No.851100

孤高の御遣い 北郷流無刀術阿修羅伝 君の真名を呼ぶ 24

Seigouさん

決意と旅立ち

2016-06-02 17:24:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4458   閲覧ユーザー数:3262

朝が来る

 

管理者による外史侵攻が現在進行形で行われているにも拘らず、朝霧を通して世界を照らす朝日は毎日変わらない

 

そんな早朝にも拘らず、天角の闘技場では

 

刀誠「はっ!ふっ!しっ!」

 

銀髪の老人が一人、朝稽古に励んでいた

 

戦闘装束を脱ぎ捨て、上半身裸で舞台の上を飛び回る

 

その運動能力、その体の粘りは、八十過ぎの老人のものとはとても思えない

 

筋骨隆々でありながら、その動きは隼の様に鋭く、鹿の様に軽やかである

 

しかも、この動きを1時間近く行っているにも拘らず息一つ乱していない

 

刀誠「こぉ~~~~~~・・・・・ふぅ~~~~」

 

そして、軽く息吹を吐き内功を整え、朝稽古は終了となった

 

凪「おはようございます、刀誠様」

 

刀誠「おお、おはよう楽進ちゃん♪」

 

凪「相変わらず、お早いですね♪」

 

刀誠「ワシらの国では、早起きは三文の徳と言うしの♪・・・・・それにずっとワシの朝稽古を覗き見していたじゃろう♪」

 

凪「ばれていましたか・・・・・」

 

刀誠「うむ、それこそ目を宝石の様に輝かせながらのう♪」

 

凪「うっ!?・・・・・そ、そのような目をしていましたか//////////」

 

刀誠「そのような目で見られては、ワシもまだまだ捨てたものではないのかのう♪」

 

凪「そ、それはもう・・・・・刀誠様、ずっと聞きたかったんですが、どうしたらそのような筋肉質な体を維持できるんですか?」

 

刀誠「な~~~に、日々鍛錬じゃ♪」

 

凪「刀誠様のようなお人でも、日々の験算は欠かせないのですね」

 

刀誠「当たり前じゃ、少しでも怠ればその分錆びついてしまうわい、それはなにも武術に限った事ではない、学問やら、仕事やら、何から何までに通じる事じゃ」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

この言葉に、凪は何とも言えない気分になる

 

刀誠「ん?どうしたのかのう?そのような顔をしていてはせっかくの可愛い顔が台無しじゃぞ♪」

 

凪「か、可愛いだなんて!!?からかわないで下さい!!//////////」

 

刀誠「何を言うておる、こんな可愛い子と睦まじく出来る一刀が羨ましいわい♪」

 

凪「そんな、そのような事////////」

 

刀誠「ワシも一刀の年に戻りたいのう、楽進ちゃんのような可愛い女子ならワシが一刀の代わりに娶っていたものを♪」

 

凪「/////////////」

 

どうやら祖父もかなりの女誑しのようだ

 

血は争えないというか、トンビの子はトンビ、鷹の子は鷹ということであろう

 

凪「・・・・・・・・・」

 

しかし、すぐさま凪は憂鬱そうな顔をする

 

刀誠「どうしたのじゃ?いつもの元気な楽進ちゃんらしくないぞ」

 

凪「・・・・・刀誠様、私は不安でなりません」

 

刀誠「何がかの?」

 

凪「今回、我々は不覚にも隊長の記憶を奪われ、隊長を陥れ、このような状況になるまで追い込んでしまいました・・・・・おまけに、私は隊長の贔屓なまでのご指導をいただいていたにも関わらず、于吉の術に手も足も出ませんでした・・・・・情けない限りです・・・・・」

 

刀誠「・・・・・・・・・・」

 

凪「それに、刀誠様でさえ勝てなかった、あの神農に私達が太刀打ちできるのかと・・・・・」

 

刀誠「それは・・・・・」

 

凪「私はついつい考えてしまうんです、この戦いに私達が勝つ可能性は、万に一つもないのではないかと・・・・・」

 

刀誠「・・・・・確かにのう、客観的に見れば今の楽進ちゃん達ではあの神仙達の陰謀を打ち破るのはかなり難しいかのう」

 

凪「はい、そこでなんですけど・・・・・・・・・・」

 

そして、少し気持ちを落ち着ける間を置いて、凪は口を開く

 

凪「・・・・・私は、旅に出ようかと思います」

 

刀誠「なんじゃと?」

 

凪「このまま刀誠様のお世話を受けていても更に強くなれるとは思います・・・・・しかし、それでは何時まで経っても私は甘えを捨てる事は出来ません、仮にこの先私達があの神仙達を打ち負かす事が出来たとしても、私は再び隊長に甘えてしまうでしょう、そんな甘え驕った自分を捨て去りたいのです!」

 

刀誠「自分の甘さを捨てる為の旅路ということか・・・・・良い心がけとは思うが、まさか楽進ちゃんは、かつての一刀と同じように山賊狩り紛いの大量殺人行為に走るつもりではないじゃろうな?」

 

凪「・・・・・それは」

 

刀誠「確かに今のお主達は一刀に縋っておる、それを自覚した上で自立する為に努力する事は褒められるものじゃ・・・・・しかし、それでかつての一刀と同じ行為に走るというのは自立した内には入らんぞ」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

刀誠「そのような事をしても、一刀を含めたこの国の将達は誰一人として喜びはせん、むしろまた一刀と同じ者が現れてしまっては本末転倒ぞ」

 

