No.820128

恋姫無双ー異世界からの銃士ー 第2話

yuukiさん

この回で撃のオリジナルの力が覚醒します
元ネタはさまざまなアニメや特撮、ゲームから取りました
早い話がごちゃ混ぜに近いです
それでも楽しんでくれれば幸いです
...できれば撃と登場人物のR18的な話も書こうか

続きを表示

2015-12-22 15:17:09 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1313   閲覧ユーザー数:1253

SIDE 撃

―前回までのあらすじ―

俺、神宮司撃はどこにでもいる高校2年生だった

繰り返される日常と弱い自分、そんな自分に飽き飽きしていた

ある日、電車事故にあいそうな子供を、俺は咄嗟に助けた

そして俺は子供の身代わりとなって事故で俺は死ぬはずだった

次に目を覚ました時、目の前にはきれいな黒髪の女の子がいた

彼女の名前は『関羽雲長』三国志に出てくる偉人だ

やがて俺たちを狙った賊が出てきた すると俺のポケットが急に光り出し

俺は持っていないはずの本物の拳銃を取り出し、賊の2名を射殺した

その後、行く宛のない俺は関羽の勧めで彼女と共に旅をする事になった

こうして俺の異世界での旅は始まった

 

関羽と旅をする事になった俺は今は彼女と共に田んぼの中にある道を歩いていた

撃「...ここが過去だってことがよくわかったよ。」

関羽「いきなり、何を言い出すんだ?」

撃「いや、改めて見るとホントに自然しかないなってさ。

  俺のいた時代じゃ、今のこの国の様子からは想像もできないほど

  代わりぶりなんだよ。技術の進歩ってやつ?」

話ながら歩いていると町の方から籠を背負った1人のおばあさんがやってきていた

その時道の横にその手前に石を積み上げ、土を盛ったお墓のような物が

あったのに気付いた その前には花も置かれていた

その前で立ち止まる俺と関羽

それに気づいたおばあさんが話をしてくれた

おばあさん「最近はこの辺りにも賊が出てな、身ぐるみ剥がされて殺されたもの

      もおるんじゃ、花はせめてものたむけじゃよ。」

関羽「そうだったのですか。」

撃「ひでぇな。」

手を合わせる関羽を見て、俺もそれを真似てみた

おばあさんは俺たちの後ろを歩きながら呟いてた

おばあさん「お役人さんがしっかりしとったらこんな物騒な事は起こらんじゃろうに...

      物騒な世の中になったもんじゃ。」

そう言って今まで俺たちが歩いてきた道を遠ざかっていくおばあさん

その背中を見送ってから町に入る関羽と俺

町の中でも政府の圧政や賊の出没についての愚痴ばかりだった

関羽の今の顔は悔しそうだった

撃「関羽の言いたい事は何となくわかるよ。でも個人で解決できる問題じゃない。

  この問題を解決したのならそれこそ、国を動かせるような人にでも

  ならなければ無理だ。」

関羽「......わかってはいるが...」

撃「...でも、俺たちにもできる事はある。」

そう言いながら服の内側、懐に収めてあるSAAに触れる

関羽「...そうだな。」

その時、道の先から悲鳴が聞こえてきた

  「何だ!?賊か!?」

青龍刀を構える関羽と左手で服を開けながら懐のSAAに右手を伸ばした

そのままゆっくりと撃鉄を動かした

と、突然目の前の鶏が走ってきた

関羽「うわっ!?」

撃「なっ!?」

さらに奥から豚の乗った子供を先頭に子供の集団が町の中を走ってきた

???「どけどけどけ~!鈴々山賊団のお通りなのだ~!」

4人の子供を引き連れた赤毛の女の子がこちらに向かって走ってきた

撃「っ!危ない!」

関羽「えっ?きゃっ!」

咄嗟に関羽の腕を引いて道の横に移動する

その際、彼女の腕を抱くような姿勢になってしまった

5人組の子供たちはそのまま門を出て、町の外へと走っていった

撃「......ふぅ、行ったみたいだな。」

その時、俺はやっと自分が関羽を抱きしめるような恰好なのに気付いた

実際、今の関羽は怒っているのか震えていた

 「あぁ、すまない!咄嗟だったから。」

関羽「いや、良い...助かった、礼を言う。」

顔を赤らめつつそっぽを向いてしまう関羽

まぁ俺も、今まで彼女のなんか居なかったからな...やったこっちも

スゲー恥ずかしいんだよなぁ

 

