No.85420

真・恋姫無双after~蜀の日常・その14(中)~

とりあえず前回登場したオリキャラをちょっとだけ登場させました。事件発生です!!

2009-07-20 00:17:50 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6529   閲覧ユーザー数:5298

成都を発し、荊州経由で呉国首都・建業城に入城した劉姉弟率いる特使団。特使団代表である劉禅と劉永の姉弟は呉王孫権こと蓮華に謁見していた。

「久しぶりだな、2人とも。遠路ご苦労。一刀と桃香は息災か?」

蓮華は我が子を労わる様に目を細めて声をかけた。

「はい、蓮華様。父も母も元気にやってます」

受け応えするのは主に劉禅。その辺の受け応えはさすがに長女とあってか、しっかりしたモノだ。

「しかし桃香は3人目を身籠ったとか・・・こうして女の幸せを迎えられるのも、お前達の父上達が頑張ったおかげだ・・・・さて、雑談はこれまで。独立記念日の打ち合わせをしようか」

それまでの和やかな空気が一変。呉王と蜀の皇女として会議を進める2人。劉永は口を開くことはなかったが、心の中でぽつりと思った。

(姉さんも普段からこのくらいしっかりしてくれればなぁ・・・)

建業城下に建築された蜀の関係者が宿泊する通称『建業屋敷』に一行は入った。

「う~、紫苑さん、暑いよ~!」

庭に面した和室で四肢を放り出してぐったりする劉禅に膝枕を貸してあげながら紫苑が団扇で風を仰いであげている。

「しかたないですよ、劉禅様。建業は成都よりも南に位置していますし、湿気が多い地域ですからね、呉という土地は」

「そういえば平ちゃんと永君は~?」

「関平ちゃんは劉永様と一緒に海に遊びに行きましたよ。『軍船を見学するんだー』って」

「ええ~、ずるい!私も行きた~い!!」

バタバタと足を上下させて暴れる劉禅に紫苑は雲ひとつない、太陽に照らされた庭先を指さして

「あの炎天下のもと、港まで結構ありますけど・・・行きますか?」

「うぅ・・・やっぱりやめとく」

「ふぇ~・・・でっかいね。さすが三国間で最大の水軍を持つ呉だよ」

「まったくですね・・・」

建業の港に停泊してある孫呉水軍の旗艦『孫長卿』に乗船した劉永と関平は先頭を進む茶髪の少女に先導されながら進む。

「この戦艦『孫長卿』は我が孫呉水軍の旗艦。お二方のお父様であられる北郷一刀様のお知恵で建造された物なんです」

「『安宅船』・・・というのですよね。父上の世界の戦国時代に活躍した大型の戦艦・・・」

そうです、とうなずきながら案内役の少女―――呂覇は続ける。

「この戦艦はご覧の通り巨大で速度は出ませんが、巨大であるが故に多くの戦闘員が乗れますし厚い装甲で賊どもの攻撃などものともしません」

「すごいですね・・・」

外から見てみれば、外装に所々黒く焦げた跡がある。これは敵船から火矢攻撃を受けた跡だろう。

一通り案内が終わった後、下船した2人に呂覇は「会わせたい人がいまして」と2人を宿屋に通した。

「円、連れてきたぞ」

しかし中からは何の返事もなく、人の気配もまるでしない・・・

「円?」

ガラッと引き戸を開けると、そこには誰もいない。三畳間の部屋があるだけだった。

いや、何もないわけではなかった。部屋の中央に一纏めにされた桃色の髪の毛が。

「こ、これはどういうことだ・・・?」

クールな呂覇が茫然としている様に、関平と劉永が戸惑っていると、階下から宿の主人の老人が手紙を持って上がってきた。

「この部屋に茶髪の女が来たらこの手紙を渡すように預かってる。ほれ」

老人から渡された手紙を見た呂覇は、黙読を進めるにつれて顔が真っ青になっていく。

「呂覇さん、どうしたのです?」

硬直してしまった呂覇の手から手紙を抜きとった関平は、彼女が真っ青になった理由を理解した。

「劉永様・・・本来ここにいるはずの御人は―――河賊に誘拐されたようです」


 
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