凪「分かっています、私が旅をするのは自分の中にある甘えを捨て去り、弱さを克服する為、決して隊長の後ろ姿を追い求める為ではありません」

 

刀誠「・・・・・決めた事なのか?」

 

凪「はい、覚悟は決まりました」

 

その人を刺すような眼差しは、人間として、将として、そして一刀の一番弟子として一つの躍進を遂げた者の目だった

 

刀誠「・・・・・どうやら決意は固いようじゃな、他の娘達にはワシから言っておこう、好きにせい」

 

凪「はい、大変手厚いご指導御鞭撻、ありがとうございました!」

 

そして、凪は縮地法で天角を飛び出したのだった

 

刀誠「・・・・・なるほどのう、一刀が見込んだだけあって素質はワシや一刀を超えておるやもしれん・・・・・あの子なら、一刀の望みを叶えられるかのう・・・・・」

 

一刀の望み、それはこの世界の誰かに殺される事

 

これまで自分が奪ってきた数えきれない命、それに報いる為の贖罪

 

これもある意味では償いの一つなのであろう、一刀本人が望む死に方を与えてやれば、その時こそ一刀が真の意味で自分を許せる時でもある

 

人によっては、それは只の自己満足だと非難する者もいるであろう

 

しかし、人は産まれてくる時代、産まれる場所、産む人間、産まれた時の性を選べるわけではない

 

ならばどう生きるか、何時何処で、どの様な死に様を晒すか、それくらいは選んでも罰は当たらないのではないか?

 

それすらも選べないのであれば、そもそも人生とはなんなのであろうか

 

そのような束縛だらけの世の中など刀誠とて辟易するものである

 

刀誠「(しかし、あ奴はまるでワシを知っているかのような口ぶりじゃったのう)」

 

かつて、神農が自分に投げかけた言葉が妙に胸の内に引っかかり思案にふけこむが

 

悠「ふああああああ~~~、おはよう、じっちゃん・・・・・」

 

沙和「おはようなの~」

 

真桜「じっちゃん、おは~」

 

雪蓮「おはよう、朝から精が出るわねぇ~、今日もよろしくお願いね、おじいちゃん」

 

眠たそうな顔をしながら、将達が闘技場に続々と入ってくる

 

刀誠「おお、おはよう・・・・・眠たそうなのが混じってるのう♪」

 

悠「あたしは、朝は弱いんだよ~・・・・・」

 

沙和「沙和は、まだ眠いのぉ~」

 

真桜「しゃんとすんで、沙和!隊長にしてしまった事を思えば、これくらいなんやねん!・・・・・ところでじっちゃん、凪を見いひんかったか?」

 

沙和「そうなの~、凪ちゃんが何処にもいないの~」

 

雪蓮「いつもなら一番におじいちゃんに稽古を付けてもらっているのに、今日は見ていないの?」

 

刀誠「うむ、楽進ちゃんなら旅に出たぞ」

 

真桜「は!!?旅やって!!?」

 

沙和「なになに、凪ちゃんに何があったの~!!?」

 

刀誠「実はのう、かくかくしかじかでのう」

 

雪蓮「・・・・・まぁ、凪らしいけどね」

 

沙和「凪ちゃん、一言言ってからでもいいのに~・・・・・」

 

真桜「あんの馬鹿、自分一人旅に出たからって、何かが変わる訳でもないやろに!」

 

悠「あいつも、一刀の一番弟子としての自負があったからな、あたし達とは違った意味で一刀に対する思いは強いんだろうな・・・・・それはそうとじいさん、ちょっと話があるんだが」

 

刀誠「む、何じゃ、改まって?」

 

悠「ああ、他でもない一刀の事なんだ・・・・・あたしが一刀と初めて、直接会ったのはこの荊州だった、あたしの一刀に対する第一印象は、不安定な天秤だったよ・・・・・」

 

刀誠「・・・・・天秤か」

 

「・・・・・・・・・・」

 

他の三人も悠の言葉に黙って耳を傾けていた

 

悠「普段、あたし達に見せる姿は安定しているように見えても、裏では激しく揺れ動いている、そして壊れるギリギリの所でなんとか保っている、そんな感じだ・・・・・だけどあたしには、その天秤の上に乗っている物が何なのか未だに分からない、じいさんだったらそれが何か分かるんじゃないのか?」

 

刀誠「そうじゃな・・・・・見方は色々あるんじゃろうが、ワシの見解では、優しさと責任感かのう」

 

雪蓮「優しさと、責任感・・・・・」

 

刀誠「うむ、あ奴はワシの扱きを物心付く頃から受けていたにも拘らず、ただの一度も根を上げる事は無かった、もともとかなりの素質があったからのう、めきめきと腕を上げていったわい、それと同時に人を傷付ける事は極端に嫌っておった」

 

沙和「・・・・・なんだか矛盾してるの~」

 

真桜「せやな、あないに強くて人を傷付けたくないやなんて、どう考えてもおかしいで」

 

刀誠「武と暴力を同等に考えてはいかんぞ・・・・・元の世界に居た時も、あ奴は滅多な事では怒りを面には出さんかった、例え我が身に厄災が降り掛かって来たとしても殆ど感情を出さず乗り切っておった・・・・・まあ、ワシの扱きの賜物なのじゃがのう・・・・・それに逆行するかのように、人の不幸には恐ろしく敏感な所があった、お主達も思い当たる節があるじゃろう」

 

