カズマ「明日はダンジョンに行くぞ」
めぐみん「行きません」
カズマ「行きます」
逃げ出しためぐみんを兄弟が襟首を捕えて猫の様に持ち上げた。持ち上げられてなお丸腰のめぐみんの抵抗が凄い
まぁ、ダンジョンではめぐみんの爆裂魔法は使えないからな
今回自分達、正確には自分と兄弟はキールのダンジョンと呼ばれる初心者向けのダンジョンだ、初心者向けと言われるだけあって探索され尽くされているダンジョンである
この前、自分と兄弟がキースから弓・狙撃・千里眼のスキルを覚えたのだが、この千里眼は遠くが良く見える他に暗闇の中でもある程度見える
更に自分がウィズに協力してもらって覚えた暗視と熱源感知、魔力感知をお互いに覚えた。コレである意味死角を無くし、本来松明などで灯りを持ち。マッピングしながら進まなければならないダンジョン探索をやってみようと言う事と成った
最初は兄弟一人でやる予定だったが、自分がスキルを共有しているので足手まといにならないのでオトモする事と成った
更に今回は盗賊のクリスも一緒に同行する事に。何でも装備の御礼と、盗賊として自分と兄弟のスキルに興味を持ったようだ。予定では少数で探索する予定だったが三人でやる予定だ
その事を今回久々に一緒に冒険をするクリスたちに説明した
クリス「それにしてもよくそんな事を思いつくね君達」
カズト「むしろ今回は兄弟が考えた策だが。まぁ真っ当な探索とは言えないがな」
クリス「全くだよ、むしろ冒険者でないと思いつかない手だよ。暗い中でもある程度視界が確保出来てバレそうなら消臭ポーション込みで潜伏すれば大体のモンスターにはみつからないもん」
カズト「まぁそうだろうな。ともあれ今回は無事に済めそうだ」
この会話でフラグがガッツリと建ってしまったのを知るのはキールのダンジョンに入ってすぐだった
アクア「も~なんでこんなに居るのよぉー!ターンアンデット!ターンアンデット!ターンアンデット!花鳥風月ぅ~♪」
カズト「何故に宴会芸でアンデットが浄化される?」
クリス「えっと多分だけど、アクアさんが使うと聖属性が付いて聖水と同じような効果になるんじゃぁ」
カズマ「って言うか本当になんでこんなに湧いて来るんだよ!?」
そう、アクアが探索班に入ってしまい。ダンジョン入口のセーフハウスにダクネスとめぐみんが待機する形に成ったのだが・・・・・・入って十分も経たない内に之である
確かアクシズ教徒に入信すると多芸に成ったり、アンデットに群がられるとかルナに聞いたな。彼等は主に水と温泉の都アルカンレティアに総本山を持ちそっちで活動しているらしくアクセルでは見かけないな
・・・話がそれたが、入信すると多芸とアンデット系に群がられる体質が得られる。なら御神体張本人である水の女神アクアがこの場に居たら?
答え。アクアの魔力に反応して(魔力を感じて)眠っていたアンデットたちが群れる
切っ掛けは最初に入った所に会ったアンデットに成りかけていた冒険者の遺体だ。それを浄化した途端に彼方此方からアンデットたちが群がって来てアクアが片っ端から浄化していうる
今更だが、アクアが来たのは神の力の殆どが封じられているか一時的に無くなっているが。この光源の無いダンジョンでも昼間の様に見えるのだとか
更にはこういう場所には案の定アンデットが居るので自分が必要だろうと言う事で自分達はアクアと同行してダンジョン探索をしているのだ
・・・・・某ログホラにも登場した、夜目が効く目薬作っとくか
女神云々の話のところで何故かクリスが百面相していたが一応スルーして置く
道中二人に自作の玉系アイテムを渡してアクアと一緒にアンデットたちや。ついでに集まって来たモンスター達を殲滅しつつ進んで行くと行き止まりにたどり着いた
多分ここまで来るなかでこのダンジョンに居たであろうアンデット系モンスターは一掃で来たろう
一端休憩してから地上に戻ろうと仮拠点を作ろうとしたとき。敵感知のスキルを持つ自分と兄弟。クリスが即座に臨戦態勢を取り。アクアも何かの気配を感じて皆壁でしかない筈の場所に視線を向けると
カコンと軽い音がして壁が動いた、隠し扉か。気付けなかった、そんな思考は次に聞こえ見えた物・・・・いや者を理解して一瞬で四散した
??「そこに、プリーストが居るのか?」
キールのダンジョン、その名前の元はかつてこの国に存在した最高の魔法使いの名前から名付けられている
