No.815082 魔法少女リリカルなのは~原作介入する気は無かったのに~ 第百四十五話 合流2015-11-22 20:24:37 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:11314 閲覧ユーザー数:10120 |
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアアアアァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」
無数に分かれた岩石群…フレイザードの身体の欠片1つ1つが降り注ぐが
「フハハハハハハ。何だコレはぁ?この程度で聖帝である俺を倒そうなどと思っているのか?」
「……はぁ……」
彼女が張った障壁はレスティア自身とテスラ、ナインを護る様に展開され、無数の岩石が障壁に当たっても全く壊れる様子すら見せない。
そして俺は……
「よっ、ほっ、はっ…」
避ける。ひたすらに避けまくる。
氷炎結界呪法が消えた今、この程度の攻撃は軽々と避けられる。
「(とは言え……)」
いつまでも回避ばかりに徹してはいられない。とっとと
俺の体力だって無限じゃないからな。
「…………そこっ!!」
クリュサオルを突き刺す様に、前に突き出すが……
「危ねえ危ねえ。危うく
寸での所で
「死ねいっ!!!」
そこへサウザーが飛び掛かり、空中で次々に岩石を破壊するがどれも
「ヒャハハ。全部外れだぜ」
反撃でサウザーに攻撃を集中させるフレイザードだが
「フハハハ。何だソレはぁ?俺は一切防御と言う行動をしていないぞ」
……千日手だな。サウザーはフレイザードの
「(てかフレイザードはあの状態をいつまで維持出来るのやら…)」
弾岩爆花散は使用者の生命力を消費する技の一種。いずれは岩石を集合させ、元の姿に戻らざるを得なくなるだろうが、フレイザードの生命力がどれ程のものか分からない。
それに、あまり時間を掛けたくも無い。地球にいるフェイトや遥達が心配だからな。
「でえいっ!!!」
隙をついて距離を詰め、空中での回し蹴り。
「おっと!」
しかし躱される。
そのまま地面に着地した俺は上を見上げ、岩石群を睨みつける。
「どういう理屈かは知らねえがテメエは俺様の
流石に気付くか。
「ならテメエを先にブチ殺せば俺様の
今度は俺のみに岩石群を集中して降らせてくる。
「コッチを狙うなら好都合♪」
「うおりゃああぁぁぁぁっっっ!!!!」
いくつかの岩石がぶつかる中、右手に魔力を収束し
「カラミティエンドオォォォォッッッッ!!!!」
手刀を一気に振り抜く。
「チイッ!!!」
しかし
「コイツでくたばりやがれええぇぇぇぇっっっ!!!!!」
「ふんっ!!!」
だがサウザーが俺の前に割って入り、その身を盾にして攻撃を防いでくれる。
「邪魔すんじゃねえよクソ野郎が!!!」
「ネズミの分際で吼えるな。お師さんの耳に障るであろうが」
俺とサウザーは同時に着地。
「《私も戦闘に加わった方が良いかしら?》」
「《まだそこまで追い込まれていないから大丈夫》」
レスティアが念話で尋ねて来るが、その申し出を断っておく。
レスティアも
…それにまだ手は残されてる。
「サウザー…」
「何でしょうか?」
「
「っ!!…御意です」
俺の言葉を聞いたサウザーは頷き、すぐさま俺の側まで移動してきた。
普段ならレスティアとユニゾンする事が多く、サウザーとユニゾンする事はあまり無い。
それはサウザーとユニゾンした時に付与される
レスティアとのユニゾンではユニゾン時に
まあ『しばらくユニゾン出来なくなる』デメリットより『代償無しで
対してサウザーとのユニゾン時……。
それは『サウザーの身体能力に攻撃力、防御力が自分にプラスされ、『北斗の拳』で使用された全ての拳法が使える』というメリットと、『
そう……魔法やレアスキルが使えなくなるのだ。
正直、レアスキルはともかく魔導師が魔法使えないというのは……ねぇ。
それにサウザーの場合、単体でも充分に戦力になるからなぁ。あ、これはレスティアにも言えるか。魔法、魔力面においては俺以上だし。
ま、それは置いといて今回は魔法やレアスキルが使えなくなったとしても良いと思う。
むしろとことんあの岩石群に突撃するならサウザーとユニゾンしてダメージを受けない方が得策なのである。
「「ユニゾン・イン!!!!」」
故に今回はサウザーとのユニゾンにする。
一瞬眩い光に包まれ、光が収まった時サウザーの姿は無く俺の姿にも若干の変化が見られた。
髪の色はサウザーと同じ金髪に変わり、バリアジャケットが聖帝様特有の服装になる。
レスティアの時はバリアジャケットが黒く染まるだけで衣装自体は変わらないんだけどなぁ。
「い、一体何が……?」
「髪の色が……変わった?」
テスラとナインが驚愕しているが、ユニゾンなんてものを初めてみたのだから当然の反応かもしれない。
ユニゾンに関する説明はレスティアに任せよう。
「とうっ!!」
とりあえず迫って来た岩石群を垂直に跳び上がって回避する。
当然フレイザードは追撃してくる。
無数の岩石が跳躍中の俺に直撃するが、全くもって痛くない。
「シャウ!!」
両腕を振るい、岩石のいくつかを切り裂く。
今、俺の指先は鋭利な刃物の様に触れるものをスパッと切る。
見る者を魅了する様な華麗な動きとは裏腹にあらゆるものを切り刻まんとでも言うかの如く残虐非道の必殺拳。
「それが……南斗水鳥拳!!」
フレイザードの身体が豆腐の様に容易く切れていく。
切っているのは
それに
「ならば遠距離攻撃を行うまで」
俺の身体が跳躍の頂点に達し、今度は少しずつ落ちていく。
「ふおおおぉぉぉぉぉ……」
左手の掌の上に闘気を集約、圧縮させる。
これぞラオウの得意技!!
