No.828032

九番目の熾天使・外伝 ~短編GHOST②~

竜神丸さん

覚醒! 必中の弓矢!

2016-02-01 17:44:45 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5673   閲覧ユーザー数:1382

海鳴市にて、眼魔と呼ばれる怪人が引き起こしている不可思議現象。

 

その事件を追いかける中、okaka達は幽霊のような戦士―――仮面ライダーレイスと遭遇。彼が所持している眼魂の存在を知る。

 

以来、okakaは仮面ライダーゴーストの力を手に入れる為に、再び仮面ライダーレイスに会おうと不可思議現象を追いかけるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――で、やっぱし収穫は無しだったか」

 

「申し訳ありません、一城様。私達の情報網を持ってしても、全く行方を掴めませんでした…」

 

海鳴市、とある灯台。不可思議現象の調査にやって来たokakaは、昼食用のコンビニ弁当を食べながら桃花の報告を一通り聞いている真っ最中だった。しかし桃花曰く、海鳴市の何処を探してもそれらしい人物の目撃情報や不可思議現象と思われる事件などの情報を得られず、結局収穫が何も無いまま終わってしまったらしい。その報告に対して、okakaも「あぁやっぱりか」と言った表情で特に気を沈めるような様子も無く、タレの付いた唐揚げを口に頬張りつつ資料に目を向ける。

 

「生きた人間ならば、必ず何かしら引っかかる筈なんだ。それが鷹の目どころか、桃花達のサーチャーですら全く見つけられないとするならば……考えられる可能性は一つ」

 

「…そのレイスという人物が、生きた人間ではないという事でしょうか?」

 

「その説が一番有力だな。まぁ幽霊は幽霊でも、こんなにも見つかりにくい幽霊は初めてだが……それでも、早いところ見つけておきたいところだな。コイツを覚醒させる為にも」

 

okakaがライドブッカーから取り出したのは、仮面ライダーゴーストのカード。未だモノクロ状態になっているそのカードを見つめていたその時、桃花の表情が突如一変する。

 

「一城様、サーチャーに反応がありました。恐らくは眼魔かと」

 

「! …さて、腹ごしらえも終わったところだ、向かわせて貰うとするか」

 

食べ終えた弁当の箱の処分は桃花に任せ、okakaはアサシンらしく目に見えない速度で移動し、反応があったという現場まで一気に直行。するとokakaが向かって行った先で謎の爆発音が響き渡り、okakaは走る速度を上げて現場に到着。辿り着いたのは海鳴市の外れにある大きな鉱山で、そこでは何があったのか爆発による黒い煙が上がっているのが見えた。

 

「海鳴鉱山……なるほど、確かに奴等(・・)の気配はするな」

 

鉱山の入り口付近に人だかりもあった為、okakaはすぐさま人払いの結界を張った後、取り出した不知火砲の引き鉄を引いて周囲に不知火を放出。すると不知火の効果で、鉱山のあちこちを徘徊していた大量の眼魔コマンドが一斉に実体化。これにはokakaも思わず唖然とした。

 

『『『『『ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…!!』』』』』

 

「…おいおい、何だこの数は」

 

≪これら全て眼魔のようだね。この程度ならば問題は無い……という訳でもなさそうだ≫

 

「…確かにな。何体か、レベルの高い個体が紛れてやがる」

 

okakaが見渡している中には、眼魔コマンドだけでなく眼魔アサルトも何体か紛れ込んでおり、中には小型の弓矢を装備している個体までいるくらいだった。okakaはめんどくさそうな表情をしつつもプロトディケイドライバーを腰に装着し、カードを装填する。

 

≪カメンライド…≫

 

『やれるかね? 一城』

 

「やるしかないだろうさ……変身!」

 

≪ディケイド!≫

 

「からの…」

 

≪カメンライド・クウガ!≫

 

okakaはプロトディケイドへの変身を完了させ、そこから更にプロトディケイドクウガ(以下PDクウガ)・マイティフォームへと姿を変える。その変身音で気付いたのか、入り口付近にいた眼魔コマンドが数体、PDクウガに向かってノロノロと接近し始めた。