その後、町にある飯屋に入る俺たち

女将「ハハハハ!そりゃ災難だったね!」

関羽「笑いごとではない、何なんだあの子供たちは!鈴々山賊団と

   名乗っていたが...」

女将「その名の通り、鈴々って子が率いている山賊団さ、

   と言ってもやる事は畑を荒らしたり、牛にいたずらしたりする事だけどね。」

撃「...あの子達の親はいるんですか?」

俺が考えた最悪のシナリオ、親を亡くした子供たちがああなってしまったのでは

と考えた

女将「え?あぁ、ちゃんといるさね。」

......杞憂だった

関羽「ではなぜ親が止めないのだ、まったく。」

女将「確かに親はいるけど、大将の鈴々って子ね、親は賊に殺されたそうよ。

   引き取った母方の爺様もなくなったって聞いたよ。」

.........でもなかった...が...そうか

撃「...今のその鈴々って子にとって山賊団は悲しみを紛らわせるためなのかもな。」

関羽「撃?」

撃「人は一人では生きていけない。ましてや周りには頼るべき親も大人もいない

  子供一人での生活など...孤独以外の何物でもない。

  歳からして12,3だろう。一人暮らしに馴れる歳じゃないさ。」

そう言って料理を食べる俺

女将「その人の言う通りだろうね。一人は寂しい、だからあの子もあんな山賊

   ごっこをしてるんだろう。」

関羽「そうなのか......ところで女将、折り入って相談があるのだが?」

......あぁ、この展開、何となく後の予想ができるぞ

 

SIDE 鈴々

その頃、鈴々山賊団のアジトでは

卵を食べながら鈴々と子供たちは話をしながら笑いあっていた

楽しいのだ!みんながいればとっても楽しいのだ!

その時、外からカラスの鳴き声が聞こえてきた

女の子A(姉)「そろそろ帰る?」

女の子B(妹)「うん!」

そう聞いて一気に表情が暗くなる鈴々

......もう、行っちゃうのかなのだ

女の子C「じゃぁあたしも!」

男の子A「俺も!」

女の子D「アタイも!」

他の子供たちも立ち上がり夕日によってオレンジ色に染まった道を帰って行ってしまった

男の子A「親びんまたね~!」

女の子D「また明日~!」

鈴々「うむ!また明日山賊するのだ~!」

鈴々は山賊団の親分なのだ 笑って送り返すのだ

そして部屋に戻る鈴々

  「明日になればまたきっとみんなと会えるのだ...明日になれば...」

きっと...きっと明日も来てくれるのだ

まるで不安な自分に言い聞かせるようにつぶやく鈴々だった

 

SIDE 関羽

その夜、私たちは女将にお願いして仕事をもらい、夜に倉庫のような場所に

泊めてもらった

撃「ふぅ、結構疲れたなぁ~」

関羽「そうだな。全くあの女将は、人使いが荒いな。」

撃「ま、泊めてくれただけ感謝しなきゃな、ちっとばかしの金ももらったし。」

関羽「そうだな、野宿に比べればまだ良い方だ。」

そう言って藁の上に横たわる私

撃「ふぁぁ、俺は疲れたからもう寝るわ。おやすみ。」

そう言って撃は眠ってしまった

関羽「賊に両親を、か...」

目をつむると、いやな記憶がよみがえってきた

 

SIDE 関羽(回想)

兄「愛紗、起きろ愛紗。」

関羽「兄者?どうしたのですか?」

兄「戦だ、村が襲われた。」

関羽「えぇっ!?」

兄「今すぐ寝台の下に隠れるんだ、早くしろ。」

私は飛び起きて兄者の言う通り、寝台と床との隙間に隠れた

 「いいか、目をつぶってじっとしていろ、絶対に声を出すんじゃないぞ。」

そして周りから聞こえてきたのは怨嗟と怒号、悲鳴の声...そして...

兄「ぐあっ!」

驚いて目を開けると目の前の切られて死んだ兄の体が転がってきた

その死人の顔は幸か不幸か関羽の方を向いていた

兄者が...兄者が死んでしまった!

それでもまだ恐怖の声は途切れる事なく続いていた

 

SIDE 関羽

思い出したくもないものを思い出してしまった

寝返りを打つようにしながら姿勢を変える関羽

その背中を撃が見ていた事に私は気づかなかった

 

SIDE 撃

そして翌朝、厨房で...

