No.827769

艦隊 真・恋姫無双 101話目

いたさん

結局、また続いてしまいました! 今回の話は……少し衝撃かも………

2016-01-31 00:50:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1165   閲覧ユーザー数:1041

【 春蘭 御乱心 の件 】

 

〖 司隷 洛陽 都城内 予備室 にて 〗

 

桂花「ま、まさか………今、話していた内容を……一刀に!?」

 

磯風「ふっ──心配するな。 この磯風も武勲艦、相手の弱味を北叟笑む(ほくそえむ)ような……卑劣な真似などせん! 」

 

桂花「…………そ、それなら」

 

磯風「実際聞いた話を 一言半句も間違いなく、司令の耳に入れるだけだ!」

 

桂花「何を考えてんのよっ!? それが困るって言ってるじゃない!!」

 

磯風「ん? 磯風は報告すると伝えた筈だが? 誰も黙っているなど……一言も語ってなどいないぞ?」

 

桂花「だ、だから……内容を短縮するとか、要点だけに纏めるとか──色々と省略して報告できるわよ! 話している事を全部伝えたら、時間の無駄じゃない! そんな簡単な事も分からないの!?」

 

磯風「しかし、この磯風に………戦闘以外の事を期待されてもな。 一応、努力はしてみるが…………」

 

桂花「アンタァ──もしかして、春蘭と同じ脳筋なのっ!?」

 

磯風「脳筋……意味が分からないな。 だが、字から推測すると、『脳まで鍛えれられた優秀な軍人』という意味なのか? ならば、磯風に相応しい言葉だ! ふむ……この言葉に似合うような艦娘など、やたら居ないぞ?」 

 

桂花「ま、まさか……『鍛えれば何でも解決できる』……そんな短絡思考まで一緒じゃないでしょうねっ!?」

 

ーーー

 

一刀と第七駆逐隊が笑い合い、桂花が真っ赤な顔で磯風に詰め寄る。

 

そんな光景を………華琳が一人、その様子を見ていた。

 

ーー

 

華琳「……………………………」

 

春蘭「華琳様………如何されましたか?」

 

ーー

 

華琳の傍らに春蘭が、静かに寄り添い佇む。

 

何時もと違う……穏やかな視線を華琳に向けて、そっと微笑んだ。

 

ーー

 

華琳「春蘭……季衣や流琉達と一緒に、料理を食べに行ったのではなかったの? ここは、天の御遣いである北郷が主催で開いた会席、危険な事など何も無いわ。 私に遠慮せず、好きな物を食べてくれば………」

 

春蘭「私は、華琳様の古参の臣です。 華琳様を御一人にさせてしまうのは、臣下としてあるまじき行いだと……」

 

華琳「……………春蘭とは思えない言葉ね?」

 

春蘭「ふと………昔を思い出しまして……」

 

華琳「…………昔?」

 

ーー

 

華琳が訝しげに春蘭を見上げると、当の本人は黙って遠くを見る様に視線を虚空へと漂わせる。 その目には、当時の様子がハッキリと見えているようで、口許に笑みをも浮かべている。

 

ーー

 

春蘭「私、秋蘭、そして……もう一人。 この三人で華琳様を………最後まで支えると誓いました。 しかし、その者は……誓った日から間もなく、天に戻ってしまいました。 華琳様の目の前で…………」

 

華琳「…………天へ? だけど、私に覚えなど無いわよ!?」

 

春蘭「はい。 ───ですが、華琳様は心の奥底で覚えておられます。 その者は、我らと違う生い立ち、異なる価値観、最後の最後まで貫いた……己の存在理由で我らを導き、夢を叶えた……愛しき男ですから………」

 

華琳「─────な、何を言っているのっ!?」

 

春蘭「ああ………悲しいですね。 昔、あれほど愛し合った御二人が………こうも容易く忘却されるなど……」

 

ーー

 

春蘭は、悲しげに華琳を見詰めると……ホロリと一条の泪を溢す。

 

何時もと正反対に等しい、知性と母性愛に満ちた行動の春蘭に、華琳は珍しく狼狽し、春蘭に向け不定の言葉を投げつけた!

