No.866892

人類には早すぎた御使いが再び恋姫入り 三十九話

TAPEtさん

作者がもうちょっと投稿ペースを上げられたらこういう話ももっと書けただろうと思いますけどね・・・

2016-09-02 19:01:59 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1839   閲覧ユーザー数:1687

チョイSIDE

 

「はい、一、二、回って、五、六、…人和さん遅い!」

 

陳留に張三姉妹の皆さんが来た後、ボクの提案で建てられたこの三人方のための塾は、三人が生活出来る家やはもちろん、外に音が漏れない練習室と簡易のステージ、ライブに使うための少道具などを置いておく倉庫や衣装のための衣装室までアイドルの育成のために必要なあらゆるものを集めた大きな施設でした。この時代でこれらを建てるためにとんでもないほどの資金が必要でしたけど、曹操軍はその高額の投資をこの三人に行ったのでした。もちろん曹操さんは、投資された分の働きを彼女たちに、そしてボクに期待しているわけでした。

アイドルマネージャーは大変です。アイドルの皆さんの練習のお手伝い及び訓練、体調の調整はもちろん、新しい公演の企画、ステージの建設、スタッフの募集までほぼ全ての仕事を一人でやりこなさなければならないハードワークなんです。一人企業みたいなものです。最近は大きめな公演はありませんので、その分練習に力を注いでいます。長安と陳留で行われた張三姉妹の皆さんの公演は及第点と言った所ですが、まだまだ更に上を目指せます。この三人の活躍があれば、この世界で偶像(アイドル)の概念を新しく書くことになるかもしれません。

そんな遠大は夢を抱いて、私は三人の練習をさせているのでした。

 

「はい、今日はここまでにしましょう」

 

ボクがそう言った途端、三人は糸の切れたマリオネットみたいにその場で倒れこみました。

 

「チョイちゃん、ギリギリの限界までやらせるの上手すぎるよ…」

「本当に…いつもまたもう一度と言ったら……マジでキレるって所で休憩入れてくるから……憎たらしい…」

「……今日は本当に死ぬかと思ったわ」

 

外はすっかり暗くなってしまってもう深夜。やっと本日の練習スケジュールを終えた所でした。

 

「天和さんと地和さんが昼の練習を怠って逃げたからこんなに遅れたんですよ?」

 

皆さんも音を上げているように、ボクはかなり鬼軍曹です。自分でも自覚しています。社長の活躍に曇って良く忘れがちでしたけど、社長が経営していた会社で実際研究員たちをこき使っていたのはボクの方ですからね。真の黒幕の手下みたいなものでした。だから人の扱いは社長より慣れています。

 

そもそも社長に対人能力なんてあまり求めちゃいけませんけどね。

 

今回社長が謹慎されていることもそのせいでしょう。ボクが見ていない間この世界で社長がどんな風に周りに振舞っていたかは見てなくても大体想像が付きます。人を良く見下すように振る舞う社長の性格に付いていける人なんてそうは居ませんからね。その結果が謹慎という、結局政争での敗北でした。

 

最初はヘレナさんのこともありますし、色々心配していましたけど、その後も定期的にヘレナさんの様子について報告が上がってきて、ボクにも曹操さんや荀彧さんを通って話が入ってきました。まだヘレナさんにこっちの事を直接伝えることまでは出来ないらしいのが残念でなりますけど、今は孫策さんの庇護下で無事に過ごしているという事を確認出来てるということにひとまず安心しています。

 

早くヘレナさんを連れてこの世界から元の世界に戻りたい気持ちが山々ですけど、そうなると心配なのは張三姉妹の皆さんです。ボクが居なくなっても、うまく活動できるのでしょうか。末っ子の人和さんがその辺の感覚には冴えているようですけど、末っ子言うこともあってやっぱり少し姉さんたちに甘い所もあります。ボクが手をかけた以上は絶対一流にしたいのに、まだまだこの人たちは道のりが遠いです。

 

三人の夢は天下一の芸人になること。それを叶うまで見届けたいという気持ちもあります。でもやっぱりヘレナさんの安全がもっと大事です。

 

ボクが居なくなっても、この三人は上手くやってくれるでしょうか。

 

