No.81772

おにむす!⑮

オリジナルの続き物
Mixiにあげてあったのにこっちにあげ忘れるというwww

2009-06-30 01:32:36 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:855   閲覧ユーザー数:818

「ストーカー?」

「そうなの、ここんとこ酷くてさ~。美女の宿命ってやつ?」

「馬鹿を言え、どうせ秋穂の勘違いだ」

矢崎は喫茶店の一角で向かいに座る女性に悪態をついた。

「あ~、彼女に向かってそんな事いうんだ~」

栗色のロングヘアーと小さな眼鏡が印象的な女性は少し不満そうな顔を矢崎に向けた。

「で、そのストーカーをどうにかしてくれと?」

「そそ、おねが~い」

両手を合わせて矢崎に頭を下げる。

「ふぅ・・・、わかったよとりあえずそいつをどうにかすればいいんだな?」

「あ、でも傷つけたりしちゃダメだよ?」

「わかってるよ、お前の前で人を傷つける真似はしないさ」

「私の前じゃなくてもダメなの!」

突然張り上げた声に周りの客の視線が集まる。

秋穂は真っ赤になって席で縮こまっている。

「さて、どうしたもんか・・・」

 

その夜、矢崎は秋穂の自宅周辺を警備して回っていた。

「ほんとにいるのかね?ストーカーなんざ」

11月の末日、寒い中を歩きながら矢崎はぼやく。

「一応依頼だし、報酬ははずんでもらわにゃな」

そう言って歩を進めると後ろから伸びる影が矢崎の影に重なった。

「!?」

瞬間首筋に冷たい感覚が走った。

矢崎は咄嗟に体を前に転がす。

金属バットがさっきまで矢崎の頭があった空間をなぎ払う。

「昼間、彼女に会ってただろう?お前はあの子の何だ?」

バットを片手に男は矢崎を威嚇する。

「少なくとも、お前が思ってる関係だ・・・よ!」

起き上がりざまに思い切り男を殴り飛ばす。

(正当防衛はありだよな・・・)

「ふざけるな!!彼女はお前なんかに釣り合う女性じゃない!」

「それはあいつが決めることだ、お前には関係ないだろう?」

「彼女の幸せを思ってこそだ!!!」

「そういうのエゴっていうんだよ!!!」

振り下ろされたバットをかわしカウンターの拳を叩き込む。

「ぐぅ・・・」

男は苦しそうに片膝をつく。

「鍛えがたりねぇぞ?」

拳をポキポキ鳴らしながら今度は矢崎が威嚇する。

瞬間、矢崎の視界が揺れた。

「な、なんだこれ?」

息が苦しい、呼吸が出来ない。

矢崎はその場に倒れこんだ。

「へへっ・・・、ついてるぜ勝手に自滅してくれるとはな・・・、彼女に纏わりつく害虫の最後だ」

男はバットを矢崎に振り下ろす。

鈍い骨の砕ける音が辺りに響いた。

 


 
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