No.838995

ゼロの使い魔 AOS 第39話 ハーレムなんて許しませんよ!

koiwaitomatoさん

お約束が一杯、おっぱいな展開が……え、何だって?
それはそれとして…久しぶりの休日に平賀家に訪れる訪問者?
休みの日くらい寝かせておくれ(by才人)

2016-03-25 04:16:53 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2764   閲覧ユーザー数:2737

 

 新都計画にロングヒルの魔法を使った工事を取り入れてから1週間が過ぎようとしていた。

 

 工事は順調…いや、当初予定していた以上のの進捗を見せていた。

 

 地ならしに始まり、土台作りもほぼ全てが完了し、後は道路と箱を置くだけの段階まで進んでいた。

 

 もちろん魔法の力のおかげなのだが、ロングヒルとエレオノールの土魔法のレベルが相当高いのもこんなに早く進んでいる要因だった。

 

 土魔法とは土などの有機物を原料にしてあらゆる物質を作り出す魔法、才人がいた世界で言う所の錬金術に近いのかもしれない。

 

 とにかく物作りにおいてはこの土魔法は非常に有用な方法だった。そして、才人のお姉ちゃんズは土魔法のエキスパートらしい。

 

 エレオノールが言うにはロングヒルの実力はトライアングルクラス以上はあるとの事らしい。

 

 トライアングルクラスと言う単位は良くわからないが相当の実力者であるのは間違いないとエレオノールが言ってたな。

 

 そして、ロングヒルが言うにはエレオノールは非常に器用なメイジだとか。

 

 まあ、王立魔法研究所とかいう機関に勤めているだけあって知識量ではさすがに勝てないわと言ってたっけ…何にしても頼もしい姉たちを持ったものだ。

 

 そんな訳で新都計画は順調そのものだった。

 

 そして、今日は久しぶりの休養日。

 

 東地区の復興作業と新都計画の掛け持ちで働き通しだった才人にとって久しぶりにゆっくり休める1日になる。はずだった…

 

 

 

 才人は自室でぐっすり寝ていた。

 

 いつもなら街の外の新都建設予定地にいるか東地区にいる時間なのだが今日はお休み。

 

 学生時代はなんとなく休日を過ごしていたが、働く身分になってからの休日がこんなに尊いものだったとは思わなかったな。

 

 父さん、小さい頃に遊びに連れてってとか言ってごめんなさい。

 

 とにかく今日1日は絶対に何もしないで、家でゴロゴロすると誓うぜ。見ていてくれよな父さん。

 

 「ZZZ~」

 

 そんなわけで現在、爆睡中の平賀才人だった。

 

 「ちょっと、起きなさいよ。何時だと思ってるのよ?」

 

 …んは?体が揺れる~…誰かが揺さぶってるのか?でも…

 

 「んん~…ZZZ~…」

 

 今日は1日中何もしないって決めてるんだ。起こそうとしてるのが姉さんでもエレオノールでも絶対に起きないもんね。

 

 「うぐ~!」

 

 掛け布団を頭からほっ被ってイビキを出す。断固、起きないぞという決意表明だ。

 

 「ちょっと!だらしないわよ、いい加減におきなさいよ」

 

 ……しつこいな。今日は1日中ダラダラするって言ってあったのに……このキンキン声はエレオノールだな?

 

 昨日は「久しぶりの休みだからゆっくりしてね」とか言ってたのに……今日になって態度が変わるなんて…

 

 「せっかく私が起こしてあげてるのに、寝てるなんてゆるさ…って、え?」

 

 才人は布団の中から手だけをニョキっとだして揺さぶっている手をおもむろに掴む。

 

 昨日はゆっくりしてって言っておいて、手のひらを返して起こそうとするエレオノールめ……にひひっ、お仕置き決定!

 

 「サイト?ちょっと手を…きゃっ!」

 

 「お前もこっちに来い!」

 

 そう言って才人は強引にエレオノールを布団の中に引きずり込んだ。

 

 今の俺は平賀才人じゃない。そう、食虫植物エレオノクイ草だ!