その昔キールと言う稀代の天才と呼ばれたアークウィザードが居た。彼は魔法の研究にしか興味を持たず人生を費やしてきたキールはある日。偶々散策していた街であった貴族の令嬢に恋をする
魔法の研究にしか興味が無かった色恋など生まれて初めて恋、一目惚れだった・・・が彼はしかし。令嬢と結ばれることは無かった、この世界の命は歩く身分制度が今より更に絶対的な時代であった。彼は天才であっても平民であった、身分の差が彼の思いを断ち切る道しか残さなかった
その後彼はそれ以上に、イヤ。それをあるかに上回る程に鬼気迫る様に、取りつかれたそれ以外考えられない・・・・・考えたくないかのように研究に没頭した
月日は流れ、彼はいつの間にかこの国最高のアークウィザードと呼ばれるようになった。持てる魔術を惜しみなく使い国に貢献した彼は多くの人に称えられ城に招かれた。王本人が彼に会い、褒め称え感謝し。彼に褒美を出したいと話しを持ちかけた
その功績に報いたい、どんな望みでも一つ叶えようと
王の問いに彼はこう返したそうだ
この世にたった一つ、どうしても敵わなかった望みがあると
彼は何を思ったのか。かつて恋した貴族の令嬢をさらい、此処にダンジョンを作り立て籠ったと
その後の事は語り継がれておらず。彼は悪い魔法使いとして物語に記されている
之が表、世間で語り継がれているキールのダンジョンの誕生秘話
だがこの物語には明かされていない事実と、その続きがある
なんでもその貴族の令嬢は王の妾として嫁ぐも王に好意を持たれず、更には時代劇などで典型的な他の妾や正妻達との折り合いがとても悪かった
それを彼は知り最早足踏みする理由も自重する理由も無くなった
貴族令嬢をさらいこのダンジョンに籠るも。彼一人で国の軍勢が相手では苦しい
道中ここまで来れたのは彼の魔法と彼女の心からの笑顔の御蔭だった・・・・だが人の身でこれ以上彼女を護るのはとても困難だった。故に
彼はリッチーへと己の存在を作り変えた。彼女を護る為に
何とか軍隊を迎撃した後、彼は彼女を見送り。当時、イヤ現代で置いても最高峰と断言できる存在がリッチーへと成った身。そう簡単には朽ちず浄化もされない
故にその身が亡ぶまで眠りについていたのだが
カズト「アンデット故に、アクアの魔力に反応して目覚めたのか」
カズマ「つまりアンタは一目惚れしたその人が虐げられてるのを知って。要らないなら俺にくれと言って彼女と愛の逃避行ブチかましたって事か」
兄弟の考えに最早骨だけの身でカカッ♪と笑い骨を鳴らした
キール「そう言う事だな、っでそのさらったお嬢様にプロポーズしたら二つ返事でオッケー貰ってなぁ。お嬢様との愛の逃避行をしながら王国グンとトンパーティーやったわけだ、いやぁアレは楽しかったな、おっと。ちなみにそのさらったお嬢様が其処に何時御方だよ、どうだ?鎖骨のラインが美しいだろう」
キールが指差す先にはベットに白骨化した遺体が綺麗に横たえられている
因みに話の間、キールを浄化又は滅しようとしたアクアは興味津々に。クリスは本気で号泣しながら笑っている
その二人にキールの頭蓋が笑ったように感じた
キール「そこのプリーストの御嬢さん、アナタに一つお願いがあるんだが」
アクア「何々?何でも私に言ってみなさい。私、水の女神アクアなんだから」
キール「そうなのか、凄いね」
アクア「信じてよ~!」
キール「ああ、信じるよ、イヤその魔力と神聖な力を感じて理解しているよ」
アクア「そっそう?まぁなんでも行って御覧なさい」
キール「ああ。私を浄化してはくれないだろうか。アクア様」
アクアが一言一言、噛みしめるように魔法の詠唱している
既に展開している魔法陣はキールとお嬢様が居た隠し部屋を簡単に飛び出して室内は神聖な魔力の輝きに満ちている。之だけで下級アンデットは即浄化されるだろう
それにしてもこの世界のリッチーと言うのは聖人の別名なのではないだろうか?ウィズ然り。彼然り
妾と成りろくに屋敷からも出られなかったお嬢様は、国を相手取り。世界中を飛び回った逃走劇の果てにこのダンジョンで最期を迎えたらしい
不自由な逃亡生活の中でも彼女は文句の一つも言わず。絶えず幸せそうに笑えていたとキールは言った
事実そうなのだろう。でなければ未練を持って彼女もアンデットに成っているかもしれないが。アクア曰く、一切の未練も無く、アンデットかの予兆の欠片も無く成仏しているのだと・・・・・こっちだと成仏でいいのか?