「北斗ぉ、剛掌波ぁ!!!」
北斗神拳における闘気放出系の技の1つ。この技は数多くある北斗神拳の技の中でも秘孔を突かず。純粋に物理ダメージを与える技だ。
眼前に浮かぶ岩石群をものともせずに破壊し、
「グアアアアアァァァァァァァァッッッッ!!!!!!!」
完全に避けきれず、剛掌波が掠った。
掠っただけとはいえ、ようやく
「や……やってくれやがったなテメエ!!!」
「やってあげましたけどそれが何か?」
「こ、殺す!!絶対にブチ殺す!!!」
氷炎結界呪法が張られていたさっきまでならともかく、今はその言葉を有限実行するのが奴にとってどれだけ難しい事か。
サウザーとユニゾンしてる間は弾岩爆花散ぐらいでダメージなんて受けないからな。
「《フハハ。死ぬのは貴様の方だドブネズミ。お師さんの手に掛かれる事を光栄に思うがいい》」
脳内にサウザーの声が響く。
「死ねえええぇぇぇぇっっっっ!!!!!!!!」
馬鹿の一つ覚えみたいに岩石群を降らせてくるだけのフレイザード。ダメージが通らないと言うのにご苦労な事だ。
無数に的を分けた所で見聞色の覇気で正確な
「すうぅぅぅぅ……ふうぅぅぅぅ……」
迫る岩石群を前に一呼吸置き
「ふんっ……!!」
足を踏ん張り、全身に力を漲らせる。
人間とは本来、自分の中に持ち得る潜在能力を30%程しか引き出す事が出来ないが、北斗神拳の中には独特の呼吸法を用いる事で100%の力を引き出せる様になる奥義が存在する。
その名は……『転龍呼吸法』!!
「っ!!?長谷川君の身体が!!」
「ムキムキになった……髪の毛も逆立った」
「勇紀の勝ちね」
テスラ、ナイン、レスティアの声が耳に届く中、俺は一瞬で岩石群の中を通り抜け、足を止めた際ズザザと僅かに音を鳴らし、ゆっくりと振り返る。
そこでは岩石群を集合させ、元の姿に戻ったフレイザードがいた。
「クカカ、何だオイ?ただ走り抜けただけで一体何を……」
「『ただ走り抜けただけ』……ねぇ。なら
フレイザードが言い終える前に言葉を発し、俺は軽く握りしめていた手をゆっくりと開く。
そこにあったのは半分がオレンジ、もう半分が水色のウニの様に全体がトゲの様な形状をしていた石。握っていたにも関わらず全く痛くなかったのは言うまでもなくユニゾンしたおかげのサウザー補正。
それを見たフレイザードの表情は驚愕のものに染まる。
「そ、それは!!俺の
先程岩石群を通り抜けた際
それを軽く真上に放り上げ
「シャウシャウシャウシャウ!!!!」
何度も
一見何事も無い様に見える
パラパラパラパラパラ…
原型はすぐに崩れ始める。
みじん切りされた野菜みたいに細かく切り刻まれ、地面に落ちた
「グ……ギィヤアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!」
同時に甲高い声の悲鳴が響く。
「よくも!!よくも俺の
頭を押さえ、必死に自分を繋ぎ止めようとしてるフレイザードだが、そのままだと消滅するぞ。
「サウザー、ユニゾンを解除するぞ」
「《御意です》」
ピカッと光を発した後、俺の隣にはユニゾンを解除したサウザーの姿があった。転龍呼吸法でムキッとした自分の肉体もユニゾンを解除した事で元に戻っている。
「さてさて……汚物は消毒しないとな」
右手にボワッと炎を纏わせる。
狙いはフレイザードの半身…氷で構築されてる方だ。
遠慮はしねえし情けもかけねぇ。
徐々に炎が龍の姿を模していく。
「邪王炎殺黒龍波ぁ!!」
右手をフレイザードに向けると勢い良く炎の龍が飛び出していき、フレイザードを丸ごと呑み込んだ。
「ギャアアァァァァァ!!!!」
炎で出来た半身に効果は無いが、氷で出来たもう半身はドロドロと溶け出し、すぐに蒸発していく。
残った炎の半身だが
「レスティア~。任せて良いか~?」
「既に準備は出来てるわ」
既に障壁を解除していたレスティアは空に向かて手を翳していた。
少しばかり上に視線を向けてみると
「おぉ…」
巨大な氷柱が宙に浮いていた。
レスティアの魔力で作られた氷柱。