 

 「な///…サ、サイト!?ちょっと何するのよ!?」

 

 「何って?それはね……お前を食べるためさ」

 

 布団の中でエレオノールをがっちりホールド完了。

 

 う~ん…ひさしぶりのエレオノールとの超近距離での身体接触。とてもやわらかくて温かいです。

 

 年上のお姉さんを無理やり布団の中に引きずり込む……なんともエロい話ではあるがそこは家族だから全く問題ないな。

 

 まあ、エレオノールとはそれ以上にエロい事をした時もあるわけで今更ではあるのだが。

 

 「サイトったら寝ぼけてるの?離しなさいよ!」

 

 布団の中でエレオノクイ草から逃れんとジタバタと手足を動かしてくる。

 

 おお?この赤頭巾ちゃん(エレオノール)、けっこう抵抗するじゃないの。だったら…

 

 布団の引きずり込んだら、そのままおとなしく2人で寝て(睡眠的な意味で)ぐっすりと…みたいな展開になるとおもったんだけどな。

 

 これは…お仕置き追加だ。

 

 「いいから離しなさいよ!こんな事して…あっ///……ちょ、ちょっと何す……んん///」

 

 「んん~…いいにおいだな。それにすっげえ柔らけ~…」

 

 嗅ぐ!髪の毛の匂いをスンスンと嗅ぐ!やっべえな…本当にいい匂いなんですけど…。

 

 「あっ…ちょっと…さっきから何を……きゃっ///」

 

 揉む!太ももを、ほっぺたを、そしておっぱいを…(ムニュ)…うん、エレオノールさんはやっぱり無乳。それでもフニフニして柔らかいな~…えへへ。

 

 「あっ///……ちょっ///……やっ///」

 

 そして……舐める!攻める場所は分かっているぞ。エレオノールの弱いところは前回のアレで十分分かっている。

 

 後ろから抱きかかえる形の才人はそのまま口をエレオノールの耳元まで寄せて…(ペロペロ×10)…耳の奥まで己自身(舌を)を挿入する。

 

 「んっ~~!?」

 

 「ハムハム、ペロペロ……んちゅっ」

 

 「やめ///……やぁ……あん…」

 

 う~ん…相変わらずココが弱点か。前回、オナペット(言葉通りの意味で)にさせられた時に耳を攻めさせられた事は忘れてなかったよ。

 

 良し良し、いい感じだ。そして、これでとどめだ…これでイっちゃえよ!

 

 「ペロペロ……ふ~…愛してるよ……ちゅっ」

 

 「んん///!?んんんん///!!!?」

 

 エレオノールの体をやさしく触りながら、同じくらいにやさしく愛を囁いた。

 

 腕の中で痙攣しながらぐったりしているな…お仕置き終了だ。

 

 おとなしくなったエレオノールを腕の中で感じて才人は再び寝る、今日は2度寝だ。しかも抱き枕つきで…う~ん本当に贅沢な休日。

 

 あれ?エレオノール。なんかいつもよりおっぱいが小っさいよう…な……ZZZ

 

 才人は違和感を感じ…る前に贅沢な2度眠についた。

 

 

 

 

 

 

 ―― ゆっさ、ゆっさ。

 

 ZZZ~…んん?

 

 ―― ゆっさ、ゆっさ。

 

 ……んん?……揺れているな。地震……か?

 

 「ちょっと、起きなさいよ。もうお昼すぎているわよ」

 

 あれ?なんだろう…なんかデジャヴのような感じが…。

 

 「いくらお休みでも流石に寝すぎよ。ロングヒルでさえ起きているんだから。ねえ、サイト」

 

 この声はエレオノールか……昨日は「久しぶりの休みだからゆっくりしてね」とか言ってたのに……あれ?

 

 「流石にお腹すいちゃったわよ。サイトがご飯を作ってくれないなら外に食べに行くけど…どうするの?」

 

 ふふふ…休みの日に寝坊しているお母さんと食べ盛りの子供みたいだな。なんだろう本当にお母さんになった気分だ……って違う、あれぇ、今の声ってエレオノールだよね?