関羽「はぁっ!」

宙を舞う大根とそれを早業で切り裂く関羽

切られた大根はきれいにまな板の上に落ちた

女将「大したもんだね~!けどもう少しふつうに切れないのかい?」

女将の横でくるくると刃物の回す関羽

おい、それをこっちに飛ばすなよ

俺は横で皿を洗っていたんだぞ

関羽「ちゃんとした料理はあまりしたことがないので、つい。」

女将「まぁ、いいさ。それが終わったら薪割りと、店の掃除を頼むよ

   それから山へ行って芝を駆ってきてくれ。」

関羽「えっ!いや、その......ほんとに人使いが荒くないか。」

俺は関羽の肩に手を置いて『諦めろ』と言わんばかりに首を振った

その後、分担して片づけようと思ったがやめて二人で一つの仕事をして

早めに終わらせた

その後、山から戻ってきたとき、何やら大きな家の前に人だかりができていた

近くにいた女の人に話を聞いてみた

撃「すいません、何かあったんですか?」

女の人「あぁ、それがね、庄屋様がなんでもお役人に頼んで鈴々を

    捕まえてもらうんですって。」

撃「まだ12,3の子供一人相手にあの数でですか?」

関羽「やりすぎではないか?」

女の人「庄屋様、この前の落書きが相当頭にきて、堪忍袋の緒が切れたと。」

すると今度はそこに老婆の人が出てきた

老婆「しかし役人様も本物の盗賊は怖がるくせにこんな時だけ...」

撃「子供相手なら余裕で勝てるってか?クソどもが。」

俺は人に聞かれないようにつぶやいた

こいつらも山賊とかわらねぇ!自分の役目をほっぽりだして

金と命欲しさに自分より上の奴には尻尾を振り、立場が下だと知った途端

こちらを徹底的に搾取する どこも同じだ!腐ってやがる!

俺は拳を握りしめた

女の人「捕まったらどうなるんでしょう?」

老婆「殺される事はないだろうが、鞭で打たれる事位は覚悟せんと...」

子供に鞭を打つ?ふざけんな!子供ってのは未来の希望なんじゃないのか!?

この時、俺の心は怒っていた それでもそれを口に出せない自分が悔しかった

もっと...もっと強くなりたい

その時、俺の体が弱弱しいながらも光を放っていた事に、誰も気づかなかった

一方の関羽はその庄屋のでかい家の中に入っていった 俺もその後に続いた

あぁ、これも何となく想像がつくぞ

関羽「庄屋様、お話し中、申し訳ありません。」

役人の大将格と思しき人物と話していた庄屋がこっちを見てきた

庄屋「誰だお前?」

関羽「私は旅の武芸者で名は関羽、字を雲長と言います。

   聞くところによると鈴々なるものは大人でも手を焼く暴れ者とか。

   万が一にもお役人の方々に怪我をしてもつまらぬでしょう。

   ここはひとつ、私にお任せいただけないでしょうか?」

庄屋「アンタが?確かに物騒な物を持ってるがほんとに強いのか?」

関羽「これは...」

おっと、俺の出番だな

撃「それは私が保証します。」

庄屋「あん?誰だお前?」

撃「失礼、私は関羽殿と共に旅をしているものです。彼女の実力は本物です。

  先日も山道で山賊5人に襲われましたが彼女が瞬く間に蹴散らしてしまいました。

  それに聞くところによると関羽殿の話は巷で話題になっているはず。

  この中にもその噂を聞いた方がいらっしゃるかと?」

それを聞いて隊長格の男が驚いた顔をしていた

隊長「もしや、お前が最近噂の黒髪の山賊狩り!?」

良し、食いついた!

庄屋「えぇ!?こやつが!?」

関羽「あ、いえ、自分からそう称しているわけではありませんが...」

男全員「「「「「ええぇっ!?」」」」」

隊長「黒髪がきれいな絶世の美女と聞いていたが...」

庄屋「噂ちゅうんはあてにならんな。」

その言葉で関羽が怒りかかっている

撃「そ、それで庄屋殿、この一件、関羽殿も任せてはくれませんか?」

まずい、このままここにいると絶対関羽がキレそうだ

庄屋「そうだな。よろしい。お前たちに任せよう。」

そしてその話は叢に隠れていた鈴々の部下の男の子に聞かれていた

 

関羽「これが一本杉か、左へ行けばあとは道なりと言っていたな。」

歩いていく関羽の後ろかついていく撃

  「...しかし、撃までついてくる必要はなかったのではないか?」

撃「そりゃそうかもしれないけどさ、別に良いだろ、俺が付いていったって。」

関羽「......ふぅ、本音は?」

撃「...女将さんの魔の手から解放されたい。」

関羽「ふふ、だと思った。」

やっぱばれてたか

そのまま道を進んでいく俺たち

関羽「それにしても、あの役人ども、何なんだ一体!?