鋭く尖った先端部はフレイザードの方に向いている。
「た、頼む!助けてくれ!!もうテメエ等には手を出さないと誓う!!だから!!な?な?」
半身状態のフレイザードは命乞いをし始める。
……が、俺が下した決断は
「レスティア、やれ」
「
当然、断罪である。
命乞いなんて無視してレスティアに命令し、彼女が頷くと宙に浮かんでいた巨大な氷柱がフレイザードに向かう。
残った半身で逃げ出そうと背を向けるフレイザードだったが、そうは問屋が卸さない。
足首をバインドで拘束し、動きを止める。
ズズンッ!!
巨大な氷柱がフレイザードを押し潰し、地面に突き刺さる。
こりゃ終わったな。
「ふむ……」
「???どうしたの?」
「……いや、なんも。ご苦労さんレスティア」
原作だとミストバーン登場、そしてフレイザード鎧バージョンが誕生する流れだったんだが、流石にそれは無かったか。
てかミストバーンなんかに出てこられたら困るんだけどさ。
「終わりましたなお師さん。これからどうしますか?」
「そりゃ地球に急いで戻るっしょ。ダイダロス、地球の座標は特定出来たか?」
「地球の座標は特定出来たけど、今のままだと地球の何処に跳ぶか分からないかな。ユウくん達のいたビルに正確に跳ぶにはもう少し演算して座標を絞らないといけないよ」
成る程成る程。
出来ればすぐにでも戻りたいが、正確にビルに戻れなけりゃ意味が無い。
ここは大人しくダイダロスの演算が終わるのを待つ事にした………。
~~遥視点~~
「う…うぅ……」
私は現在、目の前の光景を直視出来ず、口元に手を押さえて嘔吐するのを必死に堪えていた。
「他愛も無い、無さ過ぎる」
「所詮『魔法こそ万能の
「下らないな。その万能の
「ほとんどの管理局員なんて魔法が使えなくなりゃ大きく動揺する分、簡単に殺せますしね。リンカーコアの有無に関係無く使える質量兵器の方がむしろ厄介だと思いますよ私は」
上空で会話をしているのは突如割り込んできた一組の男の人と女の人。
今、飛んでいるのは
それ以外に飛んでいた人達は皆……
殺されて……死体となったモノが宙から屋上のあちこちに落ちてきて、周囲は血の臭いで満たされている。
現在この場で上空にいる2人以外で生きているのは私と葵ちゃん、クルミちゃんにブラックトレーダー。そして空を飛んでいなかった管理局の局員さん数人とフェイトちゃん、銀髪さんである。
フェイトちゃんと銀髪さんは現在、私達の近くで仰向けにさせている。
上空にいる男の人が現れてすぐに私達の方に向かって放り投げてきたから私はフェイトちゃんを受け止め、横に寝かせた。
「「……………………」」
葵ちゃんとクルミちゃんは顔を青褪めながら空を飛んでいる人達を睨みつけている。目の前の光景を見ない様にするためだ。
ツインエンジェルとして今まで色んな人と戦った事はあるけれど、悪い人は気絶させるだけで殺した事なんて一度も無い。
それ以前に人が実際に殺される光景を見た事は無かった。
「お、お前達何をしている!!早くあの連中を始末しろ!!」
そんな中、声を張り上げ指示を出したのは少将さんだ。
「し、しかし少将!!奴等はいとも容易く我々の仲間を殺したんですよ!」
「正直、ここにいるメンバーでは勝ち目がありません。撤退しましょう!!」
「目的である
「なあ!お前もそう思うだろ?」
私は管理局側の人達の方に目を向けた。
管理局側の人達は上司の少将さんに意見を述べ、その内の1人は別の管理局員さんに話し掛けているけど
「……………………」
その人は何も言葉を返さない。
「おい、どうした?何とか言えって」
ズルリ
声を掛けた時だった。
その人の
首を斬られた部分からは血が噴き出す。
「「「「ひいぃっ!!?」」」」
その光景を見て悲鳴を上げる人達と
「う……」
再び別の方に私は視線を逸らす。
「ここまで隙だらけとは……管理局員のレベルも知れたものですな」
「「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」」
また知らない人の声!
