No.889115

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

βテスト(ゲーマライダー遭遇編)

2017-01-16 00:46:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2409   閲覧ユーザー数:998

これは、一つの運命が変わった事によって果たされた、ある仮面ライダーとの出会いのお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『逃がすな、追え!!』

 

『『『応!!』』』

 

「チッ……何でこんな事になっちまったかねぇ!!」

 

「ご、ごめんなさぁ~い!? 私のドジの所為でこんな事にぃ~…!!」

 

「それはもう良い、今は喋んな!! 舌噛むぞ!!」

 

ミッドチルダ、首都クラナガン周辺の都市区画。

 

クラナガンに比べて整地があまり整っておらず荒廃しかけているとある街の中、okakaが変身したプロトディケイドは背中にツバメを乗せたまま、プロトディケイダーに乗って全力で駆け抜けていた。その後方からは、ステンドグラスのようなボディを持った蚊のような特徴を持つ怪人―――モスキートファンガイアが複数、羽ばたきながら二人を追跡し続けており、生成した複数の吸命牙を一斉に放ち始める。

 

『『『シャアッ!!』』』

 

「ひゃああああああああああっ!?」

 

「ッ…管理局の奴等、いつの間にファンガイアの力まで…!!」

 

≪人間とファンガイアを融合させる技術だな。恐らく、キバの世界から持ち出された物だろう≫

 

「面倒な技術を手に入れやがったな。たく、厄介にも程があるっての…っと!!」

 

モスキートファンガイア逹が一斉に吸命牙を飛ばして来る中、プロトディケイドは巧みな運転技術でそれ等を全て回避し、更にスピードを加速させる。幸い、彼等が追走劇を繰り広げているこの地域では民間人など全くと言って良いほど通りかからない為、目立たないようにする必要が無いのだ…その結果、スピードの出し過ぎでツバメが悲鳴を上げている訳だが。仮にもアサシンの弟子である人間がそんな事で良いのだろうか。

 

『ライフエナジーを寄越せぇ!!』

 

≪一城、ご指名だよ≫

 

「そんなに喰いたいか? ならコイツでも喰ってな!!」

 

≪シグナルPD!≫

 

『グォウッ!?』

 

プロトディケイドが放り捨てるように繰り出した掌サイズのミニバイク―――シグナルPDが空中を駆け抜け、迫り来ようとしていたモスキートファンガイアの顔面に命中。それなりに大きな破裂音と共に1体のモスキートファンガイアが撃墜される一方で、他のモスキートファンガイア逹は怯む事なく飛んで来るシグナルPD逹をかわし、細長い口元から次々と針を連射し、プロトディケイド逹の進もうとしていた先を攻撃する事でプロトディケイダーを停車させる。

 

「チッ…!!」

 

『貴様等が盗んだレリック、こちらに渡して貰おう…!!』

 

「おいおい、先に見つけたのはこっちだぜ?」

 

『黙れ!! 渡さないのであれば、死あるのみ!!』

 

「マ、マスター、どうしましょう…!?」

 

「あんまり長引くとパトロール隊が来ちまうし……さっさと終わらせるのみ!!」

 

≪アタックライド・ブラスト!≫

 

モスキートファンガイア逹が一斉に針を飛ばすと同時に、プロトディケイドもライドブッカー・ガンモードから銃弾を乱射。お互いの攻撃が相殺される事で爆発し、その爆発が開戦の合図となる……筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、俺の縄張りで面倒な事しやがって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ステルスミッション!≫

 

「!?」

 

『『『『!?』』』』

 

開戦しようとしていたプロトディケイド逹の周囲を謎のエフェクトが覆い、地面や空中には紺色のコンテナのような物体が次々と配置されていく。

 

『ん、ぬぉお!?』

 

『何だぁ!?』

 

「うぇぇぇぇぇぇっ!? な、何なんですかぁ~!?」

 

≪この感じは……むぅ!?≫

 

「! おっと…」

 

その時、PDが何かを感知すると共にライドブッカー・ガンモードが突然ブックモードに戻り、そこから1枚のライダーカードが排出される。プロトディケイドは咄嗟にそのカードをチャッチし、カードの絵柄と名前を確認しようとしたが……そのカードには絵柄が存在していなかった。

 

(何も描かれてない? どういう事だ…)

 

≪ガシャット!≫

 

「!?」

 