   私を見てあからさまにがっかりしおって!」

撃「気にする必要はないよ関羽、噂ってのは尾ひれが付きやすいんだ。」

関羽「だからと言ってだな!自分で言うのもなんだが、体形には自信がだな...」

だんだん声が小さくなっていく関羽

撃「でもまぁ、俺は噂は本当だと思うよ。」

関羽「え?」

撃「俺のいた世界じゃ関羽みたいな美人の人なんかそうはいないよ。

  俺にしてみれば関羽は十分魅力的だと思うけど。」

関羽「え?......なななな!突然何を言い出すだ!お前は!恥ずかしいだろ!」

驚いて顔を真っ赤にしてる関羽もかわいいなぁ

撃「え~?俺は自分の素直な感想を言っただけだぞ?」

関羽「もういい!先を急ぐぞ!」

と言って、足早に歩いて行ってしまう関羽

ってそうだ!

その時、俺は関羽の後ろに追いつきながらSAAを取り出してローディングゲートを

開け、ハーフコックにしてシリンダーを回した

昨日使った2発はもう使えねぇし、薬莢はポケットにでも入れとくか

戦闘になって引き金を引いても弾が出なかったら洒落にならないからな

そのままシリンダーを回すが不思議な事が起こった

撃「あれ?あれれ?」

6発すべての雷管は使ったような跡がない、一応すべての薬莢を抜いて確認したが

すべて銃弾の弾丸の部分がちゃんと残っていた

撃『おかしいな、確かに2発使ったはず、どうなってるんだ?

  ......自動で弾が補給された?そんなゲームみたいな事が?

  ...どちらにしてもありがたい。弾薬を調達する手間が省けた』

俺はSAAを懐にしまいつつ、数歩先を行く関羽に追いついた

その時、枝の上から石が関羽目がけて飛んできた

撃「関羽!上だ!」

驚いて顔を見上げる関羽だが、あのままでは顔に当たる、阻止しなければ!

その時、俺が何をしたのか、よく覚えていない

しまいかけたSAAを取り出して、撃鉄を起こして

飛んでくる石目がけて引き金を引いた

   『ガアァァァン!』

SAAの銃弾はその石を貫き、粉砕した

俺のような民間人でさえ、いやふつうの軍人でさせ身に着けられないスキル

空中で高速移動する物体を打ち抜くというもはや神業としか言えないようなスキル

その時、俺は体の中で何かにひびが入ったように感じた

そして初めての銃声には木の枝の上にいた子供もビビっていた

数秒して沈黙を破ったのは、俺だった

 「はっ!?う、動くな!お前は鈴々山賊団の一人だな!大人しくしろ!」

両手でSAAを握り直し、銃口を子供に向けた

そこで子供も我に返り、さらに石を投げてきた

男の子A「このっ!役人の手下め!親びんを捕まえさせたりしないからな!」

関羽は持っていた青龍刀で石を弾いていた

関羽「こらっ!やめないか!当たったら危ないだろう!」

だが俺はSAAで受けるわけにはいかない、そんな事をすれば簡単に壊れてしまう

仕方ない、避けるしかないか!

俺は運動はできる方じゃない、どちらかと言えば中の下、下の上くらい

被弾は覚悟していた...はずがおかしなことが起こった

動けるのだ、石の弾道を見てから避けるまでの動作がそれほど苦ではなかった

どういうことだよ。何でこっちに来てから、さっきの射撃と言い今の回避能力といい

確実に身体能力がアップしている それも死ぬ前とは比べ物にならないくらい

やがて、業を煮やした関羽は木を横一線、切り裂いた

そして倒れた木から子供が落下するがそれを関羽は青龍刀の切っ先を服に引っ掛けて

地面すれすれでキャッチした

子供は助かったという風にため息をついた

後ろに鬼とも形容できる形相の関羽がいるのに気づかないで

そして関羽は思いっきり男の子の頭をたたいた

男の子A「いっててぇぇぇぇぇぇっ!!」

その声は山をも震わせ、俺は思った

『関羽だけはあまり怒らせないほうが良いと。』

そしてそのまま山道を進んでいくが後ろから先ほどの男の子が付いて来ていた

撃「ストーク能力もなし、所詮ガキか。」

すると前の繁みから4人の女の子が出てきて、火に油を注いだ

 

SIDE 関羽

まったく先ほどの子供も懲りずにまだつけてきている いい加減諦めれば

良い物を

すると前に4人ほどの女の子が出てきた

女の子C「や~い!ばぁさん!」

女の子D「ブ~ス!」

女の子A(姉)「年増~!」

女の子B(妹)「としま~!」

な、何だとこのガキども!私はまだ年増でもおばさんでもないんだぞ!

