12年の時を経て遂に出会った『2人』の一刀達
打倒龍天・打倒『血光軍』の為、連合を組む事となった
最後の戦いに向け
今、動き出す!!!
四節 ~囚われの主任者~
一刀(未来)「そう言えば、過去の俺よ
これを渡しておく」
未来の一刀は返り血が付き、ボロボロとなった制服の内ポケットから空き缶のような物を取りだし、一刀に差し出す
一刀「……………………?これって…」
一刀は受け取った空き缶らしき物をあらゆる方向から見る
一刀(未来)「数年前に行方不明となった真桜が作っていた作品だ
何か遭ったときの為に持っていてくれ」
一刀「…………お守り的な?
そもそもこれ何?」
一刀は首を傾げる
一刀(未来)「三國志版スタングレネードだよ」
一刀「えっ!!?真桜、フラッシュバン作ったの?」
一刀は驚きで目を見張る
一刀(未来)「『三國志のエジソン』の名は伊達じゃないってことだろ?」
スタングレネード、別名フラッシュバン
戦場等で使用する武器で、激しい閃光と爆発音で相手の行動を麻痺させる手榴弾の一種
手榴弾のようにピンを引いて投げつける投てき武器である
一刀(未来)「緊急時にでも使用すれば、いくら絡繰人間といえど対応出来ないからな
怯ませるにはもってこいの物って訳」
一刀「了解、有り難く貰っておくよ」
一刀は未来の一刀同様に、制服の内ポケットにフラッシュバンを仕舞い込む
左慈「で、こっからどうすんだ?」
左慈が2人のやり取りの終わりを見計らって切り出す
一刀「奴等の襲撃まで時間がある
かといって今、俺達が襲撃しても勝つ確率は低い
ならば、俺達も少なからず鍛練しないとな」
于吉「ならば、『次元の狭間』の出番ですね?」
于吉の質問に一刀は頷く
一刀「そういうこと
問題は『次元の狭間』での時間の流れに異常がないかなんだよな……」
卑弥呼「まぁ、確かに…………
これだけ時間軸を歪ませれば支障が出ていてもおかしくないからの」
雪蓮「でも、行ってみるしか確認のしようがないんじゃないの?」
雪蓮は首を傾げて聞く
左慈「ま、結局はそうなんだがな
百聞は一見に如かず、行ってみるか」
左慈は徐に右手を突き出す
ズズズズズズズズズズッ!!!
左慈の右手に『次元の狭間』に繋がる『闇行』が出現する
華琳「時間が惜しいわ、直ぐに行きましょう」
一刀「よし、行くか」
一刀が先頭で『闇行』に飛び込むと、次々と後について飛び込む
左慈「俺達も行くか」
左慈が振り返って言う
于吉「ですね」
卑弥呼「うむ」
貂蝉「がってんよん」
管理者達が周りを確認後、同じ『闇行』に飛び込むのだった
その頃の『龍天城』
斬魔「………はぁ~…」
とある一室にいる斬魔が大きな溜め息をつき、頭を抱えていた
その原因は斬魔の目の前で繰り広げられている騒動
絡繰人間K「しゅ、主任っ!!!いい加減大人しくしてくださいっ!!!」
真桜(未来)「喧しいわっ!!!誰がお前の言うことなんか聞くかいなっ!!!」
フォンッ!!!
バキッ!!!
絡繰人間K「ごふぇあっ!!?」
絡繰人間R「くっ、早く取り押さえろっ!!!
また『例の発作』だっ!!!」
未来の真桜が斬魔の洗脳から解け、我に戻ったが為に、未来の真桜が暴れだしたのだ
因みに洗脳を知っているのは7人の重鎮達だけで、それ以外の絡繰人間には
『主任者は持病を抱えており、発作が起きると敵味方関係なく暴れてしまう
言動もおかしくなる』と伝えられている
斬魔「なんでこう、直ぐに解けちゃうんですかね…………」
その傍らには『龍天五獄隊』の風刻がいて、斬魔に話しかける
風刻「斬魔様、流石にこれ以上は厳しいのではありませんか?