 

「さぁ来い」

 

PDクウガの挑発で、いよいよ戦闘が開始された。早速、PDクウガは一番目の前にいた眼魔コマンドにパンチを叩き込み、二体、三体と眼魔コマンド達を確実に殴り倒していく。それによって、騒ぎに気付いた他の眼魔アサルト達もPDクウガ達の所に現れ、高台からPDクウガを弓矢で狙い始める。

 

『フンッ!!』

 

「おっと……超変身!!」

 

飛んで来た矢をかわし、PDクウガは特定の構えでマイティフォームからドラゴンフォームに変化。高い跳躍力で一気に高台へと着地したPDクウガは一体の眼魔アサルトの腕を蹴りつけ、眼魔アサルトが手離した弓をキャッチする。

 

「超変身!!」

 

ドラゴンフォームから今度はペガサスフォームに変化し、奪った弓もペガサスボウガンへと変化。PDクウガは素早く太い柱の陰に隠れ、タイミングを見計らって他の高台にいる眼魔アサルト達を狙い撃つ。

 

「よっ」

 

『グワッ!?』

 

≪一城、右74度!!≫

 

「ッ…分かってるよ!!」

 

『ガァ!?』

 

PDからの警告で、PDクウガは右方向の高台から狙おうとしていた眼魔アサルトをすかさず撃ち落とす。しかしそれでも他の方向から矢が次々と飛来し、PDクウガは再び柱の陰に隠れる。

 

(くそ、やっぱこの姿じゃ少しやりにくいな…!!)

 

彼が現在変身しているペガサスフォームは、五感が極限まで研ぎ澄まされた事で情報収集率が高く、それによって敵からの射撃にも素早く反応し、より正確な射撃を繰り出せる。しかし神経を研ぎ澄ませば研ぎ澄ませるほど体力の消費も早く、通常のクウガの場合、この姿でいられるのは最大でも約50秒間だけなのだ。彼が変身しているPDクウガの場合も、50秒という制限時間は無かれど、この姿でいる事による体力消費のデメリットはそのままになっているのだ。

 

≪一城、一度変身を解くんだ。ペガサスフォームはあまり長時間使って良い姿ではない≫

 

「ッ……仕方ない、他の射撃形態で対応するか」

 

『グギャッ!?』

 

ペガサスボウガンをその場に放り捨てたPDクウガは姿が変化し、角が短くボディの白いグローイングフォームとなり、そこからプロトディケイドの姿に戻る。自分が隠れている柱の上から狙い撃とうとしていた眼魔アサルトについては、取り敢えずガンモードに切り替えたライドブッカーで撃ち落としておく。

 

「さぁて、ここからどうするか―――」

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ダイカイガン・オメガスライサー!≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?』』』』』

 

「…!」

 

聞こえてきた独特な機械音に、プロトディケイドは思わず柱の陰から顔を出した。その見据える方向には、複数いた眼魔コマンド達をガンガンカリバー・カリバーモードで纏めて一閃している戦士―――仮面ライダーレイスの姿があった。

 

「お、出たな」

 

プロトディケイドは仮面の下でニヤリと笑った後、接近して来た眼魔コマンドをライドブッカー・ソードモードで斬り伏せ、レイスのいる場所まで移動を開始。高台を飛び降りる際に眼魔アサルトを斬り倒してから、ちょうどレイスの隣に華麗な着地を決めてみせた。

 

「また会えたな、仮面ライダーレイス」

 

「ん? …ありゃま、また何処かで見た顔だっと」

 

『グゥッ!?』

 

レイスがしゃがんだ瞬間、プロトディケイドのライドブッカーによる弾丸がレイスの頭上を通過し、レイスの後方にいた眼魔コマンドの胸部に命中。倒れた眼魔コマンドが黒い霧となって消滅する。

 

「奇遇だねぇ、こうしてまた会うなんてさ」

 

