転がり込む幸運
C1 車輪
C2 僧侶
C3 噂
C4 雇用
C5 王子
C1 車輪
ユランシア大陸の中央に位置し、ウロボス海に囲まれ、南方がリヴァイアス海に面したセントラル大陸ワンデイ王国港町トトルゥガ。トトゥルガ軍港に停泊するアドヴァンス・ギャリー戦艦を初めとする軍艦。
湾岸の街道沿いに立つワンデイ王国軍人キッド・チャンスワカメの館。正門の前に立つシオスコンプ家の家督を継いだキッド・チャンスワカメの弟ジット・シオスコンプ。額の汗をぬぐいながら現れるチャンスワカメ家の氏族キラ家の兄弟マグナス・キラとミハエル・キラ。彼らは立ち止まり、ジット・シオスコンプを見つめる。
マグナス・キラ『これはジット様。』
キラ兄弟の方を向くジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『おお、キラ兄弟か。外回りの警備ご苦労だな。ところで兄上は?』
ミハイル・キラ『キッド様ならタイヤを取りにいかれましたが…。』
首を傾げるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『タイヤ??冬でもないのに…パンクか?』
マグナス・キラ『いえ、違いますよ。だから…イカれたんですってば。』
眉を顰めるジット・シオスコンプ。タイヤを引きながら現れるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『おお!ジットではないか!久しぶりだな!』
キッド・チャンスワカメの方を向く一同。キッド・チャンスワカメが引く多数の巨大タイヤを見て唖然とするジット・シオスコンプ。
キッド・チャンスワカメ『ジット!何だ?その顔は。折角の再会だと言うのに!』
ジット・シオスコンプ『い、いえ。兄上…何ですか?その馬鹿でかいタイヤは…。』
キッド・チャンスワカメはタイヤの方を向き、撫でる。
キッド・チャンスワカメ『ああ。これか?これは…。よいしょっとぉ!』
巨大タイヤを立てるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『どうだ?見ろ。でっかいだろ!これはだな…。』
ジット・チャンスワカメ『いえ、見ればわかりますよ。立てる必要まったくないですよね。』
キッド・チャンスワカメは後頭部に手を当てる。
キッド・チャンスワカメ『あ、そうか。すまんすまん。』
眼を見開くジット・シオスコンプとキラ兄弟。
ジット・シオスコンプ『手を離すな!手を離すんじゃない!!』
転がる巨大タイヤ。抱き合うジット・シオスコンプとキラ兄弟。
衝撃音。砂煙が舞い上がる。
タイヤがめり込み、壊れるキッド・チャンスワカメの屋敷の正門。駆けるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『大丈夫か?』
砂煙が止み、タイヤの横で腰を抜かし、息を荒げるジット・シオスコンプとキラ兄弟。彼らは顔を見合わせ、息を吐く。
キッド・チャンスワカメ『キズは無いか?』
キッド・チャンスワカメを見上げるジット・シオスコンプ
ジット・シオスコンプ『なんとか…。』
キッド・チャンスワカメ『パンクは…。』
ジット・シオスコンプえっ…パンク??』
キッド・チャンスワカメの方を向くジット・シオスコンプ。タイヤを軽く叩くキッド・チャンスワカメ。眼を閉じ、蟀谷に血管を浮き出させるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『殺すつもりか!馬鹿兄貴ーーーーーーーーーーーー!!』
C1 車輪
C2 ホクガ
キッド・チャンスワカメの館。南の間。低い塀から外の景色が見える。ソファに向かい合って座るキッド・チャンスワカメとジット・シオスコンプ。ジット・シオスコンプは窓からキッド・チャンスワカメの屋敷の扉を補修するキラ兄弟を眺める。
キッド・チャンスワカメ『いや~すまんすまん。』
頭を掻くキッド・チャンスワカメ。眉を顰めるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『すまんすまんじゃないですよ!死にかけたんですから!!』
目を丸くしてジット・シオスコンプを見つめるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『そうか。兄弟だから無礼講ということで。』
俯き、額に手を当てて首を横に振るジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『一体全体、なんであんな馬鹿でかいタイヤなんか…。』
