拠点・真直
「報告します!!黒山賊は、尚も数を増し我が軍は苦戦を強いられています!!」
斗詩「そんな、まだ増えるなんて!!?」
猪々子「くっそ~、これじゃ埒が明かないぜ!!」
麗羽「まったく、これだから油虫は嫌いですわよ、一匹いたら十匹は必ず居ますもの・・・・・真直さん、その智謀は飾りですの!!?早くそんな汚らしい油虫を排除してしまいなさい!!」
真直「そんな事を言われても困ります!こっちだって可能な限りの手立てを打っているんですから!」
悠「う~~~ん、袁紹軍も相当な数を揃えているんだが、あいつらは何処から集まって来てるんだ?」
伝令の報告は、朗報の色を一切含んでおらず袁紹軍一同は焦りの色ばかりが濃くなる
黒山賊の問題は、以前から出されていたが、どうやら想像以上に深刻なようだ
梨晏「う~~~ん、私も山賊退治は何度もした事があるけど、報告を聞く限りだとこれは普通じゃないよ」
華雄「ああ、これほど大規模な盗賊団は聞いた事が無い、黄巾に匹敵するかもしれないぞ」
流石にそれは言い過ぎだが、そうと思えるくらいの数にまで黒山賊達は膨張しているのだ
真直「こうなったら、この数を利用する他ありませんね、袁紹軍総出で奴らを囲み兵糧を絶つ、何も考えず数だけ増やした単細胞共を飢え死にさせてやります」
一刀「大反対だな」
真直「北郷殿、これは冀州の問題なのです、私達袁紹軍だけで解決します」
自分の州の政に他の州の者は口出ししないというルールがあるのもだが、真直としてはこれ以上幽州に借りを作りたくないというのが本音なのだ
なにせ黄巾党の時に援軍要請というこの上ない借りを作ってしまっているのに、またもや幽州の力を借りたとなればもはや冀州の立場は地に落ちてしまう
それこそ袁家は、漢王朝に名門の座を返上しなければならなくなるが
一刀「そうもいかない、この場に居る以上、俺達は既に部外者じゃなく関係者になってしまっているからな」
梨晏「そうだよ、水臭い事言ってないで頼ればいいんだよ♪」
華雄「ああ、乗りかかった船だ、私も久々に大暴れしたいからな」
真直「・・・・・そこまでいうのでしたら」
斗詩「ありがとうございます、皆さん、一刀様・・・・・」
猪々子「マジ助かる、今回ばかりはあたいも迂闊に博打は打てないからな・・・・・」
一刀「言っておくけど、俺は武力で解決するつもりはないからな」
梨晏「出た、一刀節♪」
真直「北郷殿、既にに両軍はぶつかり合っているんです、始まってしまった戦いを途中で止める事など出来はしません」
一刀「要するに敵の首領を抑えればいいんだろ」
真直「それが出来れば苦労はしません、奴らは今も増えているのです、これだけの規模で敵の本陣を見つける事など至難の技なのです」
一刀「大丈夫だ、俺が奴らの陣地に潜入して本陣を見つけ出す、そして黒山賊の首領を捕まえてここに引っ張って来るさ」
斗詩「危険過ぎますよ、一刀様!」
一刀「俺の事は気にしなくていい」
真直「そういう訳にもいきません、北郷殿は今同盟の盟主なのです、もし北郷殿に何かあったら、私達はどう責任を取ればいいのですか!?」
斗詩「その通りです!!一刀様の実力は知っていますけど、万が一というものがあるんです!!」
単独行動を主張する一刀と、それを絶対に阻止しようとする袁紹陣営
両者の意見の対立が暫く続いたが、その時
「申し上げます!黒山賊に動きがありました!」
新たな伝令が玉座の間に入って来た
真直「どうしたのです!?まさかこの都に総攻撃を仕掛けて来たのですか!!?」
