No.845401

英雄伝説~菫の軌跡~

soranoさん

プロローグ~改変の契約~後篇

2016-05-01 09:08:42 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1518   閲覧ユーザー数:1375

~ルシタニア号・オーナー室~

 

「ハハ、クールメイドにドジッ娘メイドの双子コンビか。嬢ちゃん、中々わかっとるな?」

「クスクス、お気に召して何よりね。―――それじゃ、”ビジネス”の話をする前にまずはそちらからどうぞ。2年前の依頼の件も含めてレンに聞きたい事がたくさんあるんでしょう?」

双子のメイドが退出した後に呟いたゼノの言葉に笑顔を浮かべて答えたレンは意味ありげな笑みを浮かべてゼノとレオニダスを見つめた。

「ならば早速聞かせてもらおう。2年前の依頼――――”結社”がリベールから撤退するまで”剣聖”の奥方―――レナ・ブライトの護衛の依頼やエステル・ブライト達の援護を依頼した”依頼人”はお前なのか?」

「ええ、そうよ。”リベールの異変”の少し前に起こった情報部によるクーデター未遂事件で”結社”の存在を知ったからね。それで”結社”がリベールで暗躍する為にレン達の不在中にパパ―――”剣聖カシウス・ブライト”に対する人質としてママを狙う可能性がある事に気づいてね。念の為の”保険”として貴方達にママの護衛の依頼をしたのよ。”赤い星座”と双璧を為す大陸最強の猟兵団である”西風の旅団”の猟兵達なら、結社に所属している凄腕の使い手―――”執行者”が相手でも追い返せる可能性があったからね。」

「ちなみに何で”赤い星座”やなくて西風の旅団(おれたち)を選んだんや?」

レオニダスの質問に答えたレンの話を聞いてある事が気になったゼノは真剣な表情でレンに訊ねた。

 

「だって、”赤い星座”って団長の”闘神”を含めたオルランド一族は戦闘狂ばっかりだって情報だもの。そんな人達に依頼したらレンの”オーダー”通りにママを守ってくれないかもしれないもの。特に”血染めのシャーリィ(ブラッディシャーリィ)”がママを守っていたら、戦いを楽しむあまりママの護衛がおろそかになったり、流れ弾でママや周りの人達をケガさせたりするかもしれないでしょう?」

「ハハ、一理あるな。……ん?嬢ちゃんって、リベール人やろ?法律で猟兵の雇用を禁止しているリベール人―――それも猟兵(おれたち)と宿敵の関係の遊撃士をやっている嬢ちゃんが法律違反を犯して、更に遊撃士の資格をはく奪されるかもしれんリスクを負ってまで何で俺達を雇ったんや?」

レンの答えに苦笑したゼノはある事に気づき、レンに訊ねた。

「うふふ、遊撃士協会は遊撃士が猟兵を雇う事については規約で禁止している訳でもないから、遊撃士のレンが貴方達を雇っても特に問題ないわよ。」

「……それでも普通は問題になると思うのだがな。」

レンの説明を聞いたレオニダスは静かな表情で指摘した。

「ま、”普通”ならそうね。―――でもレンは”遊撃士協会”にとって”特別な存在”だから、こんなものまで発行してくれるのよ。」

そしてレンは懐から以前エステル達に見せた書状を二人の前に置き、二人はそれを読んだ。

 

「えっと、なになに……?”Ms.L並びにレン・ブライトが雇った者達は遊撃士協会の規則に触れない依頼でない限り、如何なる人物達――――例えば猟兵達のような非合法な事をしている者達でも遊撃士協会の協力員として認める”…………ハアッ!?」

「なるほどな……猟兵(おれたち)や銀を”遊撃士協会の協力員”にする事で猟兵の雇用を禁止しているリベールの法律には違反しない事になるという寸法か………しかし、まさかここで”Ms.L”の名が出るとはな。”Ms.L”とお前は何か関係があるのか?」