 

 「す~…ZZZ」

 

 じゃあ、俺が抱きかかえているかわいい寝息をたてているこの方は一体どなた様?えっ?たしかエレオノールと一緒に寝ていたはず……だよね?

 

 そう、掛け布団を頭から被っているので姿が見えないのだが、サイズがエレオノールよりも明らかに小さい…いや、このサイズは幼女…まさか……幼女を部屋に連れ込んだのか、俺?

 

 お巡りさ~ん、街で噂のロリコンがここにいますよ!

 

 って、そうじゃないだろ!えっ?えっ?どうなってるの?どうしよ?えっ!?ええっ!?

 

 才人は布団の中で?マークだらけの大パニック!そして…

 

 「いいかげんに……起きなさーーい!!」

 

 ―― ばさっ!

 

 冷静を取り戻す前にエレオノールによって盛大に掛け布団がひっぺがされた。

 

 「まったく!お休みだからってだらしないわよ。おはようサイ……トと、え?」

 

 「……」

 

 ぬっくぬくの掛け布団を急に引っぺがされてけっこう寒いです。いや、抱き枕を抱えているのでそこまできつくは無いんですが……ピンクの抱き枕?

 

 「す~…ん~…サイト~…ちょっと寒いわよ~……す~…ZZZ」

 

 「んなっ……!?」

 

 「……」

 

 ルイズだね……この桃色の柔らかい髪と天使と見間違うような愛くるしい顔、そして、幼女と見間違うような小動物のような身体……間違いなく俺のご主人様で俺の大好きな女の子だ。

 

 「サイト~…寒い~…もっと暖めなさい~…これはご主人様の~…ZZZ」

 

 「んなっ……なっ……ル、ルイズ?」

 

 「……うん、ルイズだね」

 

 エレオノールだと思った?残念、実は可愛い可愛い天使の様なルイズちゃんでした。って事ですか……いや、残念どころかかなり嬉しいです!

 

 ただ、何だろな…目の前の可愛い可愛い天使の様なルイズちゃんが物凄い塩くさい…いや、磯臭いのは何でだろうな?

 

 そして、エレオノールの顔がなんか怖いんですけど…そう、まるで般若のような感じの……アレ?これってNTR(寝取られ)的な感じなのか?

 

 才人の自室のベッドに才人と愛くるしい寝顔のルイズ、そして、目の前には般若からさらに形容しがたいお顔に変化している最中のエレオノールの3人……これって。

 

 「サイト~…やっと起きたの?今日はずいぶんと寝ぼす……あ~……ごめん、もしかして修羅場だった?」

 

 4人目の使者ことロングヒルが部屋に入ってきて、爆弾(エレオノール)の起爆装置をONにしやがりました。

 

 「おっと、サイト~…あんたもやるじゃないかい。まあ、お姉ちゃんとしては弟を取られてちょっと寂しいかな~…ねっ、エレオノール?」

 

 ちょっと!爆弾に燃料を追加しないで!って言うか目が笑ってる!絶対にこの状況を分かってるでしょ!

 

 「……チッ……チッ……チッ……」

 

 「ん?なんだいそれ。時計かい?」

 

 「んにゅ~…サイト~…あったかいにゅ~…く~…」

 

 ルイズは本当に可愛いな~あったかいにゅ~だってさ。ルイズの身体もあったかいにゅ~…あはは~…これが萌えって事なのか。

 

 俺のことを守ってくれて、甘えてくれて、甘えさせてくれる、天使のように可愛いルイズ……俺、この戦い(姉さん曰く、修羅場)が終わったらルイズと結婚するんだ。

 

 「チッ!チッ!……チッ!!」

 

 「あっ…これはヤバイね。サイト~あたしは居間に避難するから頑張んなさいよ」

 

 姉さん…そこはここは私にかまわず先に逃げるんだって言って欲しかったな。

 

 「チッ!……チビルイズーーー!!!いつまで寝てるのよーーー!!!とっととサイトから離れなさいーーー!!!」

 

 「ひっ!ふえっ……今、エレオノール姉さまの声が……サイト、今の声はエレオ……」

 

 「だからとっととベッドから降りろって言ってんのよ!!!聞こえないの!!!このチビルイズがーーー!!!」

 