「いえ、違います・・・・・むしろ逆で、奴らの動きが鈍くなっていると言いますか・・・・・」
斗詩「え?どういう事ですか?」
「なんというか、奴らの中に悶え苦しんでいる者が複数いるといいますか・・・・・」
華雄「悶え苦しんでいるだと?」
梨晏「なになに?一体なにがあったの?」
悠「なんだよ、はっきりしろよ」
「申し訳ありません、私達も何が起きているのか分からないので、説明のしようが・・・・・」
麗羽「まったく、使えませんわね・・・・・」
一刀「悶え苦しんでいた?具体的にどうしていたんだ?」
「なんというか・・・・・其々が腹を押さえていたり、顔を青くして地面に寝そべって不調を訴えていたというか・・・・・」
一刀「・・・・・なるほど、疫病だな」
麗羽「え、疫病ですって!!?」
一刀「ああ、人数が増え過ぎてしまったから、生ゴミとかの生活廃材を処理しきれず、奴らの中で流行り病が発生してしまったんだ」
斗詩「うそ!!?」
悠「おいおいおいおい!!冗談じゃねえぞ!!」
猪々子「そんなん戦以前の問題だぞ!!」
華雄「ああ、とても手を出せるものではない・・・・・」
梨晏「うん、移されちゃったらこっちも奴らの二の舞だよ・・・・・」
麗羽「真直さん、今すぐ全軍を引き揚げさせなさい!!」
真直「はい!!伝令、田豊元皓の名において各将に撤退の命令を送りなさい!!」
「はっ!!」
「ははっ!!」
そして、二人の伝令はすぐさま玉座の間を飛び出した
真直「ふぅ~~~、まさかこんな事になるなんて思いもしませんでした・・・・・」
麗羽「まさに天罰というものですわね♪」
猪々子「う~~~ん、あたいとしては残念だな・・・・・」
悠「ああ、久しぶりに大暴れできると思っていたのに」
華雄「しかし、これでこちらは何もしないでも勝ちを手にしたぞ♪」
梨晏「うん、戦わずして勝つ、これが理想なんだからさ♪」
皆が安堵している中で、一人とんでもない事を言い出す者がいた
一刀「言っておくけど、状況が変わっても俺のやる事は変わらない、俺は現場に行く」
真直「なっ!!?北郷殿!!?」
梨晏「ちょっと、何考えてるの、一刀!!?」
華雄「おいおい、もうこの戦は決したんだぞ、お主が言っても意味は無かろう!!」
一刀「俺は、黒山賊の頭領に会いに行く、そいつを説き伏せて真人間にする」
猪々子「そんな意味あるのかよ!!?このまま待てばあいつら全滅するのに!!」
一刀「放っておけば、近くの町や村に疫病が伝染する可能性がある、それを防ぐ為にも行かないとな」
悠「無茶言うな、下手をすると一刀も流行り病にかかってしまうぞ!!」
麗羽「そうですわよ、それは許しませんわよ、一刀さん!!」
一刀「それこそいらない心配だ、俺はこの大陸一の医師と評される華佗から五斗米道を伝授されているんだ、俺が病気の類にかかる事はない」
真直「そうなんですか?・・・・・」
一刀「ああ、出来れば何人か付いて来て欲しいな・・・・・安心してくれ、俺の傍に居れば皆に病気が移る事は無いから」
斗詩「・・・・・それなら、まぁ」
梨晏「ちょっと心配だけど、一刀がそこまで言うんなら・・・・・」
「ああ゛~~~・・・・・うああ゛~~~・・・・・」
「ぐぎぎぎ、腹がいてぇ~~~~・・・・・」
「あぎあ゛ぁ~~、母ぢゃ~~ん・・・・・助げでぇ~~~・・・・・」
現場に行くと、殆どの黒山賊が疫病にやられていた
其々が、頭痛、腹痛、吐き気、目眩などの症状を見せ、さらには嘔吐や赤下痢などで凄惨な事になっていた