関羽「だ、誰が年増だ!誰が!」

怒って近づきそうになるが、私は気づいた 足元に葉っぱが盛られていた

ふん、所詮はガキ、罠を仕掛けるのも素人か

関羽「ふふふ、子供ながら知恵を絞ったと誉めてやろう、だが!」

飛び上がろうとした私を誰かが後ろからつかんだ

 

SIDE 撃

はぁ、関羽もまんまと乗せられてんじゃないよ。

飛び上がって越えようとする関羽の首根っこを掴んで無理矢理止めた

関羽「なっ!?撃何をする!離せ!」

撃「落ち着けって、あれは囮だ。あの罠はバカでも気づく、

  だがそれを所詮子供の罠だと甘く見る奴が痛い目に合うんだ。」

そう言いながら俺は草を避けて、その前に立った

やっぱりだ、地面の色がわずかに違う

 「......ここだ!」

そう思った地面を右足で思いっきり踏みつけた 案の定

   『ガラガラガラガラ』

布か何かで隠していた落とし穴は簡単に崩れた

これには子供たちも驚いてるな

そのまま振り返って草を踏みつけるがどうやらこっちも少しは掘ってある

ようだな と言っても窪み程度か

撃「罠は...これで全部か。」

すると女の子の一人が俺に向かって泥団子を投げてきた

女の子C「くっそ~!罠を見破られたからってあきらめないからな~!」

それに合わせて他の3人も泥を投げてきた、が...

あ~あ、あの子達俺の方に夢中で後ろに鬼がいるのに気付いてねぇし

撃「お~い、後ろに気を付けろよ~(棒読み)」

適当に避けながらあの子達に向かって注意を促す もう、手遅れみたいだが

俺の注意を聞いて振り返った時、後ろにいた関羽は先ほどの事を根に持っている

ようだ

女の子一人の腕をぞうきん絞りで締め上げ

姉妹2人を万力の容量で頭を締め付け

最後の一人は思いっきり皮膚を引っ張っている

この時、俺は思った

『関羽って結構根に持つタイプなんだな、と。』

やがて関羽からの折檻?を受けた子供たちが俺たちの前にいた

男の子A「親びんはお前達なんかに負けないからな」

撃「...お前たちはやりすぎた、今の庄屋は本気だ。もし今この場にいたのが

  俺たち2人ではなく役人の人間だったら、お前たちは確実に殺されてたぞ。」

男の子A「なっ!嘘だ!そんなの出鱈目だ!」

撃「嘘じゃない、現に庄屋は役人どもに鈴々の捕獲を依頼した

  もしこれをお前たちが邪魔でもしたら、役人どもはどうすると思う?」

女の子C「そんなの、わかんないよ。」

撃「...あぁいう役人は自分の手柄や命のためならおそらく平気で子供を

  利用し殺す。もしここでお前たちが役人に捕まればお前たちを人質に

  鈴々が自首するよう強要する。そして用のなくなったお前たちの首は

  ......バッサリだ。言い訳は後で何とでもなる。鈴々との戦闘に

  巻き込まれたとでも、逃げようとしたお前たちを鈴々が後ろから

  切ったとでも言えばいい。」

男の子A「そ、そんな事が許されるのかよ!?」

撃「許す許さないの問題じゃない、今のこの世界は弱い物が虐げられる

  世界なんだ。力のない物は蹴落とされる。」

男の子A「そんな......」

撃「だから俺たちが来たんだ。俺たちはお前の親分を悪いようにはしない。約束する、

  だからお前たちは今すぐ家に帰れ。いいな。」

男の子の肩を掴んで膝を地面に着け、視線を合わせ、言い聞かせる

男の子A「...うん、わかった。」

撃「...わかってくれたか。」

立ち上がり、関羽の方に振り返った

 「関羽、急ごう。」

関羽「あぁ。」

俺たちは子供たちが帰っていくのを見送りながら鈴々の待つ

小屋を目指した

 