 「ひいっ!ご、ごめんなさい!エレオノール姉さま~!!」

 

 大爆発!才人の自室はエレオノールの炎に包まれた。

 

 

 

 あの後、エレオノールのお説教を30分ほど受けた才人とルイズがぐったりして居間のテーブルに突っ伏している。

 

 まだ学生なのに男性とベッドを共にするとは何事か、そんなふしだらな妹に育てた覚えはありませんとかそんな感じの事をたっぷりと言われた。

 

 いや~…怖かった。命がけで戦った時のヴァリエール公爵よりも怖かった気がする。流石は親子と言った所か…ルイズも怒らすとこんな感じになるのかと不安を覚えたりもした。

 

 何にせよ話し合いの結果、誤解は解けたらしく開放されて現在に至る。

 

 ロングヒルがエレオノールを昼食の名目で外に連れ出していて、今は部屋の中に才人とルイズの2人だけがいる形となっていた。

  

 「う~…酷い目にあったわ」

 

 「まあ…お疲れ様、ルイズ」

 

 「せっかくの休日なのにエレオノール姉さまにお小言を言われるなんて……はあ~…」

 

 「あれ、ルイズって今日は学校は休みなのか?」

 

 「はあ?休みじゃなかったらにここに来れないでしょ。サイト…忘れちゃったの?」

 

 「ああ…そういやちょっと前までは1週間ごとに定期的に泊まりにきてたもんな。最近はドタバタしていてあんまりルイズがこっち来れなかったんだっけ」

 

 忙しくなる前…そう、才人がロングヒルやエレオノールと会う前の話だ。あの頃は実質1人暮らしでルイズが気軽に遊びに来ていたっけな……1ヶ月ぐらい前の話なのに妙に懐かしい気がする。

 

 「お父様にサイトは仕事で忙しいからあまり邪魔をしないようにって言われててね。遊びに来るのを遠慮していたのよ……でも、甘えん坊のサイトが寂しがってるんじゃないかって心配になって様子を見に来たの」

 

 あんのクソ親父め!ルイズが最近、来てくれなかったのはテメェの仕業だったのかよ!いや、仕事は忙しいけどソレとコレとは別だろうが!

 

 「ふふ、ご主人様に会えなくて寂しかったみたいね。会えて嬉しかったんでしょ!」

 

 「………ああ、すげぇ嬉しかったよ。寂しかったし……正直、夢を見てるんじゃないかって思った」

 

 「今のに間は何?」

 

 鋭い……出来る限り平静を装って答えたつもりだったのだが。

 

 ルイズと会えなくて寂しかったのは事実だ。そう事実ではあるのだが、ルイズが思っている『寂しい』とは大分開きがある『寂しい』なのだ。

 

 会えない夜は君を想って涙するとか、会いたくて会いたくて震えちゃうみたいな感じなのがルイズ的な『寂しい』である。

 

 才人はそこまで寂しかったかと言えばそうでもない。姉さんやエレオノールと一緒にほぼ家族の様に家で過ごしていたし、家事を全くしないお姉ちゃんズのお世話をしているうちに強い母性本能が目覚めた気もする。

 

 家以外でも仕事仲間たちや、友達の子供たちと何かしらの時間を過ごしていたりと寂しいと感じる時は無かった様に思える。

 

 ルイズの事を蔑ろにしているつもりは無いはずなのだが、大人になると世界と言うか視野が広くなってそこまで『寂しい』だけに構っていられないものなのかもしれない。

 

 平賀才人は16歳にして大人の真実にたどり着いてしまったようだ。

 

 「俺がルイズがいないとダメなのは良くしってるだろ、な?」

 

 「…う~ん、それもそうね。サイトだもんね」

 

 若干、苦しい言い訳だったがルイズは納得してくれたようだ。俺ってルイズの中では評価低いのかな……ちょっと複雑だったりもする。

 

 「それにしても急な来訪だよな、来るなら前もって言ってくれればちゃんと迎えてたのにさ」

 

 「あ、それなんだけど。今日はトリスタニアには別の用事で来たのよ」

 

 「へっ…別の用?」

 