胸を叩くキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『そりゃもちろん。アドヴァンス・ギャリーにくっつけて水陸両用にするために!』
顔をひきつらせ、キッド・チャンスワカメを見つめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『あ゙あ゙?』
キッド・チャンスワカメ『いや~ロズマール帝国が使ってたなんだったかななんたらなんたらオっていうホバー戦艦が格好よくてな。剣は振り回すわ。砲撃はできるわで』
額に薬指と人差し指を当てて首を横に振るジット・シオスコンプ。
キッド・チャンスワカメ『しかも航空機や人型機構、車両も搭できてな。あのドーザーブレードは光っていた。あれで建物をこうガッっと…。』
キッド・チャンスワカメを見つめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『兄上!』
ジット・シオスコンプを見つめるキッド・チャンスワカメ。
ジット・シオスコンプ『アドヴァンス・ギャリーやらタイヤやらの心配はもう必要ありません!我々は水上軍の任を解かれました!』
眼を見開き、口を大きく開けて静止するキッド・チャンスワカメ。
ジット・シオスコンプ『兄上。兄上~。兄上~~…。』
ジット・シオスコンプは立ち上がり、キッドチャンスワカメの眼の前で手を振る。瞬きするキッド・チャンスワカメ。ジット・シオスコンプはソファに座る。
ジット・シオスコンプ『兄上。大丈夫ですか。本当にこんな感じでシュヴィナに行ったんですか?』
首を横に振るキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『ああ。無論。で、なんだったけ。水上軍が…ああ、確かなんたらなんたらオの話の途中だったな。ロズマール帝国の…。』
ジット・シオスコンプ『兄上!我々は水上軍の任から外されたのです!』
眼を見開き、口を大きく開けて静止するキッド・チャンスワカメ。
ジット・シオスコンプ『兄上。兄上~。兄上~~…。』
ジット・シオスコンプは立ち上がり、キッドチャンスワカメの眼の前で手を振る。瞬きするキッド・チャンスワカメ。ジット・シオスコンプはソファに座る。
キッド・チャンスワカメ『ああ。ああそれで水上軍がなんだっけ?…ああ、確かなんたらなんたらオの話の途中だったな。ロズマール帝国の…。』
ジット・シオスコンプ『だから!我々は水上軍を解任されました!!!』
眼を見開き、口を大きく開けて静止するキッド・チャンスワカメ。
ジット・シオスコンプ『兄上。兄上~。兄上~~…。』
ジット・シオスコンプは立ち上がり、キッドチャンスワカメの眼の前で手を振る。瞬きするキッド・チャンスワカメ。ジット・シオスコンプはソファに座る。
キッド・チャンスワカメ『それでな。ロズマール帝国のなんたらなんたらオって…。』
机を叩くジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『話を聞けや!馬鹿兄貴!!』
縮まって、頷くキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『はい。』
ジット・シオスコンプ『いいですか。我々は水上軍の任務を解かれました。』
頷くキッド・チャンスワカメ。ため息をつくジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『我々の新たな任務は…はぁ。マンディ王子の世話役です。』
ホクガの声『
…傾き 光さす
街道沿いの お屋敷に
晴れた 良い日 良い気 立つ
陽が傾き 光さす
街道沿いの お屋敷に
晴れた 良い日 良い気 立ち
』
キッド・チャンスワカメの館の前を歩くヂョルガロン王国元軍師で、リマ教僧侶でスキンヘッドのホクガ。ホクガを見て立ち上がり、窓によるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『旅の方。陽気な歌ですな。いや、実に愉快。』
ホクガはキッド・チャンスワカメの方を向き、笑顔を作る。
ホクガ『いや、実にめでたい。良い気がこの屋敷から流れ出ております。』
キッド・チャンスワカメ『良い気?』
ホクガ『ええ、とても良い。キッド様。』
眼を見開くキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『なぜ俺の名を!!?』