書状の内容を読んだゼノは驚きのあまり声を上げ、レオニダスは静かな表情で呟いた後ある事に気づき、レンに問いかけた。

「うふふ、関係も何も”Ms.L”がレンよ。」

「う、嘘やろ!?”Ms.L”って言ったら、帝国の”四大名門”どころか二大国の総資産をも上回る資産を持つ資産家やって話やで!?その資産家が嬢ちゃんなんて普通に考えてありえへんで!?」

レンが”Ms.L”である事を口にするとゼノは信じられない表情で声を上げてレンに指摘した。

 

「あら、”伝説の暗殺者である銀に二人に乗船券を渡すように手配をして、ゼムリア大陸最大規模の豪華客船のオーナー室にいて、執事やメイドに主として敬われているレン”が”Ms.L”じゃないと否定できる要素があるかしら?」

「!!」

「………まさか取引場所としてこの場を選び、俺達にこの船の乗船券を”銀”を通じて渡し、外に控えている執事にここまで連れて来させたのも俺達に見た目は普通の子供にしか見えないお前が”Ms.L”である事を信じさせる為か?」

レンの正論にゼノが目を見開いて驚いている中、レオニダスは信じられない表情でレンに訊ねた。

「そういう事♪……それにしてもその様子だと”西風の妖精(シルフィード)”はちゃんと契約通り、レンの正体についてしゃべっていないようね。」

「へっ!?まさか姫は嬢ちゃんの事を知っているん!?」

「しかも”契約”と言っていたが……いつフィーとそんな契約を交わしたのだ?」

レンの口から出た驚愕の事実に驚いたゼノは信じられない表情でレンを見つめ、レオニダスは驚きの表情で訊ねた。

 

「彼女が”影の国”に巻き込まれた時にエステル達が口を滑らせちゃってね。その時に彼女にレンの正体を口止めする代わりに”口止め料”として3000万ミラを”影の国”から帰って来た後”ファンタズマ”の名義で彼女の口座に振り込んでおいたのよ。」

「そう言えば姫の口座に”ファンタズマ”なんてけったいな名前で3000万ミラが振り込んであって、姫に聞いても”知らない”の一点張りやったけど……あれは嬢ちゃんの仕業やったんかい!?」

「ええ。まあ、その時に団員として、娘として団長であり、父親でもある”猟兵王”にレンの事を教える義務があるって言ってレンに”猟兵王”にレンの事を教える許可を取ったから生前の”猟兵王”にはレンの事を話していたと思うわよ?」

「…………ハハ、団長は全部知っとったから、あの金は姫の金として扱ってそのまま姫の金にしたんか………」

「しかも俺達にも悟られないように情報を秘匿していたとはな………フッ、俺達の気付かない所で”プロの猟兵”として一人前の仕事をこなしていたようだな。」

レンの説明を聞いたゼノは一瞬固まって呆けていたがやがて苦笑し始め、レオニダスは静かな笑みを浮かべて自分達が娘同然に扱っている人物の顔を思い浮かべた。

 

「ん?でも何で遊撃士協会はこんなとんでもない許可証を嬢ちゃんに発行したんや?」

その時ある事に気づいたゼノは不思議そうな表情でレンに訊ねた。

「うふふ、多分だけど”Ms.L”であるレンが毎月莫大な金額を遊撃士協会本部に”寄付”し続けているから、そのお礼にレンの頼みに応じてその許可証を発行してくれたと思うわよ。」

「……”寄付”だと?一体毎月幾ら寄付しているのだ?」

「2年前は毎月100億ミラだったけど、今は400億ミラを寄付し続けているわ。あれから更に毎月の株や相場での利益が倍以上に膨れ上がったし。」

「ブッ!?」

レオニダスの問いかけに答えたレンの答えを聞いたゼノは驚きのあまり噴きだした。

「なるほど……遊撃士協会の運営資金は寄付で賄っているらしいからな。そう言った事から運営資金の悩みを解消してくれた”融資者”に対して遊撃士協会は特別待遇をしたという事か。」

