両者の戦いは壮絶を極めていた
一人は目の前のもの全てを斬撃で吹き飛ばし
もう片方は、目の前のものを薙ぎ払う
もうすでに、数え切れないほど打ち合っている
その時、一旦両者は距離をとった
そしてまた動き出すとき、動く者は三人になっていた
二人は打ち合い、もう一人は二人の後ろに気づかれないように回り込む
「(なんとか春蘭に気づいていないようね。このまま押さえておくのも結構きついんだよね。
相手を傷つけないようにこの状態ですることは)」
春蘭「(華琳様、私が助け出してみせます!)」
目の前でものすごい打ち合いをしているにもかかわらず、少しずつ距離を縮めていく
本当はもう立っているのもつらいはずなのに、助けたい一心で進んでいく
だが、そんなことはお構いなしに暴れるやつもいる
華琳「久しぶりに身体を乗っ取っちゃたな。まあ、いいか。これはこれで楽しいしなっ!」
突然しゃべりだしたことに皆驚く、そして先程よりも強くなる
「(やばい、もう脳を支配された?でもそうだとしたらおかしい、身体の変化が起こってない)」
相手からくる攻撃は、空間を絶つように振りかかってくる
「(このままじゃやられる
だけど、こちらも負けられない)」
そんなときだった――――
春蘭「アリサっ!今だ!!」
後ろから回り込んだ春蘭が華琳を後ろから抑え込んだ
「Nice!春蘭!」
華琳「くっ、なんだ!は・な・せ!」
春蘭「その身体で…華琳様の姿で喋るなーっ!!」
ゴンッ―――
華琳「なっ…く・・そ・・・」
春蘭が後ろから頭突きをした
「(今しかない!)『魂の防壁(ソウルプロテクト)』!!!」
華琳の頭に手を当て、そう言うと一瞬あたりを光が包み込んだ
その光が収まると華琳の持っていた『絶』はもとの形に戻っていた
「ふう、なんとか間に合ったみたいね」
春蘭「アリサ、華琳様は無事なのか?!」
「ええ、今は疲れて眠っているだけ「起きているわ」…え?華琳!?」
華琳「何よ、なんか文句でもあるのかしら?」
春蘭「か、華琳様~」
華琳「ちょっ、春蘭!?・・・・ありがとう、あなたの声はちゃんと聞こえたわ」
春蘭「うっ、ぐす…」
「華琳アナタ、意識をずっと保ってたの?」
華琳「微妙だけど、そうよ。それと、ありがとう」
「いいのよ、ほぁ~。でも今日はもう疲れたから休ませてもらうわ」
華琳「私も疲れたわ。でもまだ仕事がn「いいですよ、休まれて」秋蘭!?いいの?」
秋蘭「はい、もうすでに今日の分はほとんど終わらされていますから、あとは私がやっておきます ので、どうぞごゆっくり」
華琳「ありがとう。ふふっ、ほんと今日は感謝してばっかりね」
「いつもそうしてくれるといいんだけど…」ボソッ
華琳「あら、まだ仕事をし足りないのね」
「え、あ、See you~」
華琳「はぁ、まったくあの子は」
華琳「(明日にでもさっきのことを聞いてみようかしら?あの力はなんだったのかしらね)」
――――数日後
「そう!そこで一回転!そのあとに振ったらすぐ引く!」
華琳「くっ、こうかしらっ!」
「そうよ、その調子!」
秋蘭「華琳様もなんか楽しそうだな」
春蘭「う~いいな~私もしてほしいな~」
季衣「春蘭様は昨日たくさんしてもらってたじゃないですかー」
秋蘭「姉者、今日は華琳様の日だ。諦めろ」
春蘭「う~~~」
秋蘭「(こうやって、困ってる姉者もかわいいな)」
――――一刻後
華琳「アリサ、その龍の力はどうすれば使いこなせるようになるの?」
「ん~と、簡単に言えば武器に宿った龍に認めてもらって、信頼しあえるようになれば、教えてく れるわ」
華琳「認めてもらう?」
「そう、試しに会ってみる?」
華琳「できるわけ?そんなこと」
「できるわ。まず、目をつぶって自分の中に意識を向けて」
華琳「・・・・できたわ」
「そうしたら、この間教えたように徐々にソウルプロテクトをはずしていって、はずしながら今度 は意識を『絶』に向けていって、何かをくぐった感じがしたら目を開けて」
ふと、アリサに言われた通りにしていると何かをくぐった気がした
なので目を開けてみるとそこには
黒を基調としていて、紫のラインが入った龍が目の前にいた
久しいな。曹操。ここへは何をしに来た?