「チョイちゃん、お姉ちゃんお水ー」

「仮舞台の裏側にありますから、自分って取ってきてください」

「やだー、お姉ちゃんもうここから立ち上がりたくない」

「残念、天和さんのアイドル活動はここで終わってしまいました」

「うええーーチョイちゃんがいじわるー」

 

一番甘えようとするのは驚くことに、というのももう慣れましたけど、長女の天和さんです。この人が角の生えた化物みたいな人だと指名手配されていたそうですから笑っちゃいます。

 

甘えが激しいのは地和さんも同じでした。ただ地和さんは天和さんとちょっと違って意地を張るタイプだったのでボクに直接甘えてくることはなく、天和さんが言ったら自分もやってと強請ったり、人和さんを利用して間接的にボクに訴えるタイプでした。

 

「うぅ…人和ちゃーん」

「人和ちゃん、ちいも…」

「はい、はい…」

 

上の姉たちの頼みに脚を震わせながら末っ子の人和さんが立ち上がり水場へ行こうとしました。

 

「あ、はい、人和さんの分はちゃんとここにありますよ。存分に飲んでくださいね」

「「うええーー!!!」」

 

と、立ち上がった人和さんにボクが自ら水桶を渡すのを見ると天和さんと地和さんは同時に不満の声を上げました。

 

「ずるーいー!なんで人和にだけ優しくするの?お姉ちゃん贔屓は良くないと思うな!」

「そうよ!ちいだって頑張ったんだから水ぐらい持ってきてくれてもいいでしょう!」

「サボった二人とは違って、人和ちゃんは昼の練習もちゃんとしました。にも関わらず姐さん二人のためにこんな遅くまで付き合ったんですよ。そんな偉い子に贔屓して何が悪いんですか」

「「うぅー!」」

 

二人とも不満であることは明らかでしたけど、それでもやっぱり立ち上がれないあたり本当に力尽きたみたいですね。

 

「チョイさん」

「はい?」

「その…ありがとうございます。でもこれ、お姉ちゃんたちと一緒に飲んでもいいですか?」

「……」

 

やっぱり人和さんはお姉ちゃん想いですね。

 

「人和さんのお水なんですから、何に使おうがボクは構いませんよ?」

「ありがとうございます。ほら、お姉ちゃんたち、少ないから全部飲んじゃ駄目だからね」

「人和ちゃーん」

 

美しい姉妹愛ですね。

 

でも、体の方はもう本当に限界みたいですね。そろそろ超回復のタイミングですかね。

 

「明日からしばらく練習はお休みにしましょう」

「「「え?」」」

 

ボクの宣言に三人とも驚いた声で言いました。床を這いずって人和さんの水桶に手を伸ばしていた天和さんなんてとても醜いポーズで固まってしまいました。

 

「マジで!一日中休んでいいの!朝の走りとかも一切無しで?」

「そうですね。長くて三日ぐらいですかね。それと、はい、鍛錬も一切無しです」

「いいいいやったー!」

 

仰向けで固まっていた地和さんがはしたなく舞台の上を転びながら喜び始めました。

 

「休日なんてあなたが来て初めてよ。公演の次の日も容赦なく訓練させていたのに何故突然…」

「たまにはこういう時だってあります。それに、今まででも少しは休暇ぐらいあったでしょう」

「朝から城壁一周する日は休暇日には入らないわよ」

 

地和さんがジド目でボクにことを恨めしく睨みつつ言いました。確かにそう言われると、まともな休暇なんてなかった気もしますね。

 

「いいなー。何しようかな。お姉ちゃん美味しいもの食べに行きたいなー」

「休んでいいと言った以上止めはしませんが、あまり食べ過ぎると後の練習の内容が厳しくなりますからそこは自己責任でおねがいしますね」

「うええー」

 

天和さんが凄く嫌な顔をしますけど仕方ありません。本来なら休みと言っても献立は制限がかかるものですからね。アイドルの道は険しいですよ。

 

「それじゃあ、今日はこれで解散としましょう。皆水場に行って水浴びしてからお休みするんですよ。でないと風邪をひきますから」

「チョイちゃん、お姉ちゃん起き上がれない、手伝って」

「はい、はい…」

「ついでに水場までおぶって」

「もう仕方ないですね」

「ついでに代わりに洗ってやって」

「もう大人の女性がそんな事ぞんざいに言うんじゃありません」

 

