No.869492

地球防衛軍3/4 ミサイルランチャー

ミッソー

2016-09-16 17:28:02 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:580   閲覧ユーザー数:580

・エアトータス01

 エアトータス01とはレイセオン社が開発した試作対戦車ミサイルである。対戦車ミサイルを冠しているが、その開発目的は技術力誇示の側面が強く、宇宙空間における弾道弾迎撃ミサイルの姿勢制御能力を、重力下でも高度に行えることを示すためのデモンストレーションに使われている。

 エアトータスの最大の特徴は、その名の通りの低速性にある。まるで亀のごとくゆっくりと飛行する姿は、試射を見た関係者一同が驚愕したという。

 エアトータスには発射筒がなく、発射台の上にミサイルを直付けしている。コールドロンチ式のため発射の際はまず発射台から圧縮ガスで撃ち上げ、大出力の第2弾ロケットモーターが地面に落下しようとするミサイルを持ち上げ、ある程度の高度に到達すると分離、その後第1弾低推力ロケットモーターで推進する。この低推力ロケットモーターは推進剤の燃焼速度を抑えるため、腸のようにうねった細い金属管に推進剤を内蔵し燃焼させている。飛翔速度はわずか秒速10メートルほどであり、弾頭の側面部分からも推進し強引に落下を防いでいる。

 目標捜索は赤外線画像誘導である。装甲車や戦車を目標とでき、フォーリナーとの戦争が始まると巨大生物を捕捉できるように改良された。弾道は目標に向かって直進するダイレクトアタックモードのみで、目標の上部を狙うトップアタックモードは実装されていない。

 攻撃力は当時の対戦車ミサイルとしては標準的で、第三世代戦車の正面装甲は破れないが背面や上面であれば破壊可能だったという。しかしタンデム弾頭ではないため、爆発反応装甲や空間装甲は不得手である。これは本来エアトータスがデモンストレーション用に過ぎず、攻撃能力はあくまで試射用のおまけだったことに起因する。

 開発時点では重量の都合で運用時には射手と弾薬手の2名が必要となっていたが、2017年時点では人工筋繊維を持つボディアーマーが普及しており、1名でも発射台と弾薬の運用が可能となっている。

 01型は当初デモンストレーション用だったため、対戦車ミサイルとして運用されることはなかったが、フォーリナーの襲来によって実戦での試験運用が実施された。

 フォーリナーには、アクティブモードとノンアクティブモードと呼ばれる状態がある。アクティブモードとは人間の存在を認識し、攻撃してくる状態のことを指す。この状態の場合、どこに隠れていようともフォーリナー側は的確に人間の位置を特定し攻撃しに向かう。逆にノンアクティブモードの場合は索敵能力が著しく低下し、約100メートル程度まで近付いても気付かれない。ノンアクティブモードのフォーリナーに攻撃すると、その個体が周辺の味方に警告を発しアクティブモードに移行する。

 エアトータスはこのノンアクティブモードの巨大生物に撃ち込むための装備として試験運用された。エアトータスは破片燃料を使っているため、着弾時にはメタルジェットの運動エネルギーのほかに、破片による強力な周辺被害を与えることができたからである。一撃で巨大生物を多く巻き込めれば、その後アクティブモード化した巨大生物との戦闘を優位に進めることができる。また低弾速性も着弾までの間に次の行動に移れるというメリットがある。

 しかしながら運用には様々な問題が生じた。まず弾頭には多量の推進剤を搭載しているため、重量が非常に重い点である。これはボディアーマーで支えられるが、問題は発射時に重い弾頭を撃ち出す強烈な圧縮ガスの反動が射手自身に襲いかかり、並大抵の体では肩にかかる負担に耐えきれない点である。

 またこの撃ち出されたあとの第2弾ロケットモーターの点火から上昇するまでの間が非常に危険で、直立した人間の肩から撃ち出しても地面すれすれまで落下してしまうのである。自爆防止用の安全装置が実装されていないため、もし地面に落着すれば確実に射手は死亡してしまう。

