No.853851

IS ゲッター継ぐ者

修正を加えました、第二十一話です。

2016-06-18 16:19:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:667   閲覧ユーザー数:661

「滝沢君、教室でのことは覚えてます? 貴方も悪いですよ。皆の前で喧嘩なんかして、他の人に怪我させたらどうするつもりですか」

 

「……すみません」

 

 

 光牙の部屋で、真耶よりお叱りを受ける光牙。

 

 ベッドに入ったままなのは真耶が良いからと言ったからだが、謝罪する光牙の表情は渋い。真耶もで、本当に謝る相手が違うし、光牙の態度が気になったからだ。

 

 

「やっぱりだ……学校なんて」

 

 

 紡がれた言葉は、真耶の予想していたものだった。

 

 

「どうせ皆に嫌われるんだ。僕なんか」

 

「ま、待って。それは……。今回のは滝沢君にも原因があるんです」

 

 

 顔を上げる光牙に真耶は説明する。一年の時期で訓練機を借りるのがどれだけ難しいか。

 

 入学したての一年より、卒業が近い三年、一年上の二年の方が優先される。それから一年に回って来るのだが希望者はたくさんいて、全てにはとても回りきらない。少なくなった機体の枠に、それを遥かに上回る生徒が毎日申請に来るのだから、授業以外で触れれるのはかなり限られてくる。

 

 そんな中でやっとこさ借りれる、と思えばキャンセルにされ、しかも借りたのが同じ一年。理由が『男だから』では、面白い筈がない。専用機がある事や、話を聞く限りでは光牙の受け答えが無神経だったのもある。光牙が全く悪くない訳ではないのだ。事情があったとしても。

 

 

「だからって……あんなことしていい理由にはならないでしょう」

 

「それは勿論です。でも、喧嘩していい理由にもなりません」

 

 

 ラウラとの喧嘩ははっきり言えば八つ当たり。原因がラウラにあっても、それに乗っかり拳を振るおうとしたら相手と同じだ。

 

 

「そんなの……ボーデヴィッヒだって一緒だ。あの野郎……」

 

 

 拳を握りしめ、まるで目の前にラウラがいるかのように、光牙が前方を睨み付ける。

 

 

「ベーオを直して、ぶっ倒してやる。あの女子達もだ……!」

 

「ダメですよ。そんなことしたら」

 

「止めないで下さい……! 一発ぶん殴ってやりでもしなきゃ、気が済まないんだ」

 

「ダメです! それこそ絶対に!!」

 

 

 憎しみを語る光牙に、真耶がキレた。見たことのない、本気で怒った山田真耶という人間の姿。

 

 

「じゃああんなことされて、黙っていろって言うんですか! アイツらが最初に仕掛けて来たのに!」

 

「それじゃあ相手と同じです! いじめるのは勿論、いけない事ですけど、滝沢君が嫌いなそれになってどうするの!?」

 

「……うるさい。うるさい! 先生に何が分かるんですか! 僕の何が!」

 

「……分かりますよ。悔しいのは」

 

「嘘だ! どうせ皆、僕のことなんか嫌うんだ! 気持ちなんか、わかりっこない!」

 

「ッ!」

 

 

 バシンッ!!

 

 

「えっ……?」

 

 

 自分の気持ちは分からないと言い張る光牙。そこに強烈な平手が叩き込まれた。

 

 半分呆然となる。

 

 

「せん、せい……?」

 

「いい加減にしなさい。そうやって決めつけて、何になるんです。滝沢君は全てにおいて正しいんですか? 全部、自分の考えだって思ってるんですか?」

 

 

 口の中は切れたりしてなかったが遅れてやってきた頬の痛みに何かが込められた重い感じがする。仁王立ちの如く立つ真耶にはさっきとは違う静かな怒りが感じられ、より強く、大きく感じられた。

 

 平手で怒りを折られた光牙に真耶の言葉が染み込んでくる。怒りが冷めていき、代わりに込み上げてきたのは悲しみ。涙であった。

 