「全くだ。俺としては、アンタにちょっとばかし協力を願い出たいところだがな…っと」

 

『グガァッ!?』

 

プロトディケイドが自身の首を左側に傾けた瞬間、その仮面の真横をガンガンカリバー・マスケットモードの弾丸が通過し、プロトディケイドを物陰から狙おうとしていた眼魔アサルトが撃墜されて地面に落下していく。

 

「おいおい、前に言ったでしょ? 俺は他人の力は借りない主義だって」

 

「それならそれで別に構わない。俺は勝手にアンタの敵を倒していくし、アンタは普段通り敵を倒していってくれればそれで良い。互いに目的を果たせるから…っな」

 

『『ヌグゥッ!?』』

 

二人は構えていた武器を互いの仮面スレスレで突き立て、互いの真後ろにいた眼魔コマンド達を刺し貫く。そこから二人は背中合わせになり、二人の周囲を眼魔コマンドや眼魔アサルト達が一斉に取り囲む。

 

「言っておくとさ、こんな俺でも結構命懸けなんだ。アンタにはあんのかい? 命を燃やし切る覚悟が」

 

「おいおい……死ぬ覚悟も無かったら、最初からこんな戦場に立ちはしないさ。今この場にいる時点で、俺の答えはもう分かり切ってる筈だぜ?」

 

「…あぁそうかい。なら勝手にすれば良いさ、俺は俺の道を行くだけだ」

 

「そうさせて貰うさ……命ならいくらでも燃やし切ってやる。この命が尽きる、その日まで」

 

その時だった。

 

≪! 一城、ゴーストのカードが!≫

 

「!」

 

ライドブッカーから仮面ライダーゴーストのカードが飛び出し、プロトディケイドはそれを右手でキャッチ。するとゴーストのカードが一瞬にして変化し、本来のゴーストとしてのカラーに戻ったのだ。

 

「命を燃やし切る、か……これで良いんだな、ゴースト」

 

プロトディケイドは早速、ゴーストのカードをドライバーに装填する。

 

≪カメンライド・ゴースト!≫

 

『『『『『!? ヌゥゥゥゥゥゥゥッ!?』』』』』

 

「うぉっと、いきなり何だ?」

 

音声が鳴り響くと共に、プロトディケイドは全身がオレンジ色のラインが入った黒いボディに変化し、その仮面ものっぺら坊のような形状に変化。ドライバーは専用のベルト“ゴーストドライバー”に変化し、そこから飛び出したパーカー“オレゴースト”が数体の眼魔コマンドを纏めて薙ぎ倒した後、レイスの頭上を通過してからプロトディケイドの上半身に覆い被さり、一本角が生えたオレンジ色の仮面が装着される。

 

≪レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!≫

 

オレゴーストを纏い、プロトディケイドゴースト(以下PDゴースト)・オレ(だましい)への変身が完了された。仮面がオレンジ色に発光する中、PDゴーストは被っていたフードを右手で脱ぎ、ゴーストドライバーから出現した長剣“ガンガンセイバー”を右手で装備する。

 

「うっし、命燃やすか!!」

 

『ウゥゥッ!?』

 

「へぇ、なかなか面白い事するじゃないの」

 

PDゴーストは向かって来た眼魔コマンドを斜めに斬り裂いた後、その場から幽霊のように浮遊して一気に高台まで移動し、高台にいた眼魔アサルトを蹴り落とす。それを見たレイスは面白そうに眺めながら飛んで来る矢をガンガンカリバーで弾き落とし、接近して来た眼魔コマンドを容赦なく一刀両断する。

 

≪一城、どうやら私達も眼魂を使えるようだぞ≫

 

「お? じゃあ試しに一つ、やってみるとしよっかね」

 

「さて、俺もそろそろ…」

 

≪≪アーイ!≫≫

 

レイスの後ろに着地したPDゴーストは、早速緑色の眼魂を取り出して起動、ゴーストドライバーに装填。レイスも同じように、玉虫色に輝く眼魂をゴーストドライバーに装填する。

