未来の秋蘭に襲撃を知らされて遂に7日の時間が流れた
『限界突破』は習得出来なかったが、それでも何倍に強くなった愛紗や春蘭、そして一刀は
赤壁の決戦に向かった…………
終節 ~出現!!!天覆う血光りの暗黒龍軍~
一刀「……………」
愛紗「…………………」
華琳「………」
運命の日がやってきた
そう、未来より『血光軍』が襲撃してくるという決戦の日だ
全員は今、赤壁に向け進軍中
到着まで残り僅か
全員は一言も喋ることなく緊張の糸が張り詰めている状況となっていた
なお、兵達には絡繰人間の事は省き大軍が赤壁に向け進軍していると伝えていた
未来の璃々と秋蘭はフードを被って顔を隠し、使者という形で話している
無用な混乱を防ぐ為である
因みに余談であるが、真桜は今回得物である『螺旋槍』とかつて響窃・『否定過激派』の戦闘時に作成・使用したチェーンソー『鎖断鋸斬』を所持してきた
一刀「…………左慈」
左慈「なんだ、北郷…………」
左慈は一刀の横に並びポケットに手を突っ込みながら歩いていた
因みに管理者以外の重鎮達は全員、馬に乗っている
一刀「兵達をどうする気だ?結局何もしてないだろ?」
一刀の言う通り、左慈や于吉は7日間全て鍛錬の方に付きっきりだった為、兵達の強化という強化は何もしてない
左慈「………それは赤壁に着いてからだ
コイツの効力は短いんでな」
一刀「『コイツ』?」
左慈が右ポケットから取り出したのは、市販に売られている緑色をしたビー玉のような者
一刀「…………ビー玉?」
一刀は案の定、ビー玉と勘違いする
左慈「…………あのなぁ、ビー玉出してどーすんだよ」
左慈は呆れて溜め息を吐く
左慈「コイツは術を凝縮して塞ぎ込んだ『術玉(じゅつだま)』ってもんだ
コイツを叩き割れば、ある一定範囲内の者に凝縮した術を掛けられることが出来んだ」
雪蓮「何故、凝縮する必要があるの?」
左慈の隣、一刀の逆サイドにいた雪蓮が聞く
左慈「通常の術を使えば多大な時間が掛かるうえ、俺の体力の限界がきちまう
だが、コイツを叩き割ればそれだけですむ
更に言えば、凝縮したから効力や持続性も通常の倍以上になる」
冥琳「成る程な………それで、持続性はどのくらいだ?」
雪蓮の後ろにいる冥琳が聞く
すると、今度は一刀の横にいる于吉が説明する
于吉「通常のなら長くて30分程度………
ですが、左慈と協力して作り出したので凡そ2時間………ってところでしょうかね」
一刀「2時間か…………で、その『術玉』の中身はなんだ?」
左慈「………………それはな」
左慈が言いかけた時、兵が一刀に声をかける
兵R「北郷様、赤壁に到着致しました」
一刀「………」
一刀はその場で馬を止める
軍は瞬く間に止まる
見渡せば一面、海のような川が流れている
此処こそが今回の決戦の舞台、赤壁である
一刀「…………此処に来るのは乱世以来だな」
一刀は『龍終』を握り、馬から颯爽と降りる
華琳「………まだ、敵同士だった時ね」
華琳も真剣な表情で馬から降りる
次々と皆が馬から降りて赤壁を見渡す
焔耶「………『血光軍』は何処だ?」
朱里「敵が現れる時、強大な気が放出されるので直ぐ分かる筈です」
朱里は顎に手を添えて考える
穏「此処に辿り着くまでそれは感じられませんでしたしね…………」
穏は眼を瞑りながら言う
秋蘭(未来)「…………すまん、一刀
時刻までは奴等は話していなかった」
未来の秋蘭は一刀に謝る
一刀「謝らなくていいよ、秋蘭
日程が分かっているだけでも十分だしさ」
一刀は頭を横に振って秋蘭に言う
翠「……………しっかし、こんな良い日に決戦とはなぁ………」
翠は腰に手を当てて溜め息をつく
天候は一点の曇りもない晴れ
太陽が皆を照らしている
紫苑「戦いに天候は左右されるけど、ここまで晴れると目眩ましとかが来そうね」