 

ーー

 

華琳「私は知らないわ! そんな奴、絶対覚えていないっ!!」

 

春蘭「………その者は………己の運命を犠牲にして、秋蘭や流琉を救い出し、更に華琳様の覇道を側面から支え、遂には三国統一を見届けました。 しかし、世界の流れに逆らったため、華琳様や私達より消え去る事に………」

 

華琳「覚えてない! 私は───覚えてなど──」

 

 

『さようなら………誇り高き王』

 

 

華琳「─────!?」

 

 

『………さようなら……寂しがり屋の女の子。 愛していたよ───』

 

 

華琳「────誰、誰なのっ!?」

 

ーー

 

春蘭の説明を聞いて反論した時に聴こえた、あの夢の中で逢った少年の声が、頭の中に響き渡る。 慌てて問い掛けても、返ってくるのは自分の声ばかり………華琳の端正な顔が歪む!

 

ーー

 

春蘭「その者は………華琳様の目前で最後の別れを告げた後、虚空へと……消えて行ったと、華琳様より拝聴しております……」

 

華琳「し、知らないっ! 私は──そんな事───!?!?」 

 

春蘭「───そして再度、かの者は……私達の元に降りて来る事も、二度と帰って来る事も………ありませんでした。  もう、二度と───」

 

華琳「───春蘭、その者の名を教えなさい! 今すぐに───っ!!」

 

春蘭「………昔の………夢物語ですよ。 本当に……遥か昔の………」

 

華琳「春蘭────」

 

ーー

 

華琳は、質問に答えない春蘭に苛立ちを覚え、先程よりも声を大にして命令をしようとする! 

 

だが───

 

ーー

 

季衣「ああ──いた、いたぁ! 春蘭様ぁあああ!」

 

春蘭「どうしました……季衣?」ニッコリ

 

季衣「い、今──兄ちゃんの仲間の人が、新しい料理を持って来てくれました! 春蘭様、早く行かないと………また、恋や加賀さんに気付かれて──あっという間に食べられてしまいますよっ!!」

 

ーー

 

駆け足で春蘭に近寄った季衣は、穏やかに返事する春蘭に一瞬止まる。 だが、次の瞬間には動き出して早口で捲し立てた!

 

『新しい料理が届いた』と聞いた春蘭は、たおやかで知性的な様子を急変し、何時もの春蘭に戻る。 まるで、浄瑠璃の乙女から鬼面変化の移り変わりを見るが如く、鮮やかな物であるが、された方は非常に困る!!

 

ーー

 

春蘭「──なにぃっ!? 分かった、直ぐに向かう! 今度こそ、私の食べる料理を確保しなければならんのだぁーっ!」 

 

華琳「──ちょ、春蘭っ!」

 

春蘭「───し、失礼します、華琳様! ひと口、ひと口だけ食べたら、至急戻りますのでぇ!」

 

季衣「あの………春蘭様? 華琳様の用件は…………?」

 

春蘭「うむ、大丈夫だ! 華琳様から御許しを頂いてある! 季衣、場所はどこだぁ!? 今すぐに案内しろぉっ!!!」

 

季衣「───こっちですよっ!!」

 

華琳「あっ………………」

 

ーー

 

春蘭「季衣、次の料理は何だぁ!?」

 

季衣「兄ちゃんが作ってくれた──『お汁粉』という料理です! ものすごっく甘い味なんですよ! ボク、一杯だけ食べて我慢して、春蘭様を呼びに来たんですからぁ!」

 

春蘭「でかしたぁ、季衣! ───待っていろ! その『お汁粉』とやら! この夏侯元譲が喰らい尽くしてくれんっ!!!」

 

ーー

 

華琳は春蘭を止めようと試みるが、まだ見ぬ料理を追い求める春蘭には、通じない。 季衣の案内により、飛び出して行った。

 

ーー

 

華琳「……………どうするのよ。 これじゃ……私が馬鹿みたいじゃない………」

 

ーー

 

こうして、華琳は左手を伸ばしたまま………一人取り残されたそうだ。

 

 

◆◇◆

 

【 密会 の件 】

 

〖  洛陽 都城内 何進の私室 にて 〗

 

空母棲姫「久しいな………港湾棲姫。 このように、話をする機会が無かったため、呼び寄せたが………快く承諾され、こうして会えるとは喜ばしい限り。 暫く顔を見なかったが、息災であったか?」

 