声の聞こえてきた先を目で追い掛けると、そこには
「何だ、オムニポーじゃないか。何故ここに来たんだい?」
「私めの仕事は終えましたので。ディオス様の様子を窺いに来たのですよ」
ホッホッホ、と笑うお爺さんが宙に浮いている男の人の問いに答えていた。
どうやらあの人のお仲間さんみたい。
「もっとも、ここに来たのは私1人ではありませんが」
「グハハハハ!そういうこった」
お爺さんが顔を別の方に向け、皆がその後を釣られる様に追うと同時に笑い声が聞こえた。
屋上のフェンスに背を預けている大きな体格の人の姿が
「ウデガンか。君も仕事を終えたのかい?」
「ヘイ!何てこたぁない楽な仕事でしたぜディオス様」
「そのままアジトで休んでくれていて良かったのに」
「あまりに早く片付いたんでヒマだったんでさぁ」
会話をしながら宙に浮いていた男の人と女の人が降りてきてブラックトレーダーの側に立つ。
お爺さんは屋上に降り立った男女に近付く。
「ディオス様、これを」
お爺さんが手に持っている物を手渡す……って
「
間違い無くそれ等は
何で!?アレは管理局員さんの1人が持ってたのに!!
ドサドサドサ
すると何かが倒れる音が複数回聞こえた。
倒れたのは……さっきまで
ただし、腕や足…首等全身がバラバラに切断されて。
「「「んなっ!!?」」」
誰もが気付かれない内にまた……殺された。
「う……うええぇぇ……」
もう…我慢出来ず私は嘔吐した。
「何だぁ?雑魚が殺されたのを見ただけで吐くとか戦場に出るヤツとは思えねえなぁ」
「そちらの2人にも同じ事が言えますな。目を逸らして戦場を直視しようともしないとは嘆かわしい」
「吐いたり、目を背けたり…所詮は本物の戦場を体験した事の無い
大きい人、お爺さん、女の人がコチラへ視線を向けながら言ってるのが何となく分かる。
「…そんな事はどうでもいいさ。ブラックトレーダー、
「………途中までは順調だった。だが突然ティアラが輝きを発しなくなったのだ。それからしばらく経つと他の
「……どうやらそのティアラに強力な封印魔法が施されてますね。おそらく何らかのトリガー……今回の場合はティアラに内包されているエネルギーの解放量が一定値を超えた時に反応してティアラが封印される様な術式を施されていたのかと」
「成る程。リアラ、解除は出来そうかい?」
「……今この場ですぐに解くのは無理ですね。誰が掛けたのか知らないけど相当強力な封印みたいですし」
ティアラに封印を掛けた人……
「(もしかして勇紀君が?)」
少なくとも私の知ってる魔導師さんって勇紀君とフェイトちゃんだけだし。
けどフェイトちゃんとは文化祭で初めて会った訳だから、そんな事する機会なんて無かった筈。
だから消去法で勇紀君って事になるよね。
「そうか……まあ良いよ。こうして目的の
「手に入れた?どういう意味だ」
ブラックトレーダーが男の人に聞き返す。
「そのままの意味だよブラックトレーダー。君はもう
男の人は瞬時にブラックトレーダーの正面に回り込んだ。
「死んでくれ」
無慈悲に言い放ち、そのまま蹴り飛ばした。
「ぐっ!!がああぁぁぁっっっっ!!!!」
屋上のフェンスをブラックトレーダーの身体が飛び越え、悲鳴を上げたのと同じタイミングで私達の視界から消えた。
「一発撃ってトドメさしておきますかい?」
「彼は魔導師でもないただの人間だ。この高さから落ちれば死ぬのは確実だろうから、無駄に魔力を使う必要は無いよウデガン」
「へぇ…ディオス様がそう仰るなら」
ウデガンと呼ばれる巨体の人は、ディオスと呼んだこのメンバーのリーダー格の人の言葉に素直に従っていた。
「では次に我々がとる行動と言えば…」
「考える必要なんて無いさねオムニポー。生きてる奴等は皆殺しにしておくべきさ」
その言葉を聞いて思わず顔を上げた私と女性の目が合った。
視線が合うや否や邪悪な笑みを浮かべる女性に私は小さく身を震わせる。
