No.87028

~薫る空~15話(拠点:凪√)

さて、拠点フェイズ第2弾!
凪√です!
それにしても自分で書いてて思った。寝てる間にもフラグ立てるって………

2009-07-29 18:51:35 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:8433   閲覧ユーザー数:6865

 

 

 

【凪】「………隊長、お聞きしたいことがあります。」

 

突然、隣にいる凪が話しかけてきた。

しかし、俺はそちらを見ることが出来ない。何しろ彼女は裸だ。裸体だ。全裸だ。一糸纏わぬ姿で俺の隣にいる。

 

【一刀】「どうした、気持ちよくないか?」

【凪】「いえ、もちろん気持ちいいです………。いいのですが…………なぜ隊長と私が同じ湯に入っているんですか?」

 

俺の目の前は湯気で隠された景色が広がる。いわゆる露天風呂というやつ。

企画:俺、制作:真桜という、最強の二枚看板で作り上げたものだ。

さすがにこの大陸で近くに火山などそうそうなく、地下水脈をこじ開けて…というわけには行かなかったが、やってみればできてしまうものである。

というより、もともと湯浴みで沸かしていたものをこちらへ移せばいいのだから、それほど難しくは無かった。

 

風呂は当然檜………と行きたいがあいにく手に入らず、磨いた石を組み合わせて作った。

 

そして、凪の質問。何故俺と一緒に入っているかだが、当然企画したんだから、一番に風呂に入りたい。しかし、第三者の目線もほしい。それを同時にこなすには、一緒に入るのが一番だ。

凪が後で入ればいいのでは、なんて声は聞こえない。俺だって男の子だ。一緒に入れるなんてめったにある事ではない。

 

当然、凪も拒否はしたが、そこは隊長権限で押し切った。

『絶対にみるなよ!』なんて真桜に言われたが、あきらかにフリであることは分かっている。

 

【一刀】「やっぱ、嫌……だったか?…だよな。男と入るなんて普通ありえないよな。…まぁ、感想も聞けたし、凪が嫌なら俺はでるよ」

 

そう言って、俺は湯から立ち上がろうとする。

 

【凪】「い、いえっ…嫌ということは…それに隊長の命令、ですから」

【一刀】「………なら、もう少し一緒にいてもいいか?」

【凪】「は、はい…」

 

再び湯につかろうと、座ろうとしたとき、一瞬だが凪のほうを見てしまった。

その顔はかなり赤くなっていた。のぼせているんだろうかと、少し心配したが、見るなといわれた以上それを指摘も出来ない……というのもあったが、実際は他の場所へ意識が行っていた。

 

【一刀】「………(凪って脱いだらすごいタイプだったのか…。)」

【凪】「?」

 

急に沈黙を始める俺を不審に思ったのか、凪がこちらを伺うような声を出す。

 

【凪】「隊長、どうかしましたか?」

【一刀】「い、いや、なんでもないぞ」

 

慌てて否定する。実際はどうかしたなんてものじゃない。今にもマイ・エレファントが雄たけびを上げそうになっているんだから。

この問題をすっかり忘れていた俺は今になって、少し後悔…………なんてするはずが無かった。

 

忘れていたのは事実だが、こんなことで後悔するようなシチュエーションではない。

 

【一刀】「にしても…」

【凪】「え?」

 

俺は意識を股間からはずすために、凪に話しかけた。

 

【一刀】「警備隊、すっかりほったらかしになって、ごめんな。」

【凪】「…いえ、そのおかげで、黄巾党が討てたのですから、それは誇るべきことですよ」

 

凪は、俺がすっかり天和のことで頭がいっぱいだった時に、彼女達三人は俺の代わりに警備隊をまとめてくれていた。

新参だったことも考えれば、それは簡単なものじゃなかったと思う。

俺だって、あの草案をまかされた当初は一番下っ端から始めるなんて真似をしたくらいだ。

それを考えると、頭が申し訳なさでいっぱいになる。

 

【凪】「隊長。自分のことならば、本当に気になさらないでください。自分は隊長の下で働けることを嬉しく思っていますから」

【一刀】「凪………」

 

俺は自然と、凪の顔を見てしまっていた。

不思議と、先ほどのような気持ちにはならなかった。

凪の顔はすでに茹で上がったように赤くなっていて、俺は視線をそらせなかった。

 

【凪】「た、隊長…?」

 

すでにかなりの時間入浴していたせいか、お互い少しのぼせていたのかもしれない。

頭がボーっとしてくる。

それに合わせて、凪の顔がどんどん近くなる。違う。近寄っているのは俺のほうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

凪の顔が近づくにつれて、凪はその目を薄く閉じ始めた。

お互いすでに半分無意識になっているのかもしれない。それでも、俺は凪の体を抱きしめようとさらに近づく。

肩がふれあい、次に触れるのは、お互いの唇―――。

 