SIDE 関羽

正直、私は先ほどの撃を見て驚いた

あそこまでの悪ガキをああも簡単に言い聞かせるなど

そうそう出来る事じゃない アイツの言葉には他人を納得させる

だけの力があるのかもしれない

ひょっとしたら、撃は人の上に立つ人間なのかもしれない

関羽「撃、お前には関心したよ。」

撃「え?何だよ急に、改まって。」

聞こえていたのか

関羽「お前は見事に子供を説得し村に返したではないか。あれの事だ。」

撃「...今更だが、俺の選択は正しかったのかな?」

関羽「突然、何を言い出すだお前は。」

おかしい、撃の感情が変わった?

撃「もし、あの子達が村に戻れば、下手をすれば役人に...」

関羽「撃......」

すると撃は近くにあった木を殴りつけた

撃「もし、あそこで敢えてここまで案内させていれば、あの子達だけを村に

  返さずに済んだのに......俺は選択を間違えた。」

こいつは優しい男なのだな、見ず知らずの子供をそこまで思いやれるのだから

関羽「撃、私はお前が間違ったとは思えない、少なくとも私はそうは思わない。

   だから今はやるべきことをやろう。」

撃「...あぁ、そうだな。今は鈴々って奴をどうにかしないとな。

  行こう、関羽。」

関羽「......愛紗だ。」

撃「え?」

関羽「...愛紗、それが私の真名だ。」

撃「真名?」

あぁ、そうか、こいつは真名を知らないんだったな

関羽「真名というのは、本当に親しい相手にしか教えない名だ。

   もし真名を呼ぶことを許していない人物がそれを口にしれば

   それは本人にとっての最もな侮蔑になる。気安く呼べば

   首を刎ねられても文句を言えない。」

撃「そんな名前を俺に、教えてくれるのか?なぜ?」

愛紗「それは私がお前を信じてみようと思ったからだ。

   それだけの理由ではだめか?」

私の質問に顔を赤くする撃

お、撃をかわいい所があるではないか

撃「ありがとう、関羽、いや、愛紗、俺はその信頼に答えられるように、

  がんばるよ。」

どうやら落ち込んでいた感情が戻ったみたいだな

関羽「あぁ、がんばってくれ。」

私は素直に思った、この撃なら、この乱世の時代に風を与えてくれる、と

 

SIDE 撃

やがて俺たちは山のふもとに立つ小屋の前にやってきた

その小屋の前には赤毛の女の子が体格に似合わない槍を構えて立っていた

愛紗「お前が鈴々か?」

鈴々「鈴々は真名なのだ!親しい同士だけが呼び合うものなのだ! 

   だからお前に真名を言われる筋合いはないのだ!」

愛紗「では、お前の名は何という?」

張飛「我が名は張飛!字は翼徳!寝た子も泣き出す鈴々山賊団の親びんなのだ!」

槍を振り回しながら名乗りを上げる張飛

撃「張飛、君の友達は村へ返した。」

それを聞いて崖を飛び降りてくる張飛

張飛「鈴々の友達に何をしたのだ!?」

撃「安心しろ、手は出していない。言い聞かせて村に返しただけだ。」

愛紗「少しばかりお仕置きをしたがな。」

張飛「なっ!?この嘘つき!こうなったら友の敵!十倍返しなのだ~!」

そう言って槍を振り上げた張飛が突っ込んできた

その時、

???「ちょ~っと待ちな。」

声がした 驚いて張飛も攻撃をやめ、そちらを見た

そこにいたのは...

撃「お前は!庄屋のところにいた役人!」

そう、庄屋の横で部下に命令を出していた役人が立っていた

愛紗「これはどういう事です、この1件は私に任されているはず!

   なぜ役人であるあなたが!?」

隊長「ふん、知れたことよ。俺たちはそのガキを捕まえりゃあ庄屋から金が

   貰えたのによぉ、噂の黒髪が現れた性でこっちにはびた一文も

   金がこねぇ、そこで考えたのさ。どうせなら、アンタを倒して

   ガキも捕まえて、俺は金も名誉も手に入れてやるってな!

