと食器を洗いながら母は言う。
「ゴメンねアケミ……道着は今日、頼んだけど防具は、もうちょっと待って」
「うん、別に良いよ。まだレギュラーでもないし」
私の返事に母は苦笑してた。
先週、道着をやっと注文したばかりだ。さすがに竹刀は自前のものがあるが、他は借り物だ。
剣道部に防具の余裕はないので、今後のことを考えると何とか防具は揃えないといけない。しかし当然、高い。両親も躊躇している。
アア……何をするにも、世の中は上手く行かないものだ。
その夜、深海なんとかっていう、艦娘がヤラレタ敵の夢を見た。悪夢だな。
翌日、寝ている兄を尻目に、普通にご飯を食べた私は慌てて登校する。昨日の夢で目覚めが悪い。ちょっと遅刻しそうだ。
私は駆け足で校門を目指す。
「アケミ、お早う!」
「おはよ」
後ろから猛ダッシュで近寄ってきたのは同じ剣道部のミサトだ。
彼女は明るい。やはり剣道をやっている姉が居るからだろうか?
「ホラ! ハリアップ!アケミ」
「うん」
私は彼女に聞きたいことがあったが後回しになった。
淡々と授業が始める。教室では大人しい少女を演じている私。まあ、演じなくても喋る相手も限られているし、ムダにエネルギーを使って疲れる必要も無い。今は取りあえず部活に専念しようと思っている。
放課後、私はミサトと一緒に剣道部へ行く。
部は男子が多いがウチの学校では女子もソコソコ居るのだ。特に既に卒業したミサトの姉は強かったらしい。
部活では下級生の私たちは、ランニングや素振りがメインだ。
それから新人戦のレギュラー選手の練習試合を見学。先生や先輩の指導のあと夕方になって部活も一段落した。
先輩が着替えたあとの部室で、一年生が数人で掃除をした。それが終わって防具の整理も一通り済んだところで私たちも、ようやく帰る時間になった。初夏なので6時を過ぎてもまだ十分に明るい。
「アケミ?」
ミサトがロッカールームで声をかけてくる。
「なあに?」
私が生返事をすると彼女はニコニコしながら言った。
「ホラ、うちの防具の件」
「あ!」
彼女の言葉に私は思い出した。
実はミサトのお姉さんも剣道をやっていたのだが、その使い古しの防具を私に譲ろうか? ……という話があったのだ。今朝、それを聞きそびれていた。
「で? で?」
私の問い掛けにミサトは大きく腕で丸を作った。
「オッケーだよ!」
「わぁ、ありがとう」
当然、まともに買えば高い防具だ。しかし中古品も程度の問題がある。だからこそ先輩とか知り合いの『お下がり』なら抵抗も少ない。
「でも……防具って重たいんだよね?」
私が呟くように言うと、ミサトは言う。
「そうだ、練習で着けてみる? ……部室に私のがあるし」
彼女は小学生の頃から剣道をやっているのだ。当然、自前の防具を持っている。
「えぇ? 良いの?」
「平気だよ。どうせ、しばらくは使わないだろうから、ちょっとは人肌に触れさせないとね」
「へえ、そんなものなんだ」
そういえば彼女、剣道歴はソコソコあるはずなのに今回の新人戦のレギュラーからは漏れていた。でも全く気にしていないようだ。
彼女の、お姉さんは県大会でも優勝している兵(つわもの)だ。しかし妹である彼女はノンビリしていて性格も姉妹で正反対らしい。
私は、そんなことを考えながら聞いた。
「部室の鍵は?」
「持ってるよ。今日は私が当番だから」
「ラッキーだね」
私たちは部室の鍵を開けてミサトの防具を取り出して付け始めた。手馴れたミサトのお陰で直ぐに防具を付け終えた。
面以外の防具を付けた状態で私は彼女に感想を言う。
「わぁ、ブカブカだね」
「そうだね、アケミはちょっと小柄だから」
くすくす笑っているミサトに私は聞いた。
「貰う予定の、お姉さんの防具って……もっと大きくないかな?」
「あ、大丈夫。あれは姉貴が小学生の頃に使っていた奴だから」
彼女は屈託なく笑う。
「……」
その言葉に私はちょっと複雑だった。
でも直ぐに思い直して言った。
「嬉しいなあ……お姉さんにも、お礼を言わないとね」
私がミサトの顔を見ながら言うと彼女はギョットしたような表情で凍り付いていた。ただならぬ様子だけど。
「何?」
私は彼女が凝視する先に気付いて振り返る。
次の瞬間、私も凍りついた。
そこには防具……ではない、何かゴツゴツした物を背負った少女がジッと座り込んでいた。
「まさか」
「夕立?」
「え?」
私は慌ててミサトを見て言った。
「やっぱり……ってかミサト、あんた「艦これ」やってんの?」
「うん」
「え? だって18き……」
18禁と言いかけた私は慌てて口をつぐんだ。そもそも「艦これ」を知っている私だって同類じゃないか?
