No.834173

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク 改訂版

soranoさん

第68話

2016-02-29 00:05:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:901   閲覧ユーザー数:854

 

 

~翡翠の塔・近辺~

 

「さてと……いよいよ調査開始ね。とにかく急いで屋上に向かわなくちゃ。」

「うん……でも様子が変だな。」

「えっ?」

地上に降りて呟いたヨシュアの言葉にエステルが首を傾げたその時

「あ、あんたたちは……!」

王国軍兵士がエステル達に慌てた様子で近づいて来た。

 

「ひょ、ひょっとして連絡にあった遊撃士かい?」

「うん、そうよ。」

「あなたは斥候部隊の?」

「あ、ああ……。あんたらに塔の状況を説明するために残っていたんだ。」

「何でも仮面の男にやられたそうやね?」

「そ、そうなんだけどそれだけじゃあないんだ。何と言うか……明らかにおかしいんだよ。」

「おかしいって……何が?」

「み、見れば分かる。とにかく入口に来てくれ。」

そしてエステル達は塔の入口に向かうと驚くべき光景を目にした。

 

「えっ……!?」

塔の入口が奇妙な色の結界らしきもので塞がれていたのを見たエステルは驚いた。

「何なんだこれは!?」

「何かの結界……!?」

結界らしきものを見たルークは驚き、クローゼは真剣な表情で呟いた。

「………………………………。中に入ることはできないのか?」

「仮面の男はそのまま入っていったから大丈夫だとは思うけど……。追いかけようとも思ったけど仲間が全員やられちゃって……」

レイスに尋ねられた兵士は肩を落として答えた。

「そっか……。ここはあたしたちに任せてあなたは部隊に戻って。」

「わ、わかった……。女神の加護を!」

そして兵士はどこかに去り、エステル達は塔の中へと入って行った。

 

~翡翠の塔・異空間~

 

「へっ……!?」

「ここは……」

エステル達が塔の中に入ると、そこは塔の光景とは全く異なり、広大な空間が見える場所だった。

「ちょ、ちょっと待って……。あたしたち、確かに塔の中に入ったはずよね!?」

「空間転移……この光景からすると現世とは異なる空間に飛ばされたんだろうね。」

周りの光景にエステルが慌てている中、レイスは落ち着いた様子で推測した。

「あ、あんですって~!?そ、それじゃあ塔の屋上に登るなんて無理なんじゃ……!」

「落ち着いて、エステル。ブルブランが現れたということは必ず道はあるはずだよ。」

「た、確かに……。……うん!とにかく慎重に進みましょ!」

そしてエステル達は時折現れる機械人形達を倒しながら先を進んだ。

 

「あっ……」

先に進んでいた時、エステルは何かの装置を見つけた。

「これって……何かの装置みたいね。」

「ふーむ、見たところ何かの端末見たいやけど。」

「……調べてみようか。………………………………。……これだ」

装置を調べ、スイッチを見つけたヨシュアが押すと、装置が起動し、装置の上の空間に映像が映し出された。

「わわっ……!」

「どうやら情報が記録された端末みたいだ。内容を確認してみよう。」

 

そしてエステル達は情報を確認して、端末のメモリーである『データクリスタル』を取り出したて読み始めた。しかしほとんどの文字は読めないようになっており、わかったのは情報を記録したのが『セレスト・D・アウスレーゼ』 という人物だけだった。

 

「なによ、最初以外は読めなくなってるじゃない……って、この『アウスレーゼ』って。」

「はい……リベール王家の姓です。縁(ゆかり)のある方かもしれません。」

「ああ。ひょっとしたら、私達の先祖かもしれないね。」

エステルに視線を向けられたクローゼとレイスはそれぞれ考え込んだ。

「絶対重大な事とか書かれていそうだけど、これじゃあ全然わからねぇな……何とか解読できるような装置が見つかるといいんだがな……」

「うーん……そうね。ま、役に立つかもしれないし一応取っておきますか。」

その後エステル達は周りの装置を起動させて、データクリスタルを回収し、屋上を目指した。

 

~翡翠の塔・頂上~

 

「こ、ここって……!?」

「塔の屋上みたいやけど、こいつは……」

「屋上を包んだ”結界”の内側ということか……」

「フフ……なかなか早かったようだね。」

屋上に到着し、周りを見ているエステル達に声がし、声がした方向を見るとそこには執行者――”怪盗紳士”ブルブランが”ゴスペル”を起動させた装置の傍で待ち構えていた。

「あいつが”怪盗紳士”か………」

「やっぱり来てたわね……この変態仮面。」

「フッ、はしたない物言いだ。我が挑戦に応えた事もあるのだから、品位を見せてもバチは当たるまい?」

ルークはブルブランを睨んでいる中エステルの言葉にブルブランは呆れた口調で指摘した。

 