「グハハハハ!!じゃあ俺が片付けてやるぜ。さっきから身体を動かしたくて仕方なかったんだ。お前等は手を出すなよオムニポー、リアラ」
「……ってウデガンが言ってますが、どうしましょうかディオス様」
「別に良いんじゃないか。ここにいる連中の掃除なんてウデガン1人で事足りるだろう」
「では私等はのんびり見物にしゃれ込んでおきましょうか」
指の関節をポキポキと鳴らしながら巨体の人はまず管理局員さん達の方へゆっくりとした足取りで向かう。
「「「うっ…うわああぁぁぁぁっっっ!!!!」」」
局員さん達は怯えながら無数の魔法の弾を巨体の人に放つ。
けど巨体の人は何事も無いかの様に歩き、どんどん距離を詰めていく。
「オラオラァ!!もっと気合の入った攻撃は出せねーのかぁ?」
攻撃が全く効いていない。
「しょ、少将!!撤退指示を……って、少将!!?どちらに行かれたのですか!?」
1人の局員さんが少将さんに進言しようとしたが、いつの間にか少将さんの姿が無くなっていた。
「そういやテメエ等が攻撃し始めたのと同時に1人転移魔法で逃げた奴がいたぜ」
「「「なっ!!?」」」
そんな!?部下の人達を見捨てて自分だけ逃げたって言うの!?
「ま、この状況じゃ逃げるのは賢い選択だがな。グハハハ」
笑いながらも巨体の人が歩み寄るのを止めはしない。
「「わ……わああぁぁぁぁっっっ!!!!」
恐怖に駆られた3人の局員さんの内、2人が空を飛んで逃げ出した。だけど…
「グハハハハ!!!戦場で敵に背を向け、無防備なまま逃げ出すなんざ殺して下さいと言ってるようなもんだぜ」
巨体の人の両腕には真っ赤な光が収束されていく。
数秒後には両手を宙に向けて収束された光が放たれ、逃げている局員さんに迫り距離を詰めていく。
やがて光に2人の局員さんは成す術も無く呑み込まれ、光が収まった後には何も残っていなかった。
「さあて……」
「ひっ……ひいぃぃぃぃっっ!!!助けて!!助けてくれええぇぇぇぇぇ!!!!」
残った1人の局員さんは私達の方に向かって助けを請いながら逃げてくる。
「グハハハハハ!!獲物が集まってくれるなら手間が省けるぜええぇぇぇ」
既に巨体の人はコチラをターゲットとして捉えていた。
今度は片手だけ向けて先程同様に光を収束させ始める。
アレを防ぐ様な術は私や葵ちゃん、クルミちゃんには無く、フェイトちゃんと銀髪さんは意識が無く重傷。
だから攻撃は避けるしかない。フェイトちゃんと銀髪さんも抱えてだけど。
私は身体を動かそうとするけど、動かない……動かせない。
「(怖い…怖くて足が竦んじゃってるよぅ…)」
ブルブルと身体を震わせ、無意識の内に自分を抱きしめる様なポーズをとっていた。
身体が震え、足を動けなくしている原因は恐怖心。
あの人達は何の躊躇いも無く人を殺せ、その行為に罪悪感なんてものは一切感じてない。
そして私達の視界に映る至る場所には力及ばずに殺された局員さん達の遺体…。
これが戦場……これが……。
「グハハハ!!恐怖に駆られる小娘共と臆病な管理局員。獲物としては物足りなかったがディオス様をいつまでもお待たせする訳にはいかねえんでな。コイツで大人しく……死にやがれえええぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
巨体の人が手をコチラに翳したのと同時に私は目を瞑る。
死ぬ、と認識せざるを得なかった私だが
「(………………あれ?)」
一向に何かが起きた感じがしないのでギュッと瞑っていた目をゆっくり開けたら
「……………………」
翳していた手からは光が消えて、巨体の人は空を見上げていた。
ううん、巨体の人だけじゃない。
「「「……………………」」」
この場にいる私達の敵である人達は皆空を見上げていた。
「(……何?空に何かあるの?)」
私も空を見上げたのと同じタイミングだった。
「…………来る」
リーダー格の男の人が呟き
カアアァァァァッッッ!!!