『『『『ぬぉぉぉぉぉぉっ!?』』』』

 

聞こえて来る謎の電子音にプロトディケイドが顔を上げた瞬間、真上から何かが落下し、モスキートファンガイア逹がいるど真ん中に着地。その衝撃でモスキートファンガイア逹が吹き飛ぶ中、土煙が晴れていくその場所に立っていたのは…

 

「あれは…」

 

 

 

 

 

 

≪レッツゲーム!≫

 

黒いボディの上に白い装甲を纏った手足…

 

 

 

 

 

 

≪メッチャゲーム!≫

 

ゲーム機のコントローラーボタン、体力ゲージの描かれた装甲を纏った胸部…

 

 

 

 

 

 

≪ムッチャゲーム!≫

 

ゴーグルパーツの付いたヘルメット状の頭部に、目元の赤い瞳…

 

 

 

 

 

 

≪ワッチャネーム?≫

 

そして腰に装着されている、蛍光グリーンの色をした未知のドライバー…

 

 

 

 

 

 

「…まさか…!?」

 

そう、その者の正体は…

 

 

 

 

 

 

≪アイム・ア・カメンライダー!≫

 

 

 

 

 

 

okakaがまだ見ぬ、新たな仮面ライダー…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…という二等身の体型をした(・・・・・・・・・)ゆるキャラのような姿(・・・・・・・・・・)の戦士だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪「「………………………………は?」」≫

 

『『『『………………………………は?』』』』

 

「………………………………ふむ」

 

プロトディケイド。

 

PD。

 

ツバメ。

 

モスキートファンガイア逹。

 

その全員が思わず呆気に取られ、思考が一瞬だけ停止した。この微妙過ぎる空気の中でまともな思考を保てているのは他でもない、その突然出現した二等身体型の戦士だけであり、無言のままokaka一行とモスキートファンガイア逹をそれぞれ見据えている。

 

「…ん? は? え?」

 

「…PD」

 

≪すまない、私に聞かないでくれ。私も見た事の無い戦士だ…≫

 

『な、何だ貴様は!? 名乗れ!!』

 

「……」

 

『んな……おのれぇ、無視をするなぁっ!!』

 

痺れを切らした1体のモスキートファンガイアが怒鳴りかけるも、その戦士は一度だけそちらを向き、すぐにプイと視線を逸らす。無視されたモスキートファンガイアは怒り狂った様子で飛びかかり…

 

≪ガシャコンカービン!≫

 

-ズダダダダダァンッ!!-

 

『グオォォォォッ!!?』

 

『『『ッ!?』』』

 

「! へぇ…」

 

その戦士は視線を向ける事なく、左手に持っていた小型ライフル状の武器―――ガシャコンカービンを乱射。弾丸は全てモスキートファンガイアに命中し、勢い良く吹き飛ばして荒廃ビルの壁に激突させる。その戦士が構えた武器を見て、プロトディケイドの変身を解除したokakaは唖然とした表情から、興味深そうな表情に切り替わる。

 

『き、貴様、何者だ!?』

 

「…仮面ライダー、スニーク」

 

『!? か、仮面ライダーだと……ガァアッ!?』

 

謎の二等身の戦士―――仮面ライダースニークは即座にガシャコンカービンのグリップを右手に持ち替え、左手で支えながら他のモスキートファンガイア逹にも弾丸を放ち始めた。どの弾丸も全てモスキートファンガイアにだけ正確に命中させており、周囲の建物や街路樹には全くと言って良いほど誤射をしていない。

 

「マ、マスター!! 何でしょうかあの仮面ライダーは!? 何か見た感じ、ゆるキャラっぽい御方ですけど…」

 

「PDにも分からないんじゃ俺にも分からん……が、実力はありそうだな」

 

≪うむ。弾丸は全て敵にだけ命中させ、周囲の公共物には一切の被害を与えない。かなりの腕前だ≫

 

okakaとPDが冷静に分析していたその時、1体のモスキートファンガイアをガシャコンカービンで殴り飛ばしたスニークは何故か銃撃をやめ、ガシャコンカービンの銃口を降ろす。

 

「ん、どうしたんだ…?」

 

okakaの疑問はすぐに解決する。スニークは左手を腰のドライバーに持って行き、ドライバーに取りつけられているピンク色のレバーを左から右に操作する。

 

「第二段階、突入」

 