悠「・・・・・ああ、かつて洛陽であいつは美羽の暴政を滅茶滅茶に叱咤した事があったからな」

 

雪蓮「あたしの命を救ってくれた時も、自分の命よりも戦を止める事に躍起になっていたわ・・・・・」

 

沙和「その後、結局月様の所に帰らなかったの~・・・・・」

 

真桜「んでもって、最終的に闇に食われてあの様や、どないなったらあないな人間が出来るんや・・・・・」

 

刀誠「一刀の性格・・・・・いや、一番の原因はワシの教育が足らんかった事じゃのう、ワシが一刀に教えてやれたのはこの北郷流だけじゃったからな・・・・・」

 

雪蓮「そんな、おじいちゃんの責任じゃないわよ!」

 

悠「そうだぜ、あいつの山賊狩りに歯止めが効かなくなった原因はあたし達にあるんだぜ!」

 

沙和「隊長やおじいちゃんの責任じゃ絶対ないの~!」

 

真桜「これが隊長やじっちゃんのせいやったら、ウチらのやってたことはなんやったっちゅうねん!」

 

刀誠「・・・・・そうじゃのう、だから楽進ちゃんも旅に出たのじゃからのう」

 

雪蓮「そうよ、だから今後絶対そんな事は言わないで」

 

悠「ああ、あたし達の立つ瀬がないからな」

 

刀誠「うむ・・・・・」

 

沙和「・・・・・それにしても、凪ちゃん心配なの~」

 

真桜「せやな、一人で無茶せんとええけど・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

于吉「操!操!操!」

 

左慈「縛!縛!縛!」

 

バチィッ!!ビチィッ!!バチンッ!!

 

左慈「なかなか届かないな、こんな強力な因果径は初めてだ」

 

于吉「はい、術式を使っているこちらが疲れてしまいそうです」

 

蓮華「(お願い一刀、私達を守ってぇ!)」

 

杏奈「(ご主人様ぁ、どうかご守護を!)」

 

泰山の神殿では、神仙二人による人体実験がなされていた

 

手の平を蓮華と杏奈に向け操の術式を続け様に発動するも、その度に発動する強力な氣の壁に弾かれる

 

術式を防いではいるものの、いつ自分達に届いてくるか分からない不安に二人の表情は険しくなりっ放しだった

 

于吉「ふむ、連続でかけ続ければいずれは届くと思っていましたが・・・・・これは時間の無駄ですね」

 

左慈「だな、かれこれ2時間ぶっ続けでやっているのに、因果径が切れる気配が無い・・・・・」

 

蓮華「はぁ~~、はぁ~~、はぁ~~・・・・・もう気が済んだでしょう」

 

杏奈「ふぅ~~、ふぅ~~・・・・・貴方方が、ご主人様の守護を破れるはずがありません」

 

于吉「ええ、悔しいですが我々の道術ではあの北郷の因果径を破る事はできないようですね」

 

蓮華「(ほっ、良かったぁ)」

 

杏奈「(ありがとうございます、ご主人様ぁ、ご守護をありがとうございます)」

 

ようやく一息付けて、二人の心に安堵が広がるが

 

于吉「では、やり方を変えましょう・・・・・お二方には、再び北郷の事を忘れて頂きましょうか」

 

蓮華「・・・・・え??」

 

杏奈「い、今なんて・・・・・」

 

左慈「そうだな、どういう訳か最初の記憶操作の道術は通ったからな、まずはそこからやってみるか」

 

于吉「ええ、もしかしたらそこから重ねれば操と縛の術式が通るかもしれませんしね」

 

蓮華「い、嫌・・・・・止めて!!!それだけは止めて!!!」

 

杏奈「もう嫌です!!!またご主人様の事を忘れるなんて、耐えられません!!!」

 

二人の言葉に、これまで気丈に振る舞って来た蓮華と杏奈は一気に顔面蒼白になり許しを請う

 

于吉「我々が傀儡の言葉に耳を傾けるとお思いですか?」

 

左慈「ふん、人形は人形らしく人に弄ばれていればいいんだよ・・・・・やれ、于吉」

 

于吉「はい・・・・・はぁぁぁぁぁぁ」

 

懐から呪符を取出し、力を集中させる于吉

 

呪符から禍々しい気が溢れ、蓮華と杏奈に近付いていく

 

蓮華「嫌あああああああああ!!!!!助けて、一刀おおおおおおおお!!!!!」

 

杏奈「どうかお守りください、ご主人様あああああああ!!!!!」

 

二人の悲痛な叫びが神殿全体に響き渡るも、このような所に助けに来る者など居ようはずも無かった

 

が、しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                           「どうやら、間に合ったようだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左慈「なに!!!??」

 

于吉「っ!!!??」

 

ドゴオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

真横の壁を撃ち貫き、目にも留まらない速さで氣弾が飛来する

 

氣の変動に反応した左慈と于吉は即座に飛び退き、これをやり過ごす

 

蓮華「・・・・・今のは、一刀の雷針砲」

 

杏奈「ご主人、様・・・・・」

 

二人は、北郷流氣弾の一つが飛んできた方向に胸が張り裂けそうになる思いで振り返る

 

撃ち壊された衝撃により煙が舞い上がり、その中から人影が現れる

 

蓮華「ああ、一刀、一刀ぉ・・・・・」

 

杏奈「どうしよう・・・・・ご主人様ぁ・・・・・」

 

