No.811572

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

soranoさん

第108話

2015-11-03 00:49:07 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1650   閲覧ユーザー数:1511

 

~ジュライロッジ~

 

「なっ!?何故私の偉大なる先祖を…………―――――!!な、なななななななっ!?ま、まさか貴様は……!」

「なっ!?あ、あの容姿と姿は……!」

「や、”槍の聖女”――――リアンヌ・サンドロッド卿!?」

「な、何で250年前の伝承の人物が今も生きてこの場にいるんだ!?」

リアンヌの言葉に驚いたカイエン公爵だったがリアンヌの容姿を見ると混乱し始め、領邦軍の兵士達はそれぞれ信じられない表情でリアンヌを見つめていた。

 

「何故カイエン公はサンドロッド卿を見て、あんなにも取り乱されているのでしょう……?」

「”鋼の聖女”が”獅子心皇帝”と共に”偽帝”オルトロスを討った人物だからじゃない?」

「……言われてみれば、サンドロッド卿とカイエン公は因縁の間柄になるな。」

「それどころか、カイエン公にとってアリアンロードは”天敵”になるわよ♪」

「うふふ、何せ尊敬していた”先祖”を討った張本人の一人だものね♪」

「まあそれ以前に伝承の人物が目の前にいる事に取り乱していると思うが。」

「むしろサンドロッド卿が今も生きている事をこの目で見て、取り乱さない方がおかしいだろ……」

カイエン公爵の反応を不思議に思っているエリスにセリーヌは推測を答え、ラウラは静かな表情で呟き、クロチルダとレンはからかいの表情で呟き、呆れた表情でサンドロッド卿を見つめるユーシスの言葉に続くようにマキアスは疲れた表情で呟いた。

 

「かつて私とドライケルスが激闘の末ようやく封じ込める事ができた”緋き絶望”を蘇らせてその手にするつもりだったとの事ですが……貴方の協力者であったクロチルダ殿は最初から”緋き絶望”を顕現させるつもりが無かった事はご存知でしたか?」

「何だとっ!?―――歌姫殿、今の話は本当なのか!?」

リアンヌの話を聞いて信じられない表情で声をあげたカイエン公爵はクロチルダを見つめ

「ええ。セドリック皇太子殿下で”緋の騎神テスタ=ロッサ”を起動させ、”魔王の凱歌(ルシフェンリート)”で”紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”を呼び起こし、”煌魔城”を顕現する事までは予定していましたが、”紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”の顕現は”最初から予定していませんでした。”もしアレが顕現してしまえば、250年前のような悪夢が起こったでしょうから、私は”緋き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”の顕現だけは絶対にしないように自分を戒めていました。」

「な、な、な……ッ!という事は最初から私を騙すつもりだったのか!?」

クロチルダの口から語られた驚愕の事実に口をパクパクさせた後怒りの表情でクロチルダに問いかけた。

 

「元より”結社”の”計画”の目的は”蒼”と”灰”の勝負の”舞台”を導く事。”蒼”と”灰”の勝敗以外は興味はないと最初に申し上げたはずです。第一”緋き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”の顕現をすると、一度でも私自身が発言した事がありましたか?」

「お、おのれ……ッ!”四大名門”の”カイエン公爵家”の当主であり、真のエレボニア皇帝であるオルトロス・ライゼ・アルノールの子孫であるこの私をよくも謀ってくれたな……!この薄汚い魔女が――――ッ!」

クロチルダは妖しげな微笑みを浮かべてカイエン公爵に問いかけ、問いかけられたカイエン公爵は怒りのあまり顔を真っ赤にしてクロチルダを睨んで声をあげたが

「―――戯言はそこまでにしておくがいい、オルトロスの末裔よ。オルトロスはエレボニアの”皇”になる為に、愚かにも”皇”が守るべき多くの民達の命を”緋き絶望”で奪った。自らの野望の為に民達を犠牲にしたあの男に”皇”の”資格”はない。そしてオルトロスのように、自らの野望の為に内戦を引き起こし、多くの民達を傷つけ、苦しめた貴様自身にも”皇”の資格はない!!」

「ヒィッ!?」

「………………」

「ど、どうか命だけは……!」

全身に膨大な闘気を纏ったリアンヌに睨みつけられると悲鳴を上げた後表情を青褪めさせて身体を震わせ、その余波を受けていた領邦軍の兵士達も表情を青褪めさせて身体を震わせていた。

「内戦を引き起こし、多くの民達を苦しめ、更には中立国であったメンフィル帝国をも内戦に巻き込んだ貴様の罪は余りにも重い。メンフィル帝国によって処刑されるその日まで、自分が犯した多くの罪を見つめ直すがいい!」

「………う、うーん………これは夢だ……夢に違いない……」

「こ、公爵閣下!?」

「し、しっかりしてください!」

そしてリアンヌの止めの言葉によって地面に倒れてうわごとを呟き始め、それに気付いた領邦軍の兵士達は慌て始めた。

 

「だっさ。怒られただけで現実逃避をするとか、情けな過ぎだね。」

「フン、貴族連合の”主宰”ならば最後くらいは潔く自分の罪を認めて自分が裁かれるその時まで大人しくするべきだというのに……こんな男が内戦を引き起こした主犯であり、”四大名門”の当主であったとは余りにも情けない話だな。」

「こんな奴のせいでエレボニアが滅茶苦茶になったのかと思うと、怒りを通り越してもはや呆れるしかないな………」

カイエン公爵の様子を見たエヴリーヌとユーシス、マキアスは呆れ

「それにしても説教だけでカイエン公をあそこまで大人しくさせるとはさすがは”結社最強”と恐れられていたアリアンロード様ですわね♪」

「うふふ、しかもカイエン公にとって憎き”仇”である”槍の聖女”に”皇の資格はない”って言われるなんて、皮肉過ぎて笑いが止まらないわね♪」

「カイエン公でなくても、サンドロッド卿に本気で怒られたら誰でもああなると思いますが……」

シャロンとレンがそれぞれからかいの表情をしている中、エリスは冷や汗をかいて苦笑しながら指摘した。

 

「それよりもここにいるカイエン公や貴族連合の残党はどうする?せっかく閉じ込められているんだから、むしろこのままの方がいいと思うけど。」

「しかしそれだと、万が一この場に魔獣などが現れた時カイエン公達が避難できなくなる為、危険じゃないか?」

フィーの提案を聞いたラウラは複雑そうな表情でカイエン公爵達に視線を向けた後反論したが

「………………いや、フィーの言う通り、カイエン公達に関してはこのままにしておいた方がいいかもしれない。もし牢屋から解放して逃亡でもされたら、厄介な事になるしな。」

「そうね。それにこの辺りはさっきの牢屋同様魔獣の気配もしないから心配はいらないでしょう。」

「――ま、今まで犯した悪行を見つめ直させるいい機会にもなるだろうし、ここはほおっておきましょ。」

リィンやサラ教官、セリーヌは賛成の様子を見せ、仲間達も特に反論も言わなかった為カイエン公爵達を解放しない事を決めたリィン達はカイエン公爵達を牢屋から解放せず、そのまま先に進んだ。

 

 

と言う訳でクロチルダから元々”アレ”を顕現するつもりはなかったと言われ、更にはリィンとリアンヌに説教され、このルートでも原作以上にさんざんな目にあったカイエン公の出番はこれで終わりです。このルートのカイエン公がどうなったかは後日譚で判明します。まあ、どうなったかは今までの話を読んでいたらわかるかと思いますがw


 
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