斬魔様の効力が低下しているというよりは李典の抵抗力と言いますか………
抗体が大きくなっているのでは……」
斬魔「悲しいですが、そのようですね
はぁ~…………頭が痛くなりますね」
斬魔は思わず眉間を右手で抑える
真桜(未来)「っ!!!斬魔ーーーーーーっ!!!」
ゴォォォォッ!!!
絡繰人間K「どわっ!!?」
絡繰人間R「ぐわっ!!?」
未来の真桜は斬魔を見つけると、大きな怒号を上げる
その怒号は体内の気を放出し、小さな衝撃波を生む
それにより、周囲の絡繰人間は吹き飛ばされ、辺りに転がり出す
斬魔「おや?流石は北郷一刀の直近ですね」
斬魔は分かりやすく驚く
真桜(未来)「この、屑がーーーーーーっ!!!」
ギュオォォォォッ!!!
未来の真桜は怒りを糧に気を高める
風刻「斬魔様、御守り致します」
風刻は斬魔の前に出て、斬魔の盾となるような状態となる
だが、斬魔は逆に風刻の前に出る
斬魔「風刻、大丈夫ですよ
下がっていて下さいな」
風刻「斬魔様?」
風刻は戸惑いを隠せなかったが
斬魔「李典を鎮ませるのも私の役目
貴方の役目は北郷達を叩き潰す事、今無意味に力を使う必要はありません」
斬魔の優しい言葉に風刻は頭を下げる
風刻「……承知致しました
全員自分の身を守れ、斬魔様の邪魔はするな、いいな?」
風刻は周囲の絡繰人間達に指示を扇ぐ
絡繰人間達「「「りょ、了解」」」
絡繰人間達は静かに敬礼し、被害が及ばぬよう部屋の隅に移動した
真桜(未来)「ウチをこの数年間騙してた事を後悔しろーーーーーーっ!!!」
未来の真桜の気の大きさは伊達ではない
その部屋をも飲み込む程の気が溜まっていた
斬魔「騙していただなんて………人聞きが悪いですよ?李典さん
貴方が進んで協力してくれたのではありませんか…」
斬魔はクスクスと歪んだ笑みを浮かべる
真桜(未来)「それは斬魔っ!!!お前が洗脳してたからやろうがっ!!!」
未来の真桜は顔を真っ赤にして怒り狂い、右手を前につき出す
風刻「(来るか……………)
全員衝撃に備えろ」ピピピッ!!!
風刻は新型の『龍天五獄隊専用の万能眼鏡』で未来の真桜が放とうとしている気を即座に感知する
絡繰人間達「「「御意」」」
絡繰人間達は防御体制となる
斬魔「…………だから?」
斬魔は笑みをやめ真顔となり首を横に傾ける
真桜(未来)「『だから?』やと…………っ!!?『だから?』やないわっ!!!
お前には何の情もないんかっ!!?
平和だった大陸に無意味な戦争を仕掛け、再びあの最悪の戦乱の世に戻しよった!!!
いや、前の戦乱のほうがよかったわ………」
斬魔「…………………」
斬魔は只々黙って聞いている
真桜(未来)「今の大陸の現状を見てみぃや………
人は疎か、自然や動物までもが絶滅しかけとるやないか
このままだとどうなるかお前達は分かっとる筈や………
破滅の二文字を辿るんやでっ!!?」
未来の真桜の熱い叫びが部屋を包み込む
ところが、その思いが通じることはなかった
相手が『只の人間』ならば少しは心に響いていたのかもしれない
だが、相手は人間を機械に改造された人型生物兵器『絡繰人間』
そして、未来の真桜が話しかけているのはその中でも最も冷酷な存在と云われている斬魔だ
斬魔「はいはい、暑苦しいのはやめましょう
生憎ですが、そんな思いはもっと別な所で講演してください」
斬魔はウンザリした表情で手を叩き、未来の真桜の言葉を何事もなく軽く流す
真桜(未来)「なんやと………っ!!?」
未来の真桜の額に太い血管が浮き出る
斬魔「全く………平和だの、絶滅だの……だから何なんです?
