No.865205

Triangle Goddess! 第24話「英霊の見る夢」

Nobuさん

今回はアインヘリアルとなったエルダーのターンです。

2016-08-24 14:17:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:296   閲覧ユーザー数:296

「あはははは! こっちこっちー!」

「ははははは……待ってくれよ~」

 

 草原の中を、少年と三人の少女が無邪気に走っていました。

 少年は茶色い短髪をしており、その目には純粋な光が宿っていました。

 少女はそれぞれ、銀髪、金髪、黒髪をしており、とても可愛らしい容姿をしていました。

 

「ほらほら! ここまでおいで!」

「待てぇ~~~っ!」

 少年は少女達を追いかけました。

 少女達は捕まるものか、と無邪気に逃げ出しました。

 

「あっははははははは!」

「きゃっははははははは!」

 少年と少女達のその姿は、今の混沌とした状況がまるで嘘のようでした。

 まるで、平和を謳歌する国民達のように……。

 

 しかししばらく走っていると、突然少女達がいる方の地面が崩れました。

「きゃ……!」

「どうしたの!? 今、助けに行くよ!」

「駄目……こっちに来ちゃ……!」

 少年は少女達を助けようとしましたが、少女達はそれを拒みました。

 ですが、少年は歩みを止めません。

 そして……。

 

「いやああああああああああああ!!」

「うわああああああああああああ!!」

 少年と少女は、そのまま落下してしまいました。

 

「はっ!」

 エルダーは、そこで目が覚めました。

 先ほどの光景は、彼が見ていた夢だったのです。

「どうしたの? そんなところで寝てて」

「……ただの夢だ。気にする事はない」

「そう……じゃあ、私はエルルーン様と一緒に訓練をするわ」

 そう言い、アインヘリアルの一人は去っていきました。

 

「……あの夢の中の女の子は、あいつらに似ていたな……」

 あいつら、というのは、意見が合わずに別れてしまった三女神の事です。

 アインヘリアルになっても、エルダーはまだ、彼女達の事を忘れていませんでした。

「……今更謝って、許してもらえるだろうか……。俺のせいで……こんな事になってしまったのに……」

 エルダーは、三女神に謝る事を躊躇っていました。

 何故ならば、許してもらえるか、エルダーは不安だったからです。

 

「……さて、俺も訓練をするか……」

 そう言い、エルダーはヴァルキリーに訓練をつけてもらう事にしました。

 担当はもちろん、ゲイレルルです。

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

「はぁぁぁぁぁっ!」

 ゲイレルルの槍とエルダーの剣がぶつかりました。

 しばらくはエルダーが押していましたが、形勢はすぐにゲイレルルが有利になりました。

「……?」

 しかし、ゲイレルルはエルダーがやけに手を抜いているな、と感じ、

 ゲイレルルはすぐに攻撃の手を止めました。

「どうした? 覇気が足りないぞ」

「……」

「おい!」

「はっ!」

 ぼーっとしていたエルダーに、ゲイレルルは軽く怒鳴りました。

「ああ、すまない。考え事をしていたんだ」

「考え事……?」

「ああ」

「だが、考え事は、時として迷いになる事がある。それは神界戦争においては不利になる事だぞ」

「……」

 

 ゲイレルルと別れた後、エルダーは一人考え事をしていました。

(あの夢は……俺に来る運命を、予言していたのだろうか……?

 ……夢が夢のままであれば、いいのだが……)

 

 果たして、あの夢は本当になるのでしょうか。

 それは、運命の三女神ノルンのみが知る事になるでしょう……。


 
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