side:another
「ランサーか?」
暗闇に包まれているような空間に一人の男が立っている
ランサー「すまねぇ、マスター。余計な奴らを連れてきちまった」
詫びを入れるが謝っているように見えない
「まあいい、奴ら自身は気づいていないだろうが、あいつらを解放させられると厄介だからな。早めに潰しておけ」
ランサー「へぇ、そうかい。でも突っつくと余計にやばいんじゃないのか」
「それもそうなんだが、あの世界はただの外史じゃないことぐらい知っているだろ?」
ランサー「知ってる「面白そうじゃない」けっ、またおまえかよ」
さっきまで誰もいなかったところに一人いや、何人かがいた
「皆さんお出ましで、何の用です?」
「あら、冷たいのね。それにアナタの方が格は下なのよ」
ランサー「へぇへぇ、すみませんでした妲己姉さん」
妲己「分かればいいのよ。アナタに言われた通りにしたわよ」
妲己と呼ばれた女は満足したようで話を元に戻した
「ご苦労様です。これで我らに対抗できる神仙はほぼいませんね」
「おうおう、お前さんは神仙を潰して何しようってんだ!」
「我、欲するは強者のみ」
妲己の後ろには、左目に傷跡のある大柄の男と異色のオーラを放つ大柄の男がいた
「阿邏宣さん、遠呂智さん、ようこそ私の居城『夢幻城』へ」
阿邏宣「ようこそじゃねぇよ!質問に答えろよ!」
「ただ、邪魔だったんですよ」
妲己「くぅ~、その冷酷さにしびれるわ」
遠呂智「ふん、これからはもっと強者と戦えるのか?」
「戦えますよたくさんね・・・・ふふふっ」
気がついたら真っ白な世界にいた
真っ白だが眩しくはなかった
手も足も動くし、体は無事のようだ
それにしてもここどこだ?
一緒に光に入った連中もいないし、誰かいてほしいな・・・・・
いや、前言撤回させてくれ
なんか向こうから禿だけどおさげがあって、筋骨隆々でひもパンはいたやつがいる
あんなのと二人きりなんか一人の方がいい
「ご主人様ーーー!」
なんかダイブしてきたーーーーーーー!!!
「会いたかっ―――ごべぇっ!」
「たっ、助かった」
突然殺人ダイブしてきたやつは俺の目の前で打ち落とされた
「おまえ一刀を殺す気か」
懐かしい声がした、そこには
「佐助ー!助かったぜ。死ぬところだった」
左慈「無事か、でもオレの本当の名は左慈って言ったろ」
「あっ、そうか。ありがとう左慈。それとここどこ?それ誰?」
左慈「ここは次元の狭間だ。それとこいつは「私は貂蝉よ」くっ、もう起きたのか」
は?今この変態自分のこと貂蝉って言わなかったか?
貂蝉「あら~、このご主人様もいいわね~」
そこ、ウインクしながら腰をクネクネさせるのやめろ
「次元の狭間ってなんだよ、左慈」
左慈「世界と世界を繋いでる間だって思えばいい」
「なんで俺はここにいるんだ?」
貂蝉「うふっ、それはご主人様が特別な存在だからよ」
「そのご主人様って呼ぶのやめろ!それに俺が特別だと?」
無視しようとしたのに割り込んできた
貂蝉「ご主人様は世界の秩序を守る神仙の一人だったわ。けど、この前攻めてきた奴らにやられてしまったの。」
「俺がやられた?俺はここにいるぞ」
貂蝉「そう、やられたのは神仙のご主人様、いわゆるパラレルワールドのご主人様よ」
「もう一人の俺か。でも奴らって誰だ?」
于吉「それは、元神仙だった者たちです」
「于吉さんもいたんですか。元神仙って?」
あーやばい、頭の中が混乱してきたぞ
貂蝉「ちょっとまって、時間がないわ。大切なことだけ言うわね。ご主人様は今から行く世界で仲間を集めてちょうだい。」
「誰かと戦うのか?」
貂蝉「ええ、黒の奴ら―――私たちは『ブレイカー』と呼んでいるわ」
「黒の奴ら!?もしかして」
貂蝉「そのもしかしてよ。今から行く世界に奴らの本拠地があるの。だから気をつけて」
「おう、俺達の世界を守るためだな。奴らを倒せば平和になる」
貂蝉「ご主人様にご主人様から渡すものがあるわ」
「なんだ?」
貂蝉「神仙の北郷一刀の力よ。今のご主人様の力にプラスされるわ」
玉を差し出される
受け取ると玉が光り始めて意識が薄れていく
「なん・・・だ・・」
貂蝉「がんばって」
左慈「がんばれよ」