≪ガッチャーン! レベルアップ!≫

 

『!? 何だ…!?』

 

モスキートファンガイア逹が身構える中、スニークはその場から大きく跳躍。するとスニークの周囲だけが、本物のゲーム世界のような空間に包まれる。軍事要塞ビルを彷彿とさせるその空間内で、スニークのボディパーツが一瞬でパージされ、残った仮面からは新たなボディが出現。先程まで顔だった仮面は背中のパーツとなり、振り返るスニークは新たな姿を一同に見せつけた。

 

≪潜めミッション! 隠れろミッション! ステルスミッショーン!≫

 

新たに見せた迷彩柄のボディスーツ。それ以外の特徴は、先程までの姿とほとんど同じだった。先程までと違っているのは、ゆるキャラのような二等身から、ようやく人型の姿に変化した事。

 

「…これより、任務(オペ)を遂行する」

 

『フン、所詮は虚仮威(こけおど)しだぁ!!』

 

新たな姿―――ミッションゲーマーレベル2となったスニークは、先程降ろしたガシャコンカービンの銃口を再び上げる。そこにモスキートファンガイアが針を飛ばすが、スニークは焦る事なく、ガシャコンカービンの銃身に取りつけられている“A”と描かれたボタンを左手で押す。

 

≪ズ・ダーン!≫

 

『!? ウゴワァアッ!!?』

 

そして引き鉄を引いた瞬間、今度は連射ではなく、火力の上がった弾丸が繰り出された。威力の増加した弾丸は飛んで来た針を一瞬で掻き消し、そのまま弾丸が直撃したモスキートファンガイアを粉々に粉砕した。これには他のモスキートファンガイア逹も動揺を隠せない。

 

「ほぉ、モードを切り替えられるのか」

 

≪面白い仮面ライダーだねぇ≫

 

「あ、あのぉ、私達は見てるだけで良いんでしょうか…?」

 

ツバメの小さな疑問はさておき、スニークは火力の上がったガシャコンカービンで他のモスキートファンガイア逹を狙い撃ち、圧倒していく。そんな一方的な状況を打破しようと、また別のモスキートファンガイアが背後から襲い掛かろうとする。

 

『おのれ……調子に乗るなぁ!!』

 

「あ、危ない!!」

 

しかしスニークは焦らない。彼はガシャコンカービンで近くのコンテナを狙撃し、壊れたコンテナの中から出現したメダル状のアイテムがスニークに接触する。

 

≪透明化!≫

 

『!? な、何ぃ!?』

 

結果、スニークが瞬時にその姿を透明化させるのと、モスキートファンガイアの爪が振り下ろされるのはほぼ同時だった。これにはモスキートファンガイアとツバメは驚きの声を上げる。

 

「ふぇえっ!? き、消えたぁ!?」

 

「落ち着け、姿を透明化させてるだけだ。どれどれ……ッ!?」

 

okakaは周囲を見渡し、気配を察知する能力と“鷹の目”を通じて、スニークの居場所を特定しようと試みる……が、そんな彼の目は驚愕の意を示した。

 

(馬鹿な、特定出来ない…!? 気配はちゃんと感じるのに、何故…!?)

 

≪一城、私のサーチでも居場所が分からない!! どうやら彼のステルス能力は、私達の能力を使っても特定出来ないようだ…!!≫

 

「!? おいおい嘘だろ、何でそんな……ん、待てよ?」

 

モスキートファンガイア逹と戦おうとした時に聞こえてきた、あの電子音。

 

―――ステルスミッション!―――

 

(それに…)

 

スニークがドライバーのスロット部分に差し込んでいる、謎のカセット。それはよく見ると、okakaにとって見覚えのある物だった。

 

(アレは確か、ミッド中で人気になっている最新型ゲーム機……名前はガシャットだったか…?)

