「……よし、これで大丈夫ね」
階段を駆け上がり、地下二階に辿り着いた3人。
もう少しでこの教会から脱出する事ができる。
だが……。
「クラウディアはどこにいるのかしら?」
「クラウディア? 誰の事ですか?」
「あたしの従者の吸血鬼! きっと人間に殺されてるかもしれないわ」
ミロはふと、クラウディアの事を思い出した。
クラウディアはミロの従者であり、ミロにとって姉の次に大事な人物である。
「そいつをどうするつもりなんだ?」
「助けに行くわ!」
「……助ける、だと? 何故だ?」
男がミロの行動に疑問を覚える。
すると、ユミルはこう言った。
「ミロさんにとって大事な人だからですよ。……こんな言葉がありますよね? 『悪魔は冷酷だが、身内には慈悲深い』と」
「……ふっ。それも、そうだな。行こう」
男はそう言って、長剣を抜いた。
彼もクラウディアを助けるために、ミロやユミルと協力する事にしたのだ。
「さあ、行きましょう!」
「はい!」
「ああ」
その頃、クラウディアは……。
「うっ、うぐっ……!」
「さあ、吐いてもらうぞ。ベリサルダはどこだ?」
神剣ベリサルダがある場所を言わせるため、騎士に拷問を受けていた。
「私は知らない。それよりここから出せ!」
「いいや、ベリサルダがある場所を言うまでここから出すわけにはいかない」
「うぐぅっ!」
そう言って、騎士はクラウディアに剣を刺した。
クラウディアの顔が苦悶に歪む。
「さあ、ベリサルダはどこにある! 言え!」
「ぜ……絶対に言わない……言うくらいなら……」
その頃、ミロ達は……。
「ここかしら? クラウディアがいるのは」
「ああ、恐らくはな」
武僧達を蹴散らしながら、クラウディアが囚われていると思われる部屋のドアに辿り着いた。
ミロは、ドアに手を掛ける。
「待ってください、ミロさん」
「え?」
「何があるか分かりませんよ。慎重に」
「……分かってるわよ!」
そう言って、ミロはドアを開けた。
「!!!」
そこにいたのは、気絶したクラウディアと、彼女を拷問していた騎士だった。
「クラウディアを返しなさい!」
「こいつの事か? 彼女はベリサルダの場所を吐かなかった、故にもう必要ない」
そう言って、騎士はクラウディアを投げた。
ミロはクラウディアを受け止める。
「クラウディア……!」
「だ、大丈夫です、主様……。私は、平気……」
「喋らないで!」
ミロはクラウディアを安全な場所に休ませる。
そして、彼女は騎士を鋭い目で睨みつけた。
「よくもやったわね人間……! というか、ベリサルダって一体なんなの!?」
「ベリサルダは信頼の神剣。主に力を与える剣だ。こやつが知っていると見たが、吐かなかった!」
「だからといって拷問はないでしょ!?」
「彼女の言う通りです」
そう言って、ユミルは杖を抜き騎士に突きつけた。
だが、騎士は全く怯んでいない。
「何としてでもベリサルダを手に入れてみせる! そのために……まずは貴様らを討伐する!!」
騎士は戦闘態勢を取った。
その姿勢にミロは苛々し、彼女も戦いを挑んだ。
「あーあー、無茶苦茶過ぎる理論ね! ほら、いくわよ、ユミル!」
「は、はい!」
「待て!」
戦闘しようとするミロとユミルを止める男。
「なんで止めるのよ!」
「こいつは何かしらの魔法を使う、と読んだ。だから、魔法を切り裂ける俺が相手する!」
「もう、しょうがないわね!」
「……分かりました」
ミロ&男VS騎士の戦いが始まった。
「幻影よ……」
騎士が幻影魔法を唱え、身を隠す。
「相手が見えなくなったわ!」
「ふん、幻には……これで対抗する!」
男は長剣で、空気を切り裂いた。
すると、幻影魔法が打ち消され、騎士が怯む。
「幻影が消えた!?」
「今だ、ミロ!」
「はいっ!」
ミロは相手の懐に潜り込み、爪で装甲を貫いた。
「続けて、はっ、せいっ!」
「いくわよ!」
男が長剣で騎士を2回攻撃する。
ミロも男に合わせて爪で攻撃する。
「くっ……」
「うぐあっ!」
騎士の剣がミロを切り裂く。
「「アサルトエッジ!」」
続いて男が高速の斬撃を放つ。
騎士も同じ技で男を攻撃した。
「せーのっ!」
ミロがキックを繰り出し、騎士を吹っ飛ばす。
続けて男は騎士に近付き、長剣を一閃した。
「く、なかなかやるな。……幻影よ……」
再び騎士は幻影魔法を唱えた。
「また消えたわ!」
「怯むな! 俺が斬る!」
男の長剣が、騎士の幻影を切り裂き、怯ませる。
その隙にミロが爪を一閃した。
「いくぞ!」
「せいっ!」
その後、男は長剣を構え直し、乱舞攻撃を放った。
しかし、その後のミロの攻撃は外れてしまった。
その隙に騎士の剣がミロを切り裂く。
「まだいけるか?」
「うん! ……わわっ!」
騎士の剣がミロに突き刺さる。
刺された部分から出血が始まった。
「ミロさん!」
「う、傷ついた……」
「ボクが治します! ド・オヴァ・デ・シー!」
「幻影よ……」
ユミルが呪文を唱え、ミロの傷が癒えた。
その隙に騎士が幻影魔法を唱える。
「く、きりがない……!」
「でもここで挫けちゃダメよ!」
「分かっている!」
ミロが爪で、男が長剣で騎士を攻撃し続ける。
だが、二人の顔には疲労が見えている。
あと一回攻撃するのが限界だろう。
「あと一発……! あと一発で……!」
「仕留められなければ、負ける……!」
「「はああーっ!!」」
そして、二人の攻撃が騎士に命中し、倒れた。
「クラウディアを拷問した罪。あなたはそれ相応の罰を受けてもらうわよ」
そう言って、ミロは飛翔剣を取り出した。
どうやら、彼女は大切な従者を傷つけられたせいで、凄まじく怒っているようだ。
「ど、どうしたのですか? 主様……」
「ここから先は、R指定よ。健全なあなた達なら、目を閉じるわよね?」
「は、はい……」
「俺は目を閉じないぞ」
「え? なんで?」
「慣れてるから」
「しょうがないわね……」
男以外の全員はゆっくり目を閉じた。
これから、何が起こるのだろうか。
「……じゃあ、始めるわよ!」
数分後。
「はい、OK」
「……!?」
全員が目を開けると、そこにあったのは、無残に切り裂かれた騎士の死体だった。
大量出血で騎士の死体は真っ赤になっており、非常に猟奇的な事をしただろうと推測される。
「なんでそんな事をしたんですか! いくら悪い人間だとはいえ……!」
「あら? 悪事への報いなのよ?」
「だからといって……!」
「じゃあ、あなたはあまりにも酷い事をされたら、加害者をどうするのかしら?」
「そ、それは……」
どもってしまうユミル。
これが、吸血鬼と(元)人間の違いである。
「さあクラウディア、一緒に脱出しましょう! そして他の吸血鬼達も助けにいきましょう?」
「ええ……分かったわ!」
クラウディアと共に、三人は歩むのであった。
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ボス戦。ここでまた新しい仲間が増えます。