麗羽「ひいいい!!ほほほ本当に大丈夫なのですわよね!!?一刀さん!!?」
猪々子「ぜぜぜ絶対に移ったりしないだろうな、アニキ!!?」
斗詩「私は、一刀様を信じていますからね!!」
一刀「分かってる、分かってるって!!そんなに引っ付かなくても大丈夫だって!!//////////」
そして、結局全員が付いてきた
一刀が全身から青白い氣を発し周りに氣の幕を張り、その中に全員がすっぽり入っている
しかし、皆必要以上に一刀にしがみ付き、一刀は凄く歩き辛そうである
「うああ゛ぁ~~~・・・・・うげぇぇ~~~~・・・・・」
「腹が、腹が~~~・・・・・」
「誰がぁ~~、助げでぐれぇ~~~~・・・・・」
華雄「うわあああ、近寄るな!!」
悠「あっちいけ、しっしっ!!」
梨晏「恐いよ、一刀ぉ~~!!」
真直「天の加護を見せて、一刀ぉ~~!!」
むぎゅううううううう X7
一刀「(おいいいいい!!!だから押し付けて来るなぁ~~~!!!)/////////」
全員が一心不乱に一刀に抱き付き、そのふくよかな双乳を押し付けてくる
この時代では、病は相当に恐れられているようだ、彼女達は近付いてくる病人達を足で蹴り返そうとしている
治療を受けられるのはかなりの大金持ちだけで、彼らの様な貧しい人間には専門の医師による診察など、夢のまた夢なのであろう
華佗の様な医師が各地に居るはずもないし、一度病気になってしまった患者は治療ではなく隔離する事で病気の蔓延を防ぐしか手立てがないのであろう
その患者がこれだけ居れば、もはや戦場と並ぶこの世の地獄ともいえるのだ
真直は、恐怖の余り呼び方に地が出てしまっている
一刀達は急ぎ足でそれらの病人達の間を縫っていき、黒山賊の本陣らしきところに辿り着く
「うげ、うぎうぅ~~~~・・・・・」
「うぐぐぐ、苦しぃ~~~~!」
本陣の入り口の両脇で苦しんでいるのは見張りであろう、二人とも顔を青くし地面に寝そべっている
内側でも相当数の山賊達がもがき苦しんでいた
そして、本陣の中の一番大きい天幕を見つけ、その中に入る
???「・・・・・誰だ、てめぇら」
???「俺達は気分が悪いんだ・・・・・報告なら後にしな・・・・・」
中では、二人組の熊の毛皮を被った男が、顔を青くし寝台の上で寝そべっていた
一刀「おいおい、俺達がお前らの部下に見えるのか?」
???「な、なんだと!?」
猪々子「お前ら、ここにおわすお方をどなたと心得る!?」
斗詩「このお方こそ、冀州太守にして司隷校尉、袁紹様であらせられますよ!」
麗羽「そ、そうですわよ、このわ・た・く・しが漢の王朝の名門中の名門、かの汝南袁氏が末裔、袁本初ですわよ、お~~~っほっほっほっほ♪」
三人ともご老公ご一行の様にかっこよく決め台詞を吐くが、一刀にしがみ付きながらではかえってかっこ悪い
???「な、なんだと!?どうして袁紹がこんな所にまで来れるんだ!?」
???「見張りの奴らは何をやっているんだ!?」
梨晏「こんな状況で、見張りなんて役に立つと思うの?」
華雄「ああ、全員疫病にやられているぞ」
???「そんな・・・・・お前ら、こんな病だらけの中に突っ込んでくるなんて、正気の沙汰じゃねぇ!」
悠「それは、この北郷一刀のおかげだな♪」
真直「あなた達には見えませんか?この天の加護が」
???「・・・・・・・・・・」
???「・・・・・・・・・・」
一刀の全身から発せられる青白い氣を目の当たりにし、おまけにいきなり現れた天の御遣いに頭領二人は愕然としていた
一刀「それはいいとして・・・・・お前達が張牛角に褚燕だな?」