港湾棲姫「…………ヲ級……イエ……空母水鬼。 マサカ……アノ深海棲艦ガ……水鬼ニ……ナルナンテ………思イモシナカッタ。 ホッポ……北方棲姫ヲ……救ッテクレタ礼………述ベルダケ。 一刀ヤ皆ヲ……裏切ルワケニハ………イカナイ!!」

 

空母水鬼「事実は小説より奇なり………世の中には思いがけない事もある。 下級深海棲艦の私が、空母水鬼など最強の力を得る事になるとは……。 その御蔭で、北方棲姫を救えたのは………幸運だったよ」

 

港湾棲姫「……北方棲姫……助ケテクレテ…………アリガトウ。 ダケド…………貴女ハ……何ヲ考エテ…………」

 

空母棲姫「何をだと……? 私を追尾する敵を蹴散らし、深海棲艦が支配する地を増やす為。 深海棲艦の繁栄を目指す事が、第一であろう!」

 

港湾棲姫「嘘……言ワナイデ。 今ノ貴女ハ……孤独ナ王。 南方棲戦鬼達ト袂ヲ断チ……深海棲艦ノ繁栄ヲ目指ス……ソノ意味ナド……無イ。 狙ッテイルノハ………『北郷一刀』………!」

 

空母水鬼「流石は………同じ男を狙う深海棲艦。 私も欲しているのだよ、北郷一刀を! あの艦娘達から絶大に慕われ、港湾棲姫……貴女にまで思慕の念を懐かす………男を手に入れたいのだ!」

 

港湾棲姫「……………………………」

 

空母水鬼「始めは、この世界の関係者から一刀との記憶が甦る前に、関係者全員を抹殺するつもりだった。 その後に、深海棲艦と艦娘で対陣させ双方共倒れになった時に殲滅。 これで、一刀を我が物にするつもりだった……」

 

港湾棲姫「………私ヤ………北方棲姫モ………」

 

空母水鬼「借りがあるとは言え…………例え港湾棲姫達といえど……例外ではない。 寧ろ、大きな障壁だったのだが………」 

 

港湾棲姫「…………ソレガ………何故?」

 

空母水鬼「簡単な事。 異変が生じて……変更せざなる得なかったのだ。 まさか……私の力が弱くなっているとは…………」

 

港湾棲姫「………………………?」

 

空母水鬼「正確には、私の力の源となっている『乙女の残留思念』に異変が生じた。 『北郷一刀を慕う、三人の乙女が残した悔恨の念』に!」

 

港湾棲姫「……………于吉ト左慈ガ………言ッテイタ………『三ツノ封印』……。 ソレガ……空母水鬼ノ『チカラ』ノ源?」

 

空母水鬼「ほう? 私の秘密をも既に解いていたか。 その通り……源の一つが消えたのさ。 その代償は、かなり大きく……私の力が七割ぐらいに落ちてしまった程だよ」

 

港湾棲姫「─────!」

 

空母水鬼「この地に降りて、力の違和感力を感じ調べてみれば………一人の残留思念が消滅していた。 その御蔭で、強制的に路線変更を起こし、搦手で対抗する術になったのだよ………」 

 

港湾棲姫「……………ダカラ………『何進』ノ名ヲ?」

 

空母水鬼「漢王朝に『何進』が居なかった。 だから、何皇后に取り入り、大量の金銀を送り付けて、姉妹の契りを結んで何進と名乗り、その後楯を得た後に、霊帝と誼を通じ………大将軍の地位を賜ったのさ」

 

港湾棲姫「ソレデ…………」

 

空母水鬼「最高位は何かと都合が良い地位でありし、目的にも充分役に立つのでな。 例えば、北郷一刀なる天の御遣いが……急に現れても、情報も直ぐに入り、その権力で保護も確実にできる!」

 

港湾棲姫「…………貂蝉ガ言ッテイタ………歴史ノ修正能力。 異物ハ排除サレルカ……取リ込マレルッテ……」

 

空母水鬼「………私が、この世界で、何進を名乗らざる得ないのは……それが理由か? ふむ………なるほど、だから一刀達が我らより遅く、この地に降り立った理由も納得できる! もしかすると、管理者側の考えもあったかもな……」

 

港湾棲姫「………………」

 

空母水鬼「管理者側で、歴史修正を対抗する作業を完了させ、自らも参戦できるように改変したと予測も可能だ。 全く……あの容姿と言動で威圧しつつ、その準備は細心にして大胆巧妙! ……………恐るべし相手だ!」