   ギャハハハハ!」

張飛「ふざけるななのだ!誰がお前のような奴に捕まるもんかなのだ!」

隊長「おっと、そういう事はこれを見てから言いな。」

すると後ろの茂みから男が3人出てきた

そいつらは剣で先ほどの子供たちを脅しながらこちらを見て笑っていた

張飛「みんな!」

愛紗「貴様!これはどういう事だ!?」

撃「............」

隊長「な~に、簡単な話よ。俺たちはアンタたちが町を出てしばらくしてから

   後を追っかけたのさ。そしたら山道を歩いて下山してくるこいつらを見つけた

   のさ。後は剣で適当におどしてここまで連れてきたのさ。

   ギャハハハハ!」

愛紗「貴様!」

隊長「おっとお前も動くなよ、ガキどもがどうなっても良いのか?」

愛紗「クッ!?」

隊長「そうだ、それでいいんだよ......にしても、絶世のとはいかないが

   中々の上玉、楽しむ前に殺すのも惜しい、どうせだ、俺たちを楽しませてくれよ。」

愛紗「なっ!?ふざけ!?」

隊長「おいおい、言っただろ、子供の命が惜しくないのか?」

愛紗「クソっ!」

隊長「へっへっへ!それで良いんだよ、無駄な抵抗はするな。」

そう言って腐った野郎はゆっくりと愛紗に向かって歩いて行った

俺は何も守れないのか?子供たちに約束したんじゃないのか?

張飛は絶対に悪いようにはしないって、約束したんじゃないのか!?

俺の中のひびがひろがっていった

愛紗すら守れないのか!?彼女は大切な真名まで俺に教えてくれて、

信頼するとさえ言ってくれたのに、それすら守れないのか!?

ひびはどんどん大きくなっていく

俺は拳を握りしめる

何のための力だ!何ために殺す武器を手に取ったんだ俺は!?

やがてひびは崩壊寸前となる

守れないなんて嫌だ!俺は守って見せる!あんな奴らに!

あんな奴らに俺の親友を汚されて、堪るかぁぁぁぁぁぁっ!

ひびは、割れた そして

俺の体から光が、あふれ出した

隊長「っ!?一体何だ!?」

これには隊長も、子供も、彼らを人質に取っていた兵士も、張飛も、愛紗も

驚いていた

撃「うおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

すると俺の体を覆っていた光はやがて体の外へと放出され

小さな拳銃となった それは...ダブルバレルデリンジャーだった

デリンジャー、それは主に隠し持つ事が前提のとても小さい銃だ

かつてリンカーン大統領暗殺の際もこの名を冠した銃が使われたほどだ

だがそのデリンジャーはとても美しく銀のフォルムに無数の彫刻、

エングレーブが施されていた

そして俺は直感でわかった この銃の目的は、姿が同じでも

史実に出てくるような使い方では無いという事を

俺は光輝くデリンジャーを握りしめ、愛紗の近くにいる隊長に向けて

引き金を引いた

飛び出したのは白き人型をした鎧

それが真っすぐ隊長に向かっていき、それを弾き飛ばした

隊長「ぐあっ!?何なんだ一体!?」

やがて白き鎧は辺りを駆け巡り、子供を捕らえていた3人の兵士を

吹き飛ばした

張飛「みんな!こっちの来るのだ!」

5人「「「「「親び~ん!!」」」」」

張飛「もう大丈夫なのだ!安心するのだ!」

子供たちは張飛が保護した

そして白い鎧は俺の後ろに立った

鎧によって弾き飛ばされた隊長と男たちが起き上がってきた

隊長「この野郎!変な妖術使いやがって!」

撃「......だまれ。」

隊長「あん?なんだとテメェ!?俺たちとやろうって...」

撃「黙れ!」

俺の気迫に隊長格の役人はビビった

 「貴様らは未来ある子供たちを盾にし!自分の富と名声のためだけに他人を利用し

  俺の大切な人を汚そうとした!俺はお前達を絶対に許さない!」

隊長「へっ!変わった妖術が使えるからなんだってんだ!おいお前ら!出てこい!」

すると奥からさらに5人ほどの男が出てきた

  「いくら化け物相手だろうが、この数相手に勝てると思うなよ!  

   妖術使いの小僧!」

すると後ろに移動していた愛紗が槍を構えて攻撃しようとした

その前に手を出して遮る

愛紗「なっ!?撃、どういうつもりだ!?」

撃「あいつらは君の手を汚すに値しない。...それにあいつらは俺の手で片づけたいんだ。」

それを聞いて愛紗は槍を下げた

愛紗「そうか、お前の言葉を信じよう、撃...ただし一つだけ約束してくれ。」

撃「何?」

愛紗「必ず、勝ってくれ。」

撃「あぁ!」

俺は前の『敵』に向き直った

そうだ、こいつらは敵だ!この世界に居ていい人間じゃない!

