No.840019

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク 改訂版

soranoさん

第93話

2016-03-31 00:32:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:770   閲覧ユーザー数:740

その後セキュリティーカードを手に入れたエステル達がドルン達が捕えられている場所に向かっていると、突然エネルギー障壁が起動して、エステル達の背後を塞いだ。

 

~グロリアス~

 

「な……!?」

「ど、どうなってるの!?」

「クク……やっと捕まえたよ。」

突然の出来事にジョゼットとエステルが驚いたその時、ギルバートがエステル達の進行方向から現れた。

「ギ、ギルバート!?」

「まあ……先輩?」

「ギルバート……特務兵に孤児院の放火を指示したダルモアの元秘書か……」

「うふふ、大した障害ではないわね。」

「……艦内にいたのか。」

ギルバートの登場にエステルとクローゼが驚いている中、ルークは真剣な表情でギルバートを見つめ、レンは小悪魔な笑みを浮かべ、ヨシュアは静かな表情で呟いた。

 

「やれやれ……艦に侵入した連中がいると聞いてどんな愚か者かと思ったが……やはり君達だったわけか。」

「あれ……ねえコイツ、あんたたちの知り合いなの?」

得意げに語るギルバートの顔を見て、何かに気づいたジョゼットは目を丸くしてエステル達に訊ねた。

「ええ……王立学園のOBですが……」

「学園を襲った時点でOBの資格なんか無いってば。汚職市長の元腰巾着であたしたちが捕まえたんだけど……」

「クーデターの時の混乱で脱走して”結社”に身を投じたらしい。」

「あはは、やっぱりそっか。ボクたちと同じく、レイストン要塞の地下に捕まっていた市長秘書だよね?『僕は無罪だ!』とか言って泣き喚いていたからよく覚えてるよ。」

エステルとヨシュアの話を聞いてギルバートの事を完全に思い出したジョゼットは口元に笑みを浮かべてギルバートを見つめた。

 

「なっ……!?」

「まあ……」

「幾らなんでもヘタレ過ぎだろ……」

「え、えーっと……。まあ、そんなに気にする必要ないと思うわよ?そういう情けない経験を糧にして人って成長するもんだと思うし……。……そんな格好をしてる時点で糧にはなっていないみたいだけど……」

「……エステル。全然フォローになってないよ。」

「というかむしろ、追い打ちをしているわよ♪」

ジョゼットの答えにギルバートが驚いている中クローゼは目を丸くし、ルークは呆れ、ギルバートから視線を逸らして呟いたエステルのフォローを聞いたヨシュアは呆れ、レンはからかいの表情で指摘した。

「き、き、貴様ら、どこまで僕をコケに……。いいだろう……もう手加減などしてやるものか……。この新・ギルバードの力、思う存分見せつけてくれるわッ!」

好き勝手に自分を貶し続けているエステル達の会話に怒りを抱いたギルバートが手を上げると、奥から獅子の形をした人形兵器が現れた。

「な、ななななっ!?」

「き、機械仕掛けの獅子!?」

「”十三工房”の新型か……!」

「ハハハ、獅子型人形兵器、”ライアットアームズ”だ!その驚異の性能に戦慄するがいいッ!」

そしてエステル達はギルバートと人形兵器との戦闘を開始した!

 

「グルル……ッ!!」

「わっ!?」

戦闘開始早々人形兵器は凄まじい速さでジョゼットに突進してジョゼットにダメージを与え

「ヴァリアブルトリガー!!」

「グルッ!!」

「キャッ!?」

レンの銃撃を跳躍して回避した後クローゼにのしかかり、クローゼにダメージを与えた。

 

「烈震天衝!!」

「虎牙!破斬!!」

「双牙斬!!」

そこにエステルとヨシュア、ルークがそれぞれ人形兵器に向かって三方向から攻撃をしてダメージを与えたが

「グルルル……ッ!」

「っとと……!」

「!」

「チッ、素早い上に頑丈とか厄介な奴だな……!」

人形兵器は怯んだ様子はなく、次々と爪の部分を振るってエステル達に反撃し、エステル達はそれぞれ防御や回避行動に移っていた。

「キール兄の特製の爆弾を食らえっ!」

その時ジョゼットが爆弾を人形兵器に放り投げて銃撃で爆弾を撃ち抜いて爆発させてダメージを与え

「ブルーアセンション!!」

「プラズマウェイブ!!」

続けてオーブメントの駆動を終えたクローゼとレンがそれぞれアーツを放って追撃した。

「グルルル……ッ!」

水と雷による相乗効果を持つダメージを受けたにも関わらず人形兵器は怯まずにクローゼに突進し

「!!」

クローゼは間一髪で側面に跳躍して回避した。

 

