No.818702

IS ゲッター継ぐ者

第十六話です。

2016.06.18、修正して別の話になりました。

2015-12-13 19:42:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1019   閲覧ユーザー数:1012

「てな訳で、こちらかんちゃんだよ〜」

 

「だから本名で言いなさいよ……」

 

「更識簪、です。よろしく……」

 

 

 食堂で本音に紹介される簪。相変わらずマイペースなので、改めて自分で簪は名乗った。

 

 

「そうか。よろしくな、更識」

 

「同じ代表候補生同士、仲良く致しましょう」

 

「う、うん」

 

 

 簪は日本の代表候補生。ただ諸事情で機体は調整が済んでいないのだという。

 

 箒やセシリアに優しく迎えられ、椅子に座り直す簪。

 

 

「じゃあ……いただきます」

 

 

 手を合わせ昼飯のカツ丼を食し始めるは光牙。簪の紹介を含めたこの昼食、メンバーは光牙に本音、簪、相川、谷本、箒、セシリアだ。

 

 

「では、機体の調整はご自分で?」

 

「うん。……なんでも、あまり時間がないんだって言ってて」

 

「大変ですわね」

 

「しかし、一年生で自らのISを調整するとはな」

 

「かんちゃんは整備科志望だから〜」

 

「すごーい! ねえ更識さん、今度ISについて教えてよ」

 

「あ、私もー!」

 

「え、う、うん……」

 

 

 マイペースは本音とそれに釣られる周囲に少し戸惑う簪。

 

 

「あぐあぐあぐ……」

 

「って光牙、お前は食ってばかりか!」

 

「ふも?」

 

 

 どこぞの最強着ぐるみみたいな声を出す光牙。お茶で口の中のものを流し込むと、プハーッ! と一息。

 

 

「いやお腹空いてまして。皆でご飯食べるんでしょう?」

 

「いやそうだけどね……」

 

 

 もちろん食うだけの昼飯ではないのだが、この世間知らずゲッターバカはよく分からない。……悲しきかな。

 

 

「しかし、あの熟女使いの生徒会長に妹が……」

 

「う……」

 

「熟女違うって!!」

 

 

 スパタァーン!!

 

 

「ふぇんり!?」

 

 

 ここでポロっとだした熟女ワード。するとどういう訳か光牙の背後に楯無が出現し、扇子で一閃!

 

 閉じられた状態なので地味に痛いヤツ。

 

 

「光牙君、わざと言ってるわよね……?」

 

「意味的には間違ってないないッス」

 

「違うから「会長、勝手に抜け出さないで下さい」ぎゃん!?」

 

 

 その楯無の背後に現れる眼鏡をかけた女子『布広虚』。副会長で本音の姉でもある。

 

 

「皆様失礼しました。どうぞお食事を続けて下さい」

 

「あ〜私も〜!」

 

「会長は書類を整理して下さい。未処理がまだ666枚貯まってますので」

 

「溜めすぎ……」

 

「イヤーー! 仕事イヤァァァァ!!」

 

 

 某悪魔の着メロが発せられる中、連行されていく楯無。うん、自業自得。

 

 それらを見て、簪は信じられないものを見た気分になり、光牙へと問うた。

 

 

「滝沢君……いつもあんな感じなの?」

 

「? そうだけど」

 

「迷惑、じゃないの……?」

 

「そりゃあんな感じだからたまに鬱陶しいと思うよ」

 

(((サラッと言った!?)))

 

 

「だから逆にやるのさ。ああいうのは放っておいたらズカズカ来るからねー。ズバズバ言ってやるのさ」

 

「鬼畜かお前は……」

 

「自分、ひねくれを通り越してねじれてますから」

 

 

 キリッと言うが全く威張れない内容である。

 

 

「ぷっ……面白い。滝沢君」

 

 

 そんな光牙に、簪も小さく噴き出してしまう。

 

 

「だってあの人……お姉ちゃんをあんな風にする人なんて見たことないから」

 

「更識、お前……」

 

 

 皆の前だからか。言い方を言い直したのに箒は思うものがあった。

 

 何かあった、と考える。

 

 

「……成る程」

 

 

 そしてそれは、光牙もだった。

 

 

「……嫌だよね。優秀な奴を兄弟に持つと」

 

「えっ?」

 

「む……?」

 

「いえ。なんでもナッシング」

 

