~鞘華視点~
西から向かって来る軍勢が現れたとの報の直後に
「連合軍が別働隊を西門に向かわせています」
新たな軍勢に別働隊 とにかく西門が危ない
「鞘華 此処は私に任せて西門をお願い!」
「了解」
蓮華に応えた直後にまた伝令がやって来た
「大変です!西門が開き始めています
何者の仕業かは不明!」
この報せに私は
「『鳳凰』で向かうわ!」
「私も行こう!」
「鞘華さん! 少しの間敵を食い止めて下さい
その間に後続を断つようにします」
静里の声を背に聞きながら『鳳凰』と星と共に西門に急いで向かう
私達が西門に到着した時、丁度敵の部隊が門を通過した所だった
「間に合ったようね
『鳳凰』突撃ー!」
門の所まで敵を押し戻す必要が有る
そうすれば敵は正面からしか向かって来ない 左右からも向かってこられると数の暴力に勝てない
しかも横に並べるのは5~6人
『鳳凰』が壁になり敵を食い止め疲労が出て来たら後ろに下がり別の兵と入れ替わる
そうすればかなり時間を稼げる
その間に静里が後続を断つ策を打ってくれる筈
そう考えながら敵の部隊に突撃を敢行した
突撃を敢行した直後に敵の部隊を率いている人物が目に入った
あれは”関羽”
「鞘華殿 あの脳筋は『鳳凰』でも厄介だ
私が相手をしよう」
「頼むわ」
関羽の相手を星に任せる
私は『鳳凰』を指揮して敵の部隊を押し返す
敵の部隊は関羽以外は一般兵の様で『鳳凰』の敵では無く、どんどん押し返す
「それにしても誰が門を・・・」
そう呟いたら
「それは私がしたんですが」
声の方に振り向くと
「あんたは!」
あの道士だった
「干吉です 名前ぐらい知っておいて下さい」
相変わらず人を喰ったような態度に怒りを感じながら
「あんた 今度は関羽と手を組んだの?!」
「いいえ 今回門を開けたのは左慈の為
左慈率いる西涼連合の騎馬隊が突撃する為です
しかし関羽が左慈の部隊の前に横から入り、結果として邪魔をしたのです
前方に歩兵が居ては騎馬隊は思うように進めませんから
全く悪運が強い」
と干吉が答えていると
「もうお前は黙ってろ!」
その後ろから左慈が現れた
「お前だけか 北郷一刀はどうした?」
「一君は今頃ぐっすりと睡眠中よ」
七乃に縛り付けても大人しくしなかったら眠り薬で眠らせておくように言ったのであながち嘘では無い
「ふざけやがって ならば先ずお前を殺しておくか」
「殺さないで捕えて下さい
私の恨みを晴らしてから殺したいので」
左慈と向かい合いながら星を伺うと、関羽とほぼ互角の攻防をしていた
そして前方の『鳳凰』は完全に門を制圧 流石に閉じられないが敵を食い止めていた
「余所見している余裕が有るのか」
左慈が攻撃を仕掛けて来た
「あんたとお見合いしても楽しくないから他を見ていたのよ」
軽口を返しながら左慈の攻撃を躱す
確かに速い 一君が手古摺る訳だ
間合いが刀より短いので捌けるがそうで無かったら辛い 凪と同等か、やや左慈の方が上か
躱してばかりでは埒が明かないので攻撃に移るとその攻撃を手甲で止められる
胸板に繰り出された左慈の正拳を横に動いて間一髪躱すと正拳の軌道が変わって胸倉を掴まれた
(これは投げ!)
咄嗟にそう判断した瞬間、片手背負いが繰り出された
自ら飛んで空中で身を翻して着地するが危なかった
胸倉を掴んでいた手を払い、間合いを取る
(さて、どうしますか・・・)
そう考えていたら、奇襲とばかり突っ込んで来た
横に薙ぎ払う斬撃を放つが逆に弾かれる
そして左慈の手が私の胸に伸びて来る 斬撃を弾かれた為、私の体勢が崩れる
その為”ムニュ”・・・左慈が私の胸を鷲掴みにした
時間が止まる
左慈が胸倉を掴みに来た所、私が予測しない方向に動いたために起きた事故
確か一君と凪が稽古した時にも有ったような気がする(第四話参照)
左慈は感触を確かめる様に指を動かして・・・その瞬間我に返り
「きゃあー!」
叫びながら胸を抱いて後方に飛び退く
(乙女の胸を鷲掴みにしただけでは飽き足らずに、揉むなんて~~!)
怒りの形相で睨みつけると
「ふん そんな大層な物でもないくせに何を怒っている」
”ブチッ”
「乙女の胸を弄んでおきながら~!」
怒りのままに斬りつける
「それに誰が貧乳だー!
平均以上にあるんだぞー!」
「ちょっと待て 誰も貧乳とは言って無い
大層な物でも無いとは言ったが」
「問答無用!
私の胸を揉んで良いのは、一君だけなんだぞーーー!!!」
私の怒りの斬撃に左慈は後退する
そんな時、門の上に静里が少数の兵と共に現れた
「油壺 落としなさい!」
油壺が門の前に落とされ門の前に油が大量にまかれた様な状態になる そして
「火をかけなさい!」
松明が落とされ、門の前に火の壁が出来上がる
これで中の敵兵を倒せば後続が来ないので門を閉じられる
一般兵は『鳳凰』で一掃できる 要するに、左慈と干吉それに関羽を倒せば西門は守り切れる
左慈の後ろにいた干吉が
「左慈 撤退しましょう」
「なんだと!」
「今回も失敗です
ただ・・・」
何か左慈に耳打ちしている
「そんな事をしてどうする?!」
「私に考えがあります」
左慈は不服そうな顔をしながら横に走る その方向では星と関羽が一騎打ちをしている
まさか関羽に助太刀する気?
その予想は大きく外れた 左慈は関羽の後頭部に回し蹴りを喰らわした
「なんだと・・・」
関羽がそう言いながらゆっくりと崩れ落ちる
余りの事態に呆然とする私達 左慈は意識を失った関羽を抱えて
「次こそ覚悟しておけ!」
左慈、干吉、左慈に抱えられた関羽は消えて行った
あ、そうだ
「こらー! 左慈ー!
私の胸を掴んだ落とし前をまだ付けて無いだろー!」
~あとがき~
え~と、何と言って良いのか
「左慈と干吉は小物臭くてもいいや!」と開き直ったらこんな状態に
ラスボス感が有ったのになんでこうなってしまったのか・・・私にも不明です
愛紗は左慈達に連れ去られました
但し左慈達は一刀達以外には存在が知られていないので桃香からすれば愛紗は行方不明若しくは戦死
そう認識されます
それが何を引き起こすのか・・・
干吉の考えと共に今後にて明らかになって行きます
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
Tweet |
|
|
9
|
0
|
追加するフォルダを選択
宛攻城戦②