俺が奴らを『殺す』決意をしたとき、後ろにいた白い鎧は

俺の体と重なった

そしてその鎧は俺を包み込む、俺の戦うための力となった

鎧は全体が白い6角形のパネルのようなもので構成されていた

それが俺の体を覆っていく 足から、手から、それは覆っていく

手の部分や関節には黒い下地のような物も見えた

背中には四角いバックパックのようなものもついていた

そして胸も覆われ、最後には頭を覆われた

頭には目を覆うように横長のゴーグルが現れ、、それを上下から挟み込むかのように

ヘッドギアが装着された 両耳の後ろにはセンサー用らしいエルフ耳のような

三角形の突起が付いていた

腰には膝まで届きそうな長方形の物体が 左肩には、盾と思われる

青い長方形の物が展開された

そして...

撃「SET UP!」

   『GET READY!』

俺の体全体を包みこみ、それは俺自身の鎧となった

そしてその鎧から電子音ながらもたくましい声が響いた

隊長「へっ!所詮は妖術!切れないわけじゃねぇ!」

隊長の男が突っ込んできた

振り下ろされる剣 それの前に腕を突き出す

白き鎧は俺の予想道理、剣を通さなかった

俺は腕と同時に剣を跳ね上げ、蹴りで吹き飛ばした

隊長「うぐっ!?ぐほっ!?...お前ら!!やれ!」

後ろに命令すると茂みから出てきた兵士が弓を取り出した

まずい!あれだと子供たちまで巻き込まれる!

クソ!こんな時にSAAはどこ行った!?

その時、両肘の部分から何かが射出された 俺は咄嗟にそれを2つとも掴んだ

これは!グリップかよ!?でもこれだけじゃ!

そう思ったとき、今度は腰の部分の装甲板が開き、中から何かがせり上がってきた

これって...銃身か!そうか!

俺は両手のグリップを銃身の下部にあった接続部らしい所にくっつけた

案の定グリップを抜くとその上に銃身が付いてきた

それはSAAとは異なるオートマチックの白いハンドガンだった

さらに腰の装甲板の中から弾倉らしきものも出てきた

ハンズフリーの給弾システムか!悪くない!

せり上がってきて斜めに立つ弾倉の上からグリップを滑らせ、素早く装填する

何とか両手でスライドを引っ張り、初弾を装填した

間に合え!そう思いながら引き金を引いた

狙いは、狂わなかった 鎧のおかげでゴーグルの部分に照準が見えるようになり

自分がどこを狙っているのかがはっきりわかった

狙うのは、頭だ!

俺が狙ったのは愛紗と張飛、子供たちを狙っていた3人

右手から2発 左手から1発 計3発の弾は寸分たがわず兵士の頭を貫いた

3人殺った!残り6!

そのまま未知の武器の威力でビビっている6人の内隊長格以外の兵士5人

に向けて左右それぞれから1発ずつの計2発を叩き込んだ

兵士たちは血を吐きながら地面に倒れた

隊長「ひっ!ひぃぃぃぃっ!助けてくれよ!頼むから殺さないでくれ!」

腰を抜かした隊長は尻もちをつきながらも懇願してきた

撃「...だまれ。」

隊長「頼む!金ならいくらでも用意するから!なっ!?助けてくれよ!」

撃「黙れ!」

隊長「ひっ!」

こいつも同じだ、腐ってる人間だ

撃「お前は俺を本気で怒らせた、そしてその怒りが俺にこの力を目覚めさせた。

  それがお前の死ぬ原因だ。」

ゆっくりと右手のハンドガンを持ち上げ、狙いを定める

隊長「嫌だ!こんな所で死にたくないぃぃぃっ!!」

男は林の中に逃げ込もうとした しかし

   『ズキュゥゥゥゥン!』

右手から発射された弾丸はその男の後頭部を確実の捕らえ、

その命を、終わらせた

もう、逃げられない、俺のこれから進む道は『人殺し』の道なのだろう

『敵』が全滅したのを確認するとひとりでに鎧が白い粒子となって消えた

そして俺の左手には先ほどのデリンジャーが握られていた

次の瞬間、俺はまたしても気絶してしまった

薄れゆく意識の中で俺は思った

   『守れた』、と

     第2話 END

 


 
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