No.854717

世界が終わりなんて間違っている 第3話

showtさん

第三話

葉山→八幡の呼び方でふざけているときはヒキタニ
          まじめな時や切迫した時は比企谷みたいなんでその方式でやってます。

2016-06-22 22:43:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:829   閲覧ユーザー数:818

探しに行くんだ~そこへ~♪

 

 

結 衣「ヒッキー携帯なってない?」

 

八 幡「ん……俺の携帯か?」

 

 

 由比ヶ浜の指摘を受けて、ポケットからスマホを取り出すと着信が来ていた。

 表示された発信者の名前は

 

 

 

 

<<一色いろは>>

 

 

 

 その名前を見た瞬間すぐに通話ボタンを押した。

 

 

八 幡「一色! お前無事か!!」

 

 

 俺の声を聞いたメンバーが心配して集まってきた。

 

 

いろは「せ、せんぱい。いまどこですか?」

 

 

 一色の泣き声と共にかすれた声が聞こえてくる。

 

 

八 幡「俺は今、校舎棟の屋上だ。お前はどこにいるんだ?!」

 

いろは「生徒会室です。なんか……暴動が起きたみたいで……生徒会室から出ないでドアの所に……バリケード作って隠れているんですけど、ドアの外見たら変な人たちが人を襲って……ひ、人を……」

 

 

 泣き声交じりで言葉もとぎれとぎれの小さなかすれた声で返してくる。

 

 

八 幡「いい。そのあとは言わなくても」

 

いろは「せんぱい……私ここで死んじゃうんですかね」

 

八 幡「そんなことはない!! 助けに行くから待ってろ!!」

 

いろは「……せんぱいやっぱり優しいですね……でも無理ですよ……生徒会室の前変な人たちがいっぱいいます……たぶん私たちはもう無理ですよ……だから最後にせんぱいに言いたいことがあるんで聞いてもらえますか?」

 

八 幡「最後になんていうな! 生き残っていっぱい聞いてやるから!」

 

いろは「ありがとうございます。でももう話せないかもしれないから今言いますんで聞いてください。……せんぱいと会ったのは私が周りの嫌がらせで生徒会長に立候補させられた時でしたね……あの時はぶっちゃけ変な人としか思ってませんでした」

 

八 幡「お前、それひどいな」

 

いろは「……正直誰でもせんぱいと会ったらそう思いますよ」

 

 

すこし一色が笑ったように感じた。

 

 

八 幡「……よく言われる……」

 

いろは「やっぱりせんぱい面白いですね。私がどんなにかわいく接しても警戒するなんてせんぱいが初めてでしたよ。そして生徒会長になりたくない私に逆に生徒会長になって周りを見返してやれっていうんですもん」

 

八 幡「あれは……実は他に理由があってな……」

 

いろは「知ってましたよ。奉仕部の雰囲気があのころと最近じゃ全然違いますもん」

 

八 幡「……」

 

いろは「でもですね。初めてかわいくふるまっている私じゃない本当の私を見つけてくれたように思えたんです」

 

八 幡「それはお前の買いかぶりすぎだ」

 

いろは「でもせんぱいの前なら本当の私を出しても大丈夫と思えるんです。だからクリスマスイベントの時、本当の気持ちがわからず葉山先輩に告白した後振られた私はせんぱいの前で泣けたんだと思います。それからはむしろ葉山先輩よりせんぱいのこと気になってました。せんぱいの近くに居たくて毎日のように奉仕部の部室に行ってました」

 

八 幡「それは……」

 

いろは「だからですね……明日からもあの部室でまたせんぱいや雪ノ下先輩、結衣先輩といつまでも居れると思っていたんです」

 

八 幡「まだお前は生きてるんだ! だからまたあの部室で雪ノ下や由比ヶ浜と話せる。だから最後まであきらめるなよ!」

 

いろは「そうなればいいんですけどね。でも今の状況じゃ難しいみたいです。だから最後に返事はしないでいいんで聞いてください。私、一色いろはは比企谷八幡先輩のことが……大好きでした」

 

 

 電話の向こうからは一色のすすり泣くような音しか聞こえなくなった。

 

 

???「一色、電話変わるぞ。比企谷よく無事だったな」

 

八 幡「この声……平塚先生ですか? 先生もご無事で何よりです」

 

平 塚「まぁ無事とは言いがたいんだがな……屋上で生き残っているのはどのくらいいるんだ」

 

八 幡「俺・俺の妹の小町・雪ノ下・由比ヶ浜・戸塚・葉山・戸部・三浦・海老名さんの9名です」

 

平 塚「それだけしか……いないのか……ということはあと校舎にいた人は……」

 

八 幡「はい……たぶんやつらにやられたか、若しくはどこかに隠れているかでしょうね」

 

平 塚「はぁ……とりあえず屋上は安全なのか?」

 

八 幡「今のところ屋上は一つしか出入り口がないのでそこにバリケードを作ってですけど……先生たちはそこから脱出できないんですか?」

 