「ハ、ハハ……遊撃士協会に対してそんな前代未聞な荒業をするなんて人物、嬢ちゃんが歴代初やろな……」

一方レオニダスは落ち着いた様子で推測し、その推測を聞いたゼノは乾いた声で笑いながらレンを見つめた。

 

「―――さてと。これでレンの事も一通り理解してくれたと思うし、そろそろ”ビジネス”の話をさせてもらっても構わないかしら?」

「!ああ、ええで。」

「今までの話でお前が”Ms.L”であり、猟兵の俺達に報酬を支払える資産は十分にある事を理解した。まずは依頼内容を教えてくれ。それを聞いてから依頼を請けるかどうか判断させてもらう。」

そしてレンの言葉にそれぞれ我に返った二人は気を引き締めてレンを見つめた。

「それを答える前に一つ聞きたいのだけど……お兄さん達はもし”依頼”で”元仲間”と殺し合う事になっても、ちゃんと本気で殺し合ってくれるのかしら?」

「何やて……?」

「……何故そんな事を聞く。まさか俺達への依頼は”西風の旅団”に所属していた猟兵達と争う内容なのか?」

レンの意味ありげな問いかけにゼノは眉を顰め、レオニダスは目を細めてレンに問いかけた。

「直接争う事は滅多にないと思うわよ。それに二人の”元仲間”と言っても8年前に”西風の旅団”を抜けた人だから、二人がその人の事を覚えているかどうかわからないし。」

「8年前に団を抜けた奴やと………?――――!」

「”キリングベア”――――ガルシア・ロッシか。確か奴は”ルバーチェ”に引き抜かれて団を去ったのだから……まさか今後”ルバーチェ”と争う予定でもあるのか?」

レンの話に眉を顰めたゼノだったがある人物を思い出して目を見開き、レオニダスは静かな表情である人物の顔を思い浮かべながらレンに問いかけた。

 

「それを説明する前にさっきのレンの質問に答えてくれるかしら?8年前に団を抜けた人とはいえ、やっぱり元仲間と殺し合うのは避けたいかしら?」

「クク、例え元仲間でも”戦場”で”敵”同士になるんやったら容赦はせんし、ましてや8年前に団を抜けて”部外者”になった奴なんて俺達にとっては完全に”他人”やから特に問題ないで。」

「依頼内容の続きを言ってくれ。」

レンの問いかけにゼノは不敵な笑みを浮かべて答え、レオニダスは静かな口調で続きを促した。

「わかったわ。――――レンはね。そう遠くない時期に帝国か共和国、どちらかで内戦が起こると思っているわ。」

「……まあ、二大国の事情を考えたら確かにそう思ってもおかしくないな。」

「特に帝国は近年”貴族派”と”革新派”の対立が激しくなっていると聞く。両陣営共に軍備を増強している件を考えると、特に帝国では近い内に内戦が起こってもおかしくないな。」

レンの推測を聞いた二人はそれぞれ真剣な表情で同意した。

 

「そして内戦が始まれば、その影響は各国へと広がって行き、ゼムリア大陸は戦乱の時代になるかもしれないわ。レンはその時に備えてレンの家族や故郷――――リベールを守る為に”戦力”を集めているの。」

「………この船で警備をしている猟兵達や俺達にこの船の乗船券を渡しに来た”銀(イン)”、そして先程の執事やメイド達もその”戦力”の内か?」

「あら、ジョーカーお兄さん達の事も気づいていたんだ。ちなみにあの3人の中ではフェリシアお姉さんが一番実力があるのよ♪」

レオニダスの指摘にレンは目を丸くした後ウインクをした。

「へ……あのドジッ娘メイドさんがか?」

「ええ。というかむしろ武器の手入れや戦闘技術の方が『お茶を入れるよりもずっと簡単にうまくできます!』って言っているくらいよ?」

「なら何でメイドをやってんねん……どう考えても戦闘技術を主にした職業の方が向いてんのちゃうか?軍人や傭兵、それに遊撃士とか。」

レンの説明を聞いたゼノは表情を引き攣らせて指摘した。

 