自分達が陥れてしまった愛しき人がそこに居るかと思うと、申し訳なさと、嬉しさで一杯なる

 

しかし

 

蓮華「・・・・・一刀、じゃない?」

 

杏奈「裏の、ご主人様・・・・・」

 

そこに居たのは、長い髪を揺らめかせ、全身に邪気を纏った裏の北郷一刀、雷刀だった

 

雷刀「なんだ、こんな所に居たのか」

 

左慈「裏の北郷!!??」

 

于吉「どういう事ですか、なぜ貴方がここに、なぜ我々の居所が分かったのですか!!?」

 

雷刀「いやなに、妙な視線を感じた方向に来てみたら、偶然お前達を見付けただけだ」

 

左慈「妙な視線だと・・・・・まさか、千里眼のことか!!?」

 

雷刀「ほう、お前ら神仙はそんなことも出来るのか、流石はこの世界の管理者を張っているだけあるな・・・・・それはそうと、これはどういう事だ?」

 

視線を蓮華と杏奈に向けると、雷刀の目が細くなる

 

雷刀「なんで孫権と法正がここに居るんだ?おまけにさっきの叫び声・・・・・どうやら、碌でもない事をやっていたようだな」

 

左慈「だからなんだ?北郷の罪の意識そのもののお前が俺達のやる事に干渉するんじゃねえ」

 

雷刀「お前が左慈か・・・・・こうして会うのは初めてだな」

 

左慈「あいにくと、俺は北郷一刀の顔をウンザリするほど見て来たんでね、今更畏まる必要はない」

 

雷刀「そうか・・・・・ならこちらも、畏まる必要はないな」

 

左慈「ぬ!!?」

 

于吉「くっ!!」

 

いきなりノーモーションで間合いを詰めて来た雷刀の当身と蹴り当てが左慈と于吉を襲う

 

なんとかこれをギリギリで躱し、二人は反撃に出るも

 

ガキイイイ!!!   ドスンッ!!!

 

左慈「ぐはっ!!!??」

 

于吉「がふっ!!!??」

 

しかし、最初に間合いを詰めた雷刀は分歩による氣を乗せた分身体で、本命は本体による第二撃であった

 

時間差による攻撃を読めず、当身をまともに受けてしまった二人は壁際まで吹っ飛ばされる

 

雷刀「っ!」

 

ズバッ  スパッ

 

手に邪気を集中させ、手刀で蓮華と杏奈を縛っていた縄を切り落とす

 

蓮華「あ・・・・・雷、刀・・・・・」

 

杏奈「裏の、ご主人様・・・・・」

 

助けてもらった事には感謝してもしきれないが、相手が裏の一刀では蓮華と杏奈はどう対処して良いか分からなかった

 

雷刀「余計な詮索はするな、とりあえずお前達を逃がす」

 

蓮華「きゃあっ!!」

 

杏奈「きゃあんっ!!」

 

そして、二人を抱き抱えた雷刀はその場を離脱しようとする

 

左慈「待てっ!!!」

 

于吉「逃がすとお思いですか!!?」

 

当然そんなことを許すはずがない左慈と于吉はその後を追おうとするが

 

スグワアアアアアアアン!!!!!

 

左慈「うお!!!??」

 

于吉「ぐっ!!!??」

 

一瞬、蓮華と杏奈を宙に浮かせ、振り向きざまに右手を横に振り抜く

 

その強烈な邪気の空圧により、二人の足が止まる

 

于吉「・・・・・なんという威力」

 

左慈「この頑丈な神殿の床を、抉り抜きやがった・・・・・」

 

二人の目の前には、横5メートルに渡る大穴があいていた

 

雷刀「今のは忠告だ、追って来さえしなければこっちは何もしない」

 

そして、蓮華と杏奈を腕に抱え直し、雷刀はその場を去ろうとする

 

于吉「待ちなさい、裏の北郷!!貴方は我々の敵にはならないと言った筈ですよ!!?」

 

左慈「貴様は、あの北郷の罪の意識そのもののはずだ!!なぜこんな事をする、何を考えているんだ!!?」

 

立ち去ろうとする雷刀に、タダで返す訳にはいかないと、二人は僅かでも情報を聞き出そうとする

 

その質問に、まるで等価交換とでも言わんばかりに、雷刀は振り返り答える

 

雷刀「なに、俺が今回手を出したのは、極々個人的な理由からだ」

 

左慈「個人的な理由だと!!?」

 

雷刀「ああ・・・・・左慈、于吉、女に手を出す時はな・・・・・惚れさせるか、対価を払え、タダは許せないな」

 

蓮華「///////////」

 

杏奈「///////////」

 

この女殺しの言葉に、抱き抱えられた蓮華と杏奈は赤面してしまう

 

相手は、裏の一刀と分かってはいても、一刀と瓜二つの顔をしていては体を安定させようと抱き締める手に力が入ってしまう

 

于吉「そのような理由で我々の邪魔をしようというのですか?」

 

左慈「下らないな、裏の人格とはいえ所詮貴様もあの北郷と同類のパン助好きか」

 

雷刀「下らなくないぞ、これは古今東西に渡り、国や文化を問わない絶対のルールだからな、たとえお前達が自由になったとしても、女の扱いを知っていなければ、その先をやっていく事は出来ないぞ、何せ人類の半分は女なんだからな・・・・・じゃあな」

 

そして、雷刀は蓮華と杏奈を抱え悠々と神殿を後にした

 

于吉「・・・・・ご忠告、痛み入ります」

 