華琳「当然、あなたに認めてもらいに来たに決まっているじゃない!」
そうか、ならば問おう!曹孟徳よ!貴公は何のために天下を目指す?
華琳「私は…天下を統一して、民の安全で幸せな生活を作り上げることよ!」
その覇業の途中には悲しみお前を恨む人も出てくるだろうそれはどうする
華琳「その悲しみも恨みも全部背負うわ!例え何と言われようとも、どんな困難に見舞われても、
その背負った者のためにも私はこの覇業を成し遂げる!」
ククククク……フハハハハ!面白い、面白いぞ曹孟徳!
よかろう、お前にこの龍剛神ゼツの力を貸してやる!
華琳「お前と言われるのは腹が立つから、華琳でいいわ」
了解した!では、これからは華琳を強くしてやる!
華琳「そう、頼むわよ絶」
華琳「はっ!ここは?」ズキッ
身体を起こすと腕に痛みを感じた
華琳「これは…龍のあざ?」
ガチャッ
「あ、華琳目が覚めたんだ。あっ!その痣があるってことは、良かったわね」
華琳「アリサ、ここはあなたの部屋なの?」
「そうだけど…何かあった?」
華琳「違うわ、逆に何もなさすぎるのよ。どうして?」
「ちょっと話したいことがあって…明日話すわ」
華琳「そう」
――――南陽――――
一人の少年が城壁の上に立っていた
街を見ながらも、心ここにあらずと言った感じであった
「(ここに来て何週間か経ったな。今は何も起こっていないけど、これから始まる乱世の中で何か
起こるかもしれない、いや、奴ら『ブレイカー』は必ず何かを起こす。けどそれが何か、防げるの
かすら分からない。それにこの世界だって俺の知っている流れと違ってる。どんな世界なんだ?
他にも、協力してくれる人はいるんじゃないか?)」
そんな姿を見ている一人の女性がいた
雪蓮「か~ずと!なーに考えてるのよ」
「しぇ、雪蓮!?なんでここに?」
雪蓮「いたら悪いの?それで、何考えてたの?」
「いや、ちょっとね。明日みんなを王座の間に集めてくれないか?」
雪蓮「いいわよ。何の話?」
「内緒、明日教えてあげるから」
雪蓮「ぶーぶー一刀のけちー」
「子供かよ」
雪蓮「そんなこと言うんだ。もう今日は寝かせないからねー」
「さすがにそれはかんべんしてくれ」
――――琢県――――
県令となってから政務を通して、様々なものが見えてきた
今でも、天の知識を使っていろいろと改善している
警備隊の再編や、街を区ごとに分けた。なにより税収に関してはとても良くなったと思う
しかし、改善できたといってもまだ小さな街
この大陸にはもっと多くの人が困ってると思うといてもたってもいられなくなった
他にも、この世界に一緒に来たはずの二人が無事かどうかも心配だし…と悩むネタは尽きなかった
そんな、黄巾党のようなもの達がちらつき始めた頃、ある決心をした
「おーい、桃香~!」
本来なら執務室で政務をしているはずなのに、なぜか町にいる人を呼ぶ
桃香「――っ!!な、なんだ~ご主人様か~驚かせないでよ~」
その場で跳ねたかと思うと、こちらの正体に気づくと寄ってきた
「別に驚かないだろ?普通に休みだから来てるのなら」
桃香「え~とね、あの~その~」
「要はさぼって来てるんだろ~」
桃香「ギクッ、ソレハソウトモイエマスガ…」
「帰ろうぜ、ちょっと用があるから、逃げだした桃香を探してたんだ」
桃香「え?私を?ごめんなさい」
「いいよ、これ以上遅くなると愛紗が怒るし。まあ、すでに怒ってたけど」
帰ると案の定待っていた愛紗に桃香は説教された
軽く2,3時間
桃香「はぁー、やっと解放された…」
「お疲れー」
桃香「ご主人様、用って何ですか?」
「いや、こんなにも遅くなるなんて思ってなかったから、明日ね。明日」
桃香「はーい」
次の日――――
――――琢県・陳留・南陽――――
