No.832483

陸奥と居眠り提督

お久しぶりです。前回の続き?になります。

2016-02-22 00:59:10 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2127   閲覧ユーザー数:2125

 

 

 

「提督………寝ちゃったの?」

 

陸奥は隣に居る提督を揺さぶるが眼を閉じたままだ。

 

「起きないわね………」

 

陸奥は呆れながら提督の頬をつっつく。が、反応は無い。提督が「前から見たかった映画借りてきたんだけど一緒に見ないか?」と陸奥を誘い、執務室のソファーで二人並んで借りてきたブルーレイを見ていた。しかし誘った本人である提督は途中からウトウトし始め、最後の方では寝てしまった様だ。

 

「自分から誘っておいて寝るなんて………それじゃ女の子にモテないわよ………」

 

他の娘なら怒るわよ。と呟きながらブルーレイを取り出そうとする陸奥。そんな時………

 

「zzz………」ポフッ

 

「あら?あらあらあら。こういうのは普通逆だと思うんだけど………」

 

陸奥の肩に寄りかかって眠る提督。陸奥は少し困りつつも提督の寝顔を眺める。

 

「スースー………」

 

「…………」

 

気持ち良さそうに寝息をたてている提督を見ていてふと魔が指した。と言うべきだろう。肩に寄りかかっている提督を抑えつつ陸奥は少し離れるように移動、そしてゆっくりと提督の頭を自分の太股の方へ持っていく。つまりは陸奥が提督を膝枕する状態になった。

 

「スー………」

 

「………」

 

膝枕をする為に動かしたが、幸いと言うべきか提督は眠ったままの様だ。

 

「つい勢いでやってみたけど…………恥ずかしいわね。」

 

そう言いながら提督の頭を優しく撫でる。

 

「私達はともかく、提督はずっと忙しかったものね………」

 

つい最近陸奥の姉である長門と最上型で最も入手しづらいと言われている三隈の二名を艦隊に迎えてからこの二人の練度を上げる為に毎日演習を行い、それと同時に進行させていた1―5攻略艦隊である第三艦隊が敵主力潜水艦を撃破、更には主力艦隊が3―1と4―1、4―2、4―3までのエリアを一気に制圧し、4―4もボスこそ逃がしたが勝利を手にし、破竹の勢いで突き進んでいった優斗大佐(一時少将になると言う噂があったが文字通り噂だった。)が率いる艦隊だったがその代償は大きく、資材が大幅に減り、特に深刻な燃料不足が起きてしまった。現在は駆逐艦や軽巡洋艦達が遠征で燃料集めに奔走し、主力である戦艦や空母達には休暇を与え、そして提督は映画を見るついさっきまで事後処理や業務に追われていた。

 

 

 

「でも、寝る時間を削ってまで映画を見ようとするなんてね………」

 

提督らしいわ。と陸奥は苦笑する。

 

「でも、どうしていつも私を誘うのかしら?他にも居ると思うけれど………」

 

陸奥は提督の誘いなら他の皆も喜んで了承するだろう。と思っている。普段仕事を終えて暇があればプラモデルを作ったりゲームをしたりする提督だが、少なくとも彼の下で戦う艦娘達からは人気があり慕われてもいる。最も、提督本人はそんな事も知らず、自分を慕う変わり者なんて居る訳がない。と言っているが………

 

「でも………選ばれるのは、悪くないわね。………これは期待しても良いのかしら?」

 

陸奥が嬉しそうに呟く。彼女自身もまた、提督が言う変わり者の一人だったりする。

 

「提督………」

 

ジッと提督の寝顔を見つめる陸奥。提督に対する色々な感情が混ざり合い、やがて一つの行動を決断しそれを実行しようと顔を近付けたその瞬間、ノックもなしに執務室のドアが開けられる。

 

「どうも青葉です。提督、前回好評だったので今回も艦隊通信にコラムを書いて欲しいんですけど………って」

 

『あっ。』

 

入ってきた青葉と陸奥は目が合うと同時に驚いた声を出す。そのまま固まっている陸奥に対し、青葉は提督が陸奥の膝枕で熟睡しているのを確認。

 

「青葉、見ちゃいました。」

 

そう言うや首から下げていたカメラを構え、パシャパシャと撮る。注意しようにも大きな声を出せば提督が起きてしまうかもしれないので、陸奥は声を出せない。

 

「陸奥さんスクープありがとうございます!!早速書かせて貰いますね!!」

 

そう言うや執務室を出ていく青葉。追い掛けたいのだが寝ている提督を跳ね退けて追う訳にも行かないので、陸奥はただ見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

「はぁ~………」

 

青葉が去り、執務室の扉が閉まった後、陸奥は盛大な溜息を吐くしかなかった。明日には青葉が書いている鎮守府内新聞『艦隊通信』により他の皆にも、そして今寝ている提督にも知れ渡るのだろう。

 

「………もう、提督のせいなんだからね。」

 

陸奥は太股の上で眠る提督に愚痴を溢す。それが自分勝手で我が儘だと自覚しつつも、陸奥は呟く。

 

「人の気も知らないで、無防備に寝てる提督が悪いんだから………」

 

陸奥は、先程は邪魔が入ってできなかった事………提督の頬に優しくキスをする。

 

「お休みなさい提督………。」

 

陸奥はそう言って提督の頭を優しく撫でる。明日から本部から通達のあった期間限定海域が始まるのでまた忙しくなるだろう。

 

「だから今は………ゆっくり休んでね………」

 

陸奥はそう言って目を閉じる。微睡みの中、太股に少しだけ掛かる重みが、今の陸奥にとっては自然と、しかしとても心地よかった。

 

 

 

.

 

 

後書き裏話。

 

 

これは2014年春イベ[索敵艦、発艦はじめ]のイベント直前辺りに書いたSSです。このイベントの最中、私が陸奥にハートをぶち抜かれ、惚れる事案が起きました。

それの話は現在執筆中の加賀編にて触れていければと。では

 


 
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