 「そ、友達に会いに来たの。ここに寄ったのはついでみたいなものかしら」

 

 えっ?ここに来たのは俺のためじゃなくてついでだったのかよ……さっきは心配になって様子を見に来たったていってたのに。

 

 ルイズの言葉にショックを受ける才人だった、だけどそれよりも気になるのは……。

 

 「ルイズって友達がいたのか……意外だ」

 

 「はぁ!?ずいぶん失礼ね。そりゃあ友達ぐらい沢山いるわよ、サイトが知らないだけでね」

 

 「ああ……そりゃあそうだよな、ワリィ」

 

 そういや俺ってルイズの事を知っているようで全然知らないんだよな。高飛車なお嬢様ってだけで友達がいないって決め付けちゃったけど、俺の知らない交友関係だってあるだろう。

 

 「まあいいわ……予定の時間までまだあるけどそろそろ出るわ。……エレオノール姉さまとこれ以上顔を合わせていたくないし」

 

 「…ん、お前ら仲が悪いのか?」

 

 「……良くはないわね。それにエレオノール姉さまはしっかりしている人だから私に対してきつく当たるのもしかたないのかなって思うし……」

 

 良くは分からないが姉妹の仲はそんなに良くないらしい。まあ、よそ様のお家の事なので部外者が立ち入って聞く話でもないのだが。

 

 「しっかりしている人?」

 

 「ええ、自分にも人にも厳しいの。姉さまに比べたら私なんてだらしないんでしょうね……」

 

 そう言って少し落ち込んだ様子のルイズ。

 

 「いや……自分に厳しいってのはなんとなくわかるけど、エレオノールって人に厳しいタイプなのか?」

 

 「は?何を言ってるのよ。さっき私と一緒にお小言をいただいたでしょう。姉さまには昔から頭が上がらないのよ」

 

 何だろう……才人が知っているエレオノールとはだいぶ印象が違う気がする……。

 

 「いや!エレオノールって他人に優しいタイプだろ、どう見ても」

 

 「ええっ?」

 

 「うん、それにしっかりしている所や性格もルイズそっくりじゃねえか。すっげえ似たもの姉妹だと思うぜ、2人は」

 

 「似たもの姉妹……私と姉さまが?」

 

 才人が知る限りだが、負けず嫌いな所とか、不器用に優しい所とか、実を言うと甘えん坊な所とか本当にそっくりな姉妹だ。

 

 それに、顔の系統もキツメの感じがそっくりだし、その……おっぱいが控えめな所も血統というやつなのだろう、とても似ている。

 

 はっきり言って、身長と声と髪の色ぐらいしか違っている所がないくらいだ。これだけ似ているのに苦手意識をもつのが才人には不思議でならない。

 

 「ああ、だから俺はルイズと同じくらいエレオノールの事が好きだぞ」

 

 「ええっ!?」

 

 「俺には血の繋がった兄弟はいないから偉そうな事は言えねえけど……あんまり自分やお姉ちゃんを邪険にするなよ。家族って本当にありがたいもんだからさ」

 

 「サイト……」

 

 才人が自分とあのエレオノールをそんなふう評価していたなんてと思っていなかったルイズ。

 

 似ているというのには驚いたが、非常にポジティブな評価に悪い気はしない。いや、すごく嬉しかったりもする。

 

 「そう、あ…もう時間が無いから出かけるわ。じゃあね」

 

 「あ、ルイズ……」

 

 今、どんな顔をしているんだろ。たぶんニヤけていると思う。

 

 ルイズは才人に顔を見られないように、急いで家を飛び出していった。

 

 

 

 さて、才人の家から場所を移してロングヒルに連れ出されて酒場に連れ出されたエレオノール。

 

 誤解は解けたものの、ルイズと才人がベッドにいた事にはいまだご立腹だった。

 

 そして、真昼間から女2人で飲んでいるという状況の真っ只中である。

 

 「あー!なんであの子はサイトとベタベタしてるのよ!ルイズの癖に……ルイズの癖にぃー!!」

 

 「ちょっとは落ち着きなさいよ。周りから見られてるから」

 