それぞれの王と、将が王座に立ち並んでいる
三王「「「話したいことってなんですか(何)(何よ)?」」」
「「「それは……」」」
「「「それは?」」」
「「「俺、(アタシ)諸国謁見の旅に出たいと思う!!!」」」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「「「「ええええええ~~~~~~~!!!」」」」
「「「「はぁぁぁぁぁーーーーーーー???」」」」
――――琢県――――
桃香「どうしてですか?ご主人様?もう私たちはいらないってことですか?」
愛紗「そのようなふざけた話は神様が許しても、この関雲長が許しません!」
鈴々「そんなの絶対に駄目なのだ!」
涙目&上目使いの女の子と虎と獅子が叫ぶ
「え?ダメ?」
愛紗「何を根拠にそう思われたのですか!」
「だって、俺この世界のこと全然知らないし、桃香には愛紗と鈴々がいるからいいかなーと」
愛紗「そんなことっ」
「それに、俺達の夢は啄県の人々を救うことだけか? この大陸のみんなが笑顔で暮らせるように
なることだろ?」
愛紗「そうです…」
鈴々「そうなのだ」
桃香「・・・・」
「考えたんだ。この大陸の現状を良くしたいと思っている人が、他にもたくさんいると思うんだ。
その人達と交流を深めて仲良くなれば、俺達の夢がより現実的になると思う。
例えば、それが個人ならば意気投合して仲間になって貰ったり、力の持っている諸侯なら、友好 関係を築いたり、出来るならば同盟を結ぶという手もある。
それに、この間話した親友も探したいんだ!」
頌明の言葉に驚きを隠せない愛紗と鈴々、ずっと考え込んでる桃香
「ダメ……かな?」
愛紗「い、いえ、素晴らしいお考えだと思います。ご主人様に自覚があろうがなかろうが、やはり あなたは天より遣わされた方だと、より確信しました!」
鈴々「お兄ちゃん、そんなに考えてたなんてすごいのだ!」
桃香「・・・・・」
桃香は今までずっと何やら考え込んでいる
「桃香は……どうかな?」
桃香「…ご主人様は、ご主人様は…絶対に帰って来てくれるんだよね?私、嫌だよ。ご主人様のい ない世界なんて…だから・・・・」
途中から、止めようとしても涙が溢れてきた
そんな思いをさせてたことがつらくて辛くて、頌明は桃香を抱きしめた
「ごめんな、俺、こんなにもわがままで。大丈夫、大丈夫だよ。絶対帰ってくる。何があってもま た桃香や愛紗や鈴々の前に帰ってくる。約束するよ」
桃香「はいっ!私たちご主人様をずっと待ってます。もっと人が笑って暮らせるように頑張りま す!」
「ありがとう、みんな。そうだ!約束のしるしにコレをあげるよ」
そう言って取り出したのは三つの指輪だった
桃香にはダイヤモンドが、愛紗にはトパーズが、鈴々にはルビーがはめ込まれたものを渡した
「「「ありがとう(ございます)(なのだ)」」」
「それを俺だと思って、がんばってくれ!」
桃香「はい!」
愛紗「はい、留守の間、民を想い善政を尽くすことをこの関雲長はあなたに誓います」
鈴々「鈴々ももっとがんばるのだ!」
「ありがとうみんな!じゃあ、行ってくる」
白と黄緑の外套を纏って行ってしまった
――――陳留――――
華琳「はぁ、やっぱりね」
「あれ?結構すごいこと言ったのに驚いてない?」
華琳「だって、おかしいと思ったわ。急に稽古をつけてくれたり、部屋をあんなにきれいにしてる んだもの」
「それで?」
華琳「いいわよ。旅に出ても」
春蘭「華琳様!」
秋蘭「姉者、ここは華琳様に任せるんだ」
春蘭「む~~~」
「いいの?そんな簡単で」
華琳「その代り条件が三つあるわ!」
「条件は?」
華琳「一つ目は、他の諸侯をちゃんと見てきなさい!