いや、そんなことはどうでも良い。私は頭を振った。そもそも現実問題として、なぜ目の前に艦娘の『夕立』が居るのか? ということ。
さすがのミサトも状況が理解不能らしい。
だが彼女は急に言った。
「アケミ、手を繋いで!」
「は?」
呆然とする私の手を強引に握った彼女は続ける。
「はい、深呼吸!」
私たちは大げさに深呼吸をした。すると不思議と気持ちが落ち着いてきた。
私たちは改めて夕立を見る。彼女は煙突を背負って手には砲塔らしき武器を持っている。だがその砲身はグニャグニャと曲がっていた。
彼女自身がススに汚れ、服はボロボロ。さすがに艦これゲームの大破ほどに素肌は顕わになっていない。
それでも彼女の素肌は黒いスス汚れや赤い血が滲んでいる。痛々しい。
私は思わず呟く。
「ねえ、怪我してない?」
「日本語、通じるのかな?」
「だって艦娘って日本の……」
そこまで言ったとき、夕立は痛みを堪えるような表情をしながら口を開いた。
「ここは何処っ? ……あなた、艦娘っぽい?」
彼女は私の姿を見て言った。そうか、防具をつけた私は、まるで空母の艦娘のように見えるのだろう。
私は頭を振った。
「ゴメン、私は艦娘じゃない。でも貴女は夕立?」
彼女は少し驚いたような表情を見せながら弱々しく頷く。
「まるで戦闘直後ね」
ミサトの言葉に私はハッとした。
「ねえ、部室に救急セットあるよね!」
「あ……あ、そうだね」
直ぐにミサトは先輩のロッカーの側にある扉を開いて、救急セットを持って来た。
私は防具を着けたまま夕立に近寄る。一瞬、警戒したような表情の夕立に私は言った。
「大丈夫、心配しないで……とりあえず血を止めなきゃ」
私はミサトの持ってきた箱を開いた。消毒液にガーゼ、絆創膏……本当に基本的なものしか入っていない。しかも開封済みの絆創膏の包みが乱雑に散らばっている。この時ほど普段の整理整頓が重要だと痛感したことはなかった。
「止血……」
私は自分のロッカーへ引き返すと、ハンカチとタオルを取り出した。それを見ていたミサトもまた自分のロッカーからタオルを持ってきた。
「タオル濡らして来るから、とりあえず傷口の手当を」
ミサトの言葉に頷いた私は、救急箱から消毒液とガーゼを取り出した。ミサトはタオルを抱えて部室を飛び出した。
一瞬、ミサトを見送って振り返った私は思わず小さく叫んだ。
「あ」
手当てをする前に夕立の艤装だっけ? 煙突とか砲塔を外さなきゃ。
さっきから硬直している夕立に私は話しかけた。
「傷の手当をするから、その装備を外せる?」
やはり一瞬身構えた夕立だったが防具をつけている私が艦娘に近いと感じているのだろう。直ぐに小さく頷くと自分の艤装を外し始めた。
「うっ……」
時おり顔をしかめる彼女。あまりにも痛々しい。
私は彼女に近づいて艤装を外すのを手伝う。ムッとする独特の匂い……何となく車のエンジンとかタイヤのような臭いも混じる。これが『硝煙臭』という戦場独特の砲弾とか火薬の匂いなのだろうか?