ホクガ『あなたの名は知れ渡っております。』
感嘆するキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『おぉ!!』
キッド・チャンスワカメの横に立つジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『あの者…あの容姿はリマ教の僧侶です。兄上の名前やこの屋敷など近隣住民に聞けば…。』
キッド・チャンスワカメの方を向いて顔をしかめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『すぐに分かります。カン大陸帝国より…ですか?しかし、他国の者。あまりかかわりあいにならないほうが…。宗教勧誘かもしれませんし…。』
キッド・チャンスワカメはホクガを見つめる。
キッド・チャンスワカメ『面白い。少し待ってくれ!』
ジット・シオスコンプ『兄上…。』
駆け出ていくキッド・チャンスワカメ。ホクガを見つめるジット・シオスコンプ。
C2 ホクガ END
C3 噂
キッド・チャンスワカメの館。南の間。ソファにすわるキッド・チャンスワカメとジット・シオスコンプ、向かいのソファに座るホクガ。キッド・チャンスワカメの方を向くジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『兄上。この様な者を館に入れるとは…。宗教勧誘…。』
ジット・シオスコンプの方を向くホクガ。
ホクガ『いえいえ。布教するつもりは全くございません。』
ジット・シオスコンプはホクガを見つめる。キッド・チャンスワカメの方を向くホクガ。
ホクガ『私は元ヂョルガロン王国で軍師を務めておりましたホクガと申します。』
眼を見開くジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『ヂョルガロン…。』
キッド・チャンスワカメ『ぢょるが…何処かで聞いたことがあるような。無いような…。』
キッド・チャンスワカメを見つめ、瞬きするジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『大丈夫ですか兄上?ロズマール帝国の賊軍と戦った時、兄上と一緒に闘ったでしょ、ほら、肉屋の国家です。』
ジット・シオスコンプの方を向くキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『おお。そんなのいたいた。』
俯き額に手を当て、首を横に振るジット・シオスコンプ。
キッド・チャンスワカメ『そうか。ヂョルガロンの。あの来ていたなんだったっけ。あの人は元気にしている?』
頷くホクガ。
ホクガ『それはもう。』
顔を上げ、ホクガを見つめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『しかし、元軍師というのは??』
ホクガ『お恥ずかしいことながら、王と意見の相違があり、出奔致しました。』
頷くジット・シオスコンプにキッド・チャンスワカメ。
ホクガ『ヂョルガロンのツァグトラ…あなたがたと共にロズマール帝国の賊軍と戦った方からキッド様の名を聞き及びまして。ちょうどセントラル大陸まで来たのでどの様な方か見ておこうと…。』
ホクガを見つめて頷くキッド・チャンスワカメ。目を細めてホクガを注視するジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『私は行っておりませんが。』
ジット・シオスコンプの方を向くホクガ。
ホクガ『そうですか。』
ホクガは頷いた後、キッド・チャンスワカメの方を向く。
ホクガ『そしてここまで来れば、これは驚きでこの館が良き気で覆われていました。そしてよくよく見て見ればよい気は…。』
キッドチャンス・ワカメを見つめるホクガ。
ホクガ『あなた様から出ていました。』
笑顔で2、3回頷くキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『ほうほう。』
ホクガ『瑞気と言いましてな。非常に良い兆候でございます。』
キッド・チャンスワカメ『ずいき…すんばらしい!』
頷くホクガ。
ホクガ『きっとこれより良い事が舞い込んで来るでしょう。』
キッド・チャンスワカメはジット・シオスコンプの方を向く。
キッド・チャンスワカメ『おお!聞いたかジット!!この僧が言っているぞ!!我々は良くなる!!素晴らしい事ではないか!!!』