 「落ち着いているわよ!う~…サイトもサイトよ!あんな子供相手に……そう、あんなチンチクリン相手に~…う~…」

 

 「はあ~…サイトはあの子の使い魔なんだからベタベタ…いや、仲が良くて当然でしょう。いいから落ち着きなさいな」

 

 「2人で寝るのは仲が良いとかゆう問題じゃないでしょう!ふしだら……そう、淑女としての嗜みが足らないのよ!」

 

 「……あんたがそれを言うのか。まったく……べつにいいじゃない、歳も近いんだしさ。まあ微笑ましいもんじゃないの」

 

 「微笑ましいですって?あの子達はそんな年齢じゃないでしょう!それに~~~」

 

 酒も入ってるせいかエレオノールの勢いはまったく衰えず声のトーンは更にヒートアップしていく。

 

 昼間なので客はほとんどいないのだが、従業員の女の子たちは仕事をするふりをしながらこちらの話に耳を傾けている。

 

 (まったく……女の嫉妬はめんどくさいね。そして、このからみ酒ときたもんだ。はあ~…)

 

 酒場で働いていた事のあるロングヒルはからみ酒の相手に対しての耐性はあるのだが、知り合いの女性にからまれる経験はほとんど無かった。何と言うか男よりもめんどくさい。

 

 「ちょっと!ちゃんと聞いているの!?」

 

 「はいはい、聞いてますよ。むしろ、なんでそんなに怒ってるのか私には分からないけどね」

 

 「分からない……分からないって何で分からないのよ!」

 

 また怒鳴る。酔っ払いというのはなぜ声が大きいのだろうか。

 

 「はあ~…だからさ、あんたは妹にサイトを盗られるんじゃないかってイライラしているんでしょ。ちがう?」

 

 「はあ!?別に盗られるとかそんな事じゃ……」

 

 「だ・か・ら、その認識が間違ってるんだよ。別に盗られたりしないから」

 

 「だから盗られるとかそんなんじゃないわよ!……盗られるとか……うっ……うう……ぐすっ…ひっく…」

 

 「ちょっ…ちょっと泣かないでよ!」

 

 エレオノールが今度は泣き出す。ロングヒルも慌ててフォローに入るのだがスイッチが入ったらしく本気泣きになっていく。

 

 「やだ、あそこのお客さんたち修羅場みたいよ。でも女ふたりで修羅場って……百合の花が見えるようだわ」

 

 「まあ、人の好みって色々あるからね。他人の性癖にケチをつけるのは野暮ってものよ」

 

 「すごい……私の村では女の人同士なんて聞いた事……やっぱり都会って進んでいるのね……」

 

 何か物凄い勘違いをされている。

 

 「ちょっと!……ああもう泣き止んでよ。あらぬ誤解を生んでるから……ね?」

 

 「だって……ひっく……サイトが……ひっく……あのチビルイズなんかに……うっ……ううっ……」

 

 「ああもう!この泣き上戸め!だから、あんたの妹はサイトの事を別に盗りやしないから。その…何だ、恋愛感情みたいなもんは無いよあの2人は」

 

 「ひっぐ……恋愛感情が無い……ひっぐ……何で、そんな事が分かるのよ……ひっぐ……」

 

 「ちょっとは落ち着いたかい?まったく……あんたの妹の態度を見れば分かるわよ。あれは自分のペットを可愛がってるような感じだったよ」

 

 「ペットを可愛がっている……本当に?」

 

 「そうだよ。あんただって使い魔がいた事ぐらいあるだろう?しかも初めて呼び出した使い魔だったら思い入れも強かったんじゃないかい?どうだった?」

 

 「それは……たしかに可愛がっていたかも」

 

 「だろ……つまりはそういう事だ。あんたがサイトの事を男として好きなのは知っているよ。だから不安な気持ちも分かるよ。まあベットインしているのを目撃したらそりゃあ怒るのも無理ないさ」

 

 「ベットイン……ううっ……シャイトォ~……ひっく……」

 

 「だから泣くなって!あんたの妹は…ルイズには恋愛感情は無いってば。ペットと飼い主が一緒に昼寝しているようなもんだから」

 

