No.821248

Free Trigger 第5話「大切な者を救え」

Nobuさん

ボス戦。ここでまた新しい仲間が増えます。

2015-12-27 22:37:31 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:339   閲覧ユーザー数:338

「……よし、これで大丈夫ね」

 階段を駆け上がり、地下二階に辿り着いた3人。

 もう少しでこの教会から脱出する事ができる。

 だが……。

 

「クラウディアはどこにいるのかしら?」

「クラウディア? 誰の事ですか?」

「あたしの従者の吸血鬼! きっと人間に殺されてるかもしれないわ」

 ミロはふと、クラウディアの事を思い出した。

 クラウディアはミロの従者であり、ミロにとって姉の次に大事な人物である。

「そいつをどうするつもりなんだ?」

「助けに行くわ!」

「……助ける、だと? 何故だ?」

 男がミロの行動に疑問を覚える。

 すると、ユミルはこう言った。

「ミロさんにとって大事な人だからですよ。……こんな言葉がありますよね? 『悪魔は冷酷だが、身内には慈悲深い』と」

「……ふっ。それも、そうだな。行こう」

 男はそう言って、長剣を抜いた。

 彼もクラウディアを助けるために、ミロやユミルと協力する事にしたのだ。

 

「さあ、行きましょう!」

「はい!」

「ああ」

 その頃、クラウディアは……。

 

「うっ、うぐっ……!」

「さあ、吐いてもらうぞ。ベリサルダはどこだ?」

 神剣ベリサルダがある場所を言わせるため、騎士に拷問を受けていた。

「私は知らない。それよりここから出せ!」

「いいや、ベリサルダがある場所を言うまでここから出すわけにはいかない」

「うぐぅっ!」

 そう言って、騎士はクラウディアに剣を刺した。

 クラウディアの顔が苦悶に歪む。

「さあ、ベリサルダはどこにある! 言え!」

「ぜ……絶対に言わない……言うくらいなら……」

 その頃、ミロ達は……。

 

「ここかしら? クラウディアがいるのは」

「ああ、恐らくはな」

 武僧達を蹴散らしながら、クラウディアが囚われていると思われる部屋のドアに辿り着いた。

 ミロは、ドアに手を掛ける。

「待ってください、ミロさん」

「え?」

「何があるか分かりませんよ。慎重に」

「……分かってるわよ!」

 そう言って、ミロはドアを開けた。

 