 

ステルス(・・・・)ミッション。

 

最新型ゲーム(・・・)機のガシャット。

 

okakaは一つの答えに辿り着いた。

 

「…なるほど、ステルスゲームか」

 

「ふぇ?」

 

≪一城、何か分かったのかね?≫

 

「…あのライダー、恐らくステルスゲームが持つ機能を存分に駆使している。ステルスゲームといや、敵をひたすら倒していくのではなく、敵になるべく見つからないように目的を達成するゲーム内容だった筈」

 

「え、えっと……それがどう関係してくるんですか?」

 

「恐らくアイツは……そのステルスゲームの機能によって、今この場にいる全員を、ゲーム中の敵キャラと同様の状態(・・・・・・・・・・・・・・・)にさせたんだ」

 

「? えっと、つまり…?」

 

≪…なるほど。つまり一城はこう言いたいのだね? ステルスゲームに登場する敵キャラは、そのゲームの主人公が視界に映らない時は同じ場所を徘徊するだけだが、視界に入った場合は主人公を攻撃しながら追いかけて来るだろう? それはつまり……視界に入らない場合、主人公の居場所を特定する事は出来ない≫

 

「!? じ、じゃあ、姿が消えている間は、サーチしても居場所を特定出来ないって事ですか!?」

 

≪あぁ。視界に入りさえすれば特定出来るが、透明化している状態じゃ視界に入らないからね。ステルスゲームの敵キャラに、姿が見えない主人公を正確に攻撃して来る敵なんてそうそういないだろう?≫

 

「なるほどねぇ……恐ろしいもんだな、ゲームが持つ力ってのは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グギャアァッ!?』

 

okaka逹が冷静に分析している間に、こちらは決着が付こうとしていた。1体のモスキートファンガイアを投げ飛ばして他のモスキートファンガイア逹にぶつけたスニークは透明化を解除し、ドライバーに装填していた一本のガシャットを左手で抜き取り、それを左腰のスロットホルダーに挿し込み、上部のボタンを押す。

 

≪キメワザ!≫

 

『な、何をする気だ…!!』

 

モスキートファンガイア逹は既に満身創痍でフラフラな状態だった。そんな彼等に対し、スニークは右足を後ろに下げたまま姿勢を低く構え、ガシャットが挿し込まれているスロットホルダーの上部ボタンを、左手の親指でもう一度押し込んだ。

 

≪STEALTH CRITICAL STRIKE!≫

 

「…フッ!!」

 

『!? ど、何処に―――』

 

スニークはその場から大きく跳躍し、その姿を再び透明化させる。モスキートファンガイア逹はスニークの居場所を早く特定しようと周囲を必死に見渡すが……それは無駄な行為だった。

 

 

 

 

 

 

スニークのライダーキックは既に、モスキートファンガイア逹のすぐ目の前まで迫っていたのだから。

 

 

 

 

 

 

≪会心の一発!≫

 

『『『!? ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!?』』』

 

「きゃあっ!?」

 

「うぉっと…!」

 

≪GAME CLEAR!≫

 

結局、モスキートファンガイア逹はスニークの居場所を特定出来ないまま、スニークのライダーキックによって粉砕されて消滅した。その際に起きた爆発の衝撃でokaka逹が少しだけ怯む一方、着地したスニークは透明化を解除し、その場からゆっくりと立ち上がりつつokaka逹の方を見据える。

 

「……」

 

「…お前さん、仮面ライダースニークと言ったか。ちょっとばかし話を聞いても……って、おーい無視かーい」

 

しかしスニークは一切反応せず、okaka逹に背を向けるようにその場を後にしようとする。彼が持つライダーシステムに興味が出て来た為か、okaka逹は彼に気付かれないよう尾行してみようと考えたのだが…

 

-ザザ……ザザァーッ…-

 

「「!?」」

 

突如、スニークの全身にノイズが走ったかと思えば、スニークの姿が一瞬にして消えてしまった。驚いたokaka逹はスニークがいた場所まで走り寄るが、既にスニークの気配はその場には無かった。

 

≪き、消えた!? 今のは一体…≫

 

「分からない……ただ、一つだけ分かった事がある」

 

「? 何ですか、マスター?」

 

「…アイツが持っている力、俺達も早いところ手に入れた方が良さそうだ」

 

okakaは一枚のライダーカードを取り出す。それは先程ライドブッカーから出現した、何も描かれていない無地のライダーカード。しかしスニークと出会った途端にいきなりそのカードが出現したという事は、後にそのライダーに関係する事件が発生する可能性があるという事だ。

 

「…取り敢えず、帰って団長に報告だな。話はそれからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

okaka一行がある日突然出会った謎の戦士、仮面ライダースニーク。

 

 

 

 

 

 

 

その仮面ライダースニークとの出会いには、実は大きな意味があったという事を彼等が思い知るのは、まだ少し先のお話…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

βテスト(エグゼイド邂逅編)に続く…

 


 
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