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Dear My Friends!第2期 第9話 心の整理

enarinさん

※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。
現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第9話です。
☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。     

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2016-07-04 10:52:48 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:895   閲覧ユーザー数:895

(午後6時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・食堂)

 

 結局、ヤマト国に行く前に、当初考えてなかった“様々な問題”が出てきてしまったので、休憩と食事も兼ねて、最高裁の食堂で食事を取りながら、全員で変更点を挙げてみる事になりました。

 

 チャンチャン カンカン ジュワ!

 

 食堂では、めぐみの手配で全員分の夕食を作っていました。そこに、大きめの紙をとめるボードを持ち込み、食べながら皆の意見を聞いていく形式にしました。

 

 パクッ

 

 ルカ姫はお腹が空いていたのか、意見を挙げる以前に、食事に楽しんでいました。

ルカ姫:美味しい~! お城の料理にはない、この味! やっぱりこうでなくちゃ!

 

テル:ルカ姫、食べるのもいいですが、ちゃんと議論の話題にはついていってくださいね?

ルカ姫:わかってるって!

アペンド:はぁ、私も食べるの半分、議論半分で行こうかしらね

学歩:拙者は大丈夫でござる。めぐみ、議論を開始しようでござろうかな?

 

 まさにそうであった。食事の時間に議論というのも何だが、出航まで数日しかないので、大事な決め事はやっておかないといけない。

めぐみ:そうね、皆さん悪いけど、食べながら意見を挙げていくことにします。まず、大事な事から行きます。このヤマト国への渡航、問題ないですね?

テル:ああ、問題ないだろう。危険である事に間違いないが行かないと始まらないし、追加で知る必要がある事例が出来たこと、それとヤマト国出身と思われる“ツケている連中”と接触することも必要だろうしな

イア:発信器で尾行しているのだから、数日後の出航の船には、おそらく乗るでしょう。問題は船の中で接触するか、船に乗る前に入り口で、検問をしいて接触するか、ですね

 

 やっていることが警察とかそのレベルだったが、少なくてもイアにとっては、場合により生死の問題になりかねない事だったので、まるで警察の仕事のような事を提案したのでした。だが、めぐみはここは冷静に対応したのでした。

 

めぐみ:これは前者を取ることにします。彼らは“ヤマト国出身”である可能性が高いから、“ヤマト国行きの船”に乗ることに不信な理由はないし、尾行だけの理由で、乗船不許可を出すことはできません。イアさんには悪いですが、“船の中”でコンタクトを取って、話し合うことにしましょう。その際には、彼らに接触した、テルさん、リンさん、イアさんの3名には協力して頂きます

テル:無論だ

リン:はい、協力します

イア:当然です

 

めぐみ:では次の問題です。船内の時は体力を温存するとして、ヤマト国に入ってから、どうするかですね…

学歩:無論、拙者がガイドになっt

アペンド:いえ、それはあのマップで言うところの、“島の北部”の当たりまでですよね?

学歩:う、うむ、その通りでござる。情けないながら、1つ連絡船を越えた、『トゥ・ホック』エリアに入ると、どうにも…

めぐみ:それは、向こうでガイドを雇う事にします。学歩? 辺鄙な島国ですから、ガイドさんはいるんでしたね?

学歩:うむ。ここと同じで“ガイド妖精”、と呼ばれる、ギルドに登録済みの妖精がいる故、その者達に頼もうと思っているでござる

 

リン:妖精さんまでいるんですか!

学歩:うむ、何故かいるのだ。サホロ周辺で修行していた時に、ギルドで雇ったことがあるでござる

イア:なんでもあり、なんですね…

 

めぐみ:では次に行く。サホロ近辺はなんとかなるとして、まだ情報がほとんどない、『トゥ・ホック』エリア以降はどうするか、ですね

テル:簡単に言うと“内戦で危険地帯と思われる場所”を突破する方法だな

学歩:ガイドに任せるのも一案でござるが、これだけはお互いにカバーしながら、安全なエリアへ迂回しながら進むしかないでござるな

アペンド:私もそう思います

めぐみ:では、これに関しては向こうのガイドと要相談ですね。えっと、他はこの場より船内でのコンタクトで決めた方がいいですね。はい! これにて今日の議題は終了します。夕食と雑談に戻りましょう。ルカ姫さん達はお疲れですしね

ルカ姫:もが? みょふ ぎょひゃんりゃべてみゃひゅよ?(もう、ご飯食べてますよ?)