 

 これはドレッシング、と和風ドレッシングのボトルを取りながらボケて話を逸らす光牙。

 

 

「もー、なにそれ滝沢君」

 

「ダジャレじゃーん」

 

「ハハハ、面白いだろう?」

 

 

 笑ってはいるが、箒と簪は光牙の呟きを聞いていた。

 

 そんな二人には、光牙の笑いが作っている様に見えていた。

 

 

「お、なんか賑やかだと思った、光牙じゃねーか」

 

「おひさーッス」

 

 

 そこに新たな人物現る。以前、光牙が一度ずつ戦った相手であった。

 

 金髪で長身、アメリカ代表候補生、三年三組の『ダリル・ケイシー』。青みがかった黒髪で猫背、〜ッスが語尾のギリシャ代表候補生、二年一組『フォルテ・サファイア』。

 

 それぞれ専用機持ちで、学園でも最強コンビと名高い。

 

 その二人に光牙はギリギリで勝っていたが、それはダリルとフォルテが手加減してくれたからだと思っていた。

 

 光牙が一通り説明すると、ダリル、フォルテも昼食に加わる。

 

 

「こ、光牙さん! サファイア先輩とケイシー先輩とお知り合いだったのですか!」

 

「いや、一度戦っただけど……どしたの?」

 

「どうしたもありません! 三年のダリル・ケイシー先輩、二年のフォルテ・サファイア先輩……お二人のコンビはIS学園で最強とされ、鉄壁と攻撃のコンビネーション『イージス』は、一種の芸術と言われる程の実力者でしてよ!」

 

「なんか照れ臭いッスね〜」

 

「よく知ってんなぁ、お前」

 

「わわわ私、セシリア、オオオオルコットとももも申します。よろしくお願いしますっ!」

 

「噛んでる噛んでる」

 

 

 ツッコミを入れる光牙だが、超有名人を前にしたら誰だって緊張するのと同じだ。

 

 

「イギリスの代表候補生だろ。名前は聞いてる。ま、頑張れよ一年生」

 

「は、はいっ!」

 

 

 ダリルに背中を押されるセシリア。ぽーっと頬が赤くなってて、それに光牙は……。

 

 

「セシリアさん、熱でもあるの? 顔真っ赤ですよ」

 

「違いますっ!」

 

「えぇ?」

 

 

 バカだコイツ。

 

 真面目に聞いた光牙は何故怒られたか分からないのだが、それにダリルはニヤッと口を吊り上げ、光牙に組み付いた。

 

 

「おい光牙よぉ。代表候補生を呼び捨てか。ん、なんだ? 彼女かオイ」

 

「か、彼女ッ!?」

 

「えっ……」

 

「なぬ?」

 

『な ん だ と』←ここにいない約一名

 

「ち、違いますよぉ……」

 

「ほほーぅ? にしては随分と仲良いみたいッスけど」

 

 

 ダリルの発言にセシリア、簪、箒、あと約一名が反応し、フォルテは2828。他の皆も目が離せない感じだ。

 

 

「ぶっ……。ただ名前で呼んで、なんでそこまでいじるんですか」

 

「お前分かってねえな。いいか、男と女が名前で呼び会うのは仲良いって言うんだ。異性方向に捉えれても不思議じゃない」

 

『ほほぅ……』

 

「いや異性って。極端ですよそんなん」

 

「む……」「むぅ」「ぬぐ……」

 

「簪さんだって名前で呼びますけどそれは分ける為ですし、箒さんやセシリアさんも普通に呼んでるだけですから。そうですよね?」

 

「知りませんわっ」

 

 

 プイッ、とそっぽを向くセシリア。

 

 

「右に同じく」

 

 

 眼鏡を反射させながら俯く簪。

 

 

「以下同文」

 

 

 目を逸らす箒。

 

 

「……あれ? なんで怒ってるんですか」

 

「光牙、お前バカッスね」

 

「バカだなお前」

 

「「「……うん。確かに」」」

 

「えぇー!?」

 

 

 どうやら某主人公の因子もこの世界に入り込んでた様だ。

 

 流石IS主人公。

 

 

「誉めてないよね!?」

 

 

 そうですか、何か?

 

 

「なんなんだよぉ! 誰か説明してくれよぉー!!」

 

 

 その叫びに答える者は……いなかった。


 
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