 

≪バッチリミナー! バッチリミナー!≫

 

≪バッチリミテー! バッチリミテー!≫

 

二人のゴーストドライバーから、それぞれ緑色のパーカー“ロビンゴースト”と、玉虫色のパーカー“ウィリアムテルゴースト”が出現。二体のパーカーゴーストが特定のポーズを取る中、PDゴーストとレイスはゴーストドライバーのレバーを同時に引いて押し込んだ。

 

≪カイガン・ロビンフッド! ハロー! アロー! 森で会おう!≫

 

「よっと!」

 

PDゴーストはロビンゴーストを纏った射撃形態―――ロビン魂に変化。すると何処からか飛んで来たコンドル型ガジェット“コンドルデンワー”がガンガンセイバーと合体し、ガンガンセイバー・アローモードとなってPDゴーストの両手に収まる。

 

≪カイガン・ウィリアムテル! ボウガン! ガンガン! 狙い撃ち!≫

 

「ほいっとな」

 

一方で、レイスはウィリアムテルゴーストを纏った射撃形態―――ウィリアムテル魂に変化。何処からか出現したカマキリ型ガジェット“カマキリライト”がガンガンカリバー・マスケットモードの先端に合体し、ガンガンカリバー・ボウガンモードとなってレイスの右手に収まる。

 

「「さぁ、狙い撃つぜ」」

 

『『ギャアッ!?』』

 

二人の構えた武器から矢が放たれ、高台にいた眼魔アサルト達が撃ち落とされる。そこからPDゴーストは跳躍して鉄骨の上に飛び乗り、鉄骨に乗っていた眼魔コマンドを蹴り落としてから強力な一撃を放ち、別方向から飛んで来た矢を弾き落としてから一体の眼魔アサルトを撃ち抜く。

 

≪素晴らしい精密射撃だな≫

 

「あぁ。ペガサスフォームほどじゃないが、今はこっちの方がやりやすくて良いぜ…っと!!」

 

射撃の精密度は先程のペガサスフォームほどでないものの、こちらはペガサスフォームほど全神経を研ぎ澄ませる必要性は無い為、むしろ今はこのロビン魂の方が戦いやすい状態だった。PDゴーストは上機嫌な雰囲気で眼魔コマンドをまた一体狙い撃った後、ガンガンセイバーの目玉模様をゴーストドライバーにスキャンさせる。

 

≪ダイカイガン! ガンガンミナー! ガンガンミナー!≫

 

「か~ら~の~…」

 

≪ダイカイガン! ロビンフッド・オメガドライブ!≫

 

そこから更にゴーストドライバーのレバーを引いて押し込み、PDゴーストがその場から跳躍。するとPDゴーストの分身が生成されていき、最大で十人にまで増加。十人のPDゴーストは空中に高く跳躍したまま、一斉にガンガンセイバー・アローモードを構える。

 

「「「「「命、燃やすぜ!!」」」」」

 

≪オメガストライク!≫

 

『『『『『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』』』』』

 

分身達は一斉に矢を放ち、それらが地上に降り注がれる。地上にいた眼魔達を纏めて貫き、一気に大量の眼魔を撃破する事に成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらよっとぉ!!」

 

『ヌワッ!?』

 

一方で、レイスは小屋の中に突っ込む形で飛んで来る矢を回避し、小屋の内部にいた眼魔コマンド達を次々と撃ち抜いて倒していっていた。途中、屋根に張り付いていた眼魔アサルトが弓矢で狙おうとしたが、レイスは冷静に積まれた木箱の陰に隠れて矢をかわし、隙を突いて天井の眼魔アサルトも正確に撃ち落とす。

 

『き、貴様等、何故我々の邪魔をする!?』

 

「いやぁ悪いねぇ、趣味って奴だ♪」

 

『何だと貴様…グワァッ!?』

 

