一刀の前に現れた『血光軍』…………
遂に相対する2人の将………
龍天率いる絡繰人間は一刀の抹殺を試みるべく襲撃してきたが、抹殺の目的は一刀だけではなく
なんと卑弥呼までもが最大対象者だった……………!!?
二節 ~倭国の卑弥呼と龍乱天迅~
一刀「はあぁぁっ!!?龍天は元・倭国の人間っ!!?」
一刀はすっとんきょうな叫びをする
卑弥呼「うむ…………」
卑弥呼は目を閉じて頷く
華琳「倭国…………卑弥呼が統一をして、一刀の故郷ね」
雪蓮「確か、大陸の東にある島国だったかしら?」
貂蝉「えぇ、その通りよん」
冥琳「しかし……ならば何故、その倭国の人間である龍天が此処にいるのだ?」
冥琳は腕を組み、眉間に皺を寄せる
左慈「話が斜め飛びし過ぎてなにも把握できやしねぇ
おい卑弥呼っ!!!一から説明しやがれっ!!!」
左慈は卑弥呼に問い詰める
卑弥呼「分かっておる!!!声を荒げるなっ!!!」
卑弥呼は声を大きくし一度、深呼吸をして口を開いた
卑弥呼「そう、あれは…………儂が管理者になる前の頃じゃった………」
卑弥呼と龍天との因果関係の話が始まった……
卑弥呼「その頃の倭国は皆も知っての通り、儂が統一を成し遂げていた」
華琳「えぇ、それは聞いたわ」
華琳は腰に手を当てて頷く
卑弥呼「当時…………今でもじゃが、倭国は神と会話が出来る者こそが全てを一つに出来ると考えられておった」
于吉「成る程…………聞いたことはありますね」
卑弥呼「その頃から儂には不思議な能力らしきものが備わっていた、時間を見透かす力じゃ
それにより、不穏分子や災害などを退かせ被害を最小限に抑えることができた」
蓮華「…………」
蓮華は無言で聞き続ける
卑弥呼「儂は月に一度、時間を見透かす儀式を行っていた
儂はその頃まだ未熟で儀式をしなければ見透かす事が出来なかった
その時の儀式の指揮を執り、儂の第一の側近として立っていたのが迅……龍乱天迅じゃ」
一刀「……………信頼できる人だったのか」
一刀は神妙な顔つきで呟く
卑弥呼「うむ…………迅は今でいう儀式道具等の管理責任者じゃった
身分は決して高くはないが、護衛兵と比べると格段に上であった」
左慈「………………」
卑弥呼「ある日、儂はいつも通り儀式を行った
ところが、儀式の結果は全くの不明という過去にない結果じゃった」
秋蘭「不明?」
秋蘭は首を傾げる
卑弥呼「黒い霧がかかったように何も見えなかったのじゃ
本来なら景色が見えるようにその後の光景が見られるのじゃが、その時は何も見えなかったのじゃ」
冥琳「……………災いか?」
冥琳の問いに卑弥呼は頷く
卑弥呼「如何にも…………
儀式を終えて数日後、倭国に未だかつてない災いが降り注いだ」
一刀「洪水とか大規模な山火事とかか?」
一刀の言葉に卑弥呼は首を横に振る
卑弥呼「その程度のものではない
倭国はおろか、世界が滅亡してしまう程の天災が現れたのだ」
雛里「…………その天災とはなんですか?」
雛里は恐る恐る聞く
卑弥呼「それは最早、伝説といっても過言ではない大いなる天災………
現れたからにはありとあらゆるもの全てに禍を巻き起こす史上最悪の禍神、その名は『神人(しと)』……神の化身と云われる存在じゃ」
左慈「『神人』…………人間化した神のことか…………」
左慈は目を大きく見開き、冷や汗を垂らす
翠「…………そんなにヤバいのか?」
于吉「『神人』の出現により数多の外史が滅びました
その数は過去に軽く1000は超えます」
于吉は冷静に答える
亞莎「1000ですかっ!!?なんて数………」
亞莎は思わず声を張り上げる
卑弥呼「『神人』の出現により川は氾濫し、滝のような雨が降り注ぐ………更には至るところの火山が噴火し倭国も最早、これまでと思った
じゃが、そこへ駆けつけて下さったのが儂の大師匠、韓様じゃ」
左慈「韓様がか…………」