平 塚「むずかしいだろうな……一色が話したと思うが生徒会室の前にはやつらがたくさんいてな……バリケードは作ったことは作ったがいつまでもつかわからん」

 

八 幡「そうですか……いま一色の様子はどうですか?」

 

平 塚「あぁ今、城廻が慰めているが……」

 

八 幡「城廻先輩もいるんですか? 生徒会室の中って何人いるんですか?」

 

平 塚「私・一色・城廻の三人だ。明日のこととこれからの生徒会のことで一色を助けてもらっていたんだよ。それがこんなことになるとは……」

 

 

 普段とは違った悲痛なつぶやきが絶望的な状況を伝えてくる。

 平塚先生の話を聞いているとふと近くに居た雪ノ下が屋上の柵の所まで走っていった。

 

 

雪 乃「比企谷君!! 先生たちにベランダに出るように言って」

 

葉 山「そうか! うちの学校はベランダが飛び出るように作られているから、屋上の柵の部分より外側になるそこから屋上に上るんだな……しかしバリケード作っているなら机とかは使えない。どうやって足場を……」

 

 

 雪ノ下が見つけた活路に葉山が補足を付けたが解決策にはならなかった。

 

 

八 幡「先生! ベランダに出てみてください」

 

平 塚「ベランダか? 一色・城廻ベランダに出て見てくれ」

 

 

 平塚先生の言葉を聞いて一色と城廻先輩がベランダに出てきたのが見えた。

 

 

八 幡「生徒会室のベランダから屋上に上れそうなものないですか? 机とかはバリケードに使っているとしてロープとかないですか!!」

 

平 塚「ちょっと待ってろ。探してみる。取り敢えず一端電話を切るぞ」

 

八 幡「はい。何か見つかったら連絡ください」

 

プツッ

 

 

 

 平塚先生との電話を一時切り、屋上にも何かないかと探していると、手に細長いものを持った戸塚が走ってきた。

 

 

彩 加「八幡! 逃げてきた時に屋上の入口で見つけたんだけど体育祭の時に使わていた縄梯子! これつかえるんじゃない!!」

 

八 幡「ナイスだ! 戸塚。葉山・戸部これを柵の所に落ちないようにしっかり付けとくんだ!! 場所は一色と城廻先輩がベランダに出ているはずだ」

 

葉山戸部「「おう」」

 

 

 葉山と戸部が急いで柵のところへ行き設置し始める。

 その姿を見つつ一色の携帯に電話をかける。

 

 

八 幡「早く出てくれ!」

 

 

 数回のコール音が響き

 

 

平 塚「比企谷どうした?」

 

八 幡「体育祭で使っていた縄梯子を見つけたんで今から降ろします。取り敢えず耐久みるんで一度そっちに降ります」

 

平 塚「おい!比企谷危ない……」

 

ガチャ

 

 

 先生が何か話そうとしていたが急がなければいけないため話の途中だが切ってしまった。

 

 

八 幡「ということで行ってくる」

 

結 衣「なにもヒッキーが行かなくても……」

 

八 幡「いや俺が一番適任だろ! 男の中で一番力があるのは葉山か戸部だろ? 二人には縄梯子が落ちないよう引っ張ってもらいたい。で耐久を確かめるなら残りのメンバーで一番体重がありそうな俺がいいだろ……それに不本意とはいえあいつを見捨てて屋上に来ている。今度こそは助けてやりたい」

 

三 浦「いーんじゃん結衣? ヒキオの話を聞く限り行かせてやらなきゃ」

 

結 衣「優美子……。わかったよ。でもヒッキーちゃんと戻ってきてね」

 

八 幡「おぅ!! 葉山・戸部! 縄梯子頼む」

 

戸 部「わかってるって。だからいろはすのことたのむぜ~」

 

葉 山「本当は俺が行きたいけどいろはの告白聞いちゃお前が行くしかないよな。すまん。あの時生徒会室に行っていれば……」

 

八 幡「それは俺も一緒だ。だから必ず助け出すんだ」

 

葉 山「頼んだ」

 

八 幡「おう」

 

 

 葉山が片手を上げたのでハイタッチで返す。

 その瞬間俺たちの心は一緒になった気がしたが悪い気はしなかった。

 すると……

 

 

彩 加「八幡!僕はぁ!」

 

戸 部「俺も忘れられたら困るっしょ~」

 

八 幡「じゃあ行ってくる!頼んだ!」

 

 

 戸塚と戸部も片手を上げてこっちを見てきたのでさっきのように二人にもハイタッチをかましてやった。

 

 

小 町「お兄ちゃん。友達できたんだね。小町嬉しいよ」

 

海老名「男の熱い友情! ハヤハチにトベツカを混ぜて四人で……キマシタワー! ブハァっ!」

 

三 浦「姫菜! 擬態しろし」

 

 

