No.831320

超次元の外れ者・リメイク

ヒノさん

良ければどうぞ

2016-02-17 03:49:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:355   閲覧ユーザー数:355

「大将戦:リョウという男」

 

憑依とは、非物質的な身体を活かして物体に侵入する霊種(ゴースト)の代表的な能力だ。

生物に憑依して身体を操ったり、機械に憑依してプログラムを弄ったり、非生物に憑依して怪奇現象を引き起こしたりと使い勝手が良く、便利な能力だ。

因みに憑依したものによって居心地の良い悪いがあるらしく、中には無賃宿泊よろしくひとつの物体(バショ)憑依し()続けるゴーストもいるらしい。

ただされた側からすれば良い迷惑であり、肩が重いとかコンピューターの動作が重いとか悪夢を見るとか幻覚を見るとかで症状が出る為、揉め事や事件として取り上げられる事もしばしば。

ただ悪いことばかりではなく、心を患っている人への精神療法とか、容疑者への潜入操作とか、一度構成したプログラムに手直しを入れるなど、社会的につかわれてもいる為、使い方、使い手しだいなのかもしれない。

対抗手段があるとすれば魔法などによる解呪か浄化、あるいは強靭な精神力による抵抗しか僕は思いつかない。

けど機械ってゴーストにとってはカモって言われているし、機械種である以上いくら105(トーゴ)でも・・・・・観客の誰もがそう思っていた。

だから目の前のこの光景はあまりにも予想外で・・・・・

「や、やめてくれええええええ!!」

「さあどうする、これでもまだ俺を弄ると?俺に忠誠を誓わせると?」

「き、貴様卑怯だぞっ!」

「相手には届かない場所からねちねちねちねち責めるお前がそれを言うか」

相手の副将はトーゴに憑依した。そこまでは予想通りだった。

そしてプログラムを弄ろうとしたところも予想通りだったけど、トーゴの頭が光って副将が悶えているホログラム映像が出てきてから急に大逆転した。

何だか皆ものすごく引いた目をしているような・・・・・

『嗚呼、あの時取り憑いた女子の居心地ときたら・・・芳醇な甘い香りにつつまれて、まるで太陽輝く空の下で花につつまれ眠っているようだったぁ・・・・』

「うわぁ・・・・」

「あの人そんな趣味あったんだ・・・ふっつーに犯罪ジャン」

「幻滅だわぁ・・・・」

「ち、違うっ!これは奴が捏造した『はああああああああっ!あの時の補佐に取り憑いたけどまさか男の身であ~んなに居心地よかったとはっ!』なあああああ!?」

「え、じゃああん時あの人と同行任務行った後の帰りに身体が重くなったのは・・・・」

「うわわわわわわわわわわわわわう~わっ」

「や・・・・・やめろおおおおおおおおお!!!ゴフッ」

相手の副将が憑依を解除して外に出た時には、トーゴに止めをさされるまでもなく戦闘不能となっていた。

「ひひっ」とか「ひひひひふへ」とか「おわった、かんぜんにおわった」とか呟きながら、相手の副将は保健室に運ばれていった・・・・・

「相変わらず容赦ねぇなトーゴ・・・・」

「いくらなんでもエグ過ぎる・・・アイツの味方をするわけでもねぇし庇うわけでもねぇが・・・・・」

「俺、アイツとアネさんだけは敵に回したくねぇ・・・・」

「あの情報収集能力・・・味方になると頼もしいけど・・・・こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

そして一勝一敗となり、大将戦・・・・投げやりのような感じもするけど、そこの所は突っ込まないでおこうと周りのみんなは思っていた(・・・らしい)

そして大将戦・・・・ここだけは非殺傷用武器ではなく、自前の武器で戦うらしい。

ハイ・・・姉さんと卒業式のとき、暴走した生徒達の殆どを気絶させたうえに僕を助けてくれた相手側の大将の一騎打ちが始まった。

やっぱりハイマの方が良いかな。慣れてないから言い辛いし、血をもらったと言ってもそれで姉弟というのも考えてみれば安直だ。

そういえば、あの人の名前・・・・・なんて言うのかな?

「相手側の大将は・・・・やっぱリョウか」

「強いの?」と僕が観客の一人に尋ねると、「知らねぇの!?」と驚かれた。

「アイツの名前は(リョウ)、あのS級の危険種狩りの源さんの孫だぜ!?竜神族のクォーターだが、その実力は折り紙つきだ!!」

更に話を聞くと、彼はハイマと同じくA級の危険種狩りであり、将来女神に匹敵するぐらいに強くなるとか何とか・・・・

けどハイマも血の滲む様な特訓をしたし、僕の血を飲まなくても力を制御できるようになった、だから負ける要素は・・・・

「おいそこのあ~~~~っと、たった今まで俺の知らんからと隣に教えてもらってるそこの新人君、起立」

「?」

新人・・・というと僕かということで取り合えず立つ。するとリョウは、僕に向けて指を指した

「俺はリョウ、じっちゃんから話は聞いてる。あの日から拒食障害を起こしてる事も推察済みだ」

「アンタ、アタシと戦おうってのに余所見とはずいぶんと「お前は後な」なっ!?」

じっちゃんと言うのは源さんの事だろう・・・・僕の事で何か言っていたのだろうか。

と言うか対戦相手のハイマを前にして僕に話しかけるのはいかがなものかと・・・・・一応失礼行為だし。

「参考にならん動きばっか見て飽きただろう・・・・そこで俺からの前祝いだっ!」

「ッ!」

 

パシッ!

 

そう言うとリョウは刀を抜いて鞘を僕に投げつけ、僕は鞘を上手く受け止めた。その後、リョウは刀を僕に向けてこう言った

「今から種族特有の力も魔法も使わんからしかと見とけ!つーか見させる!釘付けにしたる!これがA級の戦い方だとな!!」

そういうとリョウは刀を構える。ハイマも苛立ちながら薙刀を構える。

「待たせたな・・・・相手をしてやるぜ」

「ナメるんじゃないよ?種族特有の力を使わずにアタシに勝つ?やってみるならやりゃいいさ」

「強がりだなぁ~ハイマちゃんは、クローフィアさんの言ってた通りだ。」

「なっ!?何でお前が母さんのことをっ!?」

「まぁ強がりもそのツギハギグループもあれもこれも全てに終止符を付けてやる・・・・そこで終わりだ!!」

「言わせておけばアタシがトップで文句あるのかあああああああ!!!」

 

ガキンッ!

 

試合開始の合図の前に、ハイマがいきなり薙刀を振り下ろす・・・・が、リョウはそれを刀で受け止める。

「それはこの勝負で分かることさ・・・・審判!このまま始めちゃって!あと観客席に逃げろ!」

「は、はひぃっ!!」

二人の押し合いの希薄に気おされながらも、審判は試合開始の合図を取って逃げ出した。

それを待ってたと言わんばかりに、リョウはハイマを振り払って後ろに下がらせてから突っ込む。

ハイマも迎え撃たんとリョウに向かって突っ込み、これまで直接相対しなかった二人の大将は今、ぶつかり合った。


 
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