テル:ルカ姫はもうそれでいいです。さて、私も食べるとしよう

 

 こうして、簡単ではあるものの会議は終了し、全員で夕食を食べて、ワイワイ雑談をしていたのでした。

(午後6時半頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所付近の宿“ポルト”)

 

 その頃、あの3人は喫茶店から近くの宿“ポルト”に移り、ゆうまとりおんは、ノートPCなどの監視を続け、ミズキだけは港の事務所に出かけていたのでした。

 

ゆうま:未だ、最高裁以外に移動する気配なしか…

りおん:ご飯でも食べているんだよ、きっと

ゆうま:そうだな、ちょうどそんな時間だしな。こっちもミズキが帰ってきたら、夕飯にするか。確か肉料理だったな

りおん:やった~♪

 

 ガチャ

 

 そんな時、部屋のドアが開いて、ミズキが帰ってきたのでした。

りおん:お帰り~♪

ゆうま:お帰りなさい。で、どうだった? 次の船の事

ミズキ:まぁ、こっちとしては好都合な展開だったよ。数日後まで出航予定が無く、その“次の便”が、予想通り“ヤマト国”行きだった。あそこから到着する船は、この“ジェンド港”に必ず到着するからね

 

 ゆうまはちょっと頷きながら、手を顎に持っていって行きました。

 

ゆうま:そうか、目的地はヤマト国の・・・・・サホロにまず行くわけか

りおん:良かったね! あちし達も久々にヤマト国に帰れるのだ!

 

 まさにそうだった。理由はともかく、ヤマト国から、イアのような素材を求めて旅に出ていたのだから、久々の帰郷となるわけだ。

 

ミズキ:まぁ、今回は彼らを尾行するわけだから、必ずしもアキバに帰れるわけではないけどね。目的さえ達成できれば、アキバには寄ろうと思うよ

ゆうま:そうだな、報告はしないといけないしね

りおん:ひっさびさに“ケバブ”を食べたいからね、必ず寄ろう!

 

 しかしミズキはちょっと考え込んでしまった。1つ気になる事があったのだ。

ミズキ:・・・・・いや、“尾行”、ではなくなるかも知れないな…。船内でエンカウントの可能性が高い。そうなったら変に逃げずに、彼らと話し合う事にしよう

ゆうま:! だ、大丈夫か? こっちはこれまで尾行していた立場だぞ?

 

 ゆうまの意見は正論だった。向こうも解っているであろう“尾行”の立場で、彼らと面と向かってエンカウントするのは危険であるのは明白だ

 

ミズキ:今回、同船するわけで、乗船時間も結構長い。出来るだけそうならない様にしようとは思うが、逃げる状況にはしたくない。如何せん、場所は海上だ

ゆうま:そうだな。海を自力で渡れる道具はもっていないから、そうなったら仕方ないか

 

りおん:い、いぢめる?

 

ミズキ:まぁ状況次第だが、こちらの言い分を丁寧に説明すれば、船上だから戦闘にはならないと思うし、尾行の件は素直に謝るつもりだ

ゆうま:まぁ、こっちだって、死活問題でこんな事やっているわけだしな

りおん:けんかはよくないからね

 

ミズキ:ということで、同室の乗船チケット3枚は買って置いた。こちらの予想が外れても、キャンセルに出せば問題ないだろう

ゆうま:そうだな。ヤマト国行きに、どれだけ客が乗るか正直わからないが、抑えておくべきだからな

りおん:やったぁ! 船の旅~♪ 美味しいもの食べよう!

ミズキ:言って置くが“普通乗船券”だ。食事はノーマルだぞ?

りおん:(´・ω・`)

 

ゆうま:まぁ、仕方ないか。ではこちらも食事にするか。肉、だったな?

ミズキ:そうよ、美味しそうな店を、2,3件見つけて置いたから、そこに行きましょう!