 なんか聞きたくない内容が聞こえてきた気がするが俺は慎重に縄梯子を降りていく。

 下では一色と城廻先輩が心配そうに見上げている。

 一歩一歩確実に降りてベランダに降り立つといきなり胸に衝撃が走った。

 

 

いろは「せんぱい! なんで来たんですか」

 

 

 涙でぬれた顔を俺の胸に押し付けるように抱き着いてきた。

 

 

八 幡「言っただろ? ちゃんと助けるって……」

 

いろは「ありがとうございますぅう」

 

平 塚「何とかなりそうだな。助かったよ」

 

めぐり「ありがとね。たすかったよ比企谷君」

 

八 幡「お礼は屋上についてからですよ。早く登りましょう。取り敢えず一色・城廻先輩・先生・俺の順番で行きましょう」

 

平 塚「一色と城廻の順番はいいがなんで私より比企谷が先に行くんだ?」

 

八 幡「いえ……確実に上がるには男が下にいるほうがいいでしょう」

 

平 塚「しかし……いや……もめるより私が先に行くほうがよさそうだな。じゃあたのむ」

 

いろは「せんぱい。バックとかどうしましょう。お菓子とか入ってるんで持って行ったほうがいいですよね」

 

八 幡「じゃあ縄梯子の先に結び付けて後で引き揚げればいいだろ。早く行けってバックは俺が結び付けておくから」

 

いろは「わかりました。おねがいします。せんぱい昇っているときに上見ないでくださいね」

 

八 幡「上見ないともしもの場合受け止めれないだろ。気にしないで昇れって」

 

平 塚「安心しろ。二人が昇っているときは私が上を見ているから」

 

いろは「じゃあ安心ですね。いきます」

 

 

 そう言って一色は昇り始めた。

 たどたどしく昇っていくが何とか葉山たちのとこ着いたらしく葉山と戸部に引き上げてもらっている。

 その際、ピンク色のものが見えたのは内緒だ。

 一色が昇ってしまったので次は城廻先輩が昇る番だ。

 

 

めぐり「ぜったい上見ちゃだめだからね。比企谷君」

 

八 幡「だから見ないので早く昇ってください」

 

 

 一色と同じようにおっかなびっくりといった感じではあったが確実に昇っていく様子でこの分だと大丈夫そうだ。

 

 

平 塚「大丈夫みたいだな」

 

八 幡「取り敢えずもう少し足止めできるようバリケードにロッカー押してきますんで先生が昇る番になったら呼んでください」

 

平 塚「分かった。無茶はするなよ」

 

 

 女性の力では動かせなかったのか掃除道具入れのロッカーがあることを見つけバリケードの方まで押しやった。

 バリケードの前までもっていくと先生から呼ばれた。

 

 

平 塚「比企谷! 城廻が昇ってしまったからそろそろ行くぞ」

 

八 幡「分かりました。すぐ行きます」

 

 

 ベランダに辿り着くと既に城廻先輩は引き揚げられた後みたいで今度は見れなかった。ざんねん。

 

 

平 塚「じゃあ行くが危険を感じたら私が昇っていてもすぐ上ってこい」

 

八 幡「分かりましたよ。だから先生早く!」

 

 

 そう言うと先生は先の二人とは違いスルスルと昇って行ってしまった。

 後は引き揚げるだけという時に

 

 

ガッシャーン!!!!

 

 

 音がした方向を見ると生徒会室のドアが破られバリケード部分を破壊してやつらが室内に入ろうとしている。

 上の皆にも聞こえたらしく

 

 

葉 山「比企谷ッ!早く昇ってくるんだ!!」

 

 

 先生を引き揚げながら焦ったように叫んできた。

 俺は焦りながら縄梯子に足をかけていく。

 しかし焦りながら昇ったせいで体重をかけすぎたせいか耐久の限界が来たのか嫌な音を聞いてしまう。

 

 

ブチッ

 

 

 丁度右足を乗せた時に足の高さの辺りで右側の縄が切れてしまったようだ。

 俺は両腕だけで体を支えている不安定な体勢になってしまった。

 

 

葉 山「マズイ!! 縄が切れてる。あれじゃあ昇れない。戸部・戸塚こうなったら俺たちで比企谷ごと縄を引き揚げよう」

 

戸 部「やるっきゃないっしょー」

 

いろは「葉山先輩私も引っ張ります。私たちを助けるためにせんぱいは下にいるんですから」

 

その他「私たちも」

 

葉 山「じゃあいっせーの」

 

 

 俺は何とか左足を上の足場に乗せれないかバタバタしていたが体が上がっていく感覚に気付いた。

 葉山たちが縄を引っ張っているんだろう。

 少し安心しながら生徒会室のほうを見ると偶然やつらと目が合ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八 幡「(マズイマズイマズイヤラレルッ)」

 

 

 

 反射的に目をつぶってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつまでも来ないやつらを不思議に思い目を開けてみるとなぜかやつらは生徒会室から出ていこうとしているところだった。

 

 

八 幡「あれっ?」

 


 
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