そんなもの何の意味もない事を、貴方は知っているのではありませんか?
いい加減、偽善者ぶるのは止めて頂けませんか?嘔吐が出そうです」
斬魔の容赦ない言葉は未来の真桜の更なる怒りに火を点ける
真桜(未来)「貴様……………っ!!!」
だが、ここで斬魔の言葉遣いと態度、雰囲気が一変した
斬魔「これだから北郷一刀の毒牙にかかっている奴は嫌いなんだ
下らない夢物語に付き合ってる程、我々は暇じゃないだ
平和?愛?それこそ無意味だ
絶滅するなら勝手にすればいい………そんな弱者などに用は抑ない
『使えないなら切り捨てる、不使用物など全て塵以下の存在』なんだよ
分かるか李典…………結局は全てこの世は力なんだ
弱者は死に、強者だけが生き残る……それがこの世界の規則だ
弱肉強食のこの世界に情けなんざ足枷にしかならねぇんだよっ!!!」
真桜(未来)「くっ!!!(これが斬魔の本性かいな…………)」
未来の真桜はギリっと歯ぎしりをする
斬魔「分かったのなら貴様はさっさと絡繰人間を製造し続けろ
貴様の仕事をさっさとやれ、屑が」
真桜(未来)「屑は………………」
完全に堪忍袋の緒が切れた未来の真桜は片手にありったけの気を集める
真桜(未来)「貴様やろうがーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ゴォォォォッ!!!
未来の真桜は右手から特大の『気力破』を放つ
風刻「でかい…………!!!
(これが北郷一刀の部下の力か………)」
風刻は想像より巨大な『気力破』を見て驚く
だが、それでも斬魔は臆する事はなかった
斬魔「まぁ、想定内ですね………」
斬魔は表情一つ変えず、右手を突き出した
ギュオォォォッ!!!
斬魔はそのまま『吸気』をし、未来の真桜の『気力破』を吸収する
斬魔「雑作もない………」
すると
シュンッ!!!
真桜(未来)「斬魔ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
斬魔「おぉ?」
未来の真桜が『空走』をして斬魔の目の前に現れ、足を振りかぶっていた
真桜(未来)「ウチの怒りを喰らえーーーーーーっ!!!」
フォンッ!!!
ドカッ!!!
未来の真桜の憤怒の一撃が放たれた
が
斬魔「ふむ…………」
真桜(未来)「なっ!!?」
斬魔はこれまた表情一つ変えず、未来の真桜の右足の蹴りを左手の甲で受け止める
斬魔「こんなものか……やはり結局は人間か」
斬魔は溜め息をつき、残念な表情となる
真桜(未来)「くっ!!!ナメんなやっ!!!」
フォンッ!!!
未来の真桜は空中のまま体勢を変え、今度は左足での後蹴りを放つ
狙いは斬魔の顔面だったが
斬魔「単純過ぎて飽き飽きします」
斬魔は軽く会釈して頭を下げて未来の真桜の後蹴りを躱す
真桜(未来)「くっ!!!」
斬魔「それで終わりですか?」
斬魔は頭を下げたまま、未来の真桜を見る
真桜(未来)「なら…………」
未来の真桜は背中に背負っている自身の得物『螺旋槍』を取り出し、刃先を向ける
真桜(未来)「これならどうやっ!!!」
ギュイィーーーーンッ!!!
未来の真桜は『螺旋槍』を思いっきり突き出す
斬魔「ふむ…………」ピピピッ!!!
斬魔が装着している『特殊万能眼鏡』が『螺旋槍』の情報を瞬時に読み取る
『特殊万能眼鏡』が『螺旋槍』のある一部分を照らし出す
斬魔「(ここか…………)」ピピピッ!!!
ガシッ!!!
