No.855296

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第八十七回 第五章B:御遣い奪還編③・一刀殿の人望がなせるワザなのです

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回は情報を制するって大事ですよねというお話です。

そして一刀君救出組がようやく出陣します。

続きを表示

2016-06-26 01:13:29 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3767   閲覧ユーザー数:3348

【豫州、潁川郡、許城】

 

 

荀彧「華琳様、偵察からの報告書が届きました」

 

曹操「ご苦労様、それで、北郷軍の状況は?」

 

 

 

荀彧が書簡を抱えて部屋の中に駆け込んできたのを待っていたとばかりに、

 

曹操はやや前のめり気味になりながら書簡の内容、偵察に探らせていた北郷軍の動向を尋ねた。

 

 

 

荀彧「は、やはり予想通り呂布は戦意を喪失しているようです。さらに、他に陳宮と高順、そして張遼もまた同様に戦意を喪失している

 

模様です」

 

 

 

本来、曹操が待ちわびていてくれた(もちろん荀彧をではなく報告書をなのだが)ということだけで荀彧は昇天してしまうのだが、

 

事が事だけに、今回ばかりは軍師の表情で真面目に報告書の内容を伝えた。

 

 

 

郭嘉「陳宮と高順は目の前で御遣いをさらわれたのでしょうから、精神的にくるものがあったのでしょうが、張遼は意外ですね」

 

 

程昱「それだけ張遼にとって御遣いという存在が大きかったということかもしれませんねー。まぁ、つまり、桂花ちゃんの読みは外れて

 

しまったということですねー」

 

 

 

張郃の話では陳宮と高順から北郷を誘拐したということだったため、北郷処刑の報に対する影響が一番大きいだろうと想定できていたが、

 

張遼については、その好戦的な性格から推測すれば逆上するくらいのイメージを持っていただけに、

 

他の者同様戦意を喪失しているというのは、北郷の人望を読み違えた嬉しい誤算であった。

 

 

 

荀彧「ふん、張遼も年を取って情に脆くなったってところかしら」

 

程昱「恐らくそんなに私たちと年は離れていませんけどねー」

 

曹操「ふむ、今の報告だとまだ北郷軍の主力、厳顔と魏延の名前が挙がっていないようだけれど、その辺りはどうなの?」

 

 

 

荀彧の苦し紛れの言い訳に、程昱が眠たそうな声で的確にツッコミを入れる中、

 

曹操はまだ名前の挙がっていない要注意人物の動向がどうなっているのかを続いて尋ねた。

 

 

 

荀彧「魏延については予想通り御遣いの仇討をと反撃を主張している模様。しかし、呂布他多くの幹部が戦意喪失の中、賛同するものは

 

いないようで、結果、魏延は少数の兵を引き連れ劉備軍への合流をもくろんでいるようです」

 

 

 

程昱のツッコミにより若干軍師モードが崩れかかっていた荀彧であったが、

 

曹操の真面目な問いかけに再びスイッチを入れ直し、魏延が他の者とは違い単独報復を狙っていると述べた。

 

 

 

程昱「ほほー。南下してくる我らに対して真っ向からぶつかり報復というわけですかー」

 

 

 

そのような魏延の動向を聞いたその刹那、程昱の眠そうに閉じた瞼を一瞬持ち上げると、

 

再び瞼を下ろし、いつものように眠たそうな声で、しかし、どこか楽しげな反応を示した。

 

 

 

荀彧「あと、厳顔については、立場を決めあぐねているようで、結果、呂布たちが使い物にならないためか、南蛮対策もあって成都から

 

動くつもりはないようです」

 

 

郭嘉「・・・内部分裂とは・・・想像以上にボロボロですね・・・陳宮か法正の策、とは考えにくいでしょうか」

 

 

 

報告書の内容から見えてきた北郷軍の内部分裂に等しい状況に、

 