左慈「なに真に受けてやがる!!自由になった先の事まで指図されてたまるか!!」

 

自分達は、好きに生きる為にこうして外史の破壊をしているのだ、その先にまで外史の因縁が付いて回るなど、冗談ではない

 

客観的に自分を見つめる于吉と、それに憤る左慈、そして、それに拍車をかける人物が現れる

 

神農「はぁ・・・・・全くお主達は、せっかくワシが持ち帰った必勝材料をあっさり奪い返されおって、本当に自由になりたいと思う気持ちがあるのか?」

 

柱の影から、またもや現れる神農

 

神農「今回は敢えて何もせず、お主達がどうするか見ていたが・・・・・それでは神仙の名が泣くわい」

 

左慈「~~~~~~~~っ!!」

 

于吉「返す言葉もありませんね・・・・・」

 

左慈「なら貴様こそ、何故傍観に徹した!!?自分であいつらを連れて来たくせに、最後まで責任を持て!!」

 

神農「まったく都合の良いことばかり並べおって、お主ら、ワシの助けをなるべく借りたくないのじゃろ?こっちはそこも組んでやっておるというのに、これでは子供の駄々と変わらんぞ」

 

左慈「ぐ・・・・・」

 

于吉「・・・・・言い訳もできませんね」

 

神農「あの裏の北郷の言う通り、仮に外史の鎖を断ち切ったところで、その先を生きていく事など夢のまた夢ぞ・・・・・まぁ、これまで長いこと外史の破壊活動しかしてこんかったお主らに、世間の常識を問うたところで理解出来んと思うがのう」

 

左慈「ぐうううう・・・・・」

 

于吉「・・・・・・・・・・」

 

全く言い返すことが出来ない為、二人とも顔を渋くする事しか出来なかった

 

神農「ワシも気が長い方ではないのでな、道理の通らない悪ガキに息の仕方から教えてやれんぞ・・・・・言っておくが、ワシがしてやるサービスはここまでと思え、ワシもお主達には期待しておったがここまで人の好意を生かし切れんとなると、常人としても下の下じゃ、期待しておった自分が馬鹿じゃったと思えてくるくらいにのう」

 

そう吐き捨て、神農は消えていった

 

左慈「くっそおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

如何ともし難い悔しさを隠しきれず、蓮華と杏奈が縛られていた柱に蹴りを入れる左慈

 

于吉「・・・・・左慈、今後の方針を考えましたが、暫く別行動を取りましょう」

 

左慈「なんだと!?」

 

于吉「悔しいですが、我々がどんなに声高に叫んだところで今のこの現実が変わる訳ではありません・・・・・私は、暫くこの神殿の奥に引き籠る事にします、あの裏の北郷の対策も急務ですからね」

 

左慈「何をするというんだ?」

 

于吉「そこは、お互いに干渉は無しとしましょう、我々は長いこと行動を共にしていたが故に、一人で何かを成すという事を怠って来たというのも事実ですからね」

 

左慈「・・・・・・・・・・」

 

于吉「では、私はこれで・・・・・左慈もここは一つ、自分の力のみで何かを掴み取ってみては如何ですか?」

 

そして、于吉は神殿の奥へと消えていった

 

左慈「ったくどいつもこいつも!!!分かった、俺は俺で好きにやらせて貰う!!!」

 

そして、左慈は神殿を飛び出し、この外史の世界へ一歩踏み出したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮華「・・・・・雷刀、聞かせてくれない?」

 

杏奈「はい、何故私達を助けてくれたのですか?」

 

両腕に抱き抱えられ、移動している最中、蓮華と杏奈は雷刀に質問を投げかける

 

雷刀「言った筈だ、余計な詮索はするなと」

 

杏奈「そうもいきません!」

 

蓮華「そうよ、助けてくれたからには理由くらい教えてくれてもいいでしょ!」

 

雷刀「喋っていると舌を噛むぞ」

 

蓮華「きゃあああ!!!」

 

杏奈「うああああ!!!」

 

縮地法、午の型、筍歩による超高速移動

 

発生するGは、これまで体験した事の無いもので、二人は必死に雷刀にしがみ付く

 

杏奈「・・・・・それにしても、ここは何処なんですか!?」

 

蓮華「ええ、私達は何処に囚われていたの!?今は何処を走っているの!?」

 

筍歩によってぶっ飛んでいく風景

 

速過ぎて二人は自分達が今何処に居るのか分からなかった

 

雷刀「何も知らなくていい、俺はお前達を天角に戻す、ただそれだけだ」

 

蓮華「そういう訳にもいかないわ!!」

 

杏奈「そうです、ようやく奴らの根城を見つけたというのに!!」

 

雷刀「はぁ、面倒臭い」

 

トトン!!