りおん:o(´∇`*o)(o*´∇`)o

 

ゆうま:ほっっっっんとに、お前、単純だな…

(午後9時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所内・宿泊施設・各自の部屋)

 

 会議、夕飯、各自の自室に戻って着替え等を済まし、まったりしていました。

 

しかしルカ姫の気持ちは数日後の出航の日、そしてヤマト国への冒険に向いていて、ワクワクしていたのは言うまでもない事です。

 

ルカ姫:ワクワク! 冒険に危険は付き物! ヤマト国って、どんな国だろうなぁ~。でもちょっと気がかりなのは、イアの出身とかミクさんやルカさんが住んでいる、日本って国の未来かもしれないって事かなぁ。でも、もし見たくないような国になっていたら・・・・・・・出来るのなら、私達で少しでも良い国になるようにしてあげたいなぁ・・・・・

 テルは部屋の椅子に座って、ちょっと考え込んでいた。

 

(今回の旅はリスクが高すぎる)

 

 そんな予感が、いつも冷静でむしろ強気なテルの心にも芽生えてきたのでした。

 

テル:(めぐみの話を聞き、考えついてしまったことが“めぐみと同意見”だったのもアレだが、正直、“内戦”、というのが気になる。他国と戦争なら間違いなく、内戦であっても、今の私の耳にも、アフス帝国のあの当時の私の耳ですらも、情報が入ってくるはず。なのにそんな話は一切入ってこなかった・・・・・)

 

 グラスのウィスキーを少し口に運び、グラスをテーブルに置くと更に考えを進めていった。

 

テル:(辺鄙な島国であったとしても、そんな重要な事が国を通して漏れてこないわけがない・・・・・。考えられない事だがあり得るとすれば、政府とか国の統治機関による強力な『隠蔽』・・・・・・。だが、そんな事が行われているのなら、学歩だろうがなんだろうが、渡航禁止を宣言して、閉鎖してしまうのが常套手段。なのに出国者への行動封じや口封じは甘い。一体、どういうことなんだ・・・・・)

 

 テルは今回ばかりは気が滅入っていたのか、グラスのウィスキーを一気に飲み干し、ゆっくり卓に置くと、窓ガラスの外の光景を、ぼんやりしながら眺めていたのでした。

 寝間着姿のアペンドはシャワーの後の髪をタオルでゆっくり拭きながら、やはり何か思うところがあったのか、ぼんやり窓の外を眺めていたのでした。

 

アペンド:はぁ~、内戦国への渡航に、尾行者に、ミクさん達の未来世界かもしれないって・・・・・そんな重いこと突然言われても、はいそうですかなんて、簡単に納得できないわよ・・・・・・・。とにかく無事に帰ってくる事を第一に考えて、最低でもルカ姫を守らないと・・・・。イアちゃんはなんか強そうだからいいけど、尾行者の目的はイアちゃんみたいだし・・・・・。なーーーーーんか、当初の予定から随分かけ離れちゃったなぁ・・・・・。出航まであと数日あるし、ここで魔法の元を沢山仕入れていかないといけないなぁ。あと、お守りかな、はぁ~

 パジャマに着替えたリンとレンは、テーブルのブドウジュースとオレンジジュースを飲みながら、今回の事について、話していたのでした。

 

レン:リン、今回の事、どう思う?

リン:どうもなにも、もうこうなっちゃったら、逃げ場無しなんだから、行くしかないでしょ…

レン:いや、それはわかっているんだけど、外に漏れない内戦とか、尾行者がいるとか、未来世界だとか、なんか話が現実離れ過ぎていて、簡単に飲み込めないんだよなぁ。めぐみさんの場ではなんか雰囲気に釣られちゃったけど、ご飯食べてシャワーを浴びて冷製になると、なんかこう、“それ妄想じゃないのか?”って思っちゃったんだよね。あ、尾行者はリンから話を聞いているからいいけど、その他のことは、今でも鵜呑みに出来ないよ…

 

 まさに正論である。どこにも問題になる事はないのだった。しかしリンは、もっと現実的な事で返したのでした。

 

リン:そうね…。でもさ、とにかくヤマト国に行ってみれば、何か解ると思わない? ココで危険すぎるから行かないって選択肢を選んじゃったら、私、みんな後悔すると思うの。イアちゃんの事もそうだし、だから一緒に頑張ろうよ

レン:そ、そうだね。はは、俺、何、弱気になっていたんだろ、俺がリンを守らなくちゃいけないってのに

 

 リンはちょっと赤くなった。

 

リン:ば、ばか、そういうんじゃなくて、レンが守るのは、私だけじゃなくて、“みんな”! そしてみんなもレンを守るの!