郭嘉はむしろ陳宮や法正といった軍師連中による情報戦を仕掛けられているのではと疑いをかけた。

 

 

 

荀彧「そういえば、魏延ともう一人、軍師らしき人物が一緒になって反撃を主張していると偵察が口頭で報告していたわ。はっきりした

 

名前は分からないようだけれど、確か、ホウという性の人物らしいし、恐らく法正の事ね」

 

 

程昱「ふむぅ、確かに法正は過激な発言の目立つ不良軍師と言いますが、やはり軍師は軍師。裏がありそうですねー」

 

 

 

法正=不良という認識は国外でも有名らしく、主君を討たれた仇をといった過激な発言を、

 

法正ならしても不思議ではないと思う一方、腐っても軍師というべきなのか、その性格上、

 

不良のような振る舞いすらもブラフなのではと思えてしまうから、一癖も二癖もある軍師を相手取るのはややこしいのである。

 

 

 

曹操「まぁ、陳宮の性格を考えれば戦意喪失しているのは間違いないでしょうけど、法正なら色々嫌らしい策を仕掛けてきそうではある

 

か・・・城下の様子はどう?」

 

 

 

曹操はかつて陳宮が呂布の元に訪れる前に共に行動していた時期があり、その時知った陳宮の性格を加味して、

 

陳宮の暗躍の可能性を排除し、法正の暗躍の可能性を視野に入れたまま、今度は城下の一般市民の様子を尋ねた。

 

たとえ法正の暗躍があったとしても、さすがに民衆まで同じように皆が皆演技は出来ないだろうと踏んだためである。

 

 

 

荀彧「一応日々の営みを続けているようですが、一様に活気は感じられません。また、そもそも外に出ている者自体少なく、その多くは

 

手に職がつかず、自宅に籠っているものと思われます」

 

 

曹操「・・・ふむ、その様子だと本当に失意の状態ととれるか・・・万が一、何人かの民たちに演技をさせ、残りは家の中に籠らせている

 

のだとしても、出来ることとして、魏延と共に劉備軍らと合流する兵が増えるか、最悪の場合でも、魏延が厳顔とそれらの民兵を率いて

 

行き先を変え、涼州軍と合流し許への強行を行うといったところかしら」

 

 

 

荀彧から聞かされた民衆の様子を曹操はゆっくり頭の中に叩き込み、

 

そこから導かれる可能性を吟味し、その結果として起きる出来事を予想した。

 

 

 

程昱「・・・つまり、呂布が演技をしているということはまずないとお考えですかー?」

 

曹操「ない、とは言い切らないわ。可能性としては限りなく低いでしょうけど、有り得る話でしょう」

 

 

 

それでも、楽観的な考えは一切しない。

 

呂布が使い物にならない状態だというのは疑いようもないことだが、それでも、

 

イレギュラーはいつ起こるか分からず、当然万全を期すためにはあらゆる不測の事態に対応しなければいけない。

 

 

 

荀彧「では、更にいくらか兵を残しますか?」

 

 

曹操「ええ、当初の予定と変更して、公明とチョコの部隊を残すことにするわ。まぁ、今城には満寵が戻っているのだから、城が落ちる

 

ことはまずないのだけれど、念のためよ」

 

 

 

満寵というのは、李典の絡繰りの技術に触発され、その技術を学び、結果師である李典をも超えたのではとまで言われる天才である。

 

ある筋によれば、許城は満寵の発明品によって城塞と化しているとまことしやかに噂していたりするほどであるが、

 

その真偽は謎に包まれている。

 

張遼が合肥で大暴れして以来、満寵は合肥地方の防衛を任され、以降、孫策軍からの目立った侵攻を防ぐことが出来ていたが、

 

その後、新たな発明をと許に戻り、城のどこかに籠っているのだという。

 

 

 

郭嘉「しかし華琳様、徐晃殿は分かりますが、チョコもですか?彼女の性質を考えれば今回の南征でも是非暴れてもらいたいところです。

 