張牛角「そうだ、俺がここの頭領の張牛角だ・・・・・ふん、天の御遣い自らが出向いてくるとはな、俺もとうとう年貢の納め時ってか・・・・・」
褚燕「なんだ?わざわざ俺達に後宮の自慢をしに来たのか・・・・・」
麗羽「なななな、何を言っていますのよ!!?///////////」
華雄「私達と北郷はそのような関係ではない!!///////////」
真直「そうです、変な言いがかりは止めて下さい!!/////////」
梨晏「あは、やっぱりそう見えるんだ♥////////」
斗詩「そうなったらそうなったで、良いかも♥//////////」
猪々子「へへ~~ん、羨ましいだろ~~♪」
悠「お前らみたいな奴には、天の加護なんて一生縁の無いものだろうけどな♪」
傍から見れば、そう見られても不思議ではない
一部の者が煽るようなことを言っているが、今はそのような事を真に受けている場合ではない
一刀「それで、お前達はどうして自分達がこんな事になっていると思う?」
張牛角「・・・・・・・・・・」
褚燕「・・・・・・・・・・」
一刀「これは、今までお前達がしてきた身勝手な行いに対する報いだと思わないか?」
張牛角「・・・・・・・・・・」
褚燕「・・・・・・・・・・」
一刀「今後お前達がこれまでの自分を省みて、二度と同じ過ちを犯さないと誓えるのなら、この場でお前達の病を治してやってもいい」
張牛角「ほ、本当か!?」
褚燕「本当に、俺達の病を治せるのか!?」
一刀「ああ、もちろんお前達だけじゃない、外に居るお前達の部下全員を治してやる」
褚燕「・・・・・本当だろうな?」
一刀「それは保証する・・・・・ただし、治し終えたらお前達及び黒山賊全員は、この袁紹の軍門に下る事を誓うんだ」
張牛角「・・・・・分かった、この地獄から救ってくれるんなら、何だって誓ってやる」
一刀「よし、男と男の約束だ、しっかり守るんだぞ」
そして、一刀は懐から鍼を取出し、張牛角と褚燕の診察を始めるが
張牛角「(はっ、んなもん守る訳ねぇじゃね~か、バ~~~カ!!)」
褚燕「(治ったら、全員でお前達を袋叩きにしてやる!!)」
と、この二人は相変わらずあくどい事を考えていた
しかし、その辺りも一刀は隙など見せなかった
一刀「言っておくがな、もし俺との約束を守らなかったら、今回の厄災とは比較にならないそれが、お前達の身に降りかかる事になるぞ」
褚燕「な、なんだと!?」
張牛角「それは、どんな厄災だ!?」
一刀「そうだな・・・・・まず骨の皮一枚にまで痩せ細り、全身の穴という穴から血が流れ出し、鼻や耳などの体の各部位が削げ落ち、体の内側から何かに溶かされ、この世のものとは思えない苦しみを味わいながら、最後にはころりと死んでいく、そんな厄災だ」
張牛角「・・・・・・・・・」
褚燕「・・・・・・・・・」
この一刀の言葉に、黒山賊頭領を張って来た二人も顔面蒼白になり、背筋に真冬の海に放り込まれたかの様な寒気を感じた
「・・・・・・・・・・」
それは、一刀にしがみ付いている彼女達も同様だった
一刀「言っておくが、俺の言っている事がガセやホラだと思うなよ、俺は天の御遣いだからな、こうして厄災を退けることが出来れば、その逆も出来ると思え」
張牛角「わ、分かりました!!誓います!!」
褚燕「約束は守ります!!だからこれ以上の厄災はご勘弁を!!」
一刀「よし、ならじっとしていろ、直に治してやる・・・・・はあああああああああ!」
ぴしゃーーーーーーーん!!!ずどーーーーーーーーん!!!