左慈は小さく呟く
卑弥呼「韓様は『神人』が放つ邪悪過ぎる気を感じとり、真っ先に駆けつけて下さり、何とか『神人』を退けることに成功した
何でも韓様は過去に『神人』との因縁があったらしいそうじゃ………それにより、一番に駆けつけて下さった
それからじゃ………儂が管理者となったのは」
朱里「………ですが、『神人』の出現と龍天とどのような繋がりが?」
朱里を筆頭に軍師達は『神人』と龍天の結び付きが理解出来なかった
卑弥呼「儂が管理者となり再び倭国を纏めていたのじゃが迅はある日、儀式の道具を保管する倉庫から『ある書物』を持ち出しているのを兵達が目撃した」
風「書物ですか~?」
風はのんびりした口調で聞く
卑弥呼「それは遥か昔、この世界に現れた『神人』に関する書物じゃった」
流琉「『神人』に関する書…………?」
卑弥呼「儂は即刻それを破棄する事を命じた
何故ならその書物に内容は『神人』を意のままに操る危険極まりないものだったからじゃ」
貂蝉「『神人』を意のままに?不可能でしょん?」
貂蝉は眉を顰めて言う
卑弥呼「あぁ、儂もそう考えた
じゃが、迅はそれを破棄せず秘密裏にその儀式を行っておったのじゃ」
雪蓮「…………………なんて奴……!!!」
雪蓮は驚きつつ、怒りを露にする
倭国に現れたということは、少なくとも大陸の存亡の危機もあったということ
『神人』は出現すればもう遅い
瞬く間に全てを滅ぼす
卑弥呼「儂は間諜を使い迅の動きを把握し、遂に迅を取り押さえた」
卑弥呼は目を瞑って話し出した
………………
…………………………………
龍乱天迅『何をなさりますっ!!?卑弥呼様っ!!!』
多数の男に組み伏せられた龍天(過去の為、龍乱天迅のこと)は顔を上げて卑弥呼を見る
卑弥呼『何をする?分かっておるじゃろう、その意味を』
若かりし頃の卑弥呼は堂々たる態度で龍乱天迅を見下す
龍乱天迅『何の事かさっぱり分かりませんっ!!!』
龍乱天迅はあくまでもしらばっくれる
卑弥呼『儂が知らぬとでも思っておるのかっ!!?
貴様はあれほどの………【神人】の猛威を身に染みて分かった筈じゃろうっ!!?何故、今再び【神人】を蘇らせるっ!!?正直に答えてもらおうかっ!!!』
卑弥呼の凛とした態度で声を張り上げる
龍乱天迅『……………………この国の為ですよ』
龍乱天迅は小さな声で呟く
卑弥呼『…………なんじゃと?』
卑弥呼は眉を顰めて聞き返す
龍乱天迅『卑弥呼様もご存じの筈です…………
今、倭国で小規模ではありますが我々に反感を買う者達が現れてきています』
卑弥呼『あぁ、それは間諜から聞いておる』
龍乱天迅『いずれその火の粉は巨大な火となり、最後には我々を覆い焼き焦がす程の火炎なるでしょう
そういった火の粉は今のうちに消火させなければなりません』
卑弥呼『それと【神人】と何の繋がりがあるというのじゃ?』
卑弥呼は龍乱天迅に聞く
龍乱天迅『その火の粉はあくまでも我々の国の者達…………亡き者にしてもよいのですが、それでは生温い………また新たなる戦いを呼ぶに違いありません
だから、【神人】を扱いこなし力で押さえつけるのです!!!
結局は天下の為には優しさなど不要、全ては力なのです!!!』
龍乱天迅はそう叫んだ
卑弥呼『大馬鹿者めがっ!!!何度言えば分かるのだっ!!!』
卑弥呼は大きく息を吸い、こう叫んだ
卑弥呼『力からは何も生まれはしないっ!!!生まれるのは怨みや悲しみ、苦しみ…………そして、無意味な破壊衝動なのだっ!!!
破壊衝動から繋がるのは滅亡の二文字じゃっ!!!』
龍乱天迅『ですが、創造を繰り返していても進歩などありませぬっ!!!
破壊があり、創造があるっ!!!そう仰ったのは卑弥呼様、貴方ではありませぬか!!?』
龍乱天迅は最後まで反論する
卑弥呼『確かに言ったが、意味が違うのが分からぬかっ!!!