于吉「すみません。私たちはブレイカーを抑えておくので一緒には行けません」
そう、薄れる意識の中で聞いた
日が暮れ始めあたりが薄暗くなった道を一人の女性が歩いている
いつもの酒飲み仲間と酒を飲んだ帰りだ
相手は用があると言ったので先に帰っている
酔ってもない酔いを醒ましながら歩いていると、星が流れた
その流れた星はいつもと違い、すぐには消えず飛んでくる
頭上を通り過ぎ、森の方へ落ちて行った
その森は自分の母親の眠る森だった
考えるより先に体が動いていた
「なにかしら?」
そう言いながらも全力で走る
走っていくと、母親の眠る場所になにか転がっていた
見た感じそれはひとであり、男だった
何を期待したのかはわからないが、期待はずれだった
とりあえず生きていることがわかった
「さて、どうしようかしら」
酒を飲んでいた時に聞いた占い師の話が頭に浮かぶ
着ているものは、暗くなり始めているのに光り輝いているようであり、あらわれ方も占い師の言ったとおりだった
なにより、彼女自身の勘が自分になにかを訴えかけている
「とりあえず、連れて帰ろうかしら」
そう思って、引きずるように帰っていると酒飲み相手にあった
「策殿!?どうしたのじゃ?その男は」
会うなり、驚きの表情に変わった
「拾ったのよ。母様の墓で」
「堅殿の墓で!?何故そんな怪しい者を?」
「勘かな?」
「策殿の勘ですか。まあ、害はなさそうですし、もしや天の御使いですかな」
「そうだったらいいし、妖術使いかなんかだったら私が殺すわ」
「はは、策殿らしい」
引きずるのは人目についていけないということで背負っていくことになった
「しかし、あの冥琳が許すだろうか」
「大丈夫よ、私が決めたことだもん♪」
男を連れて戻ったとなれば慌てる姿が見られる
それがまた可愛い
でも、そんなことお構いなしに怒るかもしれない
それは嫌だな
そんなことを思いながら屋敷の門をくぐった
「雪蓮!祭殿!いったい今まで・・・・」
あっ思った以上に驚いて止まっちゃった
「策殿、冥琳は置いておいて、先にその者を空いてる部屋に」
「そうね。じゃあね冥琳」
雪蓮と祭はそのまま空き部屋の奥に入っていく
「朝になったら起きるわよね」
「策殿は自分の部屋で寝るように」
「え~なんで~いいじゃない、私が拾ってきたのよ」
「だから・・・・」
その頃――――
侍女「これで今日の仕事は終わりだなー」
ドンッ
廊下の角を曲がった途端に何かにぶつかった
侍女「なによ、いったい・・・・周瑜様!!!」
ぶつかったのはフリーズした冥琳だった
侍女「周瑜様!周瑜様!どうされたのですか?起きてください~!」
ちょっとした騒ぎがあった
翌日
目を覚ました男、北郷一刀は目の前に写る風景に驚いていた
現代の造りにしてはあまりにも古臭く、何よりも見慣れた電化製品がどこにもない
天井を見上げても照明がない
だけど、頭だけは冴えていた
一刀「ここが、外史の世界か?」
いろいろ考えていると、入口の扉が開き一人の女性が入ってきた
褐色の肌に成熟した体型
どこか優しげな瞳に一刀は意識を奪われた
見つめてしまっていると
「わしの顔に何か付いておるか?」
一刀「いや、なんでもありません」
「そうか。なら、ほれ」
差し出されたのは饅頭だった
一刀「ありがとうございます」
いまにも腹がなりそうだったので迷わず一口食べた
一刀「・・・・旨い!」
「そうか、それは良かった」
女性はうれしそうに笑った
「綺麗な人だなぁ」 ボソッ
「何?綺麗じゃと?」
女性の表情が硬くなる
獲物を射るような視線を一刀に向ける
(ま、不味いこと言ったかな・・・・・・ついつい口から出ちゃった)
内心あせっていると、女性は笑い出した
そして顔を離してなお笑い続けた
「え、えっと・・・・・・」
「すまんすまん。ついおかしくなってしもうたわい」
どこが時代劇で聞くような口調で謝ってくる
「儂が綺麗とな。お主、なかなか面白いことを言うの」
「す、すいません・・・・・・」
「まぁよい。綺麗だと言ってくれた礼に名を教えてやろう。儂は黄蓋というものじゃ」
「(へ?黄蓋ってあの?)俺は北郷一刀です」
「北郷とな?変わった名前じゃの」
話しているうちに一人の女性が立っていた
「気がついたのね」