それに性格を考えれば前線に出たがると思いますが・・・」

 

 

曹操「確かにそうでしょうけれど、潼関であの子は瀕死の傷を負っていたでしょう?いくらもう動けるからといっても無理は許さないわ」

 

 

 

張郃に留守を命じると曹操が決めたことに対し、不死という張郃の性質から、

 

今回の南征でもその能力を計算に入れて策を考えたいところと告げ、また、戦闘狂という性格も加味すれば、

 

受動的な防衛よりも能動的な侵攻に出した方が良いのではと郭嘉は進言するが、

 

しかし曹操は、張郃が潼関で高順から受けた傷の事も考え、張郃の出陣を良しとしなかった。

 

 

 

程昱(・・・もう動けるから・・・ですかー・・・)

 

 

 

不死身なのだから傷も何もあったものではないのではと思うところであるが、しかし、

 

程昱は曹操が「不死だから」とは言わず「もう動けるから」と表現したのを聞きのがさなかった。

 

 

 

郭嘉「・・・・・・仰る通り、我が浅慮をお許しください」

 

 

 

どうやら郭嘉もそのことに気づいたようで、提案を撤回し謝罪した。

 

 

 

曹操「では、各々準備にかかれ!10日後、出陣する!」

 

三人「「「御意!」」」

 

 

 

 

 

 

【涼州、天水郡】

 

 

 

陳宮の定めた3週間という期間はあっという間に過ぎてしまい、約束の日から数日たった後、ちょうど日も暮れた頃合いに、呂布・陳宮・

 

張遼・高順は2万の兵を引き連れ、天水で待つ涼州軍と合流していた。

 

涼州軍は馬超・馬岱・鳳徳を中心とした、1万の兵力である。

 

 

 

張遼「けどまぁ、よくあの短期間で2万も兵が集まったもんやなぁ。一刀の仇討や言ーてた時とか、千も集まってへんかったやろ」

 

 

 

張遼は改めて北郷救出のために益州中から短期間で集めた2万もの兵を目の前に感嘆の声をしみじみと上げていた。

 

 

 

高順「しかも、潼関、南蛮と戦続きで皆肉体的にも精神的にも経済的にも疲弊しているのですから、当然といえば当然ですし、まして、

 

曹操軍本拠への強行ともなればなおさら厳しい結果になるかと思っていましたが」

 

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

陳宮「まぁ、民衆の長達に強行軍編成を告げに行ったときは、さすがにビクビクしたのです」

 

 

 

陳宮の脳裏には、常駐の兵だけでは到底足りないため、民衆から徴兵するために、

 

鳳統と共に民衆の上役たる長たちにその旨を伝えに行ったときの光景がよぎっていた。

 

 

 

 

 

 

<・・・というわけなので、約3週間の後、一刀殿を救出するための強行軍を編成することとなったのです>

 

<3週間後・・・ですか・・・>

 

 

<皆さまの疲労を考えれば無体な頼みであることは承知しています。潼関、南蛮、このように戦い続きですと、ご家族との時間も奪われ、

 

家の畑仕事も滞るばかり・・・ですが、ご主人様をお救いするためには、曹操軍が手薄になるこの時期しかないんです。ですので、どうか

 

お願いします。ご主人様をお救いするために、今しばらく、皆さんの御命を私たちに預けてほしいのです>

 

 

<頭をお上げください軍師様!!>

 

 

<戦い続きで疲れてる!?家族や畑仕事の時間が奪われて困る!?それは当たり前ですだ!!ですが、お館様をお救いするのを断る理由

 

になんかなりゃせんですだ!!>

 

 

<お館様が生きておいでだ・・・それが分かっただけで、わしらの疲れなんかみんな吹き飛んじまった!!>

 

<お館様の敵討ちと言われていた時とは訳が違いますだ!!>

 

