「はなちゃんと魔法のコトバ」
「ほのちゃん、こんにちは!」
今日も元気いっぱいのはなちゃん。
甘くて優しい香りのする、ほのちゃんのパン屋さんへやって来ました。
「いらっしゃい、はなちゃん」
「あのねあのね、せんせーのカレーパンとね、はなちゃんのあんぱん!おねがいしますっ」
「うんうん、いつもありがとう」
ほのちゃんは、にっこりと微笑みました。
どうやらはなちゃんはお使いに来たようです。
するとそこへ…
「トリック・オア・トリート!!」
「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」
やんちゃで大きな声とともに、男の子がふたり、不思議なかっこうをしてお店の中に飛び込んできたではありませんか。
ほのちゃんは、「あっ」と言うと、お店の戸棚の中から可愛いつつみを二つ持ってきました。
「ふふ、はいどうぞ。可愛いおばけさん!」
ほのちゃんはつつみをひとつずつ、そのこたちに手渡しました。
「わぁい!ありがとう!!」
つつみを受け取ったふたりは、キラキラと笑顔を輝かせて、ペコリとおじぎをすると、お店を去っていきました。
はなちゃんは何が起こったのか、さっぱりです。
「ほのちゃん、ほのちゃん。とり、…とりく…?」
「あら、はなちゃんは知らなかったのね。あのね…」
「はろういん?」
「そう、ハロウィン。今日はね、おばけに変そうした子どもたちが、『トリック・オア・トリート、お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ』っていろんなお家をまわる日なのよ」
「へぇ!すごいね!すごいね!」
「ふふ、そうね…」
「ハロウィンはね、もともと、日本のお盆祭りや、悪魔払いのお祭りだったの。深くて長ーい歴史があるのよ。
でも、今ではきっと、おばけさんたちも子どもたちといっしょに、このハロウィンを楽しんでいるんじゃないかなって、わたし思うわ」
ほのちゃんは優しくにっこりとしました。
はなちゃんには、ほのちゃんのコトバがちょっぴり難しかったようです。
でも、
おばけさんと仲良しになれるのかな?
と思うと、心のなかはワクワクした気持ちでいっぱいになりました。
「トリック・オア・トリートって、まほうのコトバなんだね!」
「トリック・オア・トリート、ほのちゃん!」
はなちゃんはワクワクした気持ちをいっぱいいっぱい込めて、ほのちゃんにぎゅうっと抱きつきました。
「あらあら、はなちゃんったら!はなちゃんにも、お菓子あげましょうね。
…はなちゃんにいろんなお友達がたくさんできますように…」
はなちゃんは、カレーパンとあんぱんと、お菓子とまほうのコトバを抱き締めて、先生のところへ帰っていきました。
おしまい。
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
ハロウィンに向けて書いたお話(絵本)です。
…ハロウィンっぽくないかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです(*´ω`*)