ずっと半信半疑だった私は夕立に接し改めて、この艦娘はきっと本物なのだと思った。
「お待たせ!」
ミサトが水道で湿らせたタオルを持って来た。
「ミサト、手伝って」
「あいよ」
私たちは一番大きな艤装……夕立が背負っていた煙突とアンテナを二人がかりで持ち上げる。ただアンテナは途中から折れて熱で溶けたようになっている。
「……」
私と一緒に作業をするミサトも無言だった。しかし彼女も私同様この夕立が本物であると確信しているようだった。
私たちは濡れタオルで夕立の顔や腕、脚などを丁寧に拭いた。みるみる私たちのタオルは赤黒くなっていく。
「もう一回、洗ってくるから」
「うん」
ミサトはキビキビ動く。二人分のタオルを抱えた彼女は再び部室から飛び出す。今が夕方の遅い時間で良かった。昼間だったら大騒ぎになっていただろう。
私は救急箱からガーゼと消毒液を取り出し、夕立の傷口に近づけた。思わず不安そうな表情になる彼女。その緑色の瞳がとても綺麗だ。
私は彼女を落ち着かせるように、ゆっくりと説明をした。
「大丈夫、これは消毒液だから……ちょっと沁みるかもしれないけど」
「ぽい?」
私はガーゼに消毒液を浸して、あまり深くない傷口にソットつける。夕立は痛そうな顔をしたがグッと堪えている。その様子は単なる萌えキャラではない何か凛としたものを感じさせた。
少しずつ傷口に消毒液をつけながら私は彼女の髪の毛をチラッと見た。
戦闘で薄汚れているとはいえ彼女の金髪も、きちんと梳かしてあげたらきっと綺麗だろうなと思った。
「髪の毛……綺麗ね」
思わず呟く私。
夕立は、ちょっと驚いた表情を見せた。でも直ぐに穏やかな表情に変わって応えてくれた。
「ありがとう」
いわゆるアニメ声ってやつか……私は艦これアニメは見ていないけど多分、夕立はこんな声なんだろう。
微笑む彼女を見て私も微笑んだ。何か、空気が和んだ。
「ミサト遅いな」
私が呟くと夕立は不思議そうな顔をした。
「ミサト?」
「……ああ、さっきのトモダチ」
私は、そう応えながら改めて彼女の顔を見た。
ゲーム画面で平面で見る艦娘は、あまり分からなかったけど。実物の艦娘は、とても綺麗なんだ。
……そうか、これが萌えキャラか?
オタクな兄が惹かれるのも、ちょっと分かる気がしてきた。
そんな私の気持ちを察したのか夕立は私の顔を見て言った。
「私もトモダチ……っぽい?」
「え?」
彼女の意外な言葉に私は驚いた。でも直ぐに頷いて答えた。
「うん、トモダチだよ」
その言葉に夕立も笑った。
「ねぇねぇ私もトモダチ」
いつの間にか戻ってきていたミサトも私たちの輪に加わった。
「遅かったジャン?」
「ゴメンネ、ちょっと自販機まで走ってさ、ジュース買って来たんだ」
「ああ、有り難う」
そっか。気が付かなかった……。
ミサトから缶ジュースを受け取った私は夕立に渡した。
「飲める?」
「うん」
夕立はチラッと缶ジュースを見ると直ぐにフタを開けた。
シュッという音がして甘い匂いが漂う。喉が渇いていたのだろう。彼女は「頂きます」と言いながらジュースを一口飲んでホッとした顔をする。
「へえ、夕立の世界でも缶ジュースはあるんだね」
感心したように言ったミサトは近くのイスに腰をかけると自分のジュースを開けた。
「うん、あるっぽい」
初めて安堵したような表情を見せる夕立。その自然な笑顔を見て私もホッとした。
私はミサトが持ってきたタオルを彼女に見せつつ聞いた。
「まだ使う?」
「うん」
夕立はジュースを床に置いて私からタオルを受け取るとサッと広げた。
どうするのかと見ていたら迷うことなく自分の顔をゴシゴシと拭き始めた。まさか……? その萌えキャラに似合わない大胆な行動に私は思わずミサトの顔を見てしまった。
だが彼女はニタニタして言った。
「うーん、……っぽいなあ」
「は?」
私が困惑していると夕立は「はぁー」と言いながら顔を上げた。
「サッパリしたっぽい!」
彼女はニコニコしながら言った。表情がかなり柔らかくなってきていた。
その姿を見て、ああ、そうか……と私は納得した。
この夕立は、たとえその風貌が萌えキャラだったとしても中身は本当に「艦娘」……いわゆる戦士なんだ。
そして、どういう理由か分からないけどゲームの世界からやってきに違いない。
「ゲームの世界」
私は思わず呟いた。そして冷や汗が出てきた。
「どうしたの?」
ミサトと夕立が私を心配そうに見る。
何となく直感で悟った。この夕立は私がプレイしていたゲームの世界からやって来たに違いない。だから……私は昨夜のゲームプレイを思い出していた。
彼女をこんな目に遭わせたのは他でもない私自身なのだ。
そう思うと急に悪寒のような、妙な震えが来た。思わず自分の腕を擦った。
すると夕立は立ち上がって私に近寄ってきた。そして私を軽く抱きしめて言った。
「大丈夫っぽい……私の提督は、とても優しい人だって、たった今、分かったっぽいから」
ああ、彼女にも何となく分かっていたんだ。私が提督だったこと……。
涙が溢れてきた。
「ご免なさい……」
私も彼女を抱き締めた。とても暖かい。そして夕立の少女っぽい独特の香りを感じた。
本物の艦娘か……でも、これからどうしようか? 私は不安になって来た。
取り敢えず彼女を守らなきゃ。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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新人戦が近づく部活動。その部室で、ある事件が起こる。
少女たちの出会いの季節……それが今。