それでもボクは天和さんをおぶって水場まで運んでやって、他の二人は自分で水場まで来ました。流石にお湯を湧かす施設までは高すぎて作られず、基本的に汗流しは水でします。

 

動いた三人に比じゃありませんが、練習を手伝うボクもかなり汗をかいてしまったので水を浴びたいのですが、女性の方なだけあって水浴びだけでも結構時間がかかるのでボクは社長の屋敷に戻って水浴びをするつもりでもう帰ろうと思った所でした。

 

「チョイさん」

「はい?」

 

廊下の途中で人和さんがボクを呼び止めたのでボクは振り向きました。

 

「どうしたんですか、人和さん。早く汗流さないと風邪を引きますよ?」

「判ってます。でもその前に…あの、明日からお休みということですが、チョイさんは明日からどうする予定なんですか」

「ボクですか。そうですね…特にこれと言って決まった予定はありませんが」

「それなら、私に付き合っていただけないでしょうか」

「人和さんにですか。別に構いませんけど…せっかくの休みなのにボクが居ても良いことありませんよ」

「そんなことありません…あ、いえ、その…」

「??」

 

何故かどもり始める人和さんでした。寒いのでしょうか。

 

「と、とにかく、明日私と一緒に来て頂きます」

「はあ…構いませんが、どちらへ?」

「そ、それは………明日お話します」

「……判りました。それじゃあ、明日の朝来ますから」

「いえ、私の方から伺います」

「…判りました。じゃあ、また明日」

「はい…また明日」

 

何故かせっかくの休日なのにボクと居ようとするのか人和さんの真意は判りませんでしたが、これ以上留まっていても人和さんの体調に障るだけな気がしたので、ボクは外へと急ぎました。

 

・・・

 

・・

 

 

人和さんと別れ塾を出て社長の屋敷に向かう夜道でした。既に夜遅く、人通りは全くと言っていい程ありません。こんな時間に歩いている人なんて、夜間警邏中の警備隊でなければ不審者だけでしょう。……そしてボクがいます。

 

現代人なので夜遅く歩くことにそこまで拒否感はありませんでした。もちろんアメリカの夜道はとても危険な所もありますけどね。それに不思議なことに月の光は元の世界での街路灯よりも明るく感じました。

 

と思っていた所で、ふと雲が月を遮り道が突然暗くなりました。その瞬間、さあっと背筋が凍るような感覚を感じたボクは身につけていた拳銃に思わず手が行きました。この世界に来る時、ボクは子供たちと一緒に博物館へ行っていたので拳銃なんて持ってきていません。これは先日社長から渡された社長の拳銃でした。普段自分の物を触らせない社長だったのですが、

 

「俺より、お前の方が今後使う所があるだろうからな」

 

と言って渡されていました。謹慎以来本当に屋敷から一歩も出て行かない社長だったので、そういう点ではある程度筋が通った話だと思い深く考えず拳銃を受け取りました。だけど、まさかこんなに早く使おうと思う場面が来るとは思いませんでした。

 

今の感覚は明らかに誰かに見られている時のものでした。しかも単に見ているだけではなく、狙われている。まるで野生動物を狙う猟師のように息を抑えて、獲物が油断する時を待っているみたいな、そんな一瞬の乱れもない視線でした。

 

ボクは片手に拳銃を握りながらもう片手に社長と連絡するためのスマートフォンを取り出し、社長へスマートフォンへの直通番号を押しました。道のど真ん中に立ったまま電話が通じることを祈りつつ、ボクは一秒一秒を手に汗を握りながら待ちました。

 

そして、

 

「どうした」

「社長…ボク今、狙われてるみたいですけど」

「そうか。じゃあ…」

 

 

 

 

「へ?」

 

社長の指令を聞いた途端、ボクは突然目前が暗転し、すぐに全身が袋みたいなものに包まれて身動きを封じられてしまいました。

 

「た、たすけて…!」

 

ボクは助けを求めようとしましたが周りには誰もなく、ボクは誰かに持ち上げられて、そのまま連れ去られてしまったのでした。

 

 

