No.816579 Another Cord:Nines 番外編Blazさん 2015-12-01 09:07:10 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:781 閲覧ユーザー数:775 |
番外編 「荒野に吼える者」
狭間の世界にのみ生息する覇獣「ルージュヴォルフ」
圧倒的生命力や対魔力をもつ彼らの生態は未だ不明な点も多く、その研究は細々と続けられている。
その中で分かっているのは、彼らは人語を理解し更に交友を深めれば共存が可能ということ。
現に旅団の中でも既に九体が中核メンバーとその関係者に預けられ、それぞれの関係を築いている。
今回はそんな一例をあげよう。
・Blaz一味
「ふにゅう…」
「………。」
狭間の世界にあるBlaz達の住む家。
その一角にあるコテージではニューがジョーカーの背に顔を乗せ、すやすやと嬉しそうな顔で安眠している。
丁度いい日が彼女の居る場所に照り付け、気持ちのいい具合にして睡眠を促す。
そんな日であるからか、珍しくBlazも快眠を求めてコテージに姿を見せた。
「ふあぁぁっ…ねみぃ…」
「………。」
「ん、ジョーカー…それにニューもか。お互い暇そうだな」
「…………。」
片目だけ開けたジョーカーに軽く挨拶を交わすと二人の邪魔にならない程度に距離を取り、近くの椅子に腰を下ろす。
別に邪魔しに来たわけじゃねぇよ。と言ったBlazを信用したのか開けていた片目と耳は直ぐに垂れ下がって再び眠りにつく。
だが彼から見ればジョーカーは別段気にしていないし興味もないという表情に思えたので妙に馬鹿にされた気がしたのか、いじけて目を閉じた。
が。それも束の間。一時間ほどしてか、彼のもとに一人の来訪者が姿を見せた。
「―――おーい、Blazー?」
「んっ…ミィナかよ…」
日に反射したプラチナブロンドの髪が光り、彼の安眠を妨げた。
目を開けると、彼の目の前に顔を覗き込むミィナの顔があり、気持ちよく寝ていたのに妨害されたことに苛立った顔で彼女の目線を避けた。
「寝かせろ…」
「それは無理。それより鈴羽は?」
「…バイト。いつものブラウン管工房。つか寝かせろって言ってんだろ…」
「ダメって言ってるでしょ。仕事だよ、グラートのほうでまた魔獣が出たって」
「…アルトに行かせとけ。俺は寝る」
「ちなみにアルトは別件で今いない。アーチャーもシエルジェに出張。私もこの後に彼女と合流予定。で。結局手の空いてるのは…」
「―――――。」
安眠妨害に追い打ちをかけたミィナに、ついには舌打ちをするBlazは嫌々ながらも起き上がり快眠とは言えない顔でミィナから情報を聞き出す。
「…何匹でた」
「四、五匹程度。けど大きいしそこそこの奴だから自警団とかギルドとかでも対処しづらいんだって。だから最後の頼みとしてBlazに頼んだ。OK?」
「…嫌ってほどな」
帰ったら絶対に寝るからな、と付け足した彼に苦笑して了解したミィナは帰って寝かせないと絶対にキレるなと呟き彼の得物である大剣を差し出す。
だがBlazはなぜここに大剣があるんだと疑問に思い、それを彼女に訊ねた。
「…なんで俺の剣があるんだ?確かジジイに修理に出して――」
「それが終わったの。記憶合金の調整とマガジンの補充。弾は後で取りによってくれって。あと希望通り遊びは少なくしといたって」
「………用意周到なこって。おいジョーカー」
「………!」
「暇だろ。ニュー背負ってでも良いから付いて来い。こんなのさっさと終わらせて寝るに限る」
勝手に同行させられることになったジョーカーは眉を寄せて不服そうな表情を見せるが、彼も本当ならそんなことはしたくないと言い、早急な解決と安眠を望んでいた。
それはジョーカーも同じではあるが彼はどちらかといえば巻き込まれた側。断るのではないかと思うが、どうにも彼は頼みは断れない性分らしくBlaz同様に嫌々ながら立ち上がった。
安眠を妨害したBlazとミィナ。彼らに恨みはないが、悪意もないのでジョーカーはニューを背負いながらこの後に魔獣に八つ当たりするかと考えていた。
・ディアーリーズ(ディアラヴァーズ)
旅団メンバーの中ではただ一組、ディアーリーズたちには現在二体のヴォルフが居る。
中核メンバーであるディアーリーズに一体。彼に好意を持つ少女、こなたに一体とそれぞれ雌雄別れており、性格も決して同じではない。
ディアーリーズのもとに居る蒼牙は相棒たる彼に厳しくも窮地には駆けつける父のように。
対し、こなたが預かるブランカは彼女に懐き時には優しく、そして厳しい母親のように。
長い時を生きた二体の精神はかなり落ち着いており、時にはそういった親のようなところも見せる。
「………。」
「気持ちいい、蒼牙…?」
「………ふんっ」