「フハハハハッ!いいぞ、その調子だ!ついでにこれでも喰らえ!」

一方人形兵器を中々撃破できないでいるエステル達の様子を笑いながら見守っていたギルバートは手榴弾をエステルに投擲した。

「ハッ!!」

「へ………」

投擲された手榴弾に気づいたエステルは棒を振るって手榴弾を叩き落し、それを見たギルバートは呆けたが

「ギルバートの癖にあたしを狙うなんて、いい度胸をしているわね~?まずはあんたからよ!」

「ヒッ!?ま、まま待ってくれ!すまなかった!このとおりだ!頼む!仲直りをしようじゃないか!」

膨大な威圧を纏ったエステルに微笑まれるといきなりその場で何度も土下座をして謝罪を始めた!

 

「へ………?」

「さぁ、握手をしよう!」

ギルバートの突然の行為にエステルが呆けている中、ギルバートは頭を上げて立った後エステルに近づき、そして―――

「ひっかかったなぁ…………バカめ!お前なんてこうだ!お前さえいなければ!チクショウ!僕はエリートなんだぞ!コノ!コノォ!クソォ!どうだ!ざまぁみろ!バーカ!」

ギルバートは負け惜しみの言葉をいいながら、拳でエステルを叩き始めた!

「や、やる気がそがれる真似を………」

一方エステルは脱力をした後、棒を構え

「ま、待て、話せば分かる!」

エステルの様子を見たギルバートは焦ったが

「問答無用!!」

「ニャー―――――――ッ!?ぎゃふんっ!?」

エステルが振るった棒に吹っ飛ばされて地面に叩き付けられた!

「クスクス、中々面白い見世物だったわよ、三下さん♪」

「だ、誰が三下だ……って、ユ、ユユユユ、ユウナ様!?ど、どどど、どうして貴女様が奴等と一緒にいるんですか!?」

自分に近づいてきたレンの言葉を聞いて怒りの表情でレンを見つめたギルバートだったが、レンをユウナと見間違えて混乱し始めた。

「うふふ、残念♪レンはユウナの双子の姉よ♪」

「へ―――――」

そしてレンの答えにギルバートが呆けたその時

「―――八葉滅華。ヤァァァァァァァ……ッ!!」

「あ~りゃ」いりゃっ!いいっ!いたっ!」

レンは二振りの小太刀でギルバートに滅多斬りを叩き込み

「止めっ!!」

「せいっ!!」

最後に跳躍して強烈な一撃をギルバートに叩き込み、そこにエステルが遠距離から攻撃を放って追撃した!

「嘘でしょ~!?」

二人の攻撃を受けた事によって戦闘不能になったギルバートは信じられない表情で地面に跪いた!

 

「グルルル……ッ!」

「っと!剛魔神拳!!」

「やあっ!!」

一方人形兵器と戦っていたルークは人形兵器ののしかかり攻撃を後ろに跳躍して回避した後拳を振るって衝撃波を放って反撃し、ジョゼットもルークに続くように銃撃で追撃した。

「行きます―――コキュートス!!」

「おぉぉぉぉっ!!」

「グルッ!?」

その時アーツの駆動を終えたクローゼが広範囲を凍結させ、更に威力も高い水属性の最高位アーツを発動し、アーツによって足元から凍結した事と、ヨシュアの魔眼によって人形兵器は動きを封じ込められた。

「燃え盛れ……龍炎撃!!秘技―――裏疾風!斬!!」

「ガッ!?」

そこに剣に闘気による炎を宿したルークが強烈な一撃を敵に叩き込んだ後続けて電光石火の速さで追撃して敵から距離を取り、距離を取ったルークと入れ替わるようにジョゼットが敵の周囲を駆け回りながら火薬をまき散らし、更に爆弾を放り投げて銃弾を爆弾に命中させて引火させた!