キッド・チャンスワカメを見て、眉を顰めるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『兄上!宗教勧誘の手口です。乗らないように。一度家に入れてしまえばしつこいんですから!』
ジット・シオスコンプの方を向くホクガ。
ホクガ『ご安心を。私は布教に来たのではありません。セントラルを巡っているだけです。確かに私はリマ教を信仰しておりますが、強要するつもりも、他宗教を軽んじることもありません。人は信仰の自由を認め合うべきです。』
ホクガを見つめるジット・シオスコンプ。
ホクガ『ところでこのセントラル大陸には面白い噂があるのですね。このセントラルの地を制する者は、この世界全てを制覇することができるという。』
ジット・シオスコンプ『ただの民間伝承ですよ。』
C3 噂 END
C4 採用
昼。ワンデイ王国港町トトルゥガ。郊外の外れにあるシオスコンプ館。正門の前に立つホクガ。
ホクガ『ワンデイ王国貴族ジット・シオスコンプ様!兄君のキッド・チャンスワカメ様に召し抱えられたのでご挨拶に来ました!!ワンデイ王国貴族ジット・シオスコンプ様!兄君のキッド・チャンスワカメ様に召し抱えられたのでご挨拶に来ました!!』
暫くして正門を開き、現れるジット・シオスコンプ。彼はホクガを見つめる。
ジット・シオスコンプ『…これはリマ教の僧殿。話は聞いています。まさか兄があなたを雇うとは思いませんでしたが。』
一礼するホクガ。
ジット・シオスコンプ『どうぞ。中へ。』
ホクガ『はは。』
シオスコンプ館の中庭を歩くジット・シオスコンプとホクガ。
ホクガ『広いお屋敷ですな。』
ジット・シオスコンプ『ええ。元々シオスコンプ家の方々が住んでいたお屋敷です。』
ホクガ『シオスコンプ家の…。』
ジット・シオスコンプ『ええ。シオスコンプ家は世継ぎが生まれず潰え、我が父の命で私が家督を継ぐことに。この館はシオスコンプ家が繁栄していた時の名残です。』
館を見回すホクガ。
ホクガ『これだけ広いと使用人の数もいりますな。』
ホクガの方を向くジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『冗談。使用人を雇う余裕なんてありませんよ。我々下級貴族は。キラ兄弟だって我々の氏族とはいえ孤児なんですから。しかし、一人にこれだけの敷地はいりませんね。』
首を横に振るジット・シオスコンプ。頷くホクガ。二人はシオスコンプ館の中へ入って行く。
ワンデイ王国港町トトルゥガ。郊外の外れにあるシオスコンプ館。向かい合って椅子に座るジット・シオスコンプとホクガ。ジット・シオスコンプはホクガを見つめ、顔をしかめる。
ジット・シオスコンプ『しかし、貴方も運の悪い時に召し抱えられましたね。』
首を傾げるホクガ。
ホクガ『運が悪い?』
ジット・シオスコンプ『マンディ王子の事です。』
ホクガ『王族の世話役をすること程名誉なことはありませんよ。』
首を横に振るジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『…名誉なことですか。あなたはマンディ王子について勘違いしておられる。マンディ王子は素行不良故に王位継承を外された王子。後宮の人員整理と役人の配置転換によって我々は貧乏くじを引かされたのです。』
ホクガ『存じております。使用人として雇われていた四大貴族バハラキ家のアイシャ様が後宮で事故死された件で、農家出身の妾や農民出身の王妃様の血縁であるパパパ氏の一族が解雇されたのでしょう。アレス王国の偽王子事件の影響もあるとは思いますが…。』
ホクガを見つめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『良く御存じで。その通りです。アレスの偽王子事件で王は下賤の出身の者を懐疑的に見るようになりました。そこに妊娠していたアイシャ様の事故死。妊娠していたと言っても王族の子ではありません。その事は王も知っていました。四大貴族の血縁と知って焦った農家出身の妾達が嫌がらせをしたのでしょう。まったく愚かなことで。まあ、最もこれもここに来た上流貴族の方の話ですがね。』
頷くホクガ。ホクガを見つめるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『…この国はヂョルガロン王国とは勝手が違います。』
頷くホクガ。
ホクガ『分かっております。』
ジット・シオスコンプ『あなたは他国の…しかも異なる宗教の人間だ。風当たりは強い。王子は我々程あなたを理解しないし、理解しようともしないでしょう。』