<わしらが家族と幸せに暮らせるのも、畑仕事に勤しめるのも、みんなお館様あってこそのこと!!>

 

<我ら喜んでお館様をお救いするために戦いますぞ!!>

 

<あわわ、皆さん・・・>

 

<本当にありがとうなのです>

 

 

 

 

 

 

陳宮「まさに、一刀殿の人望がなせるワザなのです」

 

 

 

陳宮は腕を組み、得意げにうなずきながら、北郷の人となりが生んだ結果を噛み締めていた。

 

 

 

陳宮「それに、皆が上手に演技をしてくれたおかげで、恐らく曹操軍の間者が北郷軍残党の内部分裂、及び反撃の余地無しという誤った

 

報告をさせているに違いないのです」

 

 

高順「さすがに民含め国全体が演技をしているとは思わないでしょうからね。このような思いもよらない奇策を実行しようとするとは、

 

さすがは雛里といったところですね」

 

 

 

鳳統は、民衆の長達に北郷健在の旨を伝えた際、とある命を下していた。

 

それは、しばらくの間は北郷が死んだという認識で日々の生活を送ること。

 

さらに、外出は必要最低限にとどめること。

 

この2点である。

 

当然最初に聞かされた際、民衆たちはなぜと口々に言ったが、

 

鳳統は曹操軍の間者に偽の情報を持ち帰らせるためと、包み隠さず丁寧に策の実態を明かした。

 

そのような誠意もあって、また、自分たちが北郷直属の軍師が仕掛ける策の一角を担うという自負もあり、

 

民衆たちは快く引き受けたのである。

 

もちろん、そのような演技に加え、強行軍編成に向けた兵糧などの準備も必要になるため難しいところなのだが、

 

そこは、物資の移動は夜中に細心の注意を払いながら行い、また、日中における、

 

民衆たちの想像以上にノリノリの完璧な演技をもってして、見事に曹操軍の間者に偽の情報を持ち帰らせることに成功したのであった。

 

 

 

張遼「まぁ、実際今回は奇襲奇襲で速さが勝負なんやろうし、機動力考えたら3万っちゅーのはちょっと多いような気もするけど、道中

 

の拠点落とすのも考えたら絶妙な数とちゃうかいな?」

 

 

 

曹操軍を攻めるのに3万と聞けば、かなり少ない数字に思えるかもしれないが、今回はいかに早く許にたどり着き、

 

北郷を奪還するかが焦点であり、曹操軍を攻めるということはあまり重要ではなく、数が多くても行軍に支障が出るだけなのである。

 

しかし、一方で許にたどり着くまでに突破しなければならない関門がいくつか存在し、

 

それらを突破できるだけの兵力は必要であり、そのあたりの兵力のバランスというのは非常に難しいところであった。

 

 

 

陳宮「欲を言えばもっと少数で済めばよいのでしょうが、恐らく最大の難関、函谷関が突破できないのです。南に迂回することもできる

 

でしょうが、大人数での山中強行突破は難しいですし、とにかく時間が惜しい今、回り道は首を絞めかねない行動。函谷関の突破は必須

 

なのです。ですが、後で白蓮殿が合流するということを考えれば、この数でも何とか突破できると思うのです」

 

 

 

ここ天水から許に向かうにあたって、いくつかの関所を通過しなければならないのだが、

 

その中でも最大の難所と思われるのが、洛陽の西に位置する函谷関である。

 

これは東に位置する虎牢関と共に洛陽を守る難攻不落の要害であり、

 

本来速攻突破など不可能な部類の関所であるため、ここで時間を取られることは必須であり、

 

逆に言えば、函谷関の突破の速さによって、今回の目的達成の可否が決まると言っても過言ではなかった。

 

 

 

高順「それにしても、まさか白馬義従の残党がまだいたなんて驚きましたね」

 

張遼「全盛期のまんまやったらかなりの戦力になるで」

 

 

 