「これで終わりだ――――ッ!スフィアデサイド!!」

「――――――ッ!!??」

爆弾による爆発で辺りにまき散らされた火薬も引火した事によって敵を中心に凄まじい大爆発が起こり、その爆発を受けた事によってついにダメージに耐えきれなくなった敵は消滅してセピスを落とした。

 

「ば、馬鹿な……。この僕が……新・ギルバートが……」

「あ、あの~、ちょっといい?確かに今までの人形兵器より段違いに強力だったけど……」

「でもそれって、あんた自身が強くなったわけじゃないんだよね?」

自身の敗北が信じられない思いでいるギルバートに首を傾げたエステルと呆れた表情のジョゼットが指摘した。

「え……」

「確かに『新』というのは少し違うような気が……」

「つーか、『旧』って言った方がまだ納得できるだろ。」

「クスクス、『新』は人形兵器の方だけって事よ、三下さん♪」

「……ぎゃふん。」

そしてクローゼとルーク、レンの正論に止めを刺されたギルバートは気絶して地面に倒れた。

 

「あ。」

「え。」

「まあ……」

「あら。」

「おっと……」

自分達の指摘によって気絶したギルバートを見たエステル達がそれぞれ呆けて黙り込んだが

「さ、さ~てと。急いで牢屋に戻ろっか?」

「そ、そうですね。」

「外に出ている”執行者”達がいつ帰ってくるかわからないし、とっとと空賊達を助けて脱出しようぜ。」

「うんうん。兄貴たちを助けないと。」

「うふふ、それじゃあ行きましょうか♪」

(さすがに可哀想かな……)

露骨にギルバートの話題を避けて牢屋に向かい始め、その様子を見たヨシュアは憐みの目で地面に倒れているギルバートに視線を向けた後エステル達の後を追って行った。

 

その後急いで牢屋に向かったエステル達は端末にセキュリティーカードをあてた。

 

~監禁室~

 

「―――認証しました。ロックを解除したい障壁の番号を選んでください。」

セキュリティーカードを認証した事によってドルン達の目の前の障壁が消えた。

「おお……!」

「た、助かった……!」

「キール兄ぃ、ドルン兄ぃ!」

障壁が消え、牢屋から出て来たドルン達をジョゼットは嬉しそうな表情で駆け寄った。

「ジョゼット……」

「ヘヘッ……。お前らにも、でかい借りを作っちまったようだな。」

「いや、お互い様だよ。」

「そうそう、前に脱出した時にはこちらが助けてもらったんだし。」

ドルンの感謝の言葉にヨシュアとエステルが答えたその時警報が艦内に鳴り響いた。

 

「やばっ……!」

「うふふ、今頃気づくなんて、結構抜けているわね♪」

「何でお前はこんな時もそんな呑気でいられるんだよ……」

「どうやら僕達の動きが完全に掴まれたみたいだ……みんな、急いで脱出しよう。」

「う、うん……!」

「よーし……いっちょ逃げるとするか!」

「野郎ども、遅れるんじゃねえぞ!」

「アイアイサー!」

その後エステル達はグロリアスから脱出し始めた。

 

~聖堂~

 

「フフ、なかなか楽しませてくれるじゃないか。あの様子だったら今日中には”中枢塔”まで辿り着けそうだな。」

一方その頃グロリアスから脱出するエステル達の様子をカンパネルラは感心した様子で端末で見ていた。

「でも、ここまで予定通りだと『見届け役』の意味って無いよねぇ。真の最終幕が上がるまでもう少し時間がありそうだ……それまでギルバート君でもいじって愉しませてもらおうかな?」

そして自分だけ何もする事が無い為暇そうな様子で溜息を吐いたカンパネルラは暇つぶしを思い付き、口元に笑みを浮かべた。

 

こうしてエステル達は空賊達と共に”グロリアス”から脱出した。途中、追手の強化猟兵と何回か交戦を繰り広げた後……エステル達は追撃を振り切って何とか居住区画まで戻って来た。

 

 


 
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