 

【真桜】「なに、えー雰囲気なっとんねん」

【凪】「うわああああっ!!!」

【一刀】「うわぁっごふぅぅっっ…!!」

 

聞こえたのは、突然の真桜の声。それと同時に感じたのは腹部の鈍痛。

内臓が破裂したんじゃないかと思うほど腹の皮が内側へとへこみ、下半身が水中にあったにもかかわらず、俺は後ろへふっとんでしまった。

 

【真桜】「ほんまに、ちょっと放置しといたらこれや…。やっぱ隊長、その天然のたらし体質治したほうがええんちゃう?」

【一刀】「げほっ…げほっ……人を…病気みたいにいうな…」

 

腹の痛みが未だ引かず、俺は咳き込みながらも反論する。

 

【凪】「た、隊長、大丈夫ですか!?」

【真桜】「凪がしたんやん……」

 

あまりに突然すぎて、よく覚えていないが、吹き飛ぶ瞬間、凪の足がずいぶん高い位置にあるような気がした。

 

【真桜】「ほいで、出来のほうはどんな感じ?」

【一刀】「あ、あぁ、かなりいい感じ。ただ、ほんとに男女でわけないのか?」

【真桜】「だって、うちほとんど女ばっかりやん。男いうても文官でちょろっといてるのと隊長くらいやし。」

 

たしかに、ここには男はほとんどいない。幹部がほぼ女性で構成されていることから、世話係も自然と女性になってしまう。

文官の中には当然男性もいるのだが、わざわざ城の中の風呂を使ったりしない。まぁ、当然ながら。

実際にここで生活している者で、男といえば、まさに俺一人というわけだ。

 

【一刀】「ま、それもそうか」

【真桜】「ん、ほいじゃはよ出てよ~。次閊えてるんやから」

 

真桜は脱衣場のほうへ指差してみる。俺もつられてそちらを見ると、次々と服を脱ぎ始めるシルエットが浮かぶ。

 

【一刀】「って、おい!あいつら俺がいてるの知って――」

【真桜】「あ、言うのわすれとったわ」

 

【春蘭】「真桜、せっかくだから来てやっt………」

【秋蘭】「ん?姉者どうした?……………。」

【桂花】「っつ~…ちょっと、急にとまらないでよ!」

【季衣】「春蘭さま~~~、どうしたんですか~~」

 

先頭だった秋蘭・春蘭は言葉を失い、桂花はそれを非難、季衣が素直に聞く。

そんな状況だ。いや、外面上は。

 

風呂に入って、こんなに寒い思いをしたのは初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一刀】「痛っ!!!」

【凪】「我慢してください…」

 

当然ながら、あの後はまさに戦場に悪鬼修羅が舞い降りた。

春蘭が襲い掛かり、秋蘭が無言の圧力をかけ、桂花がエンドレスに罵り続け、季衣が純粋な瞳でこちらを見つめてくる。

俺もなんとか言い訳しようとしたが、そんなものが通用する相手なはずは無く、自分の無力さを改めて実感する場所となった。何気に一番きつかったのは季衣だったりする。

そして、そんな戦場を半死半生で抜け出し、今は自室である。

春蘭から受けた傷を凪に治療してもらっている。

 

 

寝台へと俯せに寝かされ、背中を凪へ見せる。

先ほどまで裸でいたにもかかわらず、妙に気恥ずかしかった。

 

凪が指に塗り薬を絡ませ、俺の背中へと塗り広げる。

主に切り傷などに効くらしく、軍医からもらってきたのだという。

すこしつめたい感触が背中全体を伝っていく。

 

【一刀】「ん……」

【凪】「そんなに痛みますか?」

【一刀】「いや、だいじょうぶだよ」

 

先ほどまでは痛い時もあったが、さすがに慣れてきたせいかそれほど痛みは既に感じなくなっていた。

しかし、凪の力加減と薬の感触もあって、こんどは少しこそばゆく感じてしまう。

もともと背中は結構敏感であり、俺は広がっていく凪の指の感触に、思わず声を漏らしてしまう。

 

……だが、やはり人間とはなれる生き物なんだろうと実感した。

こそばゆかったものも少し経つともはや普通になっていた。というよりむしろただただ心地よかった。

風呂上り、布団の上、マッサージにもにた手当て。しかも手当してる人は美人。

 

これ以上の安眠空間がどこにあるだろうか。

 

そんな欲望に、俺も抗うことかなわず、ゆっくりと視界が閉じていき、意識を落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【凪】「……隊長。おわりましたよ」

【一刀】「……………すぅ…すぅ……」

 

一刀の治療を終え、寝台から降りた凪はその報告をしようとしたのだが、当の治療を受けていた本人はすでに夢の中にいた。

そんな姿をみて、凪はため息しか出てこなかった。

その寝顔はあまりに幼く見えて、こんな隊長で大丈夫だろうか。という疑問すら浮かび上がる。

しかし、同時にこの人だから付いていけるのだとも思える。

 

