No.815989

ここのつもの小説詰め2

理緒さん

こっちは診断メーカーでのお題を基にしたものがおおく、比較的短めです。
登場するここのつもの:企鵝真白 魚住涼 雁ヶ音糺 黄詠鶯花 砥草鶸
登場するいつわりびと:トカゲ 難訓 海原鯱 海牛零

2015-11-27 20:03:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:467   閲覧ユーザー数:461

 

お題>トカゲがついた3つの嘘。ひとつめは戦いたくないとつぶやいたこと。ふたつめは守ってほしいと叫んだこと。みっつめは彼の手を取って、大好きと言ったこと。

 

・一つ目

(ここのつ者と対峙した時)

「俺っち弱いから、戦いたくないんだけどなぁ」

口元をわざと女の仕草で隠して、その下で口角をニタリと上げる。ここには沢山の罠がある。 根城という尻尾を掴ませてやったんだから、何人かはこの切り捨てた尻尾と共に埋まってもらおうか。

 

二つ目

難訓さんと組んだ時に 乱戦の中敵の急所だけを切り裂き空いた空間に小さな身体を踊らせる。離れたところでその様子を観戦している難訓に向かい、声を張る

「ちょっとー、難訓、守ってくれたって良いんじゃないですの~!?」

「おや、必要だったかい?」

わざとらしく驚きの表情を作った難訓向かい、トカゲもぺろりと舌を出す。

「うんにゃ、全然」

何本の頸動脈を掻っ切ったのか、トカゲの衣装は深紅に染まっている。

「いくら私様が弱いって言っても、こいつらに傷負う訳ねぇもん」

 

三つ目

居合いの構えを解かずに、真白は正面を見たまま動きを止めた。いや、正確に言うなら、混乱で動けなくなった。

「企鵝さん……」

目の前に居るのは、重傷を負わせた筈のトカゲ。そう、涼の姿をしているだけで。 若草色の着物は滲んだ血で汚れ、顔も白い

「トカゲ…正体が分かっている状態で変装して、意味があるとでも?」

「えぇ、少なくとも、企鵝さんには」

弱々しい表情でゆっくりと真白に歩み寄る。

「傷ついた愛しい人を、いくら紛いものと分かっても、企鵝さんは切れないでしょう?」

表情も声音も、仕草も涼のもので。

今までの変装は、正体がばれればトカゲとしてふるまっていた。だから、正体がわかっていれば問題ないと思っていた。

「大好きな企鵝さん……私を殺すんですか?」

刀の柄を握る手に、そっと「目の前の血まみれの涼」は手を重ねた。 後ろ手に旨口を握ったまま。 【終】

 

 

お題>貴方はトカゲと企鵝で『隣との距離』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517

「おや気遇ですね、トカゲ」

「企鵝ーそれは私様のセリフー」

とある団子屋の軒先に置かれた長椅子。何故かトカゲは真白とはわずかに間を開けて座った。

「…こちらに来ればいいのに」

「あー、無理無理悪いね―♪」

南中の太陽が作る、日向と日陰の境目がそこにはあった。

 

「おい、鯱。団子を食べたいと言っていたのはどこの誰だ」

「……れい?」

「お前だお前!我は巻き込まれた方だ!」

「……」

「小首を傾げるな。ほら起きろ、行くぞ」

それでも、とことこと歩くすがたは、楽しそうで。

お題>鯱で『そうだったっけ、覚えてないや』

 

「魚住君、すみません、ちょっと思い出せないことがあって…協力してもらえませんか?」

「良いですよ?」

無防備なその唇に自分のそれを重ねて。

「あぁ、思い出しました。僕の国での挨拶」確信犯の笑みで、こう付け加えた

お題 >冬涼【良いかい、秘密だよ。】

 

 

きよみ、おうか。 ひらがなにして六文字。漢字にしてもたった四文字。伝えるべき言葉も、たった四文字…だった。

「なんで、言えなかったのでしょうね…」

涙交じりの声で

お題>鶯糺で【君の名前を呟くだけの、無意味な後悔。】

 

「鶯花さん、暑いです」

「え?でも涼、まだ身体冷えてるよ?女の子は身体冷やしちゃ…」

「だ、だからって、抱きかかえなくても良いじゃないですか!…恥ずかしいです」

その言葉は本当なのだろう。涼の体温が少し上がった気がする。

あぁ、温かい。

お題>鶯涼で【時間よ止まれ】

 

砥草さんから聞いたのだったか、人の運命は布地を作る糸のようなものらしい。

一人一人の糸が重なり、世界という布地を作るのだと。 ふと、繕いものをしていた手を止める。なら、この手の糸の先には何が待っているのだろう。

誰かの呼ぶ声がし、涼は繕いかけの青い外套を置いた

 

 

 

(トカゲとここのつ者で戦闘してる時にあって欲しいやり取り。会話相手はお好みで当てはめてください)

 

「友情?信頼関係?…はっ、そんな俺っちの口先一つで崩れるような脆いもん、簡単に奪ってやりますわよ」

そう歪んだ表情で吐き捨てるトカゲに対し、驚くほど静かに。いっそ憐れみを感じさせる表情を見せた。

「奪う…か。あなたは嘘は吐きますが、言葉は正しく使っていましたね」

武器を持ったまま構えもせずに、続ける。

「欲しいのに手に入らないから『奪う』んです。誰かを信頼して望めばその手にあるものなのに。あなたは…」

「黙れ!!」

らしくなく声を荒げ、一瞬息を吸うのに間が開く。すぐにいつもの飄々とした空気を取り戻すが、その目の奥に揺らぎのようなものが映る。

「……これだから、おまえらここのつ者は嫌いなんですわ~。あ~やだやだ。……さっさと死ねよ」

 

真白とトカゲ

 

「トカゲはどこの出身ですか?」

企鵝におごらせた団子を頬張りながら、トカゲは考えるように咀嚼する口を止めた。

「私の話は前にしましたけど、あなたの事は詳しく聞いてませんから」

そういう企鵝の表情は柔らかだ。こいつの中で何かが変わって居るのだろうか。

あまり好ましくない。せっかく……いや、止めておこう。

「東の方の貧困街ですわー」

「……前は南の方の普通の街だと言ってませんでしたか?」

「そうでしたっけ?」

クスクスと可愛らしく笑って見せるトカゲの表情に、いつもの相手を小馬鹿にした雰囲気は見受けられない。

つまり、からかっているのではなく、話したくないか、出身地をどうでもいいと思っているかのどちらかだろう

「団子で俺っちの秘密が分かるわけないでしょー。…私、高いわよ?」

「私の声で気色の悪いことを言わないでください。」

団子の串で腕をつつく。

「まぁ…いいです。いつか教えてくださいね。素顔も見てみたいですし」

「いつか、ね」

その時までこいつが、自分の大嫌いなここのつ者になっていなかったらの話。 しかし、自分の過去なんて特に語って聞かせるような出来事も無いのだけれど。

 

(普通に貧富の差の激しい街に生まれて、悪事を知らぬまま悪事に手を染めた。味方や仲間なんて物はなく、あるのは自分と金と手駒のみ。運が良かったのか悪かったのか、観察眼と洞察力に優れた自分は変装術という武器を手に入れてしまった。それだけのはなし)

 

 


 
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