 

「なら……どうすればいいんですか」

 

 

 自分が全部正しいなんて、思っちゃいない。

 

 

「どうして、僕をいじめるんだ! 僕だって変われると思ったのに! なのになんで、なんで……!!」

 

 

 それが光牙の本音。偽らざる本当の思い。

 

 バカ正直で、真っ直ぐ。一度思い込んだら中々離れない。敵を倒し前に進んでいたゲッター乗りとは違い、複雑で多様・時間をかけて慣れていく普通の学校や社会という中でのものさしが分からない、子供だった。

 

 過去に学校というシステムの中、人の中で、蔑まれ、暴力を振るわれ、そして見捨てられのだから。

 

 

「滝沢君、来なさい」

 

 

 俯き涙を流していた光牙は、そう言われていきなり手を掴まれ、ベッドから引きずり出される。脱いでいた上着を羽織る間もなく、半分引きずられる様に光牙は部屋から連れ出された。

 

 もしもここで手を振り払っていたら。殴られて真耶に逆上していたら。未来はまた違っていただろう。

 

 しかし光牙は黙ったまま真耶に連れていかれた。何故かは分からないしよく覚えてない。ただ、あれよあれよと言う間に服を柔道の胴着に着替えさせられ、よく分からないまま畳の道場に連れてこられる。

 

 

「ここは……」

 

「柔道や格闘技に使う道場です」

 

 

 確かにそれは、見て分かる。光牙と対峙するよう立つ真耶。着ているのは同じ柔道の胴着で、違うとすれば腰は黒帯。光牙は白帯になっている。

 

 

「なんで、こんなところに」

 

「滝沢君の目を覚ます為です。まだ仕返しを考えているなら、その気持ちをぶつけて下さい」

 

 

 要するに真耶が光牙の暗い感情を受け止めようと言うのだ。

 

 それを聞き、光牙は冗談かと思ってしまった。あのいつもあたふたしている山田先生が? と。

 

 そんなこと出来るのかと考えたが、それを見透かした真耶が言う。

 

 

「ご心配なく。これでも代表候補生だったんですよ、私。生徒さん一人の相手くらい出来ます」

 

 

 いつもの優しい時とは正反対に。自信に溢れ挑発的なことを言ってのける真耶に、消えかけていた怒りが点火する。光牙は思わず構えた。

 

 下に見られている。生徒さん一人などと言われて黙っていられる程、今の光牙は冷静ではなかった。

 

 

「なら、本気でいかせて貰いますよ」

 

「何処からでも、どうぞ」

 

「――はぁぁぁぁッ!」

 

 

 光牙は一気に詰め寄り真耶に掴みかかる。前に向け力を入れた瞬間、畳の感触が足裏から消えた。

 

 体が浮く。ぐるんと視界が縦に回り、逆さまになり、天井が見えた。

 

 

「がふっ!?」

 

 

 一本背負いで投げられたのだ、と光牙が理解したのは、背中から叩きつけられた衝撃と痛みが駆け抜けた時だった。

 

 

「一本、です」

 

「ま、まだまだ!」

 

「好きなだけかかってきて下さい」

 

「でやぁぁぁ!」

 

 

 立ち上がり、また掴みかかる。投げられないよう、今度は力を込めて胴着を握り引っ張る。

 

 

「(投げられない様に、踏ん張れば……)」

 

「足へ力を入れ過ぎるのもダメですよ」

 

「うわっ!?」

 

 

 ドンッ、と真耶の足が、光牙の足を横に払う。投げだけを警戒していた光牙は力を流されて、背中から派手に倒れ込んだ。

 

 

「ぐうっ!?」

 

「終わりですか。滝沢君」

 

「ま、まだまだ、これからだ!」

 

 

 立ち上がり真耶に挑みかかる光牙。だが、どれだけやっても真耶から一本を奪えない。

 

 掴みかかれば投げられ、受け流されて倒され。

 

 距離を取っても考える間もなく一気に詰めてこられ、足を払われたりして倒される。

 