無理に起こすこともないと、凪はその場を片付けて部屋を出ようと振り返る。

 

【一刀】「なぎ………」

【凪】「隊長、おきて…………え?」

 

一刀に呼ばれ、もう一度声の方向へと体を向けるが、声の主は眠ったままだった。

自然と寝言という結論を導き出し、少し落胆。

しかし、それは寝言で自分の名前呼んだという事実であり、それを理解したとたんに顔が真っ赤になる。

 

 

湯気が出るんじゃないかというくらい真っ赤になった凪は、しばらくその場に立ち尽くす。

見えるのは、自分達の隊長の寝顔。その表情の変化を逐一観察してしまう自分がいた。

 

唇を強めに結んだり、眉をひそめたり、安堵したように大きな息を吐いたり、すったり。

 

気が付けば、視点は一刀の口へと集中していた。

そこから目が離せなくなる。それどころか、どんどん引き寄せられるように、近づいてしまう。

そして、思い出すのはさきほどの風呂での出来事。二人がしようとしたことの続き。

 

あの時は真桜が止めに入ったが、今はおそらく誰も来ない。

とめられるのは自分だけ。しかし、それだけの意思は、もう無かった。

寝台の上。一刀の隣に膝をついて、近づく。指を震わせながら、その顔に触れる…

 

 

【一刀】「ん…ん…」

【凪】「―――!?」

 

突然一刀の体が反転する。

俯けだった体が、上をむき、もぞもぞと布団を揺らしながら、ふたたび寝息を立て始める。

結果的に寝返りをうっただけだと理解し、ため息をつく。

 

いまなら、上を向いている分………しやすい。

だが、今の一瞬で理性を取り戻し、自分がしようとしていたことにまた頬を染める。

 

寝台から降りて、今度こそ扉へと歩く。

どうかしていた。と首を振り、扉の取っ手へと手をかける。

 

【一刀】「…………ぁり…がとぅ…」

【凪】「隊長?」

 

また聞こえてきた声。だけど、相変わらず一刀は眠ったまま。

だが、その表情で今の言葉を理解し、凪は笑う。

 

【凪】「はい、隊長。おやすみなさい」

 

扉は静かに音をたてて、閉められる。一刀を起こさないように。ということだろうか。

そして、ひとつ壁をはさんだ向こうに行った凪は、何処を見ることも無く

 

【凪】「ふふ…」

【真桜】「えらい、うれしそうやなぁ~」

【沙和】「ほんとなの~。中でなにしてたの~?」

【凪】「な、なな、お前達……」

 

待ち伏せていたように沙和と真桜が現れる。

と、同時にニヤニヤと凪のほうを見つめ、体をペタペタと触り始めた。

 

【真桜】「ふぅむ。まだ手は出されてへんみたいやなぁ~」

【沙和】「けど、ずいぶん嬉しそうなの。絶対なにかあったはずなの♪」

【凪】「こ、こら!やめろ、沙和、真桜!!なにもない!傷を治していただけだ!!」

 

必死に否定し、二人のペタペタから逃れようとするが、それで納得する二人のはずも無く。

 

【真桜】「えらい必死やな…これほんまになんかあったんとちがうか…」

【沙和】「え、ええ!?ほんとなの?凪ちゃん!」

 

真っ赤になる凪を見て、二人が確信したように凪を問い詰めだした。

何もなかった。というか、起こりそうになってやめたというあたりで、凪も自信を持って否定できず、ただその事実を誇張させていくだけとなった。

 

【凪】「だから、何も無いといってるだろ!!いい加減にしろ!!!」

 

ついに照れではなく、本気の怒りで凪の顔が赤くなる。

その違いに気づいた二人は自ら持てる最速の足でにげだした。

 

【凪】「まてえええええええ!!!!」

【沙和】「きゃあああああ!!!」

【真桜】「ちょ!ちょお!!わああああああ!!!」

 

 

そして、城中に一人の怒号と二人の悲鳴が響き渡る。

 

後日、三人が華琳からお叱りをうけたのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

凪√でした!

華琳の時で少し物足りなかったかな?という感じがしたので、自分が思いつく限り頑張ってみたのですが…いかがでしたでしょうか(´・ω・`)

 

正直凪がしょっぱなから、ここまで一刀に夢中だったかはあまりおぼえていません!w

でも、可愛いからいっか♪って感じで書いていきました。

 

 

 

 

さて、次回の「天和√」ですが…

13話であったとおり、原作での季衣の役回りを一刀へ移したことで、既に天和はおとしてますw

なのでいきなりデレデレですが、許してね(´・ω・`)

 

 

それでは、次回また(`・ω・´)

 

 

 

 

 


 
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