軽く鼻を鳴らして答える蒼牙は、優しくブラッシングしている美空に素っ気なく答えるが本心は隠せないようで黙った様子で優しくなでられるような心地よさに浸っていた。
が。これが原因か、時折ディアーリーズは疎外感を感じてしまうこともあるとか。
「…厳しいなぁ…」
「なに泣いてるんだよ」
「蒼崎さん。独りってつらいですね」
「いやソレ俺に振る話か?」
こうなってしまったのも元をたどれば自分の所為でもある。
ディアーリーズは初めて蒼牙と出会った際に彼にこう話していた。
――もし彼女に何かあるときは彼女を守ってくれないか
と。
だが、これをアナスタシア曰く「蒼牙の事を道具扱いしていると思ったのでは」という事で距離を取られてしまい結果他の面々と違いまずその関係性から取り戻すのに時間を費やした。現在では寄りは取り戻しているが、それでも彼は基本ディアーリーズに厳しく接している。
まるで本心をうまく語れない父親のようにだ。
「あ、そーちゃーん!あそぼー!!」
「………。」
今ではすっかり美空の相棒であり咲良の遊び相手になった蒼牙に最早彼の相棒という肩書は形式だけのものになったのではと思うこともあるが、時折彼の窮地に駆けつけたりする事からどうやら自分はまだ試されているだけのようだと前向きに思えてしまう。
蒼牙の目が、その奥に潜む何かが彼にそう訴えかけていた
「………ふんっ」←冷たい目で
「………。」
ほんの一瞬だけ―――
「キビシイなぁ…」
「…相変わらずね」
「ふぅん…」
遠目で眺めるこなたとブランカは九体の中では最も相棒であるこなたに懐いており、それも相まって信頼関係は強く、故に親のように厳しくも母のように優しい。
彼女がそれを知ったとき、まるでブランカが母のように見えたのは言うまでもない。
蒼牙と同じく長寿である彼女は二児の母親であるが、二体ともそれぞれの群れに行ってしまい残された後にキングたち、そして彼が認めたというべき人間であるアナスタシアに保護され、その後こなたのもとに渡ったのだ。
「………。」
時に優しく、時に厳しく。
威厳や見下しではない、対等な者として見ている目にこなたは自然と惹かれ合った。それが彼女たちの出会いだった。
今では親子とまではないが、互いに友として接している、戦っているのだ。
ただ…
「もう少しウルには決断力とかをねぇ…そうしたら私も文句ないのに」
「………。」←ため息
ディアーリーズの事に関しては若干の差があるトカ…
…さて。ココからはアタシことアナスタシアが簡潔にだけど彼ら「ルージュヴォルフ」について説明します。
と言っても…まだ未解明の部分が多いんだけどねー…
まず、彼らの名前の由来はその特質な毛によって夕日の光で変色するからで、その夕日に輝く美しい姿からそう呼ばれるようになったんだ。
普段は蒼を基本とした複数の毛色とかが特徴で配色や色には個体差がある。こなたのブランカが白なのに対してBlazのジョーカーが蒼黒い色だったりするのが最もな例ね。
ちなみに普通に雌雄あるから。
生態についてはまだ未解明な部分が多くって今後の研究対象になっているんだけど、現時点で明確に分かっていることがいくつかあるわ。
それは彼らの生命力と対魔力耐性、そして知性。
生命力に関しては現時点で最上位と言われる聖獣や幻獣クラスと並ぶかそれ以上。
対魔力に関してならゲームで言う魔王なんかと比べ存在にならない。っていうかそもそも彼らには神秘に対して強い耐性が付与されているの。それは幼生期の時からも同様。ただランクがいくつか下なだけで事実殆ど変わりないわ。
そして知性。彼らは言語を話すことは不可能だけど、高い知性から理解はできる。何より発達した目を使ったアイコンタクト、文字通り「目で語る」ことができるの。
…ま。分かるのは彼らだけで普通の人間ならまず理解できないわ。例外的に理解できる人でしか…ねー…
未だ未解明な部分が多いけど説明できる範囲とすればこの位かな…
…あ、あともう一つあった。
彼らの毛はその一本一本が強い対魔力の塊で、そこからとれた毛で作られたアミュレットは強い対魔力用のアクセサリーとしても使えるって話。あと事実がどうかは分からないけど幸運のお守りにもなるんだって。アタシは普通に彼らの毛からとれるので作ったけど、コレ実際は馬鹿高いんだ。彼らから取るの無茶だから。
一応こなたや鈴羽たちもつけてるからまぁ彼らと居る者たちの特権てきな?
…けど、その所為でどっかの馬鹿な組織の端役どもがその為にヴォルフらを狙ったって報告が相次いでるんだけどね。え、結局そいつらどうなったか?
言うまでもないでしょ。
…さて。旅団に居るヴォルフたちは後六体。
誰が誰とペアを組むのかなぁ…?
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今回はオリジナルで登場したヴォルフについてです。
…さて。誰と組ませようかな?