No.848603

32.長安奪還 後編

長安での騒動、天界の戦士により静まる。

2016-05-20 08:30:22 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:522   閲覧ユーザー数:507

長安での戦いは終息に向かいつつある。

 

長安の2つある防壁は連合軍により陥落。大明宮に曹操軍を先頭に突入が開始された。

しかし李傕・郭汜軍は未だに帝を手中に収めており、帝を人質にされていてはこれ以上の突入は最悪、帝が殺害されてしまう可能性がある。

 

それを見越して俺は単身で大明宮に潜入し、連合軍に注意が向いている間に反乱分子2名と帝がいるであろう玉座の間へとHK416を構えながら通路を進んでいた。

 

 

「連合の奴等が来たぞ⁉︎」

「どうするんだよ⁉︎俺たちは孤立しちまったぞ⁉︎」

「逃げるしかない‼︎逃げるしかないぞ⁉︎」

「だが何処に逃げ……」

 

 

曲がり角にいた見張りを黙認し、HK416を構えると一気に飛び出して歩きながら敵兵の頭部に5.56mm弾を撃ち込む。いきなりの出現に敵兵は声を上げる暇なくその場に倒れた。

 

 

「なっ……なんだ⁉︎」

「敵だ‼︎敵が入り込んでいるぞ‼︎」

「帝を絶対に渡すな‼︎一歩足りとも引くな‼︎」

 

 

曲がり角の先に敵兵がいたみたいだ。それにより辺りが騒がしくなるが仕方がない。

ゆくゆくは騒がしくなるから速まったに過ぎない。

 

向かってくる敵兵を射殺しつつ、皇甫嵩より知らされている情報通りのルートで前進。やがて玉座の間らしき大きな扉の前に到着したが直ぐには突入しない。

 

近くにあった柱に登って天井裏に入り込み、音を立てないで慎重に進む。埃が積もりまくっていたが気にしないで手頃な板を少しだけ動かし、ゆっくりと中を伺った。

 

 

「くそっ⁉︎奴等帝がいるってのに構い無しかよ⁉︎」

「慌てるな。帝がいる限り奴等には何も出来ぬ」

「くそっ……おい帝‼︎さっさと俺様達に帝の座を明け渡しやがれ‼︎」

「左様ですぞ霊帝様、我等に帝を明け渡すだけで身柄は丁重に扱わせて頂けるのです。開け渡さぬというのであれば………喉から赤い水が湧き出すことになりますぞ……」

 

 

玉座に座っている霊帝に対して李傕は短剣を見せて脅迫し、郭汜は穏やかな口調とは裏腹に遠回しに脅迫をしている。

これ以上はまずいと判断した俺はフィールドポーチからC2爆薬を取り出し、それを円形状に設置。同じくパラコードを取り出して近くの支柱に括り付ける。身体にもカラビナで繋げて先程仕掛けたC2の中心に立ち、起爆スイッチを取り出してスイッチを押した。

 

 

 

 

 

 

その瞬間にC2は円形状に起爆して天井裏に穴を開ける。その中心にいた俺の身体も自然と落下していくがこれでいい。

 

 

「なっ………」

 

 

いきなりの爆破に驚いたみたいで李傕は固まってしまったが、ロープで降下しつつHK416の照準を李傕の顔に合わせて発砲。そのまま李傕を仕留めた。

 

 

「なっ……貴様……」

「動くな‼︎人質を解放し、武器を捨てて床に伏せろ‼︎」

「だ……黙れ⁉︎天界の戦士と云われてる程度の分際で偉そうに⁉︎」

「もう一度いう‼︎直ぐに人質を解放して降伏しろ‼︎」

「う……動くな‼︎貴様なんぞに私の理想を邪魔させんぞ‼︎」

 

 

郭汜は帝の腕を掴むと喉にナイフを突き付けて盾にする。帝は気を失っているようであり力なく首を頷かせるが見事なまでに射線が被る。

 

 

「最後の警告だ‼︎3つ数える間に降伏しろ‼︎さもなくば貴様を射殺する‼︎1‼︎」

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ⁉︎」

「2‼︎」

「くっ……くそったれがあぁああああっ‼︎」

 

 

ながば焼になって郭汜はナイフを振りかざすが奴の頭が射線に入る。降伏の意志無しと判断した俺は的確にHK416の照準を奴の頭に合わせてトリガーを弾いた。

 

郭汜の身体はナイフを手放して仰け反るように玉座の階段を転がり落ち、動かなくなった。そして帝は階段には転げ落ちず、玉座に凭れかかるように倒れた。

 

すぐに帝に歩み寄り、脈を計るが意識はあった。単に気絶しているだけのようだ。

 

帝を救い出した直後に玉座の間の扉が大きく開き、そこには曹操、皇甫嵩、馬騰の姿があった。

 

 

「帝様‼︎ご無事でしょうか⁉︎」

「リアン………まさか帝は亡くなったの?」

「安心しろ。気を失っているだけだ。目立った外傷もないから命には別状はないだろう」

「そうか……安心したよ………って何処に行くんだ?」

 

 

馬騰の呼び掛けに答えないで俺はHK416のマガジンを交換し、そのまま玉座の間から立ち去ろうとするが説明だけはしておいた方がいいだろう。

 

 

「李傕と郭汜は死んだ。俺は引き続き敵軍への降伏勧告をしに城外へと向かう。事後処理はそっちに任せた」

 

 

それだけ言うと俺は玉座の間から退出し、敵軍への降伏勧告をしに向かった。反乱軍は指導者2名が死んだことと帝が無事だと聞かされた瞬間に各地で降伏をしていき、従わないものはすぐ駆逐される。

 

長安奪還戦は形だけなら鎮圧側の勝利だが、漢の衰退ぶりは明らかに広まるだろう。

 

後で知ることになるが俺は今回の帝救出戦でかなり有名になってしまったみたいで、各地において‘‘天界の戦士’’の他に‘‘班目の救出者’’みたいな言い方をされるようになる。

 

ひとまずは霞達と合流して事後処理を済ませた後にさっさと天水に帰還するが何か行動を起こした方がいいだろう。後々の不安を感じながら降伏勧告を行なう為に外に向かうのであった……………。

 

 

 

 

 

 

・?

 

あらあら……李傕さんと郭汜さんは失敗したみたいね……。

せっかく長安に帝が来るということを内密に伝えて2人に有利な状況を作ってあげたというのに所詮は小物。この程度の力しかない凡愚だったのね。

 

もう凡愚のことなんてどうでもいいわ。

 

いま私が興味あるのは彼…………‘‘天界の戦士’’。

 

果たして私が思い描くような駒かしら……。

 

 

そんなことを考えながら私は天界の戦士の姿を遠くで眺めながらゆっくりと姿を消した……………。


 
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