桔梗「逆に絡繰人間には目眩ましは通用せんからのぅ、余計やりにくいわ」
桔梗は眼を瞑って言う
春蘭「そもそも、目眩ましなど回りくどい事などやられても怯みもするか」
春蘭は堂々と宣言する
一刀「だが、相手は絡繰人間………どんな性能を備えているか分からない」
貂蝉「目眩まし程度ならいいのだけれどねん」
貂蝉は口をへの字に曲げて赤壁を背にする
璃々(未来)「皆さん、前にもお話ししたように『血光軍』は大将の龍天、副大将の斬魔、『龍天五獄隊』の炎掌・雷昇・氷柱・風刻・闇霊が核となって構成されています
この7人を倒さなければ戦いに終わりはありません」
璃々は再確認を込めて話し出す
秋蘭(未来)「今回選抜された将は璃々が言った6人のみだ
だが、統率されていない賊とは比べ物にならない」
未来の秋蘭も璃々の言葉に続く
秋蘭(未来)「予想は安易だが、大混戦となるだろうと思われる
勝敗の鍵は陣営の崩れたところをどれだけ早く見抜くことができるか………これが左右する」
雛里「その為には私達が目を皿のようにして注意深くしなければなりません」
桂花「まぁ、当然のことだけれど………基本を忘れれば足元を掬われるだけだわ」
桂花は目付きを鋭くして言う
冥琳「向こうの軍師は副大将の斬魔と『龍天五獄隊』の風刻でしたな?」
冥琳は未来の秋蘭に確認する
一応、年上なので冥琳は敬語で聞く
秋蘭(未来)「うむ…………あと予備軍としては『龍天五獄隊』の隊長、闇霊………奴はかなり危険な絡繰人間だ
絶対に単体で戦ってはならぬぞ?」
愛紗「…………心得た」
愛紗は静かに頷く
一刀「これも確認しておくよ
陣営は旧国家の軍………つまり、魏・呉・蜀の組み合わせでいく
月達もそれぞれのところで頼むよ」
月「分かりました」
月は真剣な表情で頷く
一刀「『龍天五獄隊』は『大陸五虎将』の者達で立ち会ってくれ
誰と戦うかは臨機応変に対応
副大将の斬魔は華琳か雪蓮どちらか、大将の龍天は俺が相手をする」
于吉「まぁ、妥当の考えですね
ですが、大将の龍天が出てくるのは最後でしょうね」
于吉は岩に腰掛け、一刀に向かって微笑む
蓮華「兵の数ならば上回っているが、奴等は我々と同様な戦いをするのだろうか?」
亞莎「分かりませんが、絡繰人間達が闇雲に戦うとは思えません」
一刀「……………頼むぞ、左慈…于吉………」
一刀は左慈と于吉に視線を向ける
左慈「敵数約50万人、それに比べて兵達の数は3倍の150万人……
数では勝っているが強さでは何十倍以上になる
だがな、この『術玉』さえあればどうにかなるぞ」
于吉「お任せ下さい♪」
一刀「……左慈、そろそろ教えてくれないか?
その『術玉』の中身はなんだ?」
一刀はずっと気になっていた事を聞き出す
左慈「…………こいつは『限倒術(げんとうじゅつ)』ってやつだ
『限倒術』は掛けられた奴の戦闘能力値を最大限……いや、その許容範囲以上に引き出す術だ
前、宝鈴の馬鹿が夜減児に使った『破源術』に似たようなもんだが、それとは悪性がない真っ当な術で『禁止術』には適用されねぇ
しかも、『空走』や『龍走』といった気の扱いも長けていられる」
一刀「なんだ、そんなに渋る程の事じゃないじゃないか」
一刀の安心も束の間
于吉が頭を横に振る
于吉「いえ、残念ですが北郷さん………この術には1つの欠点があります
それは、『限倒術』には副作用があるのです」
蓮華「副作用?」
蓮華は眉を顰めて鸚鵡返しをする
貂蝉「『限倒術』は一度、掛ければ約2年程『限倒術』を掛けることが出来ないのよん」
卑弥呼「更に術の効力が切れた瞬間、掛けられた者達は立っている事すら出来なくなるのだ」
桃香「えぇっ!!?」
左慈「限界の許容範囲を超えるっつったろ?