夜中なのにもかかわらず一際眩しい光が空を染め、光が収まると声が聞こえてきた。
……声だけじゃない。人影も見えた。
「ダイダロスさーーーーーん!!!!!何か転移先が空中なんですけどおぉぉぉぉ!!!?」
「ゴメンなさいユウくん!!座標の計算が少し間違ってた!!!」
「……インテリジェントデバイスと言えどもミスだってするのね。その方が愛嬌沸くかもしれないけど」
「フハハ!!使えんデバイスだ。やはりお師さんにもっとも役に立てるのは俺だけの様だな」
「姉さん……こんな状況ではどうすれば良いと思う?」
「大丈夫よなっちゃあああぁぁぁぁんんん!!!なっちゃんは私が護りますからあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
……それは私の見知った顔ぶれ。
クラスメイトの友達といつぞやの男の人と女の子の姿だった………。
~~遥視点終了~~
まさかダイダロスが演算処理をミスるとは思わなかったけど、まずは飛行魔法で自分の落下を止め、続いてチェーンバインドを用いてテスラ、ナインの身体に巻き付け、2人の落下も阻止する。
レスティアは自ら飛行魔法を使って既に姿勢を整え、魔法を使えないサウザーは焦る様子も無く華麗にビルの屋上に着地する。
サウザーから遅れる事数秒程で俺達も皆屋上に降り立ち、すぐさまチェーンバインドを解除する。
「地球にご帰還……って喜びたいんだけどそうもいかないみたいだなぁ」
上空から屋上を見下ろした際、視界に入った
そこは惨劇が起きたと言ってもいい程酷いモノだった。
「「……うっ……」」
宙に出た直後はパニック気味だったヴァイオレット姉妹も屋上に降り、冷静になった所で改めて視界に収めたのはそこら中に死体が転がっている、こういう現場慣れしてない奴にとっちゃ地獄のような場所。
それを直視して顔を青褪める。
ツインエンジェル組の状態からも察するがここに居るツインエンジェル、ツインファントム共にこんな現場に出くわした事は無いのだろう。
コイツ等の気を落ち着かせてやりたい気持ちはあるがそれよりもまず確認しておく事がある。
それはこの場にある無数の死体が誰かという事でもなければ(死体の周囲に落ちてるデバイスがある事から死んだ奴全員魔導師っぽいけど)
それは…
「なぁ……誰がフェイトを
上空から見下ろした際、遥達のすぐ側で横たわっていた金髪を生やした血塗れの女性。
小学校5年生の頃から付き合いのある友達、フェイト・テスタロッサ執務官。何故か西条の奴までいるし、コイツもフェイト同様の血塗れだ。
それをここまでした奴が誰かって事だ。と言っても候補はある程度絞られている。
まず遥達の側にいる男性……。
バリアジャケットを纏っている事から魔導師…ひょっとしたら管理局員かと思われるがコイツがフェイトをここまでやったとは思えない。
実力は然程高くない様感じるし、実力を隠しているとも考え難い。
何故コチラ側にいるのかは後で遥達に聞けば良いだろう。
この男性を除けば残っているのは4人。
ビル内でフェイトが引き受けてくれた女性と、女性の周囲にる金髪の若い男、ジェントルマンっぽい爺さん、ムキムキマッチョの大男。
コイツ等の内誰か、もしくはコイツ等全員がフェイトを襲った……
「その女なら私がヤってあげたよ。魔力さえ封じたらそこそこの実力者程度だし楽勝さね」
……あの女か。
「銀髪の相手は僕がした。期待外れだったがね」
西条の事は聞いてないんだがな。
とりあえずフェイトの治療をしないと。結構ヤバい状態だから魔法ではなく
……一応西条も治療してやるか。コイツの事だから感謝なんてしないだろうけど。
「……テメエ等少し待ってろや。フェイト(と西条)の治療終えたら相手してやっからよ」
俺が言い終えた直後に連中に向かって覇王色の覇気をぶつけてみた。
「……へぇ」
「……大した威圧感じゃないか」
「ふむ……これまでの魔導師とは違うという事ですな」
「グハハハハ!!こりゃあ楽しめそうじゃねえか」
金髪、女性、爺さん、マッチョが各々言葉にする。
覇王色の覇気を難なく持ち堪えたか。一筋縄でいく連中じゃなさそうだ。
「レスティア」
俺が呼ぶと彼女は首を縦に振って側に来る。
もっとも連中がフェイト(と西条)の治療を素直に待ってくれないかもしれないので、ユニゾンして
で、いざユニゾンしようとしたその時だった。
「…………ぁ…………ぁぁぁ…………」
どこか遠くからこの場にいる誰のモノでもない声が耳に届いてきたのは。
「にゃ?何か聞こえない?」
「いえ…私にも微かにですが聞こえました」
顔色の悪い遥とテスラの会話を聞き、他の面子も小さく首を振る。
「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
謎の声が少しずつ大きく聞こえる様になってくる。
徐々に近付いてきているのか?