桂花SIDE

 

チョイが行方不明になったことを知ったのは事件が起きた次の日の朝だった。

 

張三姉妹と夜遅くまで練習した後一人で家に帰る途中攫われたらしかった。三姉妹の末っ子の人和が今朝アイツの屋敷に行った所家に帰ってきて居ないことを知り、結局行方不明になったと判明されたのであった。

 

三姉妹は塾を出たチョイを見ていないし、真夜中他に見たものも居なくて探す当ては全く無かった。

 

「誰かに拉致されたと見るべきでしょうね」

「しかし、何故…」

 

そもそもチョイの存在はアイツとは違って素性が極秘だった。彼がアイツと同じ点の世界の出身であることを知っている者はこの軍の中でも数少なかった。他の軍が拉致すると言っても一体誰が何のためにそんなことをするというのだろうか。

 

「チョイの素性を知っている所と言っても劉備軍…あそこでまさかチョイを拉致するはずはないし、後は…彼の嫁を連れている孫策軍でしょう」

 

孫策軍がチョイの夫婦を連れて行った…?

 

「我々の動きを封じるためでしょうか」

「恐らくね。少なくとも彼の動きは封じられると思っているのでしょう」

 

だとしたら余計なことだと思うのだけれど。いや、寧ろ黙っていたらアイツは今回動かなかったはず。寧ろ同郷の親友たちに手を出した事でアイツの半年も我慢していた堪忍袋の緒が切れるところじゃないかしら。

 

「だとするならアイツにこんなに真正面から喧嘩を売るなんて、アイツのことを知っている奴なら到底出来るとは思えない蛮行ですね」

 

孫策がアイツに対してどう思ってるかは知らないけど、アイツを抑えておく方法としてこれは大変間違っていた。これは連合軍以前ののアイツだったとしても大変間違っているやり方だった。

 

「とりあえず、一刀に孫策が連れて行ったとは言わずに探してるとだけ伝えましょう。もし孫策がチョイ夫婦を利用してこちらを脅かすつもりなら何かそれなりの動きを見せるはずよ」

「判りました。愛理にはこの件は内密にしておきます。あの娘が知ったらアイツにまで即に漏れますから」

「そうね。それと、稟と風にもこの件は伝えないようにしましょう」

 

チョイが本当に孫策のところに居ようがいまいが、孫策がそれで脅迫しようがしまいが、許昌攻略は予定通りに行う。それが華琳さまの判断だった。最も、冷静に言うとチョイはこの軍とはあまり関係なかった。彼一人、そして私は知らない彼の妻合わせて二人を人質に取ったところで軍事を止めることは出来ない。アイツ一人は止めることは出来るかもしれないけど、さっき言ったようにこういうやり方はアイツには油を注ぐようなものだった。

 

「密かに孫策の拠点の建業当たりでチョイが居るか把握して、何か判る次第私に伝えるように。それまでこの件は私とあなただけで知っておく。良いわね?」

「はい、判りました」

 

しかし、隠した所でアイツが知るのは時間の問題だと思いますけど……。

 

 

愛理SIDE

 

「周幼平が拉致って孫策の所に連れて行っただろう。そんなの当たり前だろうが」

 

一人囲碁を打ってらっしゃる一刀様は淡々とそう言いました。

 

「あうあう…えっと…じゃあ、どうするんですか。やっぱり一刀様が孫策の所へ乗り込むんですか」

「……何故俺がそんな敵地に身を突っ込むようなバカなことをしなければならない?」

「一刀様、胸に手を当ててもう一度その言葉話してみてください!」

 

あとその私を馬鹿を見るように見るのも本当やめてください!