 「ぐす……本当に?……本当にお昼寝ってだけなのね?嘘じゃないわよね?」

 

 「ああ。あの子と何回か話した事はあるけどサイトに対して恋焦がれてるみたいなものは感じなかったよ」

 

 「そう……そうなんだ…えへっ」

 

 (ったく……何がそうなんだ…よ。必死に冷静を装っているのがバレバレなのよ)

 

 ロングヒルの説明でようやく落ち着いたエレオノールだった。

 

 (まあルイズにはその気は無いんだろうけどね…サイトはルイズの事を女として好きなんだって事は教えないほうがいいか…)

 

 ロングヒルは知っている。才人がルイズに恋焦がれている事を。初めて才人と会った時に好きな女の子と喧嘩して落ち込んでいた事を聞いている。

 

 (まあ嘘はついていないしね…それに……)

 

 「エレオノール……まあ、がんばりな」

 

 「……ふえっ?がんばるって?」

 

 「いつまで呆けてんだい。サイトの事だよ……好きなんだろ。結婚したいぐらいに」

 

 (そうだ。私はこいつの事もけっこう気に入っているんだ……女の友情ってわけじゃないけどルイズと比べるならあんたの事を応援してやるよ)

 

 そう言って、エレオノールを励ますロングヒル。

 

 ロングヒルとしては才人が悪い女に引っかからなければそれでいいという気持ちだったが、何だかんだ言っても家族同然に暮らしているエレオノールの事も憎からず思っている。

 

 女の友情と言うよりは家族の情と言った所であろうか…この件に関してはエレオノールの方を応援してやろうと思った。

 

 

 

 ルイズは友達との待ち合わせの場所にいた。

 

 約束の時間よりは余裕を持って着いているはずだ。

 

 ルイズとしても友達と会うのはかなり久しぶりだった。おそらく半年ぶりぐらいだろうか…そう、会いたくても会えないようなとても多忙な人物だった。

 

 そんな友達が急に会いたいと手紙を送ってきたのが5日前の話だ。

 

 その友達はルイズの中では1番大切な友達だった。

 

 ルイズだって会いたかったのだ。そして、魔法学院が2連休に入る週末に会いましょうと返事を出して現在に至る。

 

 (ここに来るのも久しぶりだわ)

 

 ルイズの友達……彼女はとても忙しい方だ。自分と会う前にも用事が沢山あるのだろうし、沢山の人と会っているのだろう。

 

 (お父様やお姉さまたちと何回か来たことがあるけどココは落ち着かないわね……まだかしら)

 

 現在、ルイズがいる待ち合わせ場所は沢山の人たちがいる。

 

 役人や兵士、聖職者やメイドたちなど職業はバラバラだが皆この場所に用事がある人ばかりだった。

 

 そして……。

 

 「お待たせしました。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール様ですね。こちらに…」

 

 1人の少女がルイズを呼ぶ。

 

 どうやら案内役のようだ。彼女の後についていく。 

 

 優美な雰囲気の通路を案内役の少女の後に続く。そしてある一室の前にたどり着く。

 

 この部屋にいる人物こそがルイズを呼び出した友人だった。

 

 「さあ、お部屋の中にどうぞ」

 

 (この部屋に入るのも久しぶりね…少し緊張してきた……よし!)

 

 そうして意を決してドアを開けるルイズ。

 

 部屋の中に入ると、中央に位置するテーブルの椅子に彼女に会いたいと手紙を出してきた人物の姿が……ルイズの1番大切な友達がいた。

 

 白いドレスに身を包んだその友人…少女はルイズの姿を見ると嬉しそうに弾けるような笑顔でこちらに向かってくる。

 

 そして、どちらからとも無く……。

 

 「ルイズ……ああ、ルイズ。本当に来てくれて……うれしい」

 

 「お会いできて光栄です。お久しぶりです………アンリエッタ様」

 

 ルイズの友達、アンリエッタ王女との半年振りの再会となった。

 

 

 

 次回 第40話 女2人でも姦しい、どこかのうわさ話でくしゃみをする才人くん

 

 

 


 
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