ホクガ『それは覚悟の上です。王に失礼の無いよう、キッド様、ジット様に迷惑がかからないよう気を付ける所存であります。』
ジット・シオスコンプはホクガの眼を見る。
ジット・シオスコンプ『ホクガ殿、忠告しておきます。こちらが失礼の無いように振舞ったとしても、向こう側は些細なことで言いがかりをつけるでしょう。』
首を横に振るジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『まあ、兄の勝手とはいえ貴方とは縁ができた身だ。何か問題が起こりそうならば、すぐに兄の家を出てここへ。』
頭を下げるホクガ
ホクガ『お心遣い感謝いたします。』
頭を上げるホクガ。
ホクガ『私はヂョルガロンを出奔し、つかえるべき君主を探しておりました。そして、キッド様に巡り合えた。弟君のジット様も素晴らしい方で、私の眼に狂いは無かった。』
笑みを浮かべるホクガ。
C4 採用 END
C5 王子
ワンデイ王国港町トトルゥガ。キッド・チャンスワカメの館の正門の前に立つキッド・チャンスワカメ、ジット・シオスコンプ、ホクガにキラ兄弟。
ワンデイ王国国王サンディ・ワンデイとワンデイ王国の将軍で四大貴族の一つバハラキ家のシラケ・バハラキとその長男ナタケ・バハラキにワンデイ王国の重臣で四大貴族の一つトイ家のサウザンに連れられたワンデイ王国王子でサンディ・ワンデイの長子で美少年のマンディ・ワンデイ。深々と一礼するキッド・チャンスワカメ達。
キッド・チャンスワカメ『この度は、はるばるこの様な地に来ていただき、真にありがとうございます。』
キッド・チャンスワカメ達の方を見回す一同。ホクガを見つめるサンディ・ワンデイ。
サンディ・ワンデイ『…見慣れない者が居るようだが…。』
頭を上げるキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『み、見慣れない?』
周りを見回すキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『曲者か!何処に…。』
サンディ・ワンデイ『そうではない。』
ホクガを指さすサンディ・ワンデイ。
サンディ・ワンデイ『あの者だ。』
キッド・チャンスワカメはホクガの方を向く。
キッド・チャンスワカメ『ホクガ殿ですか。ホクガ殿は僧侶で、ヂョ…ん?肉…。』
顔を上げるジット・シオスコンプ。
ジット・シオスコンプ『王子様を迎えるにあたり、人手が兄と私にキラ兄弟だけでは心ともなく、召し抱えました。』
頷くサンディ・ワンデイ。
サンディ・ワンデイ『そうか。まあいい。』
サンディ・ワンデイはマンディ・ワンデイの方を向く。
サンディ・ワンデイ『マンディ。』
サンディ・ワンデイから顔を背けるマンディ・ワンデイ。マンディ・ワンデイを睨み付けるサンディ・ワンデイ。
サンディ・ワンデイ『マンディ!!!!』
サンディ・ワンデイの方を向くマンディ・ワンデイ。
マンディ・ワンデイ『うっ~せなっ!』
サウザン『王子!王に向かって何たる口のきき方!』
サウザンの方を向くマンディ・ワンデイ。
マンディ・ワンデイ『うっせ。爺。』
キッド・チャンスワカメ達の方を向くマンディ・ワンデイ。マンディ・ワンデイを睨むサンディ・ワンデイ。
サンディ・ワンデイ『この者達がこれからお前の世話をするチャンスワカメ家とシオスコンプ家の者だ。挨拶しろ。』
マンディ・ワンデイは首を横に振り、キッド・チャンスワカメ達の方を向く。
マンディ・ワンデイ『よろしく。』
サンディ・ワンデイ『では、よろしく頼んだぞ。』
一礼するキッド・チャンスワカメ達。去って行くサンディ・ワンデイにシラケ・バハラキ、ナタケ・バハラキにサウザン。
小さくなるサンディ・ワンデイの背中を見るマンディ・ワンデイ。
マンディ・ワンデイ『ああ、行った行ったクソ爺が。』
マンディ・ワンデイはキッド・チャンスワカメの館を見る。
マンディ・ワンデイ『なにこれ、こんな寂れた小屋に済むの?俺は王族だぞ!馬鹿にしてんのお前ら?』
マンディ・ワンデイに駆け寄るキッド・チャンスワカメ。
キッド・チャンスワカメ『そうは言われましても、我々は下級貴族。とても大豪邸を構えるような資金はありません。』
額に手を当て、上を向くマンディ・ワンデイ。
マンディ・ワンデイ『かぁ~!クソ親父。宮廷から追い出したと思ったら!!こんな間抜けた面の下級貴族と一緒に住めなんて。しかも男ばっかし、けっ!!あ~あ、もぅ。』
C5 王子 END
END
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