また一体、眼魔アサルトを倒したレイスは小屋の窓からガラスを割る勢いで飛び出した後、小屋の屋根の上まで高く跳躍。屋根の上にいた二体の眼魔コマンドの内、一体目は拳で殴ってから掴んで地面に投げ落とし、二体目は真上に蹴り上げたところをガンガンカリバーで受け止め、そのまま引き鉄を引いて容赦なく撃ち抜く。しかしこんなチマチマ倒してもキリが無い事は自覚しているのか、レイスは途中からめんどくさそうに首をコキコキ鳴らす。

 

「さて、どうしよっかなぁ~……お?」

 

そんな時、レイスは遥か遠くに一つの小さな倉庫を発見した。倉庫の入り口には、英語で「GUN POWDER」とだけ書かれている……つまり火薬庫だ。

 

「…へぇ」

 

≪ダイカイガン!≫

 

レイスは仮面の下で黒い笑みを浮かべた後、ガンガンカリバーの目玉模様をゴーストドライバーにスキャン。音声が鳴り響く中、ガンガンカリバー・ボウガンモードの銃口にはエネルギーが充填されていく。狙いは、火薬庫の扉から見える僅かな隙間。

 

≪ガンガンミテー! ガンガンミテー!≫

 

「さぁ、燃え尽きな!」

 

≪オメガエクスキュージョン!≫

 

放たれた一撃は眼魔コマンド達を次々と貫通しながら、正確に火薬庫の扉の隙間に入り込んでいく。そして…

 

-ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!-

 

『『『『『グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』』』』』

 

火薬庫の内部にあった火薬を着火させ、火薬が一斉に爆発。その爆発が周囲の建物を次々と巻き込み、鉱山の約三分の一が爆発で崩落する事となった。当然、巻き込まれた眼魔達は一体残らず消滅だ。

 

「ふぅ、スッキリした……さて」

 

今の大爆発で、眼魔は一通り殲滅されたようだ。レイスは周囲をキョロキョロ見渡した後、今回は特に何も無いと判断したのか、透明化してあっという間に鉱山を去っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪! …一城。どうやら彼はまた、いつの間にかここから立ち去って行ったようだぞ≫

 

「…そのようだな。俺の鷹の目でも見当たらない」

 

一方で、PDゴーストもレイスがいなくなっている事には既に気付いていた。そんなPDゴーストも、変身を解除してokakaの姿へと戻る。

 

そんなokakaの姿を……鉱山から大きく離れた位置で、見据えているジャニスの姿もあった。

 

「せっかく作り上げたゲートを……目障りな奴等ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後…

 

 

 

 

 

「―――で、結局また話は聞けなかったんですね」

 

「うるせぇ」

 

戦闘を終えたokakaは桃花と合流し、翠屋で買ったシュークリームを食べながら桃花の買い出しに付き合っていた。ちなみに今回の不可思議現象について、報告書は既に書き上げた後である。

 

≪いざゴーストの力を使えるようになったは良いが、結局この眼魂が何なのか、新しい眼魂を生み出すにはどのような手順がいるのか、そういった部分がまだ何も分かっていないのだよ≫

 

「あぁくそ、その辺もレイスにちゃんと聞いておくべきだったな。手順さえ分かれば、こっちで眼魂はたくさん作れるってのに…」

 

「やっぱりマヌケですね」

 

「やかましいわ」

 

桃花の毒舌すらも華麗にスルーし、okakaは口の中に広がるシュークリームの甘さを堪能しつつ、右手に持っているゴーストのカードを見据える。

 

(それにしても、奴は何で眼魂を集めているんだ…? それだけでも分かれば、話は違って来るんだが―――)

 

しかし再びレイスが姿を消した以上、情報を手に入れるのは簡単ではない。分からない事をいちいち考えていても仕方ないと考えたokakaはカードをポケットに収め、残ったシュークリームの欠片を口の中に放り込んでから桃花と共に商店街を歩き続ける…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、帽子を被った青年とすれ違いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「―――ッ!!」」

 

二人は素早く後ろを振り返った。

 

何故そうする必要があったのか。

 