 これらの試験結果からレイセオン社は引き続きエアトータスの改良を模索した。

・ME1エメロード

 エメロードとはフランスが開発した多目的ミサイルである。試作型のME1型はもともと対人ミサイルとして開発されている。名称のエメロードとはフランス語でエメラルドを意味する。

 00年台初頭、フランスの装備総局は敵の狙撃手を効率的に排除するシステムの研究を進めていた。狙撃手を排除する方法は状況によりけりだが、例をあげるとすると逆にこちら側から狙撃したり、対戦車ミサイルなどで攻撃するといった方法があるが、これらはいずれも不便な点がある。

 フォーリナーとの世界総力戦を経験した現代と違い、第二次世界大戦を最後に国家総力戦が起こらなかった当時、多くの先進国の軍隊では兵士全員に長期間に渡る訓練を施しており、その教育費用から兵士ひとり当たりのコストが非常に高いものになっていた。敵狙撃兵に対し狙撃で対抗するのは、当然ながらこちらも狙撃されるリスクを負うことになるため、教育費用のかかった兵士をその任に当てることはできれば避けたい。だからと言って対戦車ミサイルを使うのも費用対効果が悪い。兵士個人の命よりは安くつくが、それでも銃に比べると対戦車ミサイルではあまりに製造費用に差がありすぎるからである。戦車や迫撃砲の支援が得られれば一番手っ取り早いが、いつでもそれらの支援が得られるわけではない。

 装備総局は狙撃兵を排除するために様々な方法を考案しており、その一環で生み出されたのが人間に向かって誘導する対人ミサイルである。その設計思想上、あくまで標的は人間であり、対戦車ミサイルほどの大きな破壊力は必要とされていない。また狙撃手は観測手と共同して二人一組のチームを形成するのが常であるため、発射筒には2発のミサイルを内包し、それぞれが狙撃手と観測手を狙うことを目標とした。この条件を満たし2010年に生み出された試作対人ミサイルがエメロードである。

 エメロードは赤外線画像誘導であり、ミサイルの先端に搭載したジンバルに赤外線シーカーを載せており、広い範囲を探知することができる。しかしながらエンジンを持ち赤外線を強く放出する車両などと比べると人間の放出量はたかが知れており、そもそも図体が小さいため命中精度には非常に難があったとされる。また2発のミサイルを1つの発射筒に内蔵する構造上、ミサイルを小型化せざるを得ず、推進剤の搭載量に大幅な制限が課せられてしまい有効射程は極めて短かったという。さらには2発のミサイルはお互いが何に向かって誘導しているかの情報を共有できず、試験の結果によると2発とも狙撃手(あるいは観測手)を攻撃してしまうというケースが頻発したという。

 エメロードはその後も研究が重ねられたが、装備総局はコストに見合う成果を出すことは難しいと判断し、対人ミサイルの研究は停止することとなった。しかしフォーリナーの襲来によって2017年の戦いが勃発すると、エメロードはその存在価値が再認識されることとなった。

 数で押し寄せる巨大生物に対し、従来の単発式の対戦車ミサイルでは食い止めることができず、複数の巨大生物に同時攻撃できる多連装ミサイルの開発計画がスタートした。この計画においてフランスが研究していたエメロードが槍玉に上がり、有効性を確認するために、わずかながら保管されていた試作型が制式装備として採用され実戦に投入されることとなった。

 実戦での試験においてエメロードはある程度好意的な評価を収めることに成功した。エメロードの小型ミサイルは巨大生物を一撃で死に至らしめることが可能で、その上普通の対戦車ミサイルと比べて多くの弾を携行することができたからである。しかし試験段階でも抱えていた2発とも同じ目標を狙ってしまう点や、死骸に向かって誘導してしまうといった問題点も抱えていた。また誘導装置を備えている都合上、生産コストは非誘導兵器と比べる明らかに高価で、物量を最大の武器とする敵に対しての費用対効果は劣悪であった。

 しかし職業軍人の死傷者が増え、練度の低い新兵が戦闘に参加し始めると、銃弾の命中率が低下していったため、練度の低い兵士でも引き金を引けば自動で敵に命中できるミサイルは新兵の即戦力化に有効になり得るとして、引き続きエメロードは発展型が開発されることとなった。


 
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