 

港湾棲姫「ソノワリニハ…………都ノ踊リ子……ドウ考エテモ……無理」

 

空母水鬼「その的を外す所が絶妙なのだよ。 万人が認めぬ所を狙うのは、奇策の要点。 そのような場所より、思わぬ攻撃をされれば……。 正しく『万人敵』と称されるに値する強者だ!」

 

港湾棲姫「…………………モシカシテ……空母水鬼ノ封印モ……干渉サレテ………?」

 

空母水鬼「フフフ……それが外部からの干渉であれば、如何なる術で挑もうと……その様な事は無駄。 この私の力を……甘く見ないで貰いたい!」

 

港湾棲姫「………………」

 

空母水鬼「だが………意外な事に封印を破りし者は………人間! 我らより遥かに劣る人間が、この空母水鬼の力を破り、北郷一刀の記憶を甦らせたのだ!」

 

港湾棲姫「………………………」

 

空母水鬼「港湾棲姫よ、覚えておくがいい。 人間とは……我らと比べ儚く脆い存在だ。 だが、中に宿る魂魄は……自らの力で因縁である物を破壊し、この空母水鬼の呪縛から、容易く抜け出す程の力を秘めているのだよ!」

 

港湾棲姫「………………言ワレナクテモ………知ッテイル。 私ハ………一刀ノ傍デ……ズット見テイタ。 何者ニモ負ケナイ……ソノ強サモ。 抱キシメレバ……折レテシマイソウナ……ソノ弱サモ。 私ハ……見続ケテイタ……!」

 

空母水鬼「これは………失言だったな。 港湾棲姫より、惚気話を聞かされる事になるとは……。 さすが、私より一刀に居た期間が長いだけある!」

 

港湾棲姫「ナ、ナニヲ……言イ出スノッッ!!!」

 

空母水鬼「ふん…………軽い戯れだ」 

 

港湾棲姫「………………………」

 

 

◆◇◆

 

【 ………… の件 】

 

〖 洛陽 都城内 予備室 にて 〗

 

一刀が第七駆逐隊と別れた後、ふと……視線を外すと、円卓で一人の少女を見付けた。 その少女は、呼び止めた配下の将が居なくなり、上げていた腕を降ろして、近くの料理を食べている。

 

ーー

 

??「………か、辛いわね。 だけど、唐辛子のように……舌へ突き刺すような刺激的な物ではなく……口全体に辛味が行き渡るような。 それに……この料理の調味料は……特定できないほど数多く入っている。 未知な物も───」

 

一刀「…………………」

 

??「だけど………本当に辛いわ! もう………飲み物が酒とか、酒とか酒しか無いじゃない! 誰よ、お酒ばかり用意したのは──! って、私じゃない! 天の酒に興味があったから、酒ばかり春蘭に持たせて来たんだったわ!?」

 

一刀「……………………」

 

??「あぁぁ──辛い、辛いっ! だけど、手が止まらない食べるのが止められない! ううぅぅぅ~~! 春蘭か秋蘭が居れば、水を持って来るように命じるのにぃ! なんで、皆行っちゃうのかしら……って、私が命じたのよね」

 

一刀「…………………」コポポポポッ

 

??「もぉう、我慢できない! 誰かに水を持って来て貰うしかないわ! い、いえ……そんな事したら覇王の威厳が……。 で、でも……辛さが! だけど……こんな姿を他の者に目撃されれば……! あぁあああ──どうすれば!」

 

一刀「………大変失礼しました。 ご所望の『お水』で御座います。 ───お嬢様」──スッ

 

??「………………………えっ?」

 

ーー

 

その料理は『カレー』であり、市販品のカレー粉を利用して鳳翔が独自に調律した一品である。 そして、汗をかきながら、食べているカレーの味を批評、そして水を欲しがる女の子──曹孟徳こと華琳であった。

 

その様子を見た一刀は、空の器に水をタップリと注ぎ入れ、華琳の目の前に置く。 それでも、辛さが苦手である華琳は、その器に気が付かず辛さと矜持に挟まれ、その事に気付く気配がない。

 