「何なの……一体何処から聞こえてくるのよ?」
「…………っ!!皆さんアレを!!!」
葉月がキョロキョロする中、いち早く発見したのは神無月だった。
神無月が指す先、夜空を見上げると
「……何か落ちてくる」
ナインが呟いた様に、謎の影が落下してきていた。
…………コチラに向かって。
「……何だアレは?」
「隕石……ですかね?」
「このままだとこのビルの位置に落ちてきそうですな」
「撃ち落としておいた方が良いんじゃねえの?」
相手の連中も空を見上げながら喋っていた。
いやいや…隕石だったら声なんて発しないだろ。
内心ツッコみながら連中への警戒心を切らす事無く上空を見上げていた。
てか俺には分かる。この謎の声の正体が。
何せ凄く聞き覚えのある声色だから。
「いいいいぃぃぃぃぃやっほおおおぉぉぉぉぉいいいいいぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!!!!!天界からイタズラ天使が舞い降りたイメージを持ってぇ……鉄漢女、参上よおおぉぉぉぉぉぉぉ…………」
そう……そこで血塗れになっている1人の男を一途なまでに愛する魔導師。
鉄先輩はそのままビルの屋上に降り立つ……
ボゴオオォォォォォンンンンン!!!!!
「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!?」
……事は無くビルの屋上のフロアを突き破ってそのまま下まで落下していった。
「「「「「「「「「「……………………」」」」」」」」」」
沈黙が場を支配する。
てか勢いを殺す事無く落ちて来たらそうなるわな。サウザーだって着地する際はフロアに衝撃を与えない様に着地してたし。
「……何だったんだ?」
金髪の男が最初にこの沈黙を破り、発した第一声がソレだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
するとビルが揺れ始める。
「にゃ!?じ、地震!?」
「……いや、地震じゃねえな」
遥の疑問には否定する。
この揺れ…もしかして……
「さっきの落下の衝撃でビルを支える支柱全てが一気に壊れたんでしょうね。このビル…倒壊するわよ」
冷静にレスティアが答え、俺も頷く。
それだけ鉄先輩の落下してきた威力が凄かったって事だろう。
「……って、ビルが倒壊なんてしたらマズいじゃないですか!!」
テスラが叫ぶと同時にツインエンジェル、ツインファントム、魔導師の男がドッと汗を掻き始めた。
「…レスティア、全員を浮遊魔法で地上まで運んでくれ。俺はビルを囲む様に障壁を張る」
「了解」
指示を出し、メンバー全員を浮かせたのと同時にビルが崩れ始めたので、俺は障壁をビルを囲む様に張った。
爆破解体されたかの様に倒壊していくビルの破片や粉塵が周りに飛び散らないための処置である。あと爆破音が周囲に漏れない様、防音効果も忘れずに施している。
流石に今から結界を張って空間を遮断しても遅い。この後始末はどうしたもんか……。
事後処理を考えると頭が痛くなるが今考えても仕方が無い。
ビルの前の車道に屋上にいたメンバー全員が降り、周囲にこれ以上被害を出さない様、俺は結界を張る。
「……結界か。今更だとは思うけどね」
うるせえやい。理解しとるわ。
金髪の男が言うけど、こちとらここまでフェイトが傷付けられた姿を見て頭にきてたんだよ。
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」」
結界を張り終え、今度こそフェイト達の治療を行おうとした時に響き渡る咆哮。
瓦礫の山となったビルの中から聞こえ、皆が振り向くと同時に勢いよく飛び出してきたその人物がその姿を露わにする。
敵対してるムキムキマッチョに負けず劣らずの肉体を持ち、ビキニ一丁という露出狂どころか公然猥褻罪に対して真っ向からケンカを売り付けている服装。
「ご主人様の匂いが近くからするわあああぁぁぁぁ!!!!!ご主人様!!ご主人様何処おおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!」
空に向けて更なる大音量を放ち続ける。
相変わらず西条LOVEな鉄先輩との再会だ。
「…………鉄先輩、どうして地球に?」
『ご主人様あああぁぁぁぁぁ!!!!!!』『ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』と結界を張って無かったら確実に近所迷惑で通報されていてもおかしくない状態の鉄先輩に俺は声を掛ける。
