それはとても晴れた日だった。猫が死んだ。
野良猫だったが、半分以上は飼い猫のようなものだった。いつも庭で寝ていた。昼には残り物を餌にした。食べ終えたらすぐにどこかに消えていく。
夏。トンボを捕まえては彼に与え、蝶を捕まえては彼に与えた。高く屋根まで放り投げても綺麗に着地する。それが楽しくて何度も何度も放り投げた。いつしか彼は僕を見たら逃げるようになってしまった。
それはいつ頃からだったろうか。僕が近づいても彼は逃げなくなった。僕が少しだけ大人になって、彼に悪戯をしなくなったからだと僕は思っていた。思い返すと、それは違ったのかもしれない。きっと、彼にはもう逃げる体力がなかったのだ。
ヒゲをなで、頭をなで、喉をなでた。
彼はクルル、と喉を鳴らし、煩わしげに僕を見る。
そして彼はその姿を隠した。
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ああ、また夏がくる