No.844847

恋姫OROCHI(仮) 肆章・幕間 ツンデレ超会議・後編

DTKさん

どうも、DTKです。
お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、73本目です。

募集をかけていた幕間の唯一のリクエストです。

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2016-04-27 23:15:50 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4057   閲覧ユーザー数:3405

 

 

 

「では、次は月ちゃんお願いしますー」

「はいっ♪」

 

嬉しそうに、元気よく返事をする月。

月は自分の使命を『詠が如何に一刀のことが好きなのか』を皆に分かってもらうことだと思っている。

これも詠ちゃんのため!と張り切っているのだ。

 

「月ぇ~…」

 

そんな様子の月に、詠はどうしても不安が拭いきれない。

 

「詠ちゃんは、ご主人様のことが大好きなんです!」

「ギャー!!ちょっと月!いきなりなに言ってんの!?」

 

開戦直後の奇襲に、さしもの名軍師も仰天する。

 

「本当は私と同じくらい…うぅん、私なんかよりずっとご主人様のことが好きなのに、いつも私に遠慮して一歩下がっちゃうんだよね?」

「そんなことない!ボクは月のことが一番大切で、月が…アイツのこと好きなのは知ってるから、だからボクは…」

「嘘。私知ってるよ。詠ちゃん、一人でご主人様のお部屋をお掃除するとき、ご主人様の服、ギュってしてるよね?」

「ちょおっ!!?」

 

月の爆弾発言投下で、詠の顔も爆発寸前だ。

 

「私もたまにやるんだけど、ご主人様の服をギュってするとご主人様の匂いがして、ご主人様にギュってしてもらってる気持ちになれるんだよね」

「ご主人様に…」「ギュッ…」

 

月に幸せそうな語りに、思わず翠と蓮華が息を飲む。

 

「あれは……違う…そう、違うのよ!あいつ、いつもあの服だから洗った方がいいんじゃないかなぁ~って、臭いを確かめてただけなのよ!」

「やっぱ嗅いでんじゃねぇかよ」

「うぐぅ……」

 

小夜叉のツッコミに弁解の口が止まる。

 

「詠ちゃんが私のこと大切にしてくれるのは分かってるよ。でも、そのせいで詠ちゃんが自分の気持ちを抑えちゃうのはイヤ。詠ちゃんの幸せは、私の幸せなんだよ?」

「月…」

 

嬉しいやら恥ずかしいやら、もはや完全に涙目の詠。

 

「美しき友情なのです…詠ちゃんは思春ちゃんと似た型のようですね~。それに、軍師特有のムッツリが加わった感じでしょうか~」

 

と、風はいい感じをいい感じでまとめる。

 

「さて、お次は柘榴さんと松葉さんにお話を伺いましょう」

「っす~」「ん」

「お二人には、美空さんと愛菜ちゃんのことをお聞きしたいのですが~?」

「柘榴…松葉…アンタたち、分かってんでしょうね…?」

 

溢れる殺気を隠すことなく、厳しい目つきで二人を威嚇する。

が、二人も名うての武将。

どこ吹く風とばかりに受け流す。

 

「御大将は、つんでれ…」

「間違いないっす!」

「ふんっ!」

 

不機嫌そうに顔を背けるが、以前に美空自身も剣丞から言われていたこともあり、これに特別異議は無いようだ。

 

「ただ、御大将は他の人よりデレが薄いように思うっす」

「甘え方を知らない。だからツンツン」

「うっさいわねっ!」

「御大将は感情が大きい。怒りも悲しみも、愛も憎も、深い」

「もしかしたら、甘え方が分からないあまり、スケベさんの首を絞めて殺りそうになってたり…」

「なんでアンタが知ってんのよ!?」

 

声を出してすぐにハッとなる、が時既に遅し。

 

「え~~……」

「さすがに、引く…」

「う、うるさいうるさいうるさいっ!アンタたち、洛陽の城壁に吊るしてやるからねっ!!」

 

捨て台詞を残すと、脱兎の如く部屋を飛び出した。

 

「あーあっす」

「起伏、激しい」

「ちょ、ちょっと…あれは大丈夫なのか?」

 

さすがに翠が心配する。

 

「あぁ、大丈夫っす」

「…寝たら忘れる」

「いや…さすがに、それは……」

 

思春も冷や汗を一筋垂らす。

 

「では、愛菜ちゃんはどうでしょうか?」

「愛菜は…」

「……どやぁ?」

 

事の成り行きが全く分からなかったので、足をプラプラさせながらも、珍しく大人しく座っていた愛菜が、話が自分に及んで首を傾げる。

 

「…子ども」

「あー……いるわよね~。素直になれない子どもって」

「でも、そういうお子さんも可愛いですよね」

 

松葉の答えに雪蓮は苦笑い、月は少々焦点がずれているが、満面の笑み。

 

「愛菜ちゃん。剣丞さんの事はどう思っていますか~?」

 

風が愛菜に尋ねてみる。

 

「スケベ殿は美空さまの良人なのです。空さまの恩人でもあるので、この越後きっての義侠人樋口愛菜も一目置いておるのです。どやぁ?