 

蓮華「うっ!!?」

 

杏奈「ぐっ!!?」

 

一瞬蓮華と杏奈を宙に浮かせ、首筋に手刀を落し気絶させる

 

雷刀「ったく、世話を掛けさせるな」

 

そして、二人を抱え直し、雷刀は再び駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「まだなの!?まだ奴らの根城は見つからないの!?」

 

桂花「駄目です、有力な情報は入ってきません・・・・・」

 

雪蓮「これだけ探しても見つからないと言う事は、そもそも根城なんて無いと思った方が良くない?」

 

冥琳「いや、それは考え難いだろう」

 

朱里「そうですね、いくら神仙と言っても、彼らも人である事に変わりはありません」

 

詠「ある程度の拠点が無ければ、そもそも蓮華と杏奈を攫う事なんて出来ないもの」

 

三国の兵を総動員して神仙達の根城を探させている三国の将達だが、なかなか有力な情報は入ってこなかった

 

蓮華と杏奈の事もあるので、時間が経つほど焦りは募る一方だった

 

しかし

 

刀誠「・・・・・・・・・・」

 

その会議の輪の中にいる刀誠は、ある気配に気付いていた

 

時雨「・・・・・どうされましたか、おじい様」

 

百合「なんだか、嬉しそうな顔をしていますけど・・・・・」

 

刀誠「いや、ひょっとしたらじゃが、今お主達が抱えている問題が一部解決するかもしれんぞ♪」

 

桔梗「それは、どういう事であろう?」

 

刀誠「ふむ・・・・・そこに隠れておる者、出て来たらどうじゃ♪」

 

華琳「っ!!?まさか!!?」

 

雪蓮「また左慈と于吉!!?」

 

桃香「それとも、神農さん!!?」

 

刀誠が顔を向けた方向は玉座の間の扉、その方向に一同は一斉に武器を向ける

 

雷刀「・・・・・ふん、やはりじじいの鼻は誤魔化せないか」

 

華琳「ら、雷刀!!?」

 

桃香「裏のご主人様!!?」

 

雪蓮「どうして、なんで雷刀がここにいるのよ!!?」

 

扉の影から出て来た裏の一刀に一同は度肝を抜かされる

 

雷刀「ったく、空気を読んで欲しいぜ、俺としてはすぐにでもトンズラしたかったんだが、じじいのせいで台無しだ」

 

思春「おい、質問に答えろ!!」

 

雷刀「そんな事はどうでもいい・・・・・それより、お前達が欲しがっているものを連れてきてやったぞ」

 

そして、雷刀が扉の影を見据えると、二人の人物が顔を出す

 

亞莎「れ、蓮華様!!!??」

 

鈴々「杏奈お姉ちゃん!!!??」

 

蓮華「た、ただいま・・・・・」

 

杏奈「皆さん、ご迷惑をお掛けしました・・・・・」

 

どうしても居心地が悪そうに、二人は足取り悪く出てくるが

 

小蓮「うわぁ~~~~~ん!!良かった、良かったよぉ~~、お姉ちゃ~~~~ん!!」

 

柊「杏奈さん、本当に杏奈さんなんですよね!!?」

 

雛罌粟「良かったです、本当に良かったですぅ~~~!!」

 

蓮華「シャオ、心配をかけてごめんなさい・・・・・皆さんも大変ご心配をおかけしまして、申し訳ありません」

 

杏奈「ごめんなさい、柊、雛罌粟・・・・・」

 

二人の居心地の悪さなど関係なく蓮華には小蓮が、杏奈には柊と雛罌粟が泣きながら抱き付いてくる

 

雪蓮「蓮華、杏奈・・・・・どうして雷刀と一緒に居るの?」

 

星「ああ、一体何があったというんだ?」

 

蓮華「それは、この雷刀が・・・・・」

 

杏奈「はい、裏のご主人様が左慈と于吉の手から私達を救い出して下さったんです・・・・・」

 

華佗「雷刀、何のつもりだ?」

 

風「はい~、お兄さんが歴史に介入する事をあれほど否定していたのに、これでは真逆になってしまいますよ~」

 

雷刀「簡単な事だ、俺としては、ここで孫権と法正にくたばってもらっては困るからだよ」

 

華佗「また、歴史か・・・・・」

 

雷刀「その通りだ、本来の歴史ではここで孫権と法正は死んではならないからな」

 

稟「本当にそれだけですか?」

 

桂花「ええ、あれだけ北郷を殺す事に躍起になっていたあんたが・・・・・どういうつもりなの?」

 

雷刀「さっきも言った様に、孫権と法正はこの時間帯ではまだ生きていなければならない・・・・・俺としては、お前達には生きている限り、未来永劫殺し合いをしてくれるのが理想的なんだよ」

 

刀誠「こりゃ、せっかくここまで仲良くなれたのに、それを台無しにするやつがあるか!」

 

雷刀「じじいこそなにトチ狂ってやがる、魏呉蜀の三国がその持てる力を全て戦に使い、自らがこの大陸の覇者になる為にしのぎを削って殺し合う果ての見えない興亡史、それが三国志だぞ」

 

刀誠「・・・・・・・・・・」

 

雷刀「本来なら三国同盟なんてものは存在しないし、こうやって三国の首脳が雁首揃えて仲良くしている事の方が異常なんだよ、だいいちここで乱世が終わってしまえば、一番困るのは先を生きる俺達だぞ、何せ三国志そのものが生まれてこない可能性だってあるんだからな」

 

刀誠「・・・・・まぁ、の・・・・・じゃが、三国の主な将達がこのように女子と化していてはのう・・・・・」

 

雷刀「そんなもの関係あるか、今が後漢末期の時代であるからには、戦乱は今後400年続かなければならないんだよ・・・・・なんだったら、俺がこの場で、この似非三国同盟をぶち壊しにしてやってもいいんだぞ」

 

「!!!???」

 

手の平から邪気を放出し、殺気を醸し出す雷刀に一同は己の武器を構える

 

雷刀「・・・・・ふんっ、安心しろ、俺はお前達の仲に干渉はしない」

 

葵「一体どういうつもりなんだ?」

 