二人に鍼を打ち込み、病魔を払った
張牛角「おお、おおおおおお!!!本当に治った!!!」
褚燕「凄い、なんだか前より調子が良いです!!!ありがとうございます、御遣い様!!!」
二人は寝台から飛び起き、すっきりした晴れやかな表情を見せる
一刀「よし、今度は他の全員を治すぞ」
そして、一刀達は天幕から出る
斗詩「でも一刀様、どうするんですか?」
真直「そうです、全員とか言っていましたけど、これだけの数を一人一人治していけば、どう考えても一日やそこらでは終わりませんよ」
そう、黒山賊の数はある説では100万に達していたというものがある、これだけの数を治そうと思うと、気の遠くなるような時間が必要である
それこそ、一刀が目指している大陸巡りの期間をまるまる費やさねばなるまい
一刀「それも抜かりはない、俺には華佗に隠れて密かに開発した自分流の五斗米道があるからな」
斗詩「自分流の?・・・・・」
真直「五斗米道?」
一刀「見ていればわかる・・・・・はああああああああ!」
鍼を天に掲げ、一刀は気合を込める
五斗米道の透視で周囲360°を見回し、鍼に氣を込める
一刀「ばい菌君達、私は・・・・・」
そして、何かに語りかけるようにして
一刀「野口英世であ~~~~~~~る!!!!!」
必殺の言葉を叫んだ
シャキーーーーーーーーーーン!!!
「うおおおおおおお!!!??なんだぁ!!!??」
「滅茶苦茶調子が良いぜ!!!」
「!!!!!???」
すると、病人達は何かに叩き起こされたかのように直立不動で飛び起きる
一刀にしがみ付く彼女達も目を皿の様にしていた
一刀「野口英世!!!!!」
ジャキーーーーーーーーーーーン!!!
一刀「野口英世!!!!!」
ピシャーーーーーーーーーーーン!!!
そして、その後も一刀は俺流の必殺技を駆使して病魔を打ち砕いていく
斗詩「凄い・・・・・」
猪々子「誰だそれ?」
麗羽「信じられませんわ・・・・・」
華雄「恐れ入るぞ・・・・・」
悠「まさに神速だな♪」
梨晏「もう何でもアリだね、一刀♪」
真直「・・・・・・・・・・」
その後、わずか半日で一刀は全員の治療を終えてしまった
黒山賊の頭領たる張牛角と褚燕、及び部下達は、約束通り麗羽の軍門に下り、其々が軍に配備されたり農作業に従事したりと役割を与えられる
これには麗羽と斗詩は諸手を上げて喜び、猪々子や悠も自分の部隊の人員が増えるという事で大喜びだった
袁紹軍一同は、黒山賊をまるまる抱き込む事を成功させた一刀への御礼と称して宴を開こうとしたが、一刀は断った
なにせ五斗米道をあれだけ連発しているので、殆んど気力を使い果たしている有様だったのだ
それよりも休みと気分転換を兼ねてという事で現在、一刀は真直と共に街の散策をしていた
真直「お疲れ様です、北郷殿♪もう北郷殿には感謝してもしきれません♪」
一刀「俺はただ、これ以上の犠牲を出したくなかっただけだよ」
真直「謙遜しなくてもいいです、あれだけの同盟に加えて黒山賊の問題を全て解決してくれたんですもの、これから私達は北郷殿に協力を惜しみません♪」
一刀「それは、こちらとしては大助かりだな♪」
そして、二人は話し合いながら通りを進んでいく
真直の、隣を歩く一刀を見る目は明らかにこれまでとは違っていた
それは、尊敬と畏怖というものであろう
真直「それにしても北郷殿、あの時叫んでいた、その・・・・・野口・・・・・英世、でしたっけ、それっていったい何の事ですか?」
一刀「俺の世界で有名なある医師の名前だよ、その名を賊達の体の中の病魔に聞かせることによって、病魔を自滅に追い込んだんだ・・・・・さっすが俺が敬愛する野口大先生♪まさかこの世界の病魔にまでその名を知られているとはな♪」
真直「全く知りませんね・・・・・」