レン:はは、赤くなってやんの

リン:もう! レン!

 

 まったくもって、仲のいい二人だった。この二人は大丈夫ですね。

 学歩はシャワーを浴びた後、手入れ用品の“打粉(うちこ)”で刀の刀身をポンポンして愛刀の手入れをしながら、今後のことを刀に語りかけていました。

 

 ポン ポン ポン

 

学歩:・・・・・『楽刀・美振』よ、この度の事件、どう思う? 拙者の故郷ではそんな事は少しもなかったでござるが、内政に関わる場所やミクさん達の街に関わる所では、戦が行われているようであり、更にこの世界はミクさん達の世界の未来かもしれない・・・・・正直、しっかりと掴めないような事態だと思うでござる・・・・

 

 ギラッ

 

 その時、刀身が鈍い光を放ったのでした。

 

学歩:!・・・・・そうか、やはり不吉でござるか・・・・・・しかしここで引くわけにはいかないのでござる。不吉を承知で、飛び込まないと行けないのでござるよ・・・・・・

 

 学歩はそれから刀の手入れを終え、刀を納刀し、厳しい目線で窓の外を眺めていたのでした。

 めぐみは調査して集めた資料を眺めながら、珍しくため息を付いてしまったのでした。

 

めぐみ:・・・・ふぅ。やっぱりこれって、全責任は言い出しっぺの私よね・・・・・。最初は学歩の故郷への興味だけだったんだけど、なんか調べるうちに、そして尾行者の事が出てきて、とんでもないことになっちゃった気がするのよね・・・・

 

 めぐみは夜食のキャロットジュースと人参ソテーをつまみながら、これから先の事の段取りに気持ちを移したのでした。

 

めぐみ:ヤマト国の事、ミクさん達の未来の事、この世界の秘密の事、全部にこれから挑むのよね・・・・

 

 パチン!

 

 めぐみは一喝入れるために、自分の頬にビンタを入れたのでした。

 

めぐみ:だめだめ! 弱気になっちゃ! 私は代表者! 私がしょげて、どうするの!

 

 パクパクパク ズズーーーー

 

 めぐみは夜食を全部一気に平らげると、ベッドに横になってしまいました。

 

めぐみ:こう言うことは夜中考えちゃダメね、まだ数日あるし、明日考えよ!

 

 こうしてめぐみの夜は終わったのでした。

 そして最後のメンバー、“イア”は、ベッドに横になって、色々考えを巡らせていました。

 

 私の尾行者の目的

 

 私の街、私の国、そして、この世界の未来

 

 いくら考えても、実際にヤマト国に行ってみないと解らないことだらけでした。いや、もしかすると“行っても解らない”事も出てくるかも知れない、そんな堂々巡りの事ばかりで頭が埋まって行っている気がしたので、途中で考えるのをやめたのでした。

 

イア:ふぅ・・・考えても、所詮空論。とにかく私の国がどうなってしまったのか、ソレを確認しないといけないよね・・・・

 

 しかし、今の状況では出来ない事だが、1つだけ頭に浮かんだことがありました。

 

イア:・・・・・・もし、ミクさん達に会えるような事になったら、この状況、どう言えばいいのかしら。もし内戦続きだったら、そんなこと、ミクさん達に言えないよ・・・・・・出来るのなら、私たちで変えなきゃいけないのかな・・・・・・

 

 イアは疲れていたのか、そのまま眠ってしまったのでした。

 

 そして、この夜は更けていったのでした。

 

(続く)

 

CAST

 

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-

ルカ姫:巡音ルカ

魔導師アペンド:初音ミクAppend

魔導師テル:氷山キヨテル

僧侶リン:鏡音リン

勇者レン:鏡音レン

 

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ

裁判官 勇気めぐみ:GUMI

 

ヤマト国からの旅人三人組

瑞樹(ミズキ):VY1

勇馬(ゆうま):VY2

兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

 

その他:エキストラの皆さん


 
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