Side: 時雨 樹夜
ちゅん ちゅん ちゅん ちゅん
雀の鳴き声が聞こえるなぁ。
もう、朝やろなぁ。そろそろ、起きんと駄目やなぁ。
「よいしょっと……あれっ?」
俺は目に入った風景に、すこし目を奪われていた。
そこには見知った物は無く、中華風の家具や置物が置いてあったのだ。
そして、唯一あるとしたら近くにある机の上に置かれた俺のナップサック。
そうや、思い出した。昨日は、変な奴に会ったんやったな。
でも、それは夢じゃあらへんかったんか?
少し考えていると、人の足音が聞こえてきた。
そこで、扉の方向に視線を向けると綺麗なお姉さんが立っていた。
ふぅ、勇気を出して声をかけてみるしかあらへんなぁ。
「おはようございます。俺は時雨 樹夜っていう名前なんですけど、貴方は何ていう名前なんですか?」
「ふむ、私は姓を 太史 名を 慈 字を 子義 という。それと、お主に少し聞きたい事がある」
んー、何を聞かれるんやろうか?確かに、周りの状況から判断するとここは元の現代の世界じゃないことくらいはわかる。
でも、まさか三国志の有名な武将 太史慈 を相手に話す事になるなんて思いもせんかったなぁ……
情報交換は大切やから、何か聞いてみるか。
「聞きたい事って、何ですか?」
「お主は、どこからやってきたのだ?私の領内はそう易々と入ってこれるもではないし、住んでいる者ならば服装でわかる。
だが、その服装は見たことも無いからな。後は、姓を 時 名を 雨 字は 樹夜 でよいのか?」
そうやなぁ。これで確証は持てたわ。名前に、姓・名・字と使う時代。外見は、中華風の服装であること。
この地域を自分の領内と言ってるんやから、未だ争いが起きている時代。すべてが、三国志の世界に繋がるわ。
これが、夢で聞いた外史の世界って事なんやなぁ。でも、武将が女性に変わってるifってどんなんやねん!!
心を落ち着かせ、質問に答える。
「えと、まずはここに居る事ですね。目が覚めたら、ここに居たとしか言えないです。
次に、服装に関して自分が住んでいた世界の服装ですね。最後に、名前は、姓は 時雨 名を樹夜っていいます。
ちなみに、字は無いです。後、付けて加えて説明すると俺は1800年後の世界に居ました」
「なんだと!!1800年後!?」
「はゎっ!?」
「むっ、すまない。少し事実が突拍子もない物だったので驚いて大声だしてしまった。
しかし、それを証明する物はあるのか?」
考えてなかったわぁ……どないしよ、証明する物なんかあったやろか……そうやっ!!あのお菓子や!!
寝床の近くにあった机の上に置かれたナップサックからお菓子を取り出す。
「あのぉ、これは俺が居た時代の世界にあるお菓子です」
Side:太史慈
ふむ、菓子か。こやつが、間諜やら暗殺などをする類には見えんな。
まだ、確たる信用は持てんが食べてやるとするか。
何より、この菓子は美味そうな匂いがするな。早く食べないと風味が……。
べ、べつに、菓子が食べたくて言った訳じゃないから!
素直な感想だ!!
私は、自分の中で静まる様に言い聞かせ菓子を食してみる。
「はぐっ、むぐむぐ……おぉ、なんという不思議な味だ。確かに、このような味は食べた事はないな」
こやつに頼めば、これからも作ってくれそうだな……ニヤリ。
「ふぅ、納得して頂けて嬉しいです。あの、お菓子は美味しかったですか?」
なんという可愛い子犬の様な顔で見つめてくるのだ!
私、しっかりしろ!ちゃんと、感想をいってやらねばいかん!
「うむ、美味だ。この菓子は、甘すぎず後味がさっぱりとしておる」
「あぁ、わかってくれるんか!めっちゃ、嬉しいわ!!」
こやつは喋り方に違和感があると思ったら、やはり敬語でしゃべっておったのか。
ふむ、ちょっと言ってやるか。
「気楽に話してもよいのだぞ?それに、お主の事は気に入ったからな!
私の事は、真名の 神楽 と呼ぶが良い」
「んー、わかった。気軽に喋らせてもらうわ。んで、真名っていうのは、どんな意味なんや?