「うふふ、それは”乙女の秘密”だから男のお兄さんには教えられないわ♪」

「おっと、それを出されたらこっちはお手上げやな……で?話を戻すけど、嬢ちゃんが戦乱の時代に向けて準備しているのはわかったけど、そこに何で”ルバーチェ”が関係しているんや?」

「実はちょっと事情があってね……しばらく遊撃士はお休みして、短期間だけクロスベルの警察のある部署に出向する事になっていて、それが終わったら帝国のトールズ士官学院に転入する事になっているのよ。」

「何……?何故そんな事をするのだ?」

ゼノの質問に答えたレンの答えに眉を顰めたレオニダスは質問を続けた。

「悪いけど、それは言えないわ。個人的な事情も含めて色々と複雑な事情もあるし。」

「……了解した。――それで?俺達に何をさせるつもりなのだ?」

「貴方達とは長期の協力関係を結んで、いつでもレンに手を貸してもらえるようにしてほしいのよ。例えば”ルバーチェ”と抗争になった時やレンが戦争に巻き込まれた時とかね。」

「なるほどな……それであんな質問をしたんか。ちなみに期間はどのくらいや?」

「今の所はまだ決めていないわ。ちなみに契約が終わるまで年単位の契約として二人合わせて毎年10億ミラを支払うつもりよ。勿論そっちにとって”報酬”以上の仕事内容になったら、その度に”特別手当”として”報酬”を支払うつもりよ。」

「ブッ!?二人合わせて毎年10億ミラって事は、1年ごとに一人5億ミラってことかいな!?しかも”特別手当”まであるなんて、至れり尽くせりやな……」

「………俺達をそこまで高く買ってくれるのは猟兵として光栄だが……一つ疑問がある。」

レンの出した条件に驚きのあまり噴きだしたゼノは表情を引き攣らせ、レオニダスは落ち着いた様子で呟いた。

 

「何かしら?」

「何故今回の依頼は以前と違い、代理人を使わずに俺達の前に姿を現した?以前の依頼で多くの代理人達を使って俺達に尻尾を掴ませないようにした事を考えると、猟兵(おれたち)に正体を悟られたくなかったと思うのだが。」

「ああ、その事。理由は到って単純……―――――貴方達にレンを”信頼できる証”を示す為よ。」

「ハ……?”俺達に嬢ちゃんを信頼できる証を示す為”やて……?どういう意味や?」

レオニダスの質問に答えたレンの答えの意味がわからなかったゼノは不思議そうな表情で訊ねた。

「あら、低ランクはともかく高ランクの猟兵はレン達遊撃士と同じで”信用”も重視しているでしょう?さすがに前と同じやり方で依頼してもレンの事を信用できないと思ったから、こうして直に会ってレンの意図を説明して依頼する事にしたのよ。貴方達だって、顔を見せない正体不明の依頼者なんか信用できないでしょう?」

「「……………………」」

レンの説明を聞いた二人は一瞬呆けて黙り込んだが

「クク……ハハ………ハハハハハハハッ!まさかその為だけに今まで隠していた正体を晒すリスクを背負ってまで、俺達と直に会って依頼するなんてな……しかも宿敵同士の遊撃士と猟兵を一緒にする考えなんて、前代未聞な滅茶苦茶な考えやで。」

「だが、実際俺達”一流の猟兵”は猟兵としての名を落とさない為に”信用”も重視している。確かにはたから見れば滅茶苦茶とも思える考え方だが、正論でもある。」

ゼノは腹を抱えて大声で笑った後口元に笑みを浮かべてレンを見つめ、レオニダスは感心した様子でレンを見つめた。

 