ギュイィーーーーン…………
真桜(未来)「なっ!!?なんやとっ!!!」
斬魔は『特殊万能眼鏡』が導きだした『螺旋槍』の研削部分を素手で掴み止める
忽ち、『螺旋槍』は停止してしまう
斬魔「万策尽きましたか?」
斬魔のニヤリとした表情で未来の真桜を見る
真桜(未来)「(これが……斬魔の強さかいな……!!!
今までこの強さを……この数年間隠してきたんかい………!!!)」
未来の真桜は冷や汗を滴ながら斬魔を見る
真桜(未来)「(『螺旋槍』越しから犇犇と伝わってくるで………
こいつ………龍天と同格のバケモンやっ!!!)」
斬魔「幕引きですね、李典」
フォンッ!!!
ドカッ!!!
斬魔の右手が未来の真桜の鳩尾にめり込む
真桜(未来)「ごふ………………っ!!?」
未来の真桜の口から大量の血が吐かれる
その瞬間、未来の真桜の手が緩み、身体が前のめりとなる
風刻「今だ、取り押さえろ」
絡繰人間「「はっ!!!」」
風刻の命令により、絡繰人間達が未来の真桜を取り押さえ、無理矢理立たせる
斬魔「久しぶりに運動しましたよ、李典
こんなにも動いたのは本当に久しぶりです」
斬魔は肩をぐるぐると回す
真桜(未来)「貴様が……ここまでとは……な…………」
未来の真桜は斬魔を睨み付ける
斬魔「少し早目ですが………
李典、貴方を『計画』に移します」
真桜(未来)「なん………やと?『計画』………?」
斬魔の言葉に未来の真桜は眉を顰める
斬魔「えぇ、その通りです
『計画』の内容を知っているのは『龍天五獄隊』と龍天様、私だけです
貴方にこれ以上の洗脳は無意味なようなので
しかも今、戦った事で分かりましたが…………李典、貴方の強さは高が知れています
このまま此処に居られても足枷にしかなりませんからね」
真桜(未来)「ふっ………
そんな扱いなら………ウチは此処を……喜んで出ていくで……」
未来の真桜は口元から血を流し続けながらニヤリと笑う
斬魔「いえいえ、一応貴方も我々の戦力ですからね
北郷一刀の元に戻られると困るのですよ
何せ、内部の機密情報を知っているのですからね
ですから…………」
斬魔は未来の真桜の顔をジッと見る
真桜(未来)「『計画』とやらに……移すっちゅーんかい……」
斬魔「まぁ、その『計画』の内容を特別に教えて差し上げましょう」
斬魔は未来の真桜に耳打ちをする
斬魔「………〃〃、〃………〃〃
〃〃〃…………〃〃〃……」
真桜(未来)「な、な、なんやと………!!?
貴様、ウチまでやるっちゅーんかっ!!?」
未来の真桜は眼を見開き、怒りと驚きの表情となる
斬魔「最高ではありませんか
戦闘能力が著しく強化されますよ?」
真桜(未来)「ふざけんな……!!!
『それ』をやった瞬間………ウチは………」
未来の真桜がそこまで言った時、斬魔は
斬魔「はい、お喋りは此処までです
連行なさい、製造主任者を」
斬魔「『絡繰人間改造室』へ…………」
絡繰人間達「「はっ!!!」」
有無を言わさず、強制連行が実行された
真桜(未来)「くっ、やめろ………!!!
放さんかい!!!冗談は顔だけにしいや、斬魔っ!!!」
斬魔「失礼な事を言わないで下さい
そして、私は冗談が嫌いです」
未来の真桜は部屋から連れ出された
真桜(未来)「(アカン………隊長……逃げてや………………)」
未来の真桜はうっすらと涙を流し、強く歯ぎしりをする
真桜(未来)「ぐぅぅぅぅっ!!!斬っっっっ魔ーーーーーーーーーーーーっ!!!」
悔しさの声も虚しく、未来の真桜は廊下の奥へと消えていった
……終……
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未来と過去の合流を果たした対絡繰人間部隊の最後の希望
いよいよ、未来での決戦が近づいてきたその頃、龍天と斬魔の秘密研究が進められていた