「あはははは! こっちこっちー!」
「ははははは……待ってくれよ~」
草原の中を、少年と三人の少女が無邪気に走っていました。
少年は茶色い短髪をしており、その目には純粋な光が宿っていました。
少女はそれぞれ、銀髪、金髪、黒髪をしており、とても可愛らしい容姿をしていました。
「ほらほら! ここまでおいで!」
「待てぇ~~~っ!」
少年は少女達を追いかけました。
少女達は捕まるものか、と無邪気に逃げ出しました。
「あっははははははは!」
「きゃっははははははは!」
少年と少女達のその姿は、今の混沌とした状況がまるで嘘のようでした。
まるで、平和を謳歌する国民達のように……。
しかししばらく走っていると、突然少女達がいる方の地面が崩れました。
「きゃ……!」
「どうしたの!? 今、助けに行くよ!」
「駄目……こっちに来ちゃ……!」
少年は少女達を助けようとしましたが、少女達はそれを拒みました。
ですが、少年は歩みを止めません。
そして……。
「いやああああああああああああ!!」
「うわああああああああああああ!!」
少年と少女は、そのまま落下してしまいました。
「はっ!」
エルダーは、そこで目が覚めました。
先ほどの光景は、彼が見ていた夢だったのです。
「どうしたの? そんなところで寝てて」
「……ただの夢だ。気にする事はない」
「そう……じゃあ、私はエルルーン様と一緒に訓練をするわ」
そう言い、アインヘリアルの一人は去っていきました。
「……あの夢の中の女の子は、あいつらに似ていたな……」
あいつら、というのは、意見が合わずに別れてしまった三女神の事です。
アインヘリアルになっても、エルダーはまだ、彼女達の事を忘れていませんでした。
「……今更謝って、許してもらえるだろうか……。俺のせいで……こんな事になってしまったのに……」
エルダーは、三女神に謝る事を躊躇っていました。
何故ならば、許してもらえるか、エルダーは不安だったからです。
「……さて、俺も訓練をするか……」
そう言い、エルダーはヴァルキリーに訓練をつけてもらう事にしました。
担当はもちろん、ゲイレルルです。
「はぁぁぁぁぁっ!」
「はぁぁぁぁぁっ!」
ゲイレルルの槍とエルダーの剣がぶつかりました。
しばらくはエルダーが押していましたが、形勢はすぐにゲイレルルが有利になりました。
「……?」
しかし、ゲイレルルはエルダーがやけに手を抜いているな、と感じ、
ゲイレルルはすぐに攻撃の手を止めました。
「どうした? 覇気が足りないぞ」
「……」
「おい!」
「はっ!」
ぼーっとしていたエルダーに、ゲイレルルは軽く怒鳴りました。
「ああ、すまない。考え事をしていたんだ」
「考え事……?」
「ああ」
「だが、考え事は、時として迷いになる事がある。それは神界戦争においては不利になる事だぞ」
「……」
ゲイレルルと別れた後、エルダーは一人考え事をしていました。
(あの夢は……俺に来る運命を、予言していたのだろうか……?
……夢が夢のままであれば、いいのだが……)
果たして、あの夢は本当になるのでしょうか。
それは、運命の三女神ノルンのみが知る事になるでしょう……。
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
今回はアインヘリアルとなったエルダーのターンです。