「それはさておき……ずいぶん久しぶりだな。”漆黒の牙”―――ヨシュア・アストレイ。」

「……そうだね。何故あなたが教授の計画に協力しているのか疑問だけど……」

「フフ、他の者はさておき私の場合は趣味を兼ねていてね。このリベールという国は不思議な気品に満ち溢れている。人も、土地も、空気すらも。その気品が本物かどうか見極めてみたいと思ったのだよ。困難に直面した時、それは一層輝くものだからね。」

「なるほどね……。ある意味、あなたは教授と似ているのかもしれない。」

ブルブランの話を聞いたヨシュアは納得した様子で頷いた。

「………………………………」

「しかし、まさか姫殿下がこの場に来られたとは……。私の崇拝を受け入れる気になったと考えてよろしいかな?」

「残念ですが……私は貴方の期待に応えられるような人間ではありません。真に気高き人間であるならどうして迷ったりするでしょう。”アルセイユ”を陛下に返す時、私は答えを出さなくてはいけない。私は……その時が恐いのです。」

ブルブランに尋ねられたクローゼは否定の言葉を答えた後不安そうな表情になって答えた。

「クローゼ……」

「……………(クローディアが答えを出したのならば私も答えを出さなければならないな…………前世の時と違い、私が愛人の子と知っても母上共々私達を暖かく迎え入れてくれたアリシア祖母上や亡くなった父上達から受けた恩に報いる為にも………)……………」

「フハハ!その畏れこそが気高さの証!地を這う虫けらが焦がれて止まぬ翼の輝きなのだ!」

クローゼの答えを聞いたエステルは心配そうな表情をクローゼを見つめ、レイスは目を伏せて黙り込んでいる中ブルブランは高笑いをしながら答えた後、ステッキを構えた!するとエステル達の左右に巨大な人形兵器が2体現れた!

 

「!」

「わわっ!?」

「強襲用人形兵器、”バランシングクラウン”!」

「さあ、見せてくれたまえ!影横たわる地すら照らし出すその輝きを!」

そしてエステル達はブルブラン達との戦闘を開始した!

 

「それっ!」

「邪霊一閃!!」

戦闘開始時ブルブランが先制攻撃代わりに投擲した特殊なカードにすぐに反応したレイスは凄まじい速さでカードを次々と斬り落とし

「朧!!」

「フフ………」

ヨシュアによる背後からの強襲に対してすぐに反応したブルブランはステッキで防御し、元の位置に戻ったヨシュアに人形兵器達は自分の身体から糸のようなものを放った!

「!!」

敵の攻撃に気付いたヨシュアは一端後退して、回避し、そしてオーブメントを駆動させ

「そらっ!」

「スターストローク!!」

「せいっ!!」

ケビンとクローゼ、エステルはそれぞれ遠距離から一斉にブルブラン目がけてクラフトを放った。

「フハハハハ………!」

しかしブルブランは不敵に笑いながら分身するクラフト――シャドウキャストを使い、3人に分身した!3人の攻撃は分身体のブルブランに命中した為、本体には当たらなかった!

「纏めてぶっ潰れろ!魔王地顎陣!!」

「グッ!?」

その時ルークの広範囲を攻撃するクラフトによって分身体ごと纏めて攻撃されたブルブランはダメージを受けて怯んだ事によって分身体を維持する為の集中力が途切れた為、ブルブランの分身体は消滅し

「風雷神剣!!」

「!!」

そこにレイスが疾風の如くブルブランに強襲したが、ブルブランは攻撃が命中するギリギリに側面に跳躍して回避した。

「甘い!爪竜斬光剣!!」

「はっ!?」

しかしレイスは続けて瞬時にブルブランに斬りつけた後光の大爆発を起こしてブルブランにダメージを与えた。その時狙いをエステルとルークに定めた人形兵器達が手に持っている剣で攻撃してきた。

 

「「……………」」

「っと!」

「へっ、当たるかよ!」

人形兵器達の攻撃に対して二人はそれぞれ回避したが攻撃を回避された人形兵器達は二人の足元に1人分の穴を発生させ、2人を穴の中へと落とした後、2人がいた真上に転送した!

「へ……きゃあっ!?」

「な……危ねっ!?」

突然空中に転送された事でエステルは地面に叩き付けられてダメージを受けたが、ルークは空中で受け身を取って着地した。

「今助けます………――――ティアラ!!」

その時クローゼのアーツがエステルの傷を回復し

「せいっ!デス・スクリーム!!」

「っ!?」

「「!?」」

オーブメントの駆動を終えた戦場全体を攻撃する高位アーツを放って戦場にいる敵全員にダメージを与えた。

 

「もう、しまいにしよか…………ハァァァァァァ………!滅!!」

「雷神剣!秘技―――裏疾風!斬!!」

そこにたたみかけるようにケビンとルークはそれぞれ人形兵器達に激しい攻撃を加え

「えい!ダークマター!!」

二人が攻撃している間にオーブメントの駆動を終えたクローゼは重力によって動きを一時的に封じ込めると共に一か所に固めるアーツを発動して人形兵器達にダメージを与えて動きを制限しつつ一か所に固めた。

「おぉぉぉぉぉ………!」

そしてヨシュアは魔眼で人形兵器達の動きを封じ込め続け

「翔舞煌爆破!!」

止めにエステルが跳躍して人形兵器達に強烈な一撃を叩き込むと人形兵器達は破壊された!