 怒りに任せ突撃しても、力任せに掴みかかっても、こちらからの行動は全部流されてぶっ飛ばされ、投げられ、その度に畳へ叩きつけられた。

 

 

「ぐ、なんの……うぅ……!」

 

「一本」

 

 

 手からすり抜けられるよう回り込まれて胴着の襟を掴まれて首を絞めてくる。柔道のサブミッション『送り襟締め』に光牙は畳を叩き、解放されるなり荒い呼吸を繰り返した。

 

 

「がっ、はぁ……はぁ、はぁ……」

 

 

 叩きつけられまくった全身が痛む。喉は渇き、汗が滴り、体は思い通りに動かない。思わず、前の世界での隼人や竜馬のシゴキを思い出す。今のは死にはしないが、似たようなものだと光牙は感じていた。

 

 

「ま、だ……まだ……!」

 

 

 それでも無理矢理立つ。今の光牙を動かすのは、こんなので負けられないという気持ち。男の自分が女に負けられない、負けたくないという男としてのプライドや根性だけが、光牙を支えている。

 

 

「僕は、こんなんで……」

 

「はぁっ!」

 

 

 体が再び浮く。回転する視界。全身に衝撃。

 

 徐々に視界が暗くなり、感覚、意識が遠くなっていく。

 

 三十八回目の投げ技を食らい、畳に倒れた時であった。

 

 

 

 

 

「……天井が見える」

 

 

 そりゃ仰向けなのだから、両目には天井が見えるだろう。木で作られた天井が。

 

 確かここは、学園の道場だ。少しずつ光牙は思い出していく。確か柔道で真耶に投げられまくり、フラフラになった所にトドメの一本背負いで気を失ったのだ。

 

 

「……負けたんだよな」

 

 

 完膚なきまで叩きのめされた。正直、いつもあたふたしている真耶には負けないと、自分は戦ってきたのだからと傲っていた部分があった。ムキになり本気で挑んでも変わらず、負けた。完全なる敗北。白旗だ。手も足も出なかった。

 

 女に負けて怒りは感じない。そんなのがバカらしい程、叩きのめされたから。

 

 

「大丈夫ですか。滝沢君」

 

「……先生」

 

「はい、どうぞ」

 

 

 やって来た真耶に身を起こす。体が痛むが動かすのなら大丈夫。座る光牙の近くに真耶が座り込み、渡された缶のスポーツドリンクを受け取った。

 

 水分が欲しかったので一気にあおる。身体中に冷たい液体が染み渡っていき、息を吐き出して、ようやく落ち着いた。

 

 

「先生、凄い強いんですね」

 

「これでも先生ですから。それに私より強い人はまだまだいます。ISをちゃんと扱って、理解してる人が」

 

「うっ……」

 

 

 最後のは意地悪か。そんな事を言ってくる真耶に、光牙は言い淀む。緩い様子や理不尽な目から、無意識に見下し決めつけていた自分が恥ずかしかった。

 

 少なくとも、目の前の山田真耶という人間は違う。そう思える。

 

 

「厳しいことをしてすみません。でも私は、滝沢君に力の使い方を間違って欲しくなかったんです」

 

「力の、使い方?」

 

「はい。……力は恐ろしいものです。理解して、慎重に扱わなければ、身を滅ぼしかねません」

 

 

 そう語る真耶の目は、何処か遠くを、ここにない何かを見ている様だった。

 

 

「何かあったんですか? 先生に」

 

 

 気になって問いかけてみると、俯いて真耶は静かに語り始めた。

 

 

「私と母の話です。幼い時に両親が離婚して、私は母に引き取られました。私を養う為に、専業主婦だった母は仕事やバイトを掛け持ちして、朝から晩まで一生懸命働いていました。……でも、父がいた時と比べて貧しく、それで学校や近所からはいじめられてまして」

 

 

 新しいものを買うのも一苦労。使い古したの服や古くさい筆箱などをバカにされ、貧乏だといじめられていたと告白する真耶。

 