その女性が近寄ってきて体に触れてきて無事を確かめる
黄蓋に劣らない、もしくはそれ以上だった
そんな女性に触れられているので当然緊張する
「怪我もしてないわね」
「えっ、ちょっ・・・・」
「策殿、この者が困っておるぞ?」
助け舟を出す黄蓋に女性は笑みを浮かべて離れる。
「私は孫策伯符。貴方は?」
「俺は北郷一刀」
「変わった名前ね。さすがは天の御使いってとこかしら」
「は?天の御使い?何それ?」
「知らないの。実はね・・・・・・」
・・・・・半刻後――――
「・・というわけなの。分かった?」
「わかったよ。その占い師が言ってた三人の天の御使いのうちの一人が俺ってことだろ」
「物分かりがいいわね」
この世界のことをいろいろ聞いた
今の自分がどんな状況かも知った
「気に入ったわ。祭、冥琳たちを連れて来て」
「うむ」
そう言って、一人が出ていき、二人きりになると突然押し倒された
「北郷一刀って言ったわよね」
「そ、それが?」
まるで自分が獲物になったような感覚に襲われる
「一刀って呼んでいいかしら?」
「べ、別にいいけど・・・・・・・」
初対面のそれも美女にいきなり下の名前を呼ばれてドキッとしてしまう
孫策の瞳が一刀を捉えているように一刀もその瞳に吸い込まれるように視線を外さなかった否、はずせなかった
「私のことは雪蓮って呼んでいいわ」
「し、雪蓮・・・・・・・?」
「私の真名よ」
「いいの?」
真名がどんなものかはさっき聞いたとても大切なものらしい
そんな大切なものを俺に?と思ったが
間近にある雪蓮のどこか妖艶を感じさせる表情で理性が壊れかけていた
少し動いただけで唇同士が触れ合ってしまう
自分の胸には柔らかい感触が溢れんばかりに感じられる
もう、理性が持たないそう思った時
入口の扉が開け放たれ
「雪蓮!?何してるの!?」
一人の女性が入ってきた
「何って、あいさつよ♪」
「そんな襲いながらの挨拶なんて」ボソッ
そう呟いた途端に足に激痛が走る
「(いいから黙ってて)」
入口からは見えないところで足を踏まれたのだ
「(とほほ、従うしかないのか)」
いろいろ残念がってる間にも彼女たちの話は進んでいき
「決定でいいわね♪」
雪蓮がもう一人の女性を言い負かしたようだ
「雪蓮さん、本当にそんなんでいいの?」
雪蓮「もちろんよ」
「「「「は?」」」」
雪蓮はさらっと答えるが、話しているときにきた二人を含めて雪蓮と一刀以外が驚く
そのうちの一人が突然殺気を放って
「貴様!」
武器を構える
頭でやばいと思い、武器を頭の中で描いた途端に剣が現れた
「「「「「――――っ!!」」」」」
その場にいた雪蓮以外が驚いた
一刀も驚いた、そして後悔した
いつもなら武器を取り出すのに10秒ぐらいかかるのに一瞬で出せたからだ
自分が怪しいと疑われているのについ魔法を使ってしまったのだ
雪蓮「どうしたのみんなそんな驚いた顔をして」
冥琳「雪蓮!後ろ!」
雪蓮「えっ?後ろ?」
振り返ると剣を握った一刀がいた
そして、一刀が剣を持っていることではなく、持っている剣に驚いた
雪蓮「一刀・・それって」
「ああごめん!今しまうから!」
雪蓮「待って!!」
「う、うん」
雪蓮「なんで一刀がそれを持ってるの?」
自分が出した剣を見てさらに後悔する
「えっ、それは・・その・・・」
雪蓮「冥琳、今から一刀と手合わせするわ。それで一刀をどうするか決めていいかしら?」
冥琳「いいわよ。あなた達もそれでいいかしら」
祭「儂は策殿の好きなようでいいぞ」
「私は姉さまが良ければ」
「私は蓮華様と同じです」
そんなわけで雪蓮と手合わせという名の決闘をすることになってしまった
三刻後――――
昼御飯を食べ終わり徐々に決闘の時間が近づいて来る
「(あの孫策に勝てるわけなくね。いや、勝てなきゃ俺死ぬかも)」
祭「どうしたのじゃ?」
「あっ、祭さん。どうもこうも、もうすぐ手合わせの時間じゃないですか。緊張して」
あの騒動の後に祭さんは真名を教えてくれた
祭「大丈夫じゃよ。おぬしにやましいことがなければ」
「やっぱり、あれはまずかったな。こんな時代だし」
祭「そうじゃの、あれにはずいぶんと驚かされたわい。」