「!!!」

 そこにいたのは、気絶したクラウディアと、彼女を拷問していた騎士だった。

「クラウディアを返しなさい!」

「こいつの事か? 彼女はベリサルダの場所を吐かなかった、故にもう必要ない」

 そう言って、騎士はクラウディアを投げた。

 ミロはクラウディアを受け止める。

「クラウディア……!」

「だ、大丈夫です、主様……。私は、平気……」

「喋らないで!」

 ミロはクラウディアを安全な場所に休ませる。

 そして、彼女は騎士を鋭い目で睨みつけた。

「よくもやったわね人間……! というか、ベリサルダって一体なんなの!?」

「ベリサルダは信頼の神剣。主に力を与える剣だ。こやつが知っていると見たが、吐かなかった!」

「だからといって拷問はないでしょ!?」

「彼女の言う通りです」

 そう言って、ユミルは杖を抜き騎士に突きつけた。

 だが、騎士は全く怯んでいない。

「何としてでもベリサルダを手に入れてみせる! そのために……まずは貴様らを討伐する!!」

 騎士は戦闘態勢を取った。

 その姿勢にミロは苛々し、彼女も戦いを挑んだ。

「あーあー、無茶苦茶過ぎる理論ね! ほら、いくわよ、ユミル!」

「は、はい!」

「待て!」

 戦闘しようとするミロとユミルを止める男。

「なんで止めるのよ!」

「こいつは何かしらの魔法を使う、と読んだ。だから、魔法を切り裂ける俺が相手する!」

「もう、しょうがないわね!」

「……分かりました」

 ミロ&男VS騎士の戦いが始まった。

「幻影よ……」

 騎士が幻影魔法を唱え、身を隠す。

「相手が見えなくなったわ!」

「ふん、幻には……これで対抗する!」

 男は長剣で、空気を切り裂いた。

 すると、幻影魔法が打ち消され、騎士が怯む。

「幻影が消えた!?」

「今だ、ミロ!」

「はいっ!」

 ミロは相手の懐に潜り込み、爪で装甲を貫いた。

「続けて、はっ、せいっ!」

「いくわよ!」

 男が長剣で騎士を2回攻撃する。

 ミロも男に合わせて爪で攻撃する。

「くっ……」

「うぐあっ!」

 騎士の剣がミロを切り裂く。

「「アサルトエッジ!」」

 続いて男が高速の斬撃を放つ。

 騎士も同じ技で男を攻撃した。

「せーのっ!」

 ミロがキックを繰り出し、騎士を吹っ飛ばす。

 続けて男は騎士に近付き、長剣を一閃した。

 

「く、なかなかやるな。……幻影よ……」

 再び騎士は幻影魔法を唱えた。

「また消えたわ!」

「怯むな! 俺が斬る!」

 男の長剣が、騎士の幻影を切り裂き、怯ませる。

 その隙にミロが爪を一閃した。

「いくぞ!」

「せいっ!」

 その後、男は長剣を構え直し、乱舞攻撃を放った。

 しかし、その後のミロの攻撃は外れてしまった。

 その隙に騎士の剣がミロを切り裂く。

「まだいけるか?」

「うん! ……わわっ!」

 騎士の剣がミロに突き刺さる。

 刺された部分から出血が始まった。

「ミロさん!」

「う、傷ついた……」

「ボクが治します! ド・オヴァ・デ・シー!」

「幻影よ……」

 ユミルが呪文を唱え、ミロの傷が癒えた。

 その隙に騎士が幻影魔法を唱える。

「く、きりがない……!」

「でもここで挫けちゃダメよ!」

「分かっている!」

 ミロが爪で、男が長剣で騎士を攻撃し続ける。

 だが、二人の顔には疲労が見えている。

 あと一回攻撃するのが限界だろう。

「あと一発……! あと一発で……!」

「仕留められなければ、負ける……!」

「「はああーっ!!」」

 そして、二人の攻撃が騎士に命中し、倒れた。

 

「クラウディアを拷問した罪。あなたはそれ相応の罰を受けてもらうわよ」

 そう言って、ミロは飛翔剣を取り出した。

 どうやら、彼女は大切な従者を傷つけられたせいで、凄まじく怒っているようだ。

「ど、どうしたのですか? 主様……」

「ここから先は、R指定よ。健全なあなた達なら、目を閉じるわよね?」

「は、はい……」

「俺は目を閉じないぞ」

「え? なんで?」

「慣れてるから」

「しょうがないわね……」

 男以外の全員はゆっくり目を閉じた。

 これから、何が起こるのだろうか。

「……じゃあ、始めるわよ!」

 

 数分後。

「はい、OK」

「……!?」

 全員が目を開けると、そこにあったのは、無残に切り裂かれた騎士の死体だった。

 大量出血で騎士の死体は真っ赤になっており、非常に猟奇的な事をしただろうと推測される。

「なんでそんな事をしたんですか! いくら悪い人間だとはいえ……!」

「あら? 悪事への報いなのよ?」

「だからといって……!」

「じゃあ、あなたはあまりにも酷い事をされたら、加害者をどうするのかしら?」

「そ、それは……」

 どもってしまうユミル。

 これが、吸血鬼と(元)人間の違いである。

「さあクラウディア、一緒に脱出しましょう! そして他の吸血鬼達も助けにいきましょう?」

「ええ……分かったわ!」

 

 クラウディアと共に、三人は歩むのであった。


 
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