 学校では仲間外れに始まり、ものを隠されたり壊されたり、階段から落とされたりした。貧乏だという理由で泥棒の濡れ衣を着せられたこともあったという。

 

 

「酷い……そんなの」

 

「そんな私に母はいつも謝ってきました。お母さんのせいで、ごめんね、と。そんな母を私は支えたいと思い、二人で支えあいながら暮らしてました」

 

 

 そこで、でも、と真耶は表情と曇らせる。

 

 

「……私が中学の時、あの事件が起きたんです。白騎士事件が」

 

「確かそれって」

 

 

 頷く真耶。白騎士事件、それは世界中のミサイルがハッキングされ、日本へ向け2314発のミサイルが発射される。それを白いIS『白騎士』が武器で撃墜し、捕獲に動いた軍をも退かせ、夕日と共に白騎士は消えた……という内容だと、光牙は教科書にあったのを思い出した。

 

 これによりISの性能が知れ渡り、世界はISに注目することになったという。

 

 

「ISが注目の的となりました。けど同時に、歪んだ考えも生まれたんです」

 

「……女尊男卑」

 

「そうです」

 

 

 ISは女にしか動かせない。その性質により、現代兵器を凌駕するISを扱えるのは女だけ=全てにおいて偉い、という考えが生まれてしまった。

 

 女尊男卑の始まりだ。様々な理由で下にみられていた女性が態度を大きくし、社会も女性優遇に変わっていく。 それにより世の女性は更に増長していく。

 

 

「……母もその一人でした。自分はISが使えるから、と威張り、今までいじめてた周りを逆に虐げる様になっていきました」

 

 

 優しかった母は、まるで別人の様になってしまった。いじめていた周囲を黙らせただけでは飽きたらず、見下す様になり更に態度が大きくなっていった。

 

 ISに乗れる、自分はISを動かせると繰り返していた母はやがてIS操縦者になると言い出し、家を飛び出した。そして数年後、真耶の前にIS操縦者になって現れた時はもう別人、誰かと思った程だったらしい。

 

 

『真耶……お母さんやったよ。遂にISの操縦者になったんだよ』

 

『え……え?』

 

『これでもうアンタを誰もバカにはしない。させないよ、ISがあるんだから。ISが……!』

 

『お母さん……?』

 

 

「……あの時の母は今でも覚えています」

 

 

 力を求め続け、そして手にした母の目は濁りきっていて、とても恐ろしかった。それから間もなく、母は病死。ストレスや過労により病気を患っていたのだという。

 

 真耶はというと、良識ある親戚に引き取られ学校にも通わせてもらい死に物狂いで勉強した。そしてISに関わったのは、母がああなったのはISが原因だが、母にも原因があった。母の様な悲劇を生み出さない為に。ISに携わり、代表候補生まで上り詰め、やがて教師になった。

 

 無限の成層圏を冠するIS。それを正しく理解して貰いたくて。

 

 

「先生に、そんな事が……」

 

 

 だからこそ真耶は怒った。光牙が仕返しをすると言った時に。

 

 

「滝沢君が辛いのは分かります。だからといって、力を持ち出して振り回してはいけないんです」

 

 

 大いなる力には、大いなる責任が伴う。クモの糸を操る某ヒーローも、胸に刻みこんでいた。

 

 

「表面だけの力は、人を悪くするだけなんです」

 

 

 真耶の母がISという力に溺れてしまった様に。光牙にそうなってほしくなくて、真耶は語ったのだ。

 

 

「……長くなっちゃいましたね。そろそろ戻りましょうか」

 

「……はい」

 

 

 着替えながら光牙は語られた内容を考える。

 

 力を持つ事の意味、重さ。ベーオを憂さ晴らしに使おうとした自分は、それを理解していなかったと言えよう。

 

 ただ振り回したり、怒りに呑まれれば、己を滅ぼしかねない。

 

 

『光牙、忘れんなよ。力を振るうのは自身自身だが、一番大事なのは……コイツだ』

 