雷刀「今更俺やあの阿呆が介入したとしても、ここまで捻じ曲がった歴史を修正する事はもはや不可能だからな・・・・・俺がその二人を助けたのは、まぁ只の気まぐれと思ってくれればいい」

 

華琳「なら雷刀、あなたは蓮華と杏奈を何処から連れ出したの!!?」

 

桃香「そうです、そこがあの人達のお城なんですよね、教えて下さい!!」

 

雷刀「答える訳がないだろう」

 

桃香「何故なんですか!!?」

 

雷刀「俺は誰の味方にも、敵にもならん、仮に左慈と于吉がこの世界を滅ぼしたとしてもそれはそれだ」

 

葵「ふざけるな!!!せっかくここまで三国が纏まったってのに、わけ分からん奴らに全てを台無しにされてたまるか!!!答えろ、奴らは何処に居るんだ!!!?」

 

雷刀「断る・・・・・それと、そこに隠れている四人、出て来たらどうだ?」

 

貂蝉「・・・・・う~~~ん、流石はあのワイルドなご主人様の裏の人格ね♪」

 

卑弥呼「こちらも気配は完全に絶っていたつもりなんだがな」

 

管輅「神仙の術式も顔負けね、こんな簡単に探知されるなんて」

 

龍奈「・・・・・・・・・・」

 

指を刺された柱の影から、肯定派管理者と龍族が出て来た

 

管輅「こうして会うのは、始めてね、裏の北郷一刀」

 

雷刀「管輅か・・・・・色々とあの阿呆に助言をくれたみたいだな」

 

管輅「あら、迷惑だったかしら?」

 

雷刀「・・・・・いや、そっちのやる事に俺は干渉しない・・・・・それと、久しぶりだな、龍奈」

 

龍奈「っ!!!??」

 

その呼び掛けに龍奈はビクッと体を強張らせ管輅の後ろに隠れる

 

貂蝉「あらあら、どうしちゃったの、龍奈ちゃん」

 

卑弥呼「そんな事では、龍族の名は地に落ちるぞ」

 

龍奈「だって、私こいつ苦手なんだもん・・・・・」

 

荊山であれだけの事があったため、龍奈は軽くトラウマを植え付けられていた

 

おまけに、中身は正反対なくせに一刀と瓜二つの顔をしているため、手を出し辛い

 

雷刀「こりゃ嫌われたもんだ・・・・・まぁ、今更誰に嫌われようと好かれようと関係ないがな・・・・・じゃあな」

 

そして、雷刀はその場を去る

 

華佗「待て雷刀!!まだ話は終わってないぞ!!」

 

刀誠「これ!!待つのじゃ、雷刀!!」

 

貂蝉「ちょっと待って、裏のご主人様!!」

 

そして、その後を華佗と刀誠と管理者と龍族が追って行った

 

華琳「・・・・・やはり、まだ彼は一刀を殺すつもりみたいね」

 

桃香「こんな、こんなことって・・・・・」

 

雪蓮「どうやら、彼から奴らの根城を聞き出す事は出来なさそうね・・・・・」

 

雫「皆さん何を言っているんですか!!?ここに一番よく知っている人が、二人居るではありませんか!!」

 

菖蒲「そうです、蓮華さんと杏奈さんは、攫われた張本人なんですよ!!」

 

桃香「あ!!?そうだったね!!」

 

華琳「私としたことが、とんでもない間抜けね・・・・・」

 

雪蓮「蓮華、杏奈、あなた達は何処に囚われていたの?」

 

蓮華「・・・・・ごめんなさい、私達は雷刀に気絶させられて、・・・・・」

 

杏奈「はい、神殿に囚われていたのですが、それ以外は全く分からないのです・・・・・」

 

桂花「なによそれ、神殿だけじゃどうしようもないわよ・・・・・」

 

穏「神殿なんて、大陸の至る所にありますからね、お手上げですか~・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華佗「・・・・・それにしても、お前あれだけの怪我を負っていたのに、よくこの短期間でそれだけ回復したな」

 

雷刀「俺の本体はあの阿呆だからな、あいつの体が癒えれば自然と俺も癒える、あいつが死なない限りよほどの事が無ければ俺は死なん」

 

その後、五人の説得に応じ、雷刀は東屋にて話し合いの席に座っていた

 

刀誠「それで雷刀よ、一刀の居場所は喋らんのじゃな」

 

雷刀「それはじじいが一番厳格だろうが、どうせこの3人にもあいつの居場所を口止めしているんだろ、北郷家の家訓を誰よりも重んじているくせに、適当な事を言うな」

 

刀誠「おお、流石は裏の一刀じゃ、ワシの事をよく分かっておるのう♪」

 

管輅「私達としても、予想外だったわ、まさか貴方が孫権と法正を救出するなんて」

 

貂蝉「ええ、最悪の場合は私達で助けに行くつもりだったわよん」

 

卑弥呼「しかし、よく神農が居るあの神殿からあの二人を連れだすことが出来たものだ」

 

雷刀「?・・・・・神農?なんのことだ?」

 

貂蝉「その様子だと、師匠のご相方には会っていないようね」

 

卑弥呼「むぅ、自分で孫権と法正を攫っておいて、何を考えておるのだ・・・・・」

 

雷刀「なんだ?どういうことだ?」

 

刀誠「実は、かくかくしかじかでのう♪」

 

雷刀「なに?じじいが手も足も出なかっただと?」

 

龍奈「・・・・・あまり、驚いていないみたいだけど」

 