それの反動で当分は動けなくなる、ようは一か八かだ」
左慈は腕を組んだまま答える
一刀「何で……他の手はなかったのか?」
一刀は唖然となりながらも左慈に問う
左慈「悪いが他の良い手もどれもデメリットが大きすぎる、これが最良の手段だ…………」
一刀「……………」
一刀は自分の足下を見る
于吉「……………私が言うのもおかしな話ですが、戦いに犠牲は付き物なんですよ、北郷さん………
腹を決めて下さい……………」
于吉は諭すように一刀に言う
一刀「………分かったよ」
一刀は覚悟を決めた表情で頷いた
………そして、一刀達が赤壁に到着して数十分後
遂にその時がきた
ゴォォォォォォォォッ!!!
ゴォォォォォォォォッ!!!
ゴォォォォォォォォッ!!!
ゴォォォォォォォォッ!!!
ゴォォォォォォォォッ!!!
華琳「っ!!?」
突如、赤壁を中心に轟音が鳴り響いた
白蓮「こ、この気配は………!!?」
兵・武将・軍師・管理者を含む全ての者達が轟音が鳴り響く原因となるモノを見つけ、赤壁の上を見上げる
兵I「な、何だありゃあっ!!?」
そこにはとてつもない数の人影が現在進行形で赤壁の上に立っていた
次々とその人影が数を増し、出現していく
その度に轟音が鳴り響く
左慈「………遂にお出でなすったようだぜっ!!!」
左慈は咥えていた煙草を乱暴に地面に叩きつける
亞莎「…………あれ全てが絡繰人間……」
秋蘭「あぁ、50万体の絡繰人間だ…………!!!」
全員がその実際の数を見て武者震いをする
そして、その絡繰人間達の中で一際目立つ『7人の絡繰人間』が見えた
炎掌「はっはっはぁっ!!!ようやく来れたぜっ!!!」
雷昇「ケケケっ!!!此処が12年前の過去かぁっ!!!明るすぎて目が痛いぜぇっ!!!」
氷柱「へぇ、自然豊かねぇ…………全部凍らせたいわ♪」
風刻「私も久しぶりに血が高揚してきたぞ……………色々と切り刻みたくなってきた」
闇霊「斬魔様、無事全絡繰人間が到着出来たようです」
斬魔「結構です♪いやはや、本当に明るいですね……」
龍天「…………………此処が過去か……不思議な気分だな……」
敵の武将達は先頭で『空立』をする
雪蓮「あれが…………『龍天五獄隊』と『闇の副大将』斬魔………そして、大将の龍天………」
炎掌「おっ!!?何か下で歓迎してくれてんじゃねーかっ!!!」
炎掌は一刀達に気づいて声を張り上げる
雷昇「ケケケっ!!!大歓迎してくれてんぜっ!!!」
氷柱「…………てか、何でいんの?」
炎掌や雷昇とは違った反応をする
風刻「妙だな………機密情報で漏洩していない筈だが……」
闇霊「………………………」
斬魔「……ふむ…まぁ、いいでしょう」
斬魔は顎に手を当てて呟く
そして、龍天が一歩前に出て声を上げる
龍天「我が名は『血光軍・大将』龍天っ!!!
現国王・北郷一刀に代わり新たなこの国の王となる者だっ!!!」
龍天の堂々たる宣言に華琳達は
華琳「新たなる王?寝言も程々にしてもらいたいものね」
雪蓮「あんたなんかが王になれる程、この国は荒れちゃいないわよ」
即座に反論する
だが、それを尻目に一刀も先頭に立ち、龍天に劣らぬ大声を上げる
一刀「我が名は『天の御遣い』北郷一刀っ!!!!!!
この国を統べる者として、逆賊・『血光軍』を…………この赤壁で……」
一刀は一度、ここで区切り再び叫んだ
一刀「『時空の戦い』で亡き者にしてやろうっ!!!!!!」
遂に相対する2人の大将…………
今、決戦が始まる……………!!!
第二章‘悲劇の再会’
……終……
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運命の7日間は虚しくもあっという間に過ぎ、遂に決戦の日が訪れた
決戦の舞台となる赤壁へ向かう一刀達
そして、遂に絡繰人間達の軍団『血光軍』が姿を現すっ!!!