 別に愛菜がどうこう思ってるわけじゃないんだからね!」

「おぉ~」

 

愛菜の物言いに風がパチパチと拍手を送る。

釣られて何人かも手を叩く。

 

「これぞ、つんでれ…愛菜ちゃんの今後の成長に期待しましょ~」

「どやっ!」

 

期待、という言葉にだけ反応してドヤ顔になる愛菜。

 

「それでは最後に、各務さんにお話をお伺いしましょー」

「はい」

 

一人の女性が所作優雅に立ち上がると、

 

「皆さまご機嫌麗しゅう存じます。お嬢の下、森家の副将を務めております、各務元正と申します。お歴々の方々におかれましては、お引き立てのほど、よろしくお願い致します」

 

滑らかに一度お辞儀をする。

ほぅ、と誰かが感嘆の息を漏らす。

その楚々とした立ち振る舞いは、礼法を修めているとはこういうことだ、と体現しているような女性だ。

 

「おい、各務よ」

 

一方、礼って旨いのか?とばかりの態度の小夜叉。

 

「オレに今まで連中みてぇな甘っちょろい話なんざ、ありゃしねぇよな?」

「甘っ…!」

 

思春がギロリと睨むが、小夜叉には通じない。

 

「だいたいなんでオレが…つんでれ?の集まりに呼ばれたんだって話だ」

「さぁ…そればかりは剣丞さまの御心のみぞ知る、ということでしょうけれど…」

 

各務は困ったように、はにかんだ。

 

「チッ…ったく、帰ぇるぞ」

 

一応、義理を立てて付き合っていた小夜叉だが、これ以上は付き合いきれんと立ち上がる。

 

「一つだけ…」

「あ?」

「一つだけ、お話できることが御座います」

「んなっ!?」

 

目を見開き驚愕の表情。

 

「んだ各務テメェ!オレぁ知らねぇぞ!?」

「いえ、お嬢はご存知のはずですよ?私は先代からの又聞きですが」

「ぁんだと…?」

 

母の名を出され、それがハッタリではないことを知る。

母の名を騙ってまで座興をする人物でない事は、小夜叉が一番良く知っていた。

しかし、目を瞬かせて考えを巡らすが、心当たりはないようだ。

 

「それは先代、お嬢、そして剣丞さまの三人でいらっしゃった時のことでした」

「…?」

 

どの時だ?あの鬼の巣か?それともこっちの……と小夜叉は記憶を総ざらいする。

基本的に、その三人でいる時は鬼の巣を潰しに行ってる時だからだ。

 

「先代が戯れに、剣丞さまを小夜叉の婿にというお話になり…」

「あっ!」

 

小夜叉もようやく合点がいったようだ。

 

「以前に剣丞さまを良人に、との段では照れなど微塵も見せなかったお嬢ですが、祝言を上げるという段になった途端、女を見せ始めたそうで…」

「テメェ!やめろ各務ィ!」

「先代は私に笑いながら話してくれました。まったく、クソガキが色気づきやがって!テメェは生娘か!?……生娘か!わっはっはっ、と…」

 

ドゴーーンと音を立てて、戦国側の机が消し飛ぶ。

 

「コロスっ!」

 

小夜叉が、文字通り夜叉の顔をして各務に襲い掛かる。

手には人間無骨が握られていた。

 

「お嬢とガチも久しぶりですね…」

 

各務は冷静に微笑むと、

 

「かかってこいやオラァア゛ア゛ア゛!!ナメてっとテメェの首が消し飛ぶぜや!」

 

一瞬で豹変した各務は、どこから取り出したのか、大身の刀で小夜叉の一撃を受け止める。

その風圧で各務たちの机も大破した。

 

「止めんか!小夜叉!各務!」

 

小夜叉の動きをすんでで察し、愛菜を救出した壬月は二人を大喝する。

が、殺り合いを始めた二人に届こうはずもない。

 

「これは新しい型ですね~。やんでれ、というものがあるとお兄さんに聞きましたが、小夜叉ちゃんの場合は、殺るでれ、とでも名付けましょうかー」

「そんな事はどうでもいいですから!風さま、早くこちらへ!」

 

何事も無いように話をまとめる風を、避難誘導をしている凪が促す。

 

「朝まで生討論、そろそろお別れのお時間ですー。今日は、つんでれについてのお話でした~」

 

 

 

閉会の言葉の後ろには開会を告げた音ではなく、激しく鳴り渡る剣戟が鳴り響いていた。

 

 

 


 
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