そのため、一刀は────華琳の目前で、背筋を伸ばして盆を脇に抱え、右腕を胸に当てる予備動作を行う。 そして、この世界の者に馴染みが薄い持成しの言葉で語り、深々と腰を曲げて礼をした。

 

ーー

 

華琳「こ、これは………何?」

 

一刀「水を御用意していなかった主催者の過ちを、精一杯謝罪してみました。 ───お嬢様」

 

華琳「その『お嬢様』って、どんな意味『天の国で言うと──令嬢という意味になります、お嬢様』───わ、私は、そのような軟弱な箱入り娘とは!?」

 

一刀「でも………謝罪は本物ですよ? それに、口の辛さは……まだ取れていないのでしょう? お水は、沢山用意してありますので、御安心下さい!」

 

華琳「い、頂くわ! ウグッウクッ゙──────プハァ!」

 

ーー

 

翠「あちゃ──ご主人様のアレだぜ? アレをやられると、滅茶苦茶恥ずかしいんだよ!」

 

蒲公英「お姉さま………『ぼーい』の言葉が分からないなら、喋らないようにして欲しいなぁ。 それと、人を指差して示さないようにしてよ。 月達まで、馬鹿にされちゃうから…………」

 

ーー

 

外野からの声に聞こえたのか、聞こえないのか──華琳が頬を染めて一刀の謝罪を受け入れた。

 

ーー

 

華琳「も、もう……良いわよ! 貴方は、キチンと対応してくれた。 なら、謝罪も受け入れるわ。 わ、私だって………そんなに器が……小さいなんて思われたく無いし…………………」

 

一刀「ご満足頂ければ何より。 まだ、他にも料理がありますので、是非、食して御感想をお聞かせ頂ければ…………」

 

華琳「…………貴方の配下の子たちが、私に色々と進めてくれたから、大丈夫よ。 本当にありがとう。 それに………いい加減、その言葉使い止めなさい! 天の御遣いが、私に謙遜してどうするのよ!」

 

一刀「ははは………申し訳な───」

 

ーー

 

 

 

『ド─────ッ』

 

 

ーー

 

一刀「──────えっ?」

 

華琳「…………北郷っ!?」

 

一刀「………………………!」ドサッ

 

ーー

 

和やかに話す二人に───発砲音が響き渡る。

 

その発砲音に一拍おいてから、一刀の白の制服に───赤の大輪の花が咲く!

 

華琳が目を見開き、両手を一刀に向かわせるが………一刀は、糸の切れた操り人形のように倒れる! 

 

ーー

 

華琳「北郷、しっかりなさい!! 北郷──!?」

 

ーー

 

会場内は、一瞬にして阿鼻叫喚の坩堝になり果てた!

 

 

◆◇◆

 

【 空母水鬼の独白 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 予備室 にて 〗

 

港湾棲姫「…………ダケド………ソノ話ガ……」

 

空母水鬼「何故、話すのか………か? これは、港湾棲姫……貴女にも素質があると見て、話すのだ。 ────水鬼系に変化できる秘訣だ!」 

 

港湾棲姫「……………!?」

 

まず、深海棲艦には『級』『鬼』『姫』……そして私の『水鬼』と上級位がある。 しかし、何故……水鬼系が少ないのか………知っているか?」

 

港湾棲姫「…………知ラナイ………」

 

空母水鬼「簡単に言えば………『鬼』『姫』は深海棲艦になる前の業の多さにより、変化するようだ。 前の大戦における状況により、気が付けば『鬼』『姫』に分類して生まれて出る。 貴女も、生まれての姫だったろう?」

 

港湾棲姫「………………コクッ」

 

空母水鬼「……………それで、本題だ。 水鬼………これは生まれ付きの物は……ほぼ居ない。 現在は居ないが………後の世になれば、生まれ付きの物が出てくるかもしれない。 今は関係ない故、捨て置こう!」

 

港湾棲姫「…………………」

 

空母水鬼「私が『ヲ級』より『空母水鬼』になったのは、人の強き残留思念が重なった為なのだ。 先程、話した……三つの力の源……封印している力は、この世界とまた違う……志半ばで愛しき者と別れた……恋姫三人の念!」

 

港湾棲姫「────ダ、誰ッ!?」

 

空母水鬼「病に倒れた『周公瑾』、賊徒の矢で非業の死を遂げた『孫伯符』、そして………夢を実現させたのに、愛する者に去られた『曹孟徳』! かの三人の力が、私の力と合わさり……深海棲艦の力を昇華させた!!」