一刀「そりゃそうだろう・・・・・なにせまだ生まれてないからな(ボソボソ)」
真直「なんですって?」
一刀「いんや、何でもない」
三国志の時代で一刀の時代の人物の話をしたところで理解してもらえないだろう
おまけに
一刀「(な~~~んてね、そんな訳ないだろうが)」
実を言うと、野口大先生うんぬんは関係ないのだ
あれはただ単に、一刀の氣をそのまま五斗米道に乗せ、力技で体に巣食う細菌を死滅させただけである
野口大先生の名前を出したのは、一刀なりのルーティン、あるいは自己暗示である
確かに野口大先生は一刀が尊敬する歴史の偉人の一人であるが、単純にその名前を叫んだだけで病気が治れば苦労は無い
真直「それともう一つ聞きたいのは・・・・・北郷殿は、本当に厄災を齎すことが出来るんですか?」
一刀「出来る訳ないだろう、あれは完全なガセとホラだよ、ああいう奴らはあれくらい脅してやらないと懲りない事は、これまでで嫌というほど味わっているからな」
真直「やっぱり、何となく変だと思っていましたけど、本当にただのハッタリだったんですね♪」
一刀「当たり前だよ、俺に出来るのは、病魔を滅却する事だけだ」
今の一刀に華佗のような記憶のツボで相手の記憶を抹消する技術はまだない
完全な脅でしかないのであろうが、今はこれくらいしか対処法が無いのである
だいたいこの時代に、エイズやら、エボラやら、らい菌やら、レンサ球菌やら、コレラ菌やらが発見されているとはとても思えない
感染した患者がいたとしても、呪いや超常現象として認識されているのだろう
この中には、感染してしまえば現代の医療技術でさえ治す事が難しいヤバいものもある
それらの症状がいっぺんに来ると言えば、それはまさに脅迫と同レベルのものであろう
そして、一刀と真直は手近の店に入り注文した料理に舌鼓を打つ
一刀「・・・・・そういえば、俺も真直に聞きたいことがあったんだけど」
真直「ん?・・・・・なにをですか?」
一刀「真直は、以前は朝廷に仕えていたんだよな」
真直「っ!・・・・・誰に聞いたんですか?」
一刀「別に聞いた訳じゃない、俺がこの世界に来る前から知っていた事だ」
真直「なるほど、天の御遣いというのは偽りではないようですね」
史実の田豊元皓は、若い頃から権謀術策に長じ、博学多才の人物として名を知られていた
最初は茂才に推挙され、侍御史に昇進したが、宦官の専横などを見て朝廷に嫌気が差し、官職を辞して郷里に引き上げた
その後、袁紹の参謀として仕えるようになり、後の世では、沮授と並ぶ袁紹軍の2大知将と評されている
官渡の戦いの後に曹操は「もし袁紹が田豊の献策を用いておれば、予と袁紹の立場は全く逆のものとなっていたであろう」と語っており、『三国志』魏書袁紹伝の注によると、歴史家の孫盛は「田豊・沮授の智謀は、張良・陳平に匹敵する」と賞賛している
一刀「それと、真直は桂花と知り合いなんだよな?」
真直「ええ、朝廷に仕えていた頃からの腐れ縁です」
一刀「桂花も真直と一緒に麗羽に仕えていたんだよな」
真直「その通りです、何の因果か知りませんが、当初は同じ主に仕えるとは思いませんでした・・・・・といっても、結局あのドM桂花はすぐにこの陣営に見切りをつけましたけどね」
一刀「(え、ドM?)」
空耳か、現代語が出て来たような気がしたが、真直はそんな一刀の疑問を露とも知らず話し続ける
真直「まぁ、その気持ちも今思えば分らなくはありません・・・・・私も北郷殿に鞍替えでもしましょうか?」
一刀「おいおい、いきなりとんでもない事を言い出すな」
真直「冗談です、私が出て行ったら斗詩に全てを押し付ける事になってしまいますから」
一刀「・・・・・そうだな」