 

「鳳凰天駆!!」

エステル達が人形兵器達と戦っている一方、レイスはブルブランに攻撃したが

「フフ………こんなのはどうかな?」

ブルブランは攻撃を回避した後ステッキから数本のナイフを素早く出し、敵に放つクラフト――マジックナイフをレイスに放った!

「甘い!」

しかしレイスは目にも見えぬ剣捌きで次々と自分に襲い掛かるナイフを叩き落した。

「フハハハハ……見切れるかな!?」

ブルブランは再び分身体を顕現させて分身達と共にレイスの周囲を回りながらレイスを惑わそうとし

「……………」

対するレイスは慌てることなく集中して本物の気配を探っていた。

「「「それっ!」」」

そしてブルブランは分身達と共に一斉にクラフト―――ワイルドカードを放ち

「断空剣!―――そこだ!鳳凰天駆!!」

レイスはクラフトで空中に退避した後一体のブルブラン目がけて全身に闘気の鳳凰を纏って突撃し

「何っ!?グッ!?」

レイスが本物である自分を見極めた事に驚くと同時にレイスの攻撃を受けてしまったブルブランは怯んだ。

「覚悟!燃え上がれ!紅蓮の刃!緋凰――――絶炎衝!!」

その隙を逃さないレイスは着地と同時に凄まじい速さでブルブランの背後からエステル達が戦っていた所まで駆け抜けた!するとレイスが駆け抜けた地面から凄まじい炎が吹き上がった!

「グアアアアアアア―――――ッ!?」

レイスのSクラフトをまともに受けてしまった事によって大ダメージを受けたブルブランは悲鳴を上げた!

 

「弧影斬!!」

「えい!エアリアル!!」

「せいっ!プラズマウェイブ!!」

「アーツ発動!ブルーアセンション!!」

「そらっ!!」

そこにさらにたたみ掛けるようにルーク達のクラフトやアーツ等の遠距離攻撃がブルブランを襲ったが

「ハッ!!」

ブルブランは命中する直前で大きく後ろに跳躍して、ルーク達の攻撃を回避した!

 

「ふむ……思っていたよりもやる。ならばこちらも本気で―――」

ルーク達から距離をとったブルブランが呟いたその時、塔の屋上の装置から出ていた奇妙な光が消え

「む!?」

「!」

光が消えると屋上を覆っていた黒い光も消え失せた。

「あ……!」

「元に戻ったんか……!?」

「ふむ、どうやら役目はこれで終わりのようだな。……仕方あるまい。引き上げるとしようか。」

「へっ……」

ブルブランが呟いた事にエステルが驚いて仲間達と共にブルブランを見ると、ブルブランはステッキを構えた状態で、周りに薔薇の花びらが舞っていた。

「ちょ、ちょっと!?」

「逃げる気か!?」

「ハハ、殿下は勿論だが遊撃士諸君の戦いぶりにも輝きを感じさせてもらった。それが真実であるかは次の機会に確かめさせて頂こう。それでは諸君、失礼する。」

そしてブルブランは高笑いをしながら消えた。

 

「に、逃げられた……」

「できれば後の災いとなる者はここで仕留めておきたかったのだがな……」

ブルブランが消えた事にエステルはジト目で呟き、レイスは静かな表情で呟いた。

「………………………………」

一方ヨシュアは真剣な表情になった後、エステル達と共に装置に装着されてある”ゴスペル”に近づいた。

「これが”β”……。”結社”が造ったゴスペルの最終型か。今までの新型よりもさらに一回り大きいみたいだ。」

「塔の屋上が元に戻ったのはいいんだけど……。問題はこれを使って何をしていたのかってことよね。」

「今まで動いていた装置もまた止まってもうたみたいや。何かイヤ~な予感がするわ。」

「今までの事を考えると、絶対にロクでもない事に使われていたのは確かだな。」

「それに、先ほどまで屋上を包んでいた結界……。あれは何だったのでしょう。」

ヨシュアの言葉にエステルは頷き、顔をしかめて言ったケビンの言葉にルークは頷き、クローゼは不安そうな表情で呟いた。

 

「………………………………。とりあえずこれでこの塔は元通りになったと思う。一旦、”アルセイユ”に戻ろう。」

「うん……。戻って博士に報告しないとね。」

その後アルセイユに戻ったエステル達はラッセル博士や仲間達に翡翠の塔で手に入れた情報を説明した。

 

 


 
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