キール「いや助かったよ。アンデットが自殺するなんてシュールな事は流石に出来ないのでね。じっとここで朽ち果てるのを待っていたらアクア様の途轍もない神聖な力を感じたものだからね。思わず私も永い眠りから目覚めたってモノさ」
キールが、キールさんがそうカタカタ笑って言った。彼は今、お嬢様の横たわるベットに寄り添っている
アクアが詠唱を終えただろう、途轍もない集中力を維持しつつ静かに佇んでいる
自分達は壁際により事の成り行きを見守っている
そして、今までに見た事が無い。正真正銘の女神として微笑むアクアを見た
アクア「神の断りを捨ててでも愛する人を護り抜いた、自らリッチーとなったアークウィザード、キール。水の女神アクアの名に置いてアナタの罪を許します・・・・・・・・目が覚めると、目の前にはエリスという不自然に胸の膨らんだ女神が居るでしょう。たとえ年が離れていても。たとえそれが男女の仲では無く、どのような形でも良いと言うのなら・・・・・彼女に頼みなさい。再びお嬢様に会いたいと。彼女はきっとその望みを叶えてくれるわ」
クリス「必ず・・・必ずその願い。叶えて見せますアクア先輩」ボソッ
隣りで兄弟が今のアクアにオロオロして。反対に立っているクリスが、何か決意したような表情をする中
お嬢様の側に佇んでいたキールはアクアに深々と頭を下げた
祝福と安らぎを持つ聖なる輝きが増し。部屋の中は普通なら目を開けられない輝きに包まれた
アクア「セイクリッド・ターンアンデット!」
アクアの浄化の輝きが収まった其処には。キールと、お嬢様の骨も消えていた
すると隣りに居たクリスが自分の裾をちょんちょんと引っ張って来た
クリス「ゴメン、私急用が出来ました。至急ダンジョンを出なくてはなりません」
カズト「承知。最短で、最速で、真っ直ぐに出口へ案内します」
彼女の、先程のアクア並みに豹変した雰囲気と変わった口調を気に留めず。兄弟に先に戻ると言伝を伝え、この場を二人に任せ自分はクリスを先導してキールの隠し部屋から出て行った
地上に出て直ぐに駆けだしたクリスを見送り。未だ雪が降る中、自分は避難所へ入って行った
中に居るダクネスとめぐみんに、クリスは急用で先ほど別れ。兄弟とアクアは遅れて合流する事を伝えしばし二人と自作した将棋をしながら帰りを待つ
帰って来た兄弟と号泣しているアクア、なんでもアンデットに群がられた理由に気付いた兄弟が潜伏スキルで隠れてアクアを置いて行こうとしてマジ泣きさせたのだと。って飛び込むのはイイが丁度鳩尾に頭が!
アクアを慰めている間も二人は言い争い、兄弟がアクアに言ったリッチーとお嬢様を見習えと言う単語にめぐみんが食いついた
そして自分からダンジョンで何かあったのか聞きたがっていた二人に説明するとめぐみんは純粋に驚き。ダクネスは泣きそうな。それでいて嬉しそうな表情をした
兄弟がキールがお嬢様を幸せに出来ただろうかと言っていた事と。兄弟がお嬢様は幸せだったのかと零すと
ダクネス「・・・・・・幸せだったさ。幸せだったに決まっている、断言できる。そのお嬢様は逃亡生活の間が人生で一番楽しかったに違いない」
そんな風に悲しそうな笑顔を見せた
そうだな。きっと・・・・・・・・・・
この外史に続きを!
あとがき
どうもアサシンです
書けないな~と思っていたら一・二時間ほどで執筆出来てしまいました
この世界のリッチーと女神って何なんでしょうね(哲_学)片や問題バカリを起こす現役女神、片や迷える魂を導いたり女の為に文字通り国を相手取ったりしたリッチー
クリスさんは本気を出しに行きました。原作知識がある人や鋭い人はアニメ第一期で彼女の事は知っているかと思います。女神の本気を見るのです
今回はダンジョンの主、キールさんとお嬢様が主人公的な物語でした
次回はアニメで放送された中で(面白い)危ない(爆)内容があった一つに成ります
では次回予告へ
次回 真・恋姫この二人の冒険者に祝福を! 第七話
この幽霊少女に甘酒を!
ではでは
この二人の冒険者に祝福を!
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このリッチーさんに安らぎを!