「それにしてもどうしてあれだけで態度が180度変わるのかなぁ?」
冥琳「雪蓮の母親は毒矢を受けて死ぬ間際に消えたのよ。パァと光ってね」
「冥琳さん!そうだったのか。それでか」
冥琳「ごめんなさいね。あの子のわがままに付き合ってもらって」
「俺、死ぬなんてことありませんよね?」
祭「あの状態の策殿だと分からんな」
「ええっ!さっきと言ってることが違うじゃないですか」
祭「はっはっはっ!おっと、そろそろ時間じゃぞ」
「そんな~」
―――中庭―――
雪蓮「準備はいいの?そんな剣で?」
俺が今持ってるのは、さっき兵が使う剣を借りてきたのだ
「いいよ(なんか、現時点の呉の武将全員いる~)」
冥琳「いくわよ。よーい、始め!」
始まった途端に雪蓮は攻撃を仕掛けてくる
間合いを一瞬にして詰めてからの横薙ぎ
普段の自分じゃ防ぐことすらできないが今の自分は違った
相手の動きがスローモーションのように見える
確実に相手の攻撃を防いでいく
雪蓮「守ってばっかじゃ勝てないわよ!」
雪蓮の攻撃はさらに鋭く、激しくなっていく
何合打ち合っただろうか
反撃しようとするが反撃する隙がない
「くっ!(やっぱり、力を使わないと勝てないな)」
雪蓮「ハァァアアア!」
バキィィィイイイン
しまったと思った時にはすでに遅く手に持っていた剣は折られていた
だが、そんなことは気にせず、雪蓮は攻めてくる
雪蓮「貰った!」
誰もがやられてしまったと思った
「(本当に殺す気かよ!仕方無い!)」
ガキィィィィイイイイン
雪蓮の放った突きは止められていた
中庭に集まった誰もが驚く
突きを止めていたのはこの世に一振りしかないはずの剣
呉の国王のみが持つことを許される
雪蓮が母親から受け継いだ剣
『南海覇王』
雪蓮「くっ!何であなたがその剣を!」
「この戦いが終わったら教えてあげるよ!」
すぐに激しい打ち合いが始まる
一刀は先ほどまでとはまったく別人のように強かった
雪蓮も本気を出せることを知って、本気をだしていく
一撃一撃、同じ剣同士がぶつかる度に衝撃があたりに広がる
「「ハァァァァアアア!!!」」
戦いを見ていた侍女は気を失い、武将ですら汗をびっしょりかいていた
お互いに一歩も譲らない
その打ち合いはもう何合あったか数えれないほど
お互いに次の一撃が最後だと感じる
雪蓮「はぁはぁはぁっ、いくわよ♪」
「はぁはぁはぁ、おう!」
一刀は南海覇王を鞘に入れてかまえる
そんな一刀に驚きつつも残りの力を込める
お互いの汗が地面に落ちた瞬間に走り出す
「「ハァァァァァアアアア!!!!」」
たった一瞬が無限に感じた
雪蓮は神速の突きを繰り出し
一刀は神速の抜刀術を繰り出した
本来、刀でしか本領を発揮しない抜刀術
それは、目の前の物を薙ぐ場合
一刀は最初から雪蓮ではなく繰り出される突きを狙っていた
下から上へ切り上げるのなら刀ではなくともできる
雪蓮の持っていた南海覇王は飛んで行った
一刀の持っていた南海覇王も飛んで行った
雪蓮「引き分けね♪でも、とても楽しかったわ♪またやりましょうね♪」
「いや、死ぬかと思った」
雪蓮「最初は殺す気だったもの。だって南海覇王を持ってたから」
「それはすまないと思う。」
雪蓮「侮辱されたと思ったけど違うのね」
「そんな、侮辱するもんか!これでも剣には思い入れがあるんだ」
雪蓮「そうだ!一刀、私たちの客将にならない?」
「いいの?」
雪蓮「もちろんっ!」
「わー、ち、ちょっと、雪蓮!?」
一刀は突然雪蓮に抱きつかれた
ギャラリーの皆さんからは鋭い視線が突き刺さるんですけど~
こんなんでやっていけるのか?
そんな、うれしいけど、困っていた一刀であった
やっと、一刀√書き始めれました
なんかここまで来るのにも長かったのにこれから大丈夫か?と思います
次回~舞龍伝~第八章
一刀の力とは?
暗躍する二つの影
敵さんの動きもいよいよ始まるか?
ではでは~お楽しみに~
Tweet |
|
|
22
|
2
|
追加するフォルダを選択
前回と場面が変わりますが承知してください
頌明とアリサも強いので一刀も強くなると思います
一刀だけ他の二人と違うストーリーを書きたかったので最後になってしまいました。
さて、~舞龍伝~第七章始ります!