そう、もし真直まで出て行ってしまったら、麗羽が暴走してしまった時の火消し役が居なくなってしまう
その役割は、今のところ斗詩と、この真直だけなのだ
麗羽が史実の袁紹と全く同じ行動をするとは思いたくないが、保険は必要である
一刀「安心しろ、真直、俺もなるべく麗羽には働き掛ける、お前と斗詩だけに苦労は押し付けない!」
真直「あ・・・・・ありがとうございます////////」
真摯な顔で迫られ、真直は反射的に感謝の言葉を口ずさむ
その端整な顔が近付き、真直は自らの鼓動が早くなるのを感じた
一刀「時間は掛かるだろうけど、これから一緒に麗羽を真人間にしていこうな♪」
真直「そ、そうですね!/////////」
そして、はぐらかす様に真直は料理を口に運ぶ
真直「(どうしよう、本当に鞍替えしちゃいそう)////////」
真直の一刀に対しての感情はこの時、畏怖や尊敬を通り越し、次の段階に移行しつつあった
そして、翌朝
華雄「世話になったな」
梨晏「猪々子、悠、またね♪」
猪々子「おう、いつでも来い♪」
悠「またな、今度は梨晏とも試合たいな♪」
麗羽「皆さん、冀州はいつでも皆さんを歓迎いたしますわよ、お~~~っほっほっほっほっほ♪」
斗詩「ぜひまた来てくださいね、一刀様♪」
真直「北郷殿なら、いつでも大歓迎です♪」
一刀「そう言ってもらえると嬉しいな・・・・・それにしてもいいのか?梨晏と華雄の馬を貰ってしまって」
斗詩「何を言っているんですか、これくらいさせて下さい♪」
真直「はい、北郷殿がこの冀州に齎してくれたものを思えば、これでも足りないくらいです♪」
同盟締結、黒山賊吸収、これだけでも一刀が冀州に齎した恩恵は計り知れないものだ
馬の一頭や二頭、下手をしたら数百頭を献上したところで十二分にお釣りが来るであろう
一刀「それじゃあ、皆またな♪」
華雄「達者でな♪」
梨晏「また会おうね、皆~♪」
こうして、一刀達は東へ旅立っていった
斗詩「(いつまでも待っていますよ、一刀様♪)/////////」
真直「(今度会う時までに、私が麗羽様を改心させて見せるわ、今度来た時に一刀を驚かせてやるんだから♪)//////////」
その後ろ姿を見送り、二人は決意を新たに足を踏み出したのだった
Seigouです
皆さん、かなり遅いですが・・・・・新年あけましておめでとうございます
2016年、皆様にとって栄えある年になる事を願います
年末年始は大分間が空いてしまいましたね
それは何故かというと、去年恋姫無双のオンラインゲームである恋姫英雄列伝が始動したと聞いて、それをやり始めたんです
もちろん課金の類は一切していないですけど、最初は話のネタを探すつもりの軽い気持ちで登録したのですが・・・・・これがまた嵌ってしまいまして
そのせいでストーリーのイメージは固まっているのに全然執筆が進まないという自業自得状態に陥っています
なにせ既存のキャラがいろんな恰好をしたり、これまで出なかった新しいキャラが大騒ぎしているので、普通に見ているだけでも楽しいんです
それ完全に言い訳じゃねーかよ、待っている俺達の身にもなれよ!!と読者様の声が聞こえて来そうですが、この際はっきり言っておきます、これからは作品の投稿はかなりのスローペースになるであろう事を
しかしながら、自分もなるべく早く作品を完結させたいとは思っています
今の状態でもかなりのグダグダっぷりですが、これ以上グダグダにならない様に心掛けるつもりです
という訳で、自分勝手な理由で遅れてしまったお詫びと言っては何ですが、次回は久方振りに阿修羅伝を投稿するとしましょう・・・・・待て!!!次回!!!
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冀州拠点(パート4)