それはその青年が、すれ違う直前まで全く気配を悟らせなかった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)からだ。

 

しかし二人が振り返った頃には、既にその青年は姿を消してしまった後であり、今はその気配を追う事すら不可能な状態だった。

 

「…一城様」

 

「あぁ、間違いない……今すれ違った奴がレイスだな」

 

≪…む? 一城、胸ポケットに何か入っているぞ?≫

 

「へ?」

 

PDの指摘で、okakaは胸ポケットに一枚の紙切れが入っている事に気付く。okakaはその紙切れを開き、書いてある内容を読み上げていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ヤッホー、見知らぬ仮面ライダーさん♪

アンタがこれを読んでる頃には、俺はもう君の前から姿を消しているだろうね

今日、アンタは俺と同じ力を手に入れたみたいだけどさ

もし新しい眼魂が欲しいなら、必要な物を揃えれば簡単に手に入るよ

ちなみに、必要な物は下の3つだから

 

1:英雄に関する物品

2:英雄への思いを持った人物

3:目の紋章

 

ほら、簡単でしょ?

まぁそういう訳でさ、眼魂を持つ者同士、お互い頑張って行こうぜ!

…あ、ちなみに俺の眼魂集めは邪魔しないでね?

しつこく言うけど、俺他人の力は借りない主義だから

んじゃ、そういう事で!

 

仮面ライダーレイス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

p.s.あ、ついでにシュークリームを1個だけ貰っとくね☆

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――軽過ぎるわぁっ!!!」

 

「…あ、確かにシュークリームが一個なくなってますね」

 

その内容の軽さに、okakaは思わず紙切れを地面に叩きつけてしまった。桃花もシュークリームの箱の中から一個だけシュークリームがなくなっている事に気付き、PDは苦笑しているかのような様子で告げる。

 

≪…何と言うか、随分とフリーダムなようだな……しかしだ。何故彼は、眼魂の作り方までわざわざ私達に教えてくれたのだろうか? 普通ならば、そんな事をする義理は無い筈なのに≫

 

「さぁな……だがまぁ何にせよ、これで眼魂の作り方は分かった。楽園(エデン)に戻ってから、早速実践してみるとしようか。まずは…」

 

okakaは叩きつけた紙切れを拾って胸ポケットにしまい、代わりに懐から一枚の写真を取り出す。そこには海賊の格好をした、黒い髭が特徴的な男性の笑っている顔が写っていた。

 

「まずはアンタからだ、黒ひげ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、月村家では…

 

 

 

 

 

 

≪どう、すずか? アイツから連絡はあった?≫

 

「ううん、こっちも駄目。全く繋がらないよ」

 

≪あ~もう、何やってんのよあのアホタレは…!! もう大学の授業が半分進んでるってのに…≫

 

大学から屋敷に帰って来たすずかが、携帯でアリサと電話をしているところだった。アリサの台詞からは苛立ちが露わになっており、すずかもそれには苦笑いする事しか出来ない……が、すぐに真剣な表情に戻る。

 

「でも、明らかにおかしいよ。家に帰ってる形跡すら無いなんて、絶対何か事件に巻き込まれたんだと思う」

 

≪アイツ、何か事件が発生したら迷わず首を突っ込んで、一人で解決しようと考えてそうよねぇ。どっかの誰かさんみたいに……とにかくすずか、もしアイツについて何か情報が手に入ったら、すぐ私に連絡しなさい。私の方でも色々探してみるから≫

 

「うん、分かった。アキヤ君や他の皆にも連絡してみるね」

 

電話を切り、すずかはフゥと溜め息をついてから一冊のアルバムを取り出す。小学生の頃のアルバムで、それには小学生の頃のクラスメイト達が笑っている集合写真もある。

 

「心配だなぁ。今頃、何処で何をしてるんだろう……リューマ君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その行方不明の少年は今…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――さてと。早いところ、眼魂を十五個集めなくちゃね」

 

一つのシュークリームを食べながら、再び幽霊のように透明化して姿を消していたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 


 
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