「うふふ、レンはレンの”幸せ”を守る為ならあらゆる手段を用いてでも守るわ。裏社会の使い手達―――猟兵や暗殺者を雇うのもそうだし、遊撃士協会や七耀教会に莫大な金額の寄付金を寄付し続けるのもその手段の一つよ。」

「クク、七耀教会にまで手を伸ばしていたんか。七耀教会にまで特別待遇扱いされる為って事はまさか古代遺物(アーティファクト)を個人で所有して使用する為か?」

「さすがに”星杯騎士団”に喧嘩を売るような無謀な真似はしないわよ。レンが七耀教会に求めているのは調停者としての力と”星杯騎士団”が持つ技術よ。」

「調停者としての力はわかるが、”星杯騎士団”が持つ技術だと……?―――!七耀教会が隠し持ち、利用している古代の技術といった所か。」

ゼノの推測に苦笑しながら答えたレンの話を聞いたレオニダスは眉を顰めたがすぐにある事に気づき、真剣な表情で呟いた。

「ま、そんな所ね。ちなみに既にその技術を一部提供してもらう許可も貰えて、その技術を現在製造中のレン―――いえ、遊撃士協会の”牙”や”翼”に組み込んでもらっているわ。」

「遊撃士協会の”牙”と”翼”やて?何なんやそれは。」

「それは―――――」

そしてレンは二人にある事を説明した。

 

「………………まさかそのような存在を一個人の”寄付”によって遊撃士協会が所有する事になるとはな。」

「ハハ、まさに嬢ちゃん―――いや”現代の福の神”と称えられている”Ms.L”の”力の象徴”を示す存在と言ってもおかしくないな。嬢ちゃん、冗談抜きで世界を変えるつもりか?」

説明を聞き終えたレオニダスは信じられない表情で呟き、ゼノは乾いた声で笑った後興味ありげな表情でレンを見つめた。

「まさか。レンはレンの”幸せ”を守りたいだけよ。貴方達を雇うのも遊撃士協会の”力”を上げてあげるのも含めて全部、レンの生きている時代が”そうなろうとしているから”、レンはレンの”幸せ”を守る為にその対策をしているだけの事。正直リベールに――レンの”幸せ”に影響しなければ、”何が起こっても”興味がないわ。」

「クク、とても市民の味方の”遊撃士”とは思えへん発言やな。」

興味なさげな様子で答えたレンの答えを聞いたゼノは口元に笑みを浮かべてレンを見つめた。

「クスクス、レンの事をどう思うかはお兄さん達の自由よ。―――さてと。それでレンとの契約はどうかしら?もし年間の契約金の”報酬”が足りないのだったら、更に上乗せしてもいいわよ?」

「せやな…………条件も今まで請けた”依頼”とは比べものにならないくらいええし、嬢ちゃんと手を組むのも面白いしな。レオはどうや?」

「………俺も特に問題は無い。」

レンに契約を結ぶかどうかを促された二人はそれぞれ色好い返事をする様子を見せたが

「あ、そうそう。一ついい忘れていたわ。もし二人が希望するならレンがトールズ士官学院に転入してトールズ士官学院を去る日が来るまで、”サービス”としてトールズ士官学院に入学した”西風の妖精(シルフィード)”の近況を手紙で伝えてもいいわよ。勿論学院のイベントとかあった時にはそのイベントに参加している様子の彼女の写真もありで♪」

「「今すぐに契約する。当然”サービス”付きでだ(や)。」」

レンがある条件を口にすると瞬時に真剣な表情になってレンと契約する事を伝えた。その後契約書にそれぞれサインをして年間の契約金を受け取ってレンと協力関係になった二人はオーナー室を退室して外の通路にあるテラスで外の景色を見つめていた。