当の公孫賛はというと、かつての仲間である白馬義従2千ほどが現在幽州の奥地で潜んでいるとのことであり、

 

彼らと合流するために単身幽州へと赴いており、再会次第強行軍に合流という段取りになっていた。

 

 

 

馬超「おーいみんな、アタシらの斥候が戻ってきたぜ。どうやら曹操軍が南に向けて進軍を開始したらしい」

 

 

 

すると、呂布たちの輪に、馬超たちがやって来ると、斥候から曹操軍出陣の報が届いたと伝えた。

 

 

 

馬岱「ごめんね、たんぽぽ達全面協力とか言っておきながらこれだけしか兵を用意できなくて・・・一応他の群雄達の協力は得られたん

 

だけど・・・」

 

 

鳳徳「謝罪ッ!」

 

 

 

実際、馬岱と鳳徳が謝罪するように、涼州軍は潼関でのダメージが大きく、

 

他の群雄を合わせても(実際潼関で被害が大きかったのは他の群雄達ということもあり)1万しか兵を用意できず、

 

また、主だった武将としても、馬超、馬岱、鳳徳の3人しか出陣する事が出来ていなかった。

 

というのも、馬休馬鉄兄弟は、他の群雄達に声をかけて回ったことで体調を崩した馬騰の面倒を見ており、

 

韓遂は馬騰不在の涼州全体をまとめる必要があり動けないということが原因であった。

 

 

 

高順「いえ、潼関での被害は涼州の皆さんが一番大きかったのですし、むしろ協力してくれるのがありがたいくらいです」

 

 

 

しかし、そのような状況であるにもかかわらず、約束通り協力してくれた馬超たちに対して、高順はペコリと一礼した。

 

 

 

張遼「よっしゃ、ついに動き出しよったな。斥候の移動時間も考えたら、もうウチらも動いてもええんとちゃうか?」

 

 

陳宮「そうですな、それでは、皆を集めるです!」

 

 

 

そうして、曹操軍が出陣したことから、こちらも動き出すときと、出陣の号令をかけるべく、陳宮は全員を集めるよう告げた。

 

 

 

 

 

 

陳宮に言われ、現在、呂布、陳宮、張遼、高順、馬超、馬岱、鳳徳を前に、各兵士たちが整列している。

 

 

 

陳宮「あーゲフンッ、まず初めに、涼州の皆さんには、今回我らが主君、天の御遣い北郷一刀のために、戦闘後の疲弊した中、手を貸して

 

くれてありがとうなのです!北郷軍を代表してここで改めて礼を言わせてもらうのです!」

 

 

 

そして、陳宮が一歩前に出ると、まず今回協力してくれる涼州軍に対して礼を述べた。

 

見るからに歴戦の猛者というか、要はガラの悪そうな男が目立つ涼州軍の兵士は整列したまま静かに陳宮の言葉を聞いている。

 

 

 

陳宮「そして、益州の皆も、戦続きで疲弊している中、立ち上がってくれてありがとうなのです!」

 

 

 

さらに、陳宮は自軍の兵士たちに対しても同様に礼を述べた。

 

涼州軍の兵士とは違い、北郷軍の兵士たちからは、とんでもねぇだの、当然ですだの、合いの手が返って来る。

 

 

 

陳宮「それでは本題に入るです!曹操軍も出陣したことですし、さっそく我らも出発するのです!出発後はまず夜襲により最初の関所を

 

突破。そこからはとにかく速度を一番に重要視し各関所を速攻で突破、許へ強行し、一刀殿を救出するです!休息も必要最低限。厳しい

 

行軍になりますが、とにかく、曹操軍が手におえぬと本隊に救援を求め、本隊が戻ってくるまでが勝負なのです!恐らく、二つ目以降の

 

関所では厳戒態勢が敷かれているはずですが、万一、突破に手間取っている間に本隊に戻られては、挟み撃ちに会い万事休すなのです!