 

港湾棲姫「────ソ、ソンナッ!!」

 

空母水鬼「………それからだった、私が空母水鬼として進化できたのは。 考えてみれば当たり前の事。 水鬼とは『幽霊』、『妖怪』を指す………つまり、深海棲艦に力ある魂魄が宿れば……『水鬼』になれるのだ!」

 

港湾棲姫「…………………私達………深海棲艦ッテ………沈ンデモ………救ワレナイ。 ソレドコロカ……他ノ業マデモ………」

 

空母水鬼「だが、この力にも弱点がある。 現に……その弱点の為に、私の力が弱まっているのだ。 この世界の周公瑾が、理由は分からないが……己の業を克服できた。 そのため、必然的に力が消滅する事になった!」

 

港湾棲姫「──────!?」

 

空母水鬼「フッ………だから、今の私には……前のような力は無い。 空母水鬼を名乗りながらも、姫か鬼ぐらいの力しか残っていないのだよ。 そんな事を配下の深海棲艦に知られれば、私は殺されるだろう………」

 

港湾棲姫「………………」

 

空母水鬼「だから、私は──裏切りを起こし此方に付いたのさ! 私の心は……三人の恋姫の影響で、北郷一刀を欲している。 あの優しき強者に心惹かれていたのだ! だから、私の命ある内に……愛して貰いたかった!!」

 

港湾棲姫「…………………空母水鬼…………」

 

 

◆◇◆

 

【 犯人 の件 】

 

〖 洛陽 都城内 予備室 にて 〗

 

??「………………………」

 

都城内の廊下には、白い布、白いフードで覆われた艦娘が一隻、歩いていた。

 

手には、今度の会席で振る舞う料理を盆に持ち、ユックリユックリと進んで行く。 都城内の兵士は、その服装が不審だけど気付き、事情を聞こうとしたが、フードを外した姿を見て驚く。

 

顔は白いが、頭に特徴的な団子のように纏められた髪型。 

 

こんな髪型を誇るのは、天の御遣いにして、自称『艦隊のアイドル』………『川内型 3番艦 軽巡洋艦 那珂』しかいない。

 

『那珂ちゃんだよーっ!』で、短期的で有名になった艦娘。 

 

それに、彼女が『パフォーマンス』と称して、いろいろな場所で歌とか披露していたので、今回も……そんな事かと思っていた。

 

それが───この騒ぎの要因となる。

 

★☆☆

 

華琳『あぁぁ──辛い、辛いっ!』

 

ーー

ーー

 

一刀『…………………』コポポポポッ

 

ーー

 

華琳と一刀、他の艦娘や恋姫が飲み食い、話に花を咲かせている頃、この艦娘が、音も立てずに入室する。 何隻かの艦娘が、その艦娘を見るが……独特な御団子頭に那珂だと思い、誰も誰何しなかった。

 

那珂?「……………………」

 

持っていた料理を円卓に置くと………おもむろに懐から銃を取り出し、一刀に標準を構えた。

 

那珂?「……………南方棲戦鬼サマノ……命令ヨ! 悪ク思ウナ!」

 

この放った弾丸が、一刀の胸に命中して………赤い大輪の花を咲かせた!

 

皆が驚き唖然とする中、その艦娘………いや深海棲艦『軽巡棲鬼』が、満足そうな笑みを浮かべ、扉を突き破り逃走!

 

誰にも……………捕まる事は無かった。

 

 

ーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

 

今回は、まず………おわびをから。

 

前に話を掲載しました艦隊恋姫の『鳳翔編』ですが、今後の話と繋がらない部分があるので、幾つか修正をさせていただきたいと思います。

 

作者の勝手な判断で申し訳ありません。 

 

今後は気を付けますので、どうぞ御理解をお願い致します。

 

鳳翔編の登場人物……スネーク達も引き続き出演しますし、他の話の設定もそのまま使います。 若干、話が合わない部分があるため、直させて貰うつもりですので、よろしくお願いします。

 

それと、この小説は…………原作キャラ死亡は……ありません!

(敵キャラは別)

 

当然、この作品で作者の話が、終わる事もありませんので、

心配された方は、どうぞ安心して下さい。

 

 


 
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