 

「孫策の奴。俺が断った途端にチョイまで攫いやがったな」

「何を考えているんでしょうか」

「幼平がやってきたのがつい一昨日のことだ。孫策の所に行った指令を受けてきたわけではない。なら俺が断ったらチョイを攫うように事前に決めていたと言うべきだろう」

 

一刀様は片手にすまーとふぉんを握っては置いて、握っては置くことを何度か繰り返してはやがてそれを卓に置いて腕を汲みました。

 

「まあ、大丈夫だろう」

「行かれないんですか?」

「考えみると、何故俺が苛立つ必要がある。俺は動かないと決めたのだ。そこに外部から俺が動けない理由を作ってくれた。じゃあ動かなければいいことだろう。俺に好都合じゃないか。ありがたくて孫策に酒でも送ってやりたいぐらいだ」

 

と言いつつ、そうやって腕を爪が入り込むぐらいに強く握っちゃったら激怒していることは敢えて見ようとしなくても丸見えなわけですけどね。

 

「でも、一刀様が動かないとチョイさんは…」

「捕まった奴が悪い。自分でなんとかするだろう。運が良ければヘレナにも会えて、あわよくば連れて脱出とかも試せるが…まあ、孫呉の密偵のの練度の考えれば保安の厳格さは天下一だ。余程のことがなければ脱出は不可能だ」

「……それじゃあ逃げる頃合いは、袁術の所に戦争を仕掛ける時でしょうか」

 

私がそれを言うと、一刀様はびっくりした表情で私のことを見ました。そしてにやりと笑いながら私の頭を撫でました。

 

「あうぅん……」

「徐州では楽しかったみたいだな。期待してるぞ」

「い、言われなくたって……頑張ったんですから」

 

あの日一刀様にお願いされた事。それはつまり、徐州を劉備軍と武力行事にならずに得る方法を見つけ出すことでした。あの時は真名に呼ばれたことがただ嬉しくてはいと言っちゃいましたけど、あれから大変でした。私が徐州出身とは言っても、軍で働いたわけでもありませんし、何をどうすれば良いのかわからなかったのです。

 

だから私は身分を隠して徐州へ戻ってしばらくの間徐州で働いて来ました。そして私が考えていた以上に徐州は腐ってるんだと気づきました。

 

「お前が成功できなければ、お前の故郷が戦地になるぞ」

「うぅぅ…」

 

脅かすより励ます言葉が欲しいです。

 

「……愛理」

 

と、思ってたら真名を呼ばれてまたゾクっと来ちゃいました。まだまだ慣れません。長く離れていてそもそもあまり呼ばれなかったのが原因ですけど。

 

「お前だけが頼りだ。やってくれるって信じてるぞ」

「……!!」

 

全身がジリジリとします。

 

この方、絶対ワザとやってます…!

いつもは刺々しいくせにい…!!

 

「はい!任せて下さい!」

「そろそろ登庁の時間だろ。遅れるぞ」

「はい!行ってきます!」

 

全身の戦慄を隠しながら私は一刀様の部屋を出ました。

 

 

一刀SIDE

 

愛理が出た後、俺はスマートフォンを確認した。

 

俺とチョイが持っているスマートフォンは、タイムマシーンの装置を基地局の代わりにして繋がっている。電波というものがほぼ存在しない時代なので、妨害されることもなく結構広範囲までに電波が届く。流石にこの軍の領域を出たら無理があるが。

 

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予定通り捕まりましたけど、どうしましょう>>

 

                 <<殺しはしないだろうから適当に従ってろ。

   <<ヘレナに会えたらとりあえず二人の安全を第一に考えるように。

 

ひ>>

袋が揺れちyまくうtrませn>>

 

       <<そこからだと充電はもう難しいからヘレナを見つけるまで

         電池は外しておくように。

 

はう>>

はお>>

ハイ>>

          未読  <<ここは気にせずお前たちのことだけ考えろ。

 

 

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「……」

 

そもそも二つの行動はどういうわけか辻褄があわなかった。

 

孫策が意図したことが何なのかははっきりしないが、だいたい俺を表に出させるか、正確には自分の目の前に出させるか、それとも完全に引きこませるかのどっちかだった。

 

最初の幼平の訪問が俺を脅かし引きこませることが目的だったなら既にヘレナを使った脅迫が失敗しているのにチョイまで連れて行って油を注ぐバカなことをする訳が分からない。 逆に俺を挑発させる意図だったなら、俺の反応は既に十分挑発を受けたことを示した。わざわざチョイを拉致していまでのリスクを背負う必要はなかった。俺を本気で怒らせて自分の目の前に立たせることが目的で追い打ちをかけたかもしれないが、正直そうして孫策が何か得することでもあるのか。俺に下手に手を出したら華琳と全面戦が勃発するのにそれを止める術は今の孫策にはない。江東まで逃げたら命は助かるだろうが、それだとせっかく手に入れた揚州の上半分と豫州を失ってしまう。割に合わなかった。