無意味に破壊を創ったところで何が進歩する!!?』
龍乱天迅『ぐっ……………!!?』
卑弥呼『……………迅………お主は儂の一番の側近であったが、最早ここまでのようじゃ』
卑弥呼は悲しそうな表情をする
龍乱天迅『何ですと……………?』
龍乱天迅は目を見開く
卑弥呼は一度、深呼吸をして下した
卑弥呼『龍乱天迅…………貴様の身分・国籍・領地……その全てを剥奪し、倭国からの流刑……永久追放処分を言い渡す』
龍乱天迅『なっ!!?』
龍乱天迅は驚きのあまり口を開けたまま固まってしまう
卑弥呼『事実上の処刑じゃ、迅…………
二度とこの国の門を通ることは許さぬ…………直ぐ様、流刑の準備を』
卑弥呼は龍乱天迅に背中を見せて立ち去って行った
兵ABC『『『はっ!!!』』』
龍乱天迅『ひ、卑弥呼様っ!!!お待ちくださいっ!!!』
卑弥呼は龍乱天迅の声に従うことなく歩みを進めていく
龍乱天迅『私が悪うございましたっ!!!お許し下さいっ!!!』
龍乱天迅はしてくる慌てて土下座をするも、もう遅い
卑弥呼は一度止まり、龍乱天迅に振り向き冷酷に言った
卑弥呼『今更、後の祭りじゃ
儂は一度、忠告した筈じゃぞ?その書物は災いを呼ぶ悪しき存在【神人】の書物………
天地開闢の始神、黄泉津大神である伊邪那美様や伊邪那岐様のような偉大な神達とは訳が違う、禍神の化身じゃ
そんなものを復活させ、挙句の果てには傘下にいれるじゃと?
奴が謀反をすればそれこそ本末転倒ではないのか?』
龍乱天迅『それを私が身をもって…………!!!』
卑弥呼『貴様の命一つで事が治まるとでも思っておるのかっ!!!
下手をすればこの世界の命が無くなるのだぞっ!!?何故言ったことが分からぬっ!!?
刑は今すぐ決行する!!!良いなっ!!?』
龍乱天迅『そんなっ!!?卑弥呼様っ!!!お待ちくださいっ!!!』
卑弥呼は二度と振り向くことなく去って行った…………
………………
…………………………
卑弥呼「その一件により迅の倭国に関わる全てを剥奪し、直ぐ様流刑が執行された
国籍・領地・身分・資産………その全てをな」
一刀「……………そんなことが」
一刀は腕を組み、相槌を打つ
卑弥呼「迅は倭国付近の海流に乗り、遥か南に流された
例え生きておったとしてもその先は現在前人未踏の島国………ご主人様なら分かるが、今で言う台湾があるだけじゃ」
一刀「確かに………生存率は著しく低い」
卑弥呼「それで終わった筈じゃった…………」
卑弥呼は両目を瞑る
龍天「だが、残念ながら私は生きていた」
龍天は歪んだ笑みを浮かべる
卑弥呼「何故………何故生きているのじゃっ!!!迅っ!!!」
卑弥呼は目を見開き、龍天に向かって叫ぶ
龍天「さぁな?貴様に教える事など何もない
私の元まで来られたら話してやろう、卑弥呼」
卑弥呼「………………おのれ」
卑弥呼は今までにない低い声を出し、龍天を威圧する
卑弥呼「……貴様はあの時、儂がこの手で葬るべきじゃったな」
龍天「今更、後の祭りだ」
龍天は嫌みったらしく言う
炎掌「てめぇのような爺に構っていられる程、龍天様は暇じゃねぇんだよっ!!!」
炎掌は腕を組みながら、ケラケラと笑う
雷昇「龍天様の元まで行けるとでも思ってんのかっ!!?片腹痛いぜぇっ!!!」
雷昇は腹を抱えて嗤い出す
氷柱「最も、私達にすら勝てない奴等が龍天様に挑むなんて………夢物語だわ!!!」
風刻「同感だな………………」
ここで雪蓮が切り出す
雪蓮「勝手に決めつけないで欲しいわね
油断してたら足元を掬われるのはそっちよ?」
華佗「俺は医師だが、今回ばかりは参戦させてもらうぞ?」
華佗は静かに手刀を構える
一刀「…………さぁ、そろそろ始めようか……龍天」
一刀は左慈にアイコンタクトを送る
左慈は無言で頷き、指パッチンの構えをする
現在使用している術を解除する方法だ
一刀「勝利は2つに1つだ
俺達が勝つか、お前らが勝つか………決着つけようぜ?」
パンッ!!!
左慈は大きく指パッチンをして術を解除した
その瞬間、止まらせていた時が動き出した
龍天「『血光軍』…………」
一刀「漢の軍勢よ」
両方の王は大きく叫んだ
一刀&龍天「「全軍突撃せよっ!!!」」
互いの軍勢が怒号と地鳴りを上げて衝突した
遂に…………『時空の戦い』の幕が上がった!!!
……終……
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一刀達の前に現れた『血光軍』は戦いの資格があるか否か『龍天五獄隊』がおっ始めに攻撃を仕掛けてきたが、それを難なく退ける『大陸五虎将』達
だが、ここで龍天と斬魔が抹殺の目的を話し出した
そこで出てきた名はまさかの卑弥呼だった!!?