No.847314

真・恋影無想

月神さん

投稿です。しばらくは中くらいの文章量でハイペースで行きます。地和の拠点。

2016-05-12 14:40:37 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1624   閲覧ユーザー数:1426

拠点ノ巻〝一幕〟

 

 

SIDE・地和

 

 

運命だった。軽い気持ちから邪悪な物に手を出し暴動を起こし多くのひとを傷つけた私を心身共に彼は救ってくれた。楽しくて、幸せで溢れていた。愛する姉妹と、愛する彼に支えられながら歌を歌える。そんな日々が死ぬまで続く事を夢見てた。

 

 

でも突然、彼は居なくなってしまった。悲しかった、でも泣かなかった。泣けば声が枯れてしまう、涙で顔が腫れてしまう。私達は皆へ歌を届けるのが仕事。不安や悲しみを届けてはいけない。私達の歌を待ってくれている人がいる。だから泣かない。それが彼が教えてくれた〝ぷろとしての振る舞い〟だから。

 

彼がいなくなって少ししてから蜀の白蓮さんが代理で私達の世話をしてくれた。彼女はとても優しかったし努力家だった。一生懸命私達の世話をしてくれた。

 

暫くして華琳様が正式な後任として曹紀と言う男を連れてきた。私は初めて曹紀を見た時に何故かは分からないが激しい嫌悪感を覚えた。それでも仕事は仕事。そうやって割り切った。

 

でも、関わってみて直ぐに嫌悪感の正体に気づいた。〝コレ〟は〝彼〟に似ているんだと。

 

体型、声質、性格、仕草。瞳の色や髪の色こそ違うものの明らかに彼に酷似していた。とう言うよりわざと真似ているような違和感を覚えた。でもその違和感を覚えたのは私だけだった。

 

会う度に膨れ上がる強い嫌悪感。それでも仕事だ。私は歌を歌い続けた。彼と約束したから。

 

だが、ある時見てしまったのだ。お姉ちゃんと人和が曹紀に抱かれている所を。そして曹紀の顔が歪(いびつ)に歪んでいる所を。

 

それから私はライブにはでなくなった。汚れてしまった姉や妹と一緒に歌いたくはなかった。それに今歌っても喉は枯れているし顔は真っ赤に腫れている。

 

私の所に昔からのファンの女の子が心配して来てくれた事があった。その子は魏の城で文官をしているのだがその子の話では既に殆どの魏の重鎮達は曹紀に体を許している、ということだった。私は絶望にも似た感覚を覚えた。明らかに変だ。皆彼の事を強く愛していた。彼が消えた時には魏の皆で彼の帰りを待つと誓った。なのに皆は曹紀に体を許し迎え入れている。

 

その時だった。私の心の中に大きな目が開いた。それと目が合った瞬間に私は我慢出来なくなった。私は直ぐに城に赴き数え役満シスターズからの卒業を伝えた。当然反対されたがこれ以上黒く染まった魏の皆を見たくなかった。

 

私は蜀の白蓮さんに事情を話した。すると白蓮さんはただ抱き締めてくれた。その後、住む場所は白蓮さんの部屋に、仕事は主に蜀の文官の手伝いを、たまにではあるが大会等の司会進行をする事になった。最近では呉の冥琳さんからも文官の仕事の手伝いをお願いされる。

 

 

今回は冥琳さんが持ってきてくれた仕事だった。今回で最後となる採用試験の司会進行をやって欲しいと。

 

その最後の試合で変な男がいた。その男は全身が霞んで見えていた。特に酷いのが顔。まるで顔を隠すように霞んで見えた。意識を集中して睨むと一瞬だけ顔が見えた。その顔は愛する彼の顔と瓜二つだった。でも直ぐに霞んで別の顔に変わった。昨晩遅くまで書類を整理していて疲れているんだろう。と思った。

 

さて、始めようかと思ったら孫策さんが出てきた。なんか呉の方も特に止める雰囲気も無かったのでそのまま開始の合図を入れた。

 

凄かった。三国でも有数の実力者である孫策さん相手に打ち合っていた。ただその戦いに見とれていた。だが孫策さんのある一言で事態は一変した。

 

 

 

〝あら?こんな物かしら?天の御使いクンっ!〟

 

 

 

〝ちょ、だからそれは言わないでくださいよ!〟

 

 

 

多分会場には聞こえていないであろうそのやりとり。でもすぐ近くにいた私にはハッキリと聞こえた。その後だ。その男の顔を見ると愛する彼の顔に変わっていた。今度は一瞬じゃない。持続している。

 

 

「一刀?」

 

 

思わず呟いた。

 

男の試験は合格。

 

全ての試験は終わり私は今回の仕事のお金を受け取ると直ぐに男を探した。だが見当たらない。すると話しかけられた。

 

「誰か探してるの?」

 

 

 

綺麗な女の人。どこかで見た事のある顔だった。

 

 

「はい、」

 

 

「多分あなたの探している人はあっち。それとその人に後から戻ると伝えてくれるかしら?」

 

 

「え?わ、わかりました。ありがとうございます。」

 

 

 

「皮肉なものね。自分の最大の罪である物が愛する人を見失わせないための鎖になってたとはね。」

 

 

「え?」

 

 

瞬間、女の人はもういなかった。

女の人の言ったとおりの方向に行くと歩いているその人を見つけた。

 

 

「すみません。ちょっといいですか?」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

後ろから声をかけるとその人は振り向く、

あぁ、やっと会えた。私の愛する〝ぷろでゅーさー〟

 

 

 

 

「先程の試験合格おめでとうございます。司会進行をしていた地和です。聞きたい事があるのですが、ちょっといいですか?」

 

 

 

 

 

 

 

てことで、地和の拠点でした。ちょくちょく拠点(視点話)挟みます。

 

劉邦さんの推察が書こうと考えていた物と殆ど同じで少しビックリしました( ̄▽ ̄;

 

みなさんに読み込んで頂けるような作品を誠意制作しますので、コメント、支援等これからもお願いします。


 
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