 

当然、手薄だからと許城を落とそうなどという考えもなしです!あくまで、一刀殿を救出次第、すぐに長安まで引き返すつもりなので、

 

帰りもまた厳しい強行になることが予想されるのでよろしくなのです!」

 

 

 

そして、一通り礼を述べた後、陳宮は今回の北郷救出の行程を手短に伝えた。

 

 

 

張遼「強行上等!ウチらは一刀のためやったら不可能も可能や!!」

 

 

高順「一番の山場は許で一刀様をいかに救い出すかですね・・・陽動と潜入。幽閉場所の特定と突破・・・許に誰が残っているかがカギに

 

なりそうですね」

 

 

馬超「あとは、そこまでの関所をいかに素早く突破するかだな」

 

馬岱「うー、改めて聞かされるとかなり厳しい行軍だよね・・・」

 

鳳徳「弱腰ッ!」

 

馬岱「えー、レイレイ手厳しいよー」

 

馬超「玲衣の言う通りだぞ蒲公英。ここで弱音を吐くようじゃ、涼州魂が鳴くぜ!」

 

馬岱「ぶーぶー、けどまぁ、ここで手柄を上げて御遣い様のお目に留まらないとダメだし、やっぱ頑張らないとだめだよね!」

 

鳳徳「頑張ッ!」

 

馬超「★■※@▼●∀っ!?」

 

 

 

陳宮の言葉に、各上層部はそれぞれに士気を高ぶらせながら感想を述べるが、

 

しかし、一人不安を吐露した馬岱に対して鳳徳と馬超がツッコみをいれたため、

 

馬岱は反撃と言わんばかりに馬超にのみからかいの一言を告げると、鳳徳までも便乗し、

 

結果馬超一人が顔を真っ赤にさせながら言葉にならない音を発するという、涼州軍にとっての通常運転なやり取りを繰り広げた。

 

 

 

陳宮「あーゲフンッゲフンッゲッフン、では、最後に恋殿、皆に一言お願いするです」

 

 

 

そのような馬超たちのやり取りに対して、陳宮は緊張感がないと言う意味を込めて

 

(というのは建前で、本音は北郷の目に留まる云々のくだりが聞き捨てならなかったというもの)

 

わざとらしく咳払いすると、最後に北郷不在時における代表たる呂布に檄を願い出た。

 

 

 

呂布「・・・みんな、疲れている・・・辛い・・・苦しい・・・けど、一刀は必要・・・みんなにとって、大切な人・・・だから、一刀を

 

助ける・・・だけど、一刀を助けても、誰かが欠けたら、意味がない・・・一刀も、悲しむ・・・だから、みんな、必ず、生き残る・・・

 

生きて、一刀と一緒に、おうちに帰る・・・」

 

 

一同「おぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

口下手な呂布であったが、その一言一言に込められた思いはみんなにしっかりと届いた。

 

それは涼州軍も含めたこの場全員の鬨の声が物語っていた。

 

北郷救出組の、強行軍による命がけの電撃戦が今始まる。

 

 

 

【第八十七回 第五章B:御遣い奪還編③・一刀殿の人望がなせるワザなのです 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第八十七回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

情報を制する者が戦を制するとは言いますが、なかなかどうして、曹操軍がはまりすぎかなと思ったり、、、汗

 

そして、戦続きで体力も兵糧もカツカツの中、一刀君を救出するために頑張ってくれる民衆たち。

 

雛里ちゃんの無茶ぶりに応えてみせる役者っぷりも含め脱帽です。

 

まさに、一刀君の人望がなせるワザといったところでしょうか。

 

また、一刀君救出プランが無謀すぎるとあとがきを書いている今も思っている今日この頃。

 

ご都合主義に走っちゃうかもしれませんが、あまりにひどすぎない限りはご勘弁をば、、、汗

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

幽州になんて帰ったら白蓮の出番なくなっちゃう?そこは作者権限で、、、汗

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
11
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択