 

それとも俺に直接会いたいのか。

 

自分の目の前に現れることをご所望での行動ならその蛮勇は筋金入りだった。今江東に人が住んでいられるのはヘレナの居場所がはっきりと分からないせいだった。

 

…それと孫策を殺したら多分その反動で俺も死ぬだろうからだった。

 

でも丁度良い機会だった。幼平が来た後、チョイをヘレナの救助に向かわせるべきか悩んでいた所だった。チョイを拉致したのならヘレナと同じ所に置く可能性もあった。ヘレナだけならともかく、この世界での経験をある程度積んだチョイなら自力でヘレナを救出することも可能かもしれない。もちろん、とても危険が大きい行為なので下手な真似はしないで欲しくはあるが、少なくとも二人が一緒に居られたらそれだけでも俺としてはとりあえず満足だった。

 

「さて、俺に不都合なことは何もないな」

 

焦ることなどなく、ただ待つ作業に戻れば良いだけの話だった。

 

そう思いながら俺は華琳へ送る手紙を書き始めた。

 

『華琳へ

 

今日は例の事件でチョイが居なくなったわけだが…まあ、あそこに行ってヘレナに会えるならアイツにとっても本望だろうから放って置こう。孫策が無礼に扱うとも思わないしな。

 

もし、二人に傷一つでもできてたら俺が孫家の名を大陸の歴史から消し去ってやるからあまり気にすることはない。

 

それよりも張三姉妹がチョイから休暇をもらったにも関わらずチョイが心配と俺の屋敷に来ているんだが、ちょっと追い出すのを手伝ってくれないか。チョイが妻持ちだと聞いた途端三人ともアイツの部屋で泣きながら出る気配がない。

 

……』

 

 

<作者からのコメント>

 

チョイを初めて押し入れた時、大概の計画は一刀には出来ない人間味のあるキャラを作るつもりでした。…‥改めて言えばチョイでハーレム作ってみようとしてました。が、それが投稿速度が落ちて不可能だったためチョイというキャラをほぼ書けずに要らぬキャラになってしまいました。

 

それが嫌だったのでこの回を書きました。

もうちょっと三姉妹とのやり取りが前からかけたらよかったんですけどね。

 

ちょっと迷ってるんですが、次回から恐らくちょっと呉へ移ってみようと思います。チョイはそのための下準備です。

 

とりあえず真恋姫の呉ルートを復習して来ます。最近キャラを忘れて来ちゃったんですよね。

 

この前コミケと秋葉原へ行って結構使っちゃいました。恋姫の中古同人誌の成果はありませんでした…あ、雛里・シャオ・美羽が海へ行くあの同人誌をゲットしたんですけど…カラーとは言え1200円は高すぎでしょう。

 

そらったまさんの鳳雛伝か伏龍伝手に入れたかったなー。

 

 

<コメント返しのコーナー>

 

何か久々に多いですね。

 

アルヤさん>>態とやりました。(下衆顔)

 

M.N.F.さん>>書いた後確認したんですけど、五年だったんですよねー‥

 

本郷 刃さん>>え?ただの里帰りじゃないんですか(すっとぼけ)

 

わく惑星さん>>Baseonがちゃんとしたリブート作を作ってくれたら或いは…と思うんですけどね。英雄譚だって合わせても真・恋姫のボリュームには及びませんし…そのくせに合計価格は真より高いという。

 

未奈兎さん>>この外史の進行速度を考えればもっとすっとやってパッと終わらせるべきですがね・・・

 

marumoさん>>五年でした…ずっと読んでてくださってありがとうございます。

 

kazoさん>>そもそも白スクって実存するんですか。考えた人頭可笑しいでしょう(笑)

 

山県阿波守景勝さん>>自分も他の外史を読むのは結構前にやめちゃったんですよね。ちゃんと完結してる奴を探して読んで見るべきでしょうか…それとも今度こそ悲恋姫を読んで見るべきか。

 

ケフカ・パラッツォさん>>また遅れてすみませーん

 

 

 


 
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