このまま放っていたらいつまで経っても叫び終えそうにないと思ったからだ。
「あらん、勇紀ちゃんじゃない。久しぶりねえん♪元気だった?」
「見ての通り至って健康ッス。そちらこそお元気そうで」
「当然よん♪元気な子を身籠る為に結構には気を使ってるわよん♪」
誰の子を身籠りたいのかは言わずもがなである。
相変わらず一途過ぎる恋心。その恋心を向けられている本人は照れではなくガチで拒否っているが。
「ま、そう言った話をすると脱線しそうなので置いといて。先輩は何故地球に?」
「ご主人様を追ってきたのよん」
即答であった。
「今日久しぶりに本局に戻ったのに、ご主人様ったら休暇取って地球に向かったって言うじゃない。だから私も休暇申請しておってきたのよん♪」
「成る程」
何とも納得出来る理由であろうか。
「それでご主人様の匂いがこの辺で強くするのだけどご主人様は何処かしら?」
「……………………」
俺は無言で指を差す。そこに鉄先輩の意中の人がいるからだ。
「ああん♪ご主じ…………っ!!?」
鉄先輩は大きく目を見開く。
視界に入った、血塗れの西条を見て……。
「こ…これは……一体何なのん……?」
声が震えている。物凄く動揺しているのだろう。
ようやく会えた西条は瀕死の姿なのだから。
「ぶ……ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ボロボロと涙を零し、盛大に泣き始める。
遥達は『ひいっ!』と小さく悲鳴を上げた後、俺の背に隠れ始める。
泣いてる鉄先輩に恐怖でも感じたのか?
「酷い…酷いわ。誰がこんな酷い事をおおぉぉぉぉ!!!ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ビリビリと全身に微妙な振動を受けるのを感じる。
泣き声で大気を振るわせるとかどんだけー。
「……唐突の登場で驚いたがその化け物も銀髪の、君達の仲間かい?」
「俺と同じ管理局員だよ。ちなみに化け物じゃない。彼女は人間だ」
金髪はがコッチに向いて尋ねてきたから俺は返答する。
「はぁ!?人間だぁ!!?どう見ても化け物か人体実験の成れの果てじゃねえか。しかも『彼女』!?その容姿で女なのかよ!?」
「ホッホッホ。管理局の人間は冗談が上手いご様子で」
「アレが女だって言う言葉を女である私は否定させてもらいたいね」
相手陣営の言葉がキツい。だがコレは変えようの無い事実だ。
「その銀髪をやったのは僕だよ」
「……………………」
その言葉を聞いた鉄先輩がピタリと泣き止む。
泣き止んだ顔は無表情。光の消えた目で金髪の男とその一味の方を向いている。
「相対した当初は凄まじい魔力を有している彼に期待したんだが、実際戦ってみると何とも弱い事か。一瞬で失望させられたよ」
「……………………」
鉄先輩が静かに聞き入る中、彼は表情を変えず淡々と話す。
「剣を生み出すレアスキルには驚かされたが、当の本人は剣の扱いというものを心得ていない。無意味に振り回すだけで脅威も何もあったもんじゃなかった」
「私もそこで死にかけてる女と戦ってる最中何度かディオス様とソイツの衝突を見てたけどハッキリ言って児戯にも等しい戦い方だったよ。自分で『最強』とかほざいてるのにディオス様の一方的過ぎた戦闘だったからねぇ」
「…………………」
それから金髪の男や女が語るのは西条の戦闘に関する駄目っぷり。
それ等を聞いて見下しながら笑う爺さんとマッチョ。
アイツ等の言う戦闘の駄目っぷりについては否定出来ないのだが、ソレを西条に対する悪口と感じているのが一人……
「…………………」
無表情の鉄先輩である。
アイツ等は気付いているのかいないのか……鉄先輩の魔力が少しずつ上昇している事に。
俺はレスティアに念話で指示を出す。
「《レスティア、今すぐ俺の結界の上からお前の結界を全力で張ってくれ》」
「《…理由を聞いても?》」
理由ねぇ……それはもっともシンプルな理由さ。
だって……
「……え…………」
鉄先輩が
「エ゛ェェェェェイ゛ィィィィィィィィィメン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
キレちまったんだから………。
~~あとがき~~
『ぶるぁぁぁ…』=平常時。
『エ゛ェェイ゛ィィメン゛ッッ…』=キレた時。
以上、誰にでも分かる鉄先輩の見分け方講座でした(笑)。
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神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。