 

~通路~

 

「いや~……鬼か蛇が出ると思っていたら、まさか”天使”が出てくるとは予想もしてへんかったな。」

「やっている事や考えている事は”天使”とはとてもかけ離れているがな。」

苦笑しているゼノの言葉にレオニダスは口元に笑みを浮かべて指摘し

「―――さてと。”まずは”クロスベルか。あの嬢ちゃんのクロスベルの滞在中にガルシアと嬢ちゃん達が”戦場”であいまみえるかどうかわからんけど、その時のガルシアの反応が楽しみやな。」

「しかも彼女の話によると”闘神の息子”も彼女と同じ所属だそうだからな。俺達が姿を現せば、敵味方共に驚く事になるのは間違いないだろうな。」

「クク、違いあらへんな。」

それぞれ今後起こる戦いを楽しみにしながらその場から去った。レンとの契約が二人の運命を変えた事を知らずに――――

 

~オーナー室~

 

「――――フウ。ロイドお兄さん達の所に行く前に”準備が全部終わって”何よりね。」

一方その頃レンは安堵の溜息を吐いて呟き

「……クロスベル、か……………」

これから自分が向かう所が自分にとって因縁がある場所である事を思い出し、複雑そうな表情をした。

「ふふっ、レンもユウナの事は言えないわね。…………多分、クロスベルがユウナを捕まえられる絶好の機会よ。頑張ってね、エステル。」

更にユウナの事を思い浮かべたレンは苦笑した後静かな笑みを浮かべてエステルの顔を思い浮かべた。そして数日後、リベールの王都グランセルの空港でフレンに見送られようとしていた。

 

~リベール王国・グランセル国際空港~

 

クロスベル自治州行き定期飛行船、まもなく離陸します。ご利用の方はお急ぎください

 

「―――飛行船も出るようだし、そろそろ行くわね。」

「ああ。ロイド達の事、頼んだぜ。」

「”影の国”でレン達と一緒に経験を積んだロイドお兄さんがいるんだから、そんなに心配する必要はないと思うのだけどねぇ。―――ま、いいわ。」

フレンの頼みに呆れた表情で答えたレンだったがすぐに気を取り直した。

「あー……それと今まで頼むかどうか迷っていたんだが……やっぱり頼む事にしてだな……その……」

「はいはい、レン宛に送ったセシルお姉さんへの手紙をいつも定期的にしていたアーシアお姉さんの代わりにセシルお姉さんに手渡しして、更にセシルお姉さんから貰ったフレンお兄さ―――いえ、ガイお兄さん宛の手紙をアーシアお姉さんの住所に送ってくれ、でしょ?セシルお姉さんに渡す手紙はともかく、セシルお姉さんからそっちに渡す手紙まで徹底する必要はないと思うのだけどね。―――じゃ、レンはこれで失礼するわ。」

レンは言葉を濁している様子のフレンの答えを呆れた表情で答えた後フレンに指摘し、飛行船に乗った。

 

そしてレンが乗船した飛行船は行き先――――クロスベル自治州へと飛び立った―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

と言う訳で既に予想していたと思いますがレンちゃん、閃Ⅱのラストダンジョンでも立ちはだかるボスを金で雇って味方にするという反則技をしょっぱなから使っちゃいました(冷や汗)その他にも何やら意味ありげな言葉も出てきましたが、それが判明するのは碧篇に入る少し前なのでまだまだの話です。(まあ、既に気づいている人もいるかもしれませんが(冷や汗)再度言いますがこの小説のレンちゃんはマジで自重はしません!なのでとても主人公がやる事とは思えない事をやりまくります。(主に閃終盤や碧篇で)というか資金が豊富にある上武術の腕前は既に達人(マスター)クラス、多くの傭兵達を雇い、豪華客船を所有している時点で既に主人公のスペックじゃないと思いますがww


 
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