二つ目は、あなたが優秀だと思った人材はここに来るようにするか、連れてきなさい!
三つ目は……」
「三つ目は?」
華琳「必ず私の所に帰ってきなさい!あなたの場所はとっておくわ!」
「華琳・・・・うん、わかった。絶対帰ってくるわ!See you again!」
華琳「Good luck!アリサ!」
春蘭「帰ってきたらまた勝負するぞ!」
秋蘭「またな」
季衣「じゃあね~お姉ちゃん!」
笑顔で振り向き水色と白の外套を纏って行った
――――南陽――――
雪蓮「ダメよ」
「えぇ?即答?」
雪蓮「そんなこと許すと思った?ねぇ、冥琳」
冥琳「そうね、北郷のおかげですべてがうまくいっているわ。そんな大切な人をみすみす手放す訳 はなかろう」
「そんなー、前にも話したじゃないか。親友を探したいって」
雪蓮「なら一つ条件を付けるわ。冥琳たちもそれでいいかしら?」
いつもと違った真剣な雪蓮の表情に誰もがまっとうな事を言うと思って頷いてしまった
雪蓮「条件は・・・」
「条件は…ゴクッ」
雪蓮「私も付いていくわ。そうすれば手放すことにもならないし」
「「「「へ!?」」」」
冥琳「そんなこと許せないな」
雪蓮「でもさっきいいって言ったじゃない」
冥琳「それは…だな・・・」
雪蓮「それに大丈夫よ!ずっと旅してる訳ないし、私も極力孫策だって言わないし、間諜の仕事を するだけだと思ってね♪」
冥琳「しかし雪蓮・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
雪蓮「やった!さすが冥琳!」
結局みごと雪蓮の勝利で、雪蓮と一緒に行くことになった
冥琳「あの約束は守るんだぞ」
雪蓮「わかってる、わかってる♪」
「(いや、絶対わかってないな)」
雪蓮「一刀?なにか言った?」
「イエ、ナンデモナイデス」
雪蓮「じゃあね~♪蓮華!しっかりと王の役割するんだよ。いづれ王を継ぐんだから」
「(みんなが呆れた溜息はいた気がしたな、さっき)」
そうして、雪蓮は白と赤、一刀は白と黒の外套を纏って去って行った
さて、魏√の続きから新しい話に入りました
まだ黄巾党すらしっかりと出てきてないのに十章です
なかなかうまく書けないと思いながら、書いています
おかしいところがあったらぜひ教えてください
次回~舞龍伝~第拾壱章
仲間がどんどん増える~?
ある人をボコしちゃう?
移動手段GET?
敵も動きだしちゃう?
ではでは~お楽しみに~
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今回は前回の続き&新しい話に入っていきます。
暴走した華琳は?
御使いはなにを決意するのか?
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