雷刀「そりゃあな、それ位の力を持っている相手なら、衰えたじじいでは相手にならないだろう」

 

卑弥呼「その衰えた老人に敗れた者の言葉ではないであろう」

 

管輅「ええ、人の事は言えないでしょうに」

 

雷刀「まぁな、それについては返す言葉は無い・・・・・それにしても、神農か・・・・・」

 

そこで雷刀は深く考え込む

 

華佗「どうした、何を考えている?」

 

雷刀「いや、華佗も大変だと思ってな、まさか五斗米道の創始者が敵に回るとわな」

 

華佗「~~~~~っ・・・・・」

 

嫌味としか聞こえない雷刀の言葉に、華佗は遣る瀬無い気持ちを隠せなかった

 

雷刀「・・・・・分かった、俺も暫くここに滞在しよう」

 

華佗「な、なんだと!?」

 

卑弥呼「一体どういう風の吹き回しかのう?」

 

管輅「あなた、歴史に干渉しないのではなかったの?」

 

雷刀「それは俺にだけ言えた事ではないだろう、お前達だって似たようなものだろうに」

 

貂蝉「そうねん、私達管理者だって本来外史に居ない存在だしねん」

 

雷刀「それに・・・・・じじいの事をこのまま放っておく事は出来ないしな」

 

刀誠「・・・・・・・・・・」

 

雷刀の刀誠を見る目は、何処となく暗く、冷たかった

 

龍奈「(うううう~~、勘弁してよぉ~~、一刀と同じ顔をしてるのに、これだったら居ない方がマシだよぉ~~)」

 

一刀本人なら、周りに誰がいようとお構いなしに甘えるが、裏の一刀が相手では龍奈も震えて管路の後ろに隠れる他なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凪「はあっ!!!!せやあああ!!!!」

 

ズドオオオオオオオン!!!!  ドゴオオオオオオオン!!!!

 

森の中の大木に藁を巻き、それに当身、蹴り当ての嵐を浴びせる凪

 

その強烈な殴打に直径三メートルはありそうな大木が悲鳴を上げる

 

木の殴った跡は大きく陥没し、その威力の凄まじさを体現している

 

しかし

 

凪「はぁ、はぁ・・・・・駄目だ、これくらいの木くらい一撃で粉砕できなければ話にならない」

 

これでも凪は満足しない

 

確かに、一刀、雷刀、刀誠ら北郷流の使い手、恋や葵であればこれくらいの木くらいは一撃で薙ぎ倒せるだろう

 

凪「足りない、まだまだ足りない!あの人達に追いつくには、こんな程度では足りない!!」

 

自分にとって、まさに雲の上の人達に一歩でも近づく為に、凪は更に自分を追い詰める

 

敢えて氣を外には放出せず体の内側に集中させ、硬気功で自らの体を鋼とする

 

かつて一刀に言われた言葉、北郷流の技を自分の中に取り入れる、これを成す為に更に厳しい鍛錬に打ち込んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左慈「くそっ!!勢いに任せて飛び出したはいいが、何をする!!?」

 

神農の言葉に触発され、神殿を飛び出した左慈はいきなり途方に暮れていた

 

左慈「ったく、俺は神仙だぞ、外史の頂点に立っているはずなのに、何だこの体たらくは!!?」

 

愚痴を零しながらも、ひたすらに森の中を突っ走る

 

左慈「世間の常識だと、そんなものは自由になってからいくらでも学んでやる、この外史の北郷だけでもこれだけ手古摺っているのに、そんなもの気にしていられるか!!」

 

そんな、『だからお主は駄目なのじゃ』と神農から言われそうな言葉を口にする左慈

 

その時、川に辿り着いた

 

左慈「大分走ったか、ここは・・・・・豫洲の汝南か、知らんうちに天角に大分近付いちまったか・・・・・」

 

泰山の神殿からここまで休み無しで走ってきたにも拘らず、左慈は息一つ乱していない

 

これ程の体力を持ち合わせているにも拘らず、あの一刀に歯が立たない事実

 

一体自分には何が足りないのか、それを考える

 

左慈「・・・・・少し小休止とするか」

 

法衣を法術で消し、上半身裸になった左慈は川に入り体を清めていく

 

その時

 

凪「あ・・・・・」

 

左慈「なに・・・・・」

 

森の中で、天の御遣いの一番弟子と、否定派の管理者が遭遇する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、Seigouです

 

今回は割と早めに投稿出来ました、何とか時間を見つけてはパソコンに向かう事を繰り返し、なんとか失速だけはしないようにしています

 

さて、前回のキャラ人気投票なんですが、コメントにもありますが、思っていたよりも投票率が伸びなかったので、無しとさせていただきます

 

それじゃあ、次はいつやるかなんですが、全くの未定です

 

理想は、阿修羅伝と鎮魂の修羅が完結してからなんでしょうけど、その後特別小説を書くことが出来るモチベーションを自分が持っているかといったら微妙な所なんですよね

 

今でさえやっとこさ投稿に結び付けているというのに、おまけに二つも作品を抱えている為、何時完結するか分からないのに、そんな先の事を考えていられないのが現状です

 

ですから、最悪この話は白紙撤回に、となる可能性が大です、皆さんも期待しない方が身の為でしょう、期待を大きくし過ぎると破裂した後が怖いですからね

 

という訳で、この後の展開は、皆さんも大体想像がつくでしょう・・・・・待て!!!次回!!!


 
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