聞いた事があらへんから、教えて貰ってええかな」
真名を知らないと来たか、やはり占い師の言っていた事は正しかったという事だな
「あぁ、わかった。真名というのは、親から貰う唯一無二の名で神聖なるものだ。
自らが認めた相手のみに呼ぶ事を許される名でもある。
そして、私はお前を認めたという事だ」
「えぇ!?そっ、そんな大切な名前を俺が呼んでもええのか?」
「私は、人の目を見る事に少々は自信があるからな。その者が、信頼に足るかどうかくらいは判る。
信頼に足る者だからこそ、お主には真名を預けるのだ」
この者こそが、乱世に新たな風を吹きこむ事は肌で感じ取れる。
ふぅ、我が真名を預けるに足る者が現れるとはな。
これで、前々から考えていた事に決断が下せるな
「そっかぁ、有り難く預かるわ。俺は字も真名もないけど樹夜っていうのが真名にあたると思うから、
樹夜って呼んでな。貴女に、俺の真名を預けるよ」
「応!お主の真名は、大切に預からせてもらう!」
このつまらぬ世界を腐りきった世を、樹夜が変えてくれる事を期待してしまう。
これから先に待ち受けるものは何か?ふふっ、楽しみでたまらんな……
「樹夜よ。この世は、腐りきった宦官共によって悪政が敷かれ民が重税により苦しんでおる。
さらに、弱き民は群れをなして自分達より弱き民を襲い、奪い、殺すという悪循環が繰り返されておる。
盗賊のように生きるしか道を失った民を救えるか?樹夜、お主に問う。我が主として、この乱世に立つ覚悟はあるか!!」
Side:時雨 樹夜
ふぅ、分かってたんや。三国志の時代は乱世の時代。今の時期は黄巾の乱が起きる前やろうなぁ。
それに、夢の中で出てきた奴と話した内容のままやと一刀もこの世界にいる。
きっと、一刀なら頼まれたら断られへんやろうなぁ。まっ、俺もそうなんやけどね。
いつかは、同じ道を進むんやから一刀とは会えるはずや。それに、困っている人は見捨てられへん!
翁。俺はこの世界に住む人を癒し、護る為に表舞台に立つ!!
「応!!神楽、俺と共に乱世に立ってくれ!!この疲弊した大地を癒す為に!!民の笑顔を取り戻す為に!!
俺は、母なる大地により遣われし御使いとして乱世に立つ!!」
「母なる大地の御使いとな!?うむ、いい通り名だ。天下に、その名を広めようぞ!!
ここに、我が武と智謀を主に捧げることを誓う!!」
これから、俺の護る戦が始まるんや。
一刀……また会える日を楽しみにしてるさかい、元気にして待っててや!!
Side:北郷一刀
「樹夜のスイートポテトは食べそびれるは、S娘で百合な曹操に拾われるっていう現実。
神よ、この俺に試練を与えすぎです」
はぁ~、寝る前に嫌な事ばかり思い出してしまう。
樹夜は、今頃どうしてるのやら……。
さぁ、嫌な事を忘れて寝よう。
あとがき
なんとか、樹夜が乱世に立ち向かう所まで書けました。
今、一刀をそのまま原作通りに進めるべきか悩んでます。
あと、オリキャラを追加する順番を悩んでます。
一刀の部隊が三羽烏ならば、それに対抗した部隊を樹夜にもというのがきっかけです。
候補としては、黄巾党の武将達から採用したいなぁと。
この三名を、出す順番に迷っています。
もし、よければ投票ください。(未確定なキャラにも投票いただいてもOKです)
1・姓:劉 名:辟 真名=竜華 S娘 ツンデレ 黒化
2・姓:何 名:儀 真名=柊 忠犬 クーデレ
3・姓:黄 名:邵 真名=雛菊 無邪気 狼と共に行動
登場が未確定なキャラ
4・姓:波 名:才 真名=菖蒲 母親的 未亡人 黒化
5・姓:張 名:曼成 真名=椿 姉御肌 ブラコン
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今回は、樹夜が太史慈に保護されて
乱世に立ち向かう覚悟を決めたお話です。