(竜馬さん……すみません。僕、まだまだです)

 

 

 師へと謝罪し、自らの不甲斐なさを悔いる。自分は未熟なのだと、痛感した。

 

 着替え終わると光牙は真耶と部屋に戻る。そこには以外な人物が待っていた。

 

 

「話は終わった様だな、滝沢」

 

 

 千冬だ。時計を見ればもう昼休みではないか。そう言えば腹が減ったと感じる光牙に、千冬が聞く。

 

 

「頭は冷えたか?」

 

「……はい。山田先生にボッコにされましたから」

 

「気づいたのならばいい。話はこれからどうするか、だ」

 

 

 光牙に続く嫌がらせやいじめは勿論だが、ISや整備室が使えないのは良くない。特に整備室が使えなくては、ベーオは壊れたまま。

 

 もしその辺でやろうものなら本当にドワォしかねない。

 

 それを見越し、千冬は一つ提案を送る。

 

 

「どうだ滝沢。企業に修理を頼んでみては」

 

「企業に、ですか……」

 

 

 以前から考えていたことだった。確かにIS学園は一通り施設が揃っている。しかし修理等に限れば、企業の方が専用の設備が整っており、ちゃんと修理できるだろう。毎回の申請や順番待ちもない。

 

 光牙も考えはしていたが、はっきり賛成とは言えなかった。ベーオは異世界のスーパーロボット、ゲッターロボなのだ。今はISになっているが、この世界で未知の技術が使われているには変わりない。

 

 もしもデータを奪われて、それが元で混乱や問題の火種になるのを警戒しているのだ。決めつけるのはよくないが、こればかりは慎重にならざるを得ない。

 

 

「まあ気持ちは分からんでもないさ。だが滝沢、果たしてこのままでベーオが直るのか?」

 

「それは……」

 

「月末にはタッグリーグマッチも控えている。量産機を使うのも手だが、まさか壊れた機体で出ようとは思うまい」

 

 

 それはそうだ。そんなことしたら、相棒が完全にスクラップになるか、最悪ドワォである。シャレにならない、この小説が終わってしまう。

 

 

「それにお前の事も含めて、もある」

 

「僕を?」

 

「滝沢はこれまで学園から出たことがないだろう。外や社会を見て知る機会にもなる」

 

 

 新しい何かとの出会いが何かを生み出す。確かに、と光牙は思った。

 

 

「まずは自分でよく考えてみて下さい。滝沢君」

 

「山田君の言う通りだ。自分で考えて、自分で答えを出してみろ。本当に自分で選んだ答えなら、必ず何処かで納得出来る」

 

 

 そう言い、今まで送られてきた企業のパンフレットや冊子を渡す千冬。

 

 

「……分かりました」

 

 

 光牙は受け取って頷いた。今日はもう部屋にいろ、と言われたので、先生二人が退室するとパンフレットを手に取ってみる。今までは無視したり精々流し読み程度だったそれを開き、書かれている内容を読み始める。

 自分の考えながら、読み進めていく。

 

 読み進めていく内に気になったものがあり、全部読んだ後、それをもう一回読んでから考える。

 

 考えに考え、悩みに悩んで、答えを出す。

 

 自分が考えた、自分だけの答え。

 

 翌日、それを千冬へと相談した。

 

 

「ほう。ここを選んだか」

 

「先生の意見も聞いた上で、ですよ」

 

「ならばいい。ここの所長もいい人で頼りになるからな。確認だが、ここで良いんだな?」

 

「はい」

 

 

 まずは話だけでもと、光牙は日本のとある技研を選んだ。説明が書かれた白い冊子にその名前がこう乗っていた。

 

 

 

 

 

 

 『倉持技研』と。

 

 そしてまた、次の日。

 

 

「じゃ、行きますか」

 

 

 リュックに荷物をつめて、学園から出ていく光牙の姿があった。

 

 

 

 

 

 

「……はい。では、追跡を開始します」

 

 

 ……同時に、後方から光牙を監視する人影も。

 


 
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