放課後、風天中学校3年1組…。
「大変だドラゴ郎!おれなちゃんが!!」
慌てた様子で龍野吾郎のもとへ駆け込んできた北岡光太郎。
「また突然いなくなったのか?それならもう慣れっこだけど…」
「そうじゃないんだ!昨日の夜に居なくなったきりで…」
「そうか、居なくなったきりか…って何ィ!?」
ドラゴ郎は机をたたいて立ち上がった!
「みんな!こうしちゃいられない!すぐにおれなを探すぞ!!」
こうして、砥部おれなの捜索がはじまった…。
「おれなちゃーん!おれなちゃーん!…どこ行っちゃったのかしらおれなちゃん」
と、大声で呼びかけるのはセリナ・パートリッジ。
その頃、飯田橋ミウ、天満橋テムナ、アード・来迎寺の3名は…。
「いつもやったら光太郎のトコにひょっこり現れるねんけどなあ…」
「ねぇ地味子ー、そっちはどうー?」
「地味子じゃない!…あー、ここにはいないよ」
「いないってさ」
「しゃあないな、他探すかー。いくで地味子ー」
「だから地味子じゃ…はぁ…」
別の場所では、宮本久司とアンネ・フライベルクが捜索中。
「アンネ、そっちはどうだ?」
「全然。おれなちゃん本当どこいっちゃったんだろう…」
その後も校舎、体育館、プールなどなど、しらみつぶしに探して回ったがおれなは見つからない!
「一体どこに行っちゃったんだ…」
「おれなちゃん…」
肩を落としうなだれる光太郎に、ドラゴ郎は声をかける。
「心配ないよ光太郎。彼女はきっと…」
その頃、別次元…都内某所の賃貸マンション。
「『心配ないよ光太郎。彼女はきっと戻ってくるよ』…『そうだよな、きっと戻ってくるよな!』そう言って光太郎は立ち上がった。…と」
PCに向かい、コーヒーを飲みながらキーボードをタイプする女性が一人。
日本人にしてはかなり茶髪の…それこそ、タヌキの毛に似たような色合いの髪の女性だ。
「…うん、誤字脱字もないし…あとはこれで投稿するだけよね。『投稿する』っと…」
彼女が書き込んだのはフリーの小説投稿サイトだ。アカウントさえ持っていれば誰でも好きな時に、好きな物語を投稿できる。
「ふーっ、これでよしっと。…さて、そろそろ『向こう』に戻らないと、本当に光太郎くんたちが心配しちゃうからね…」
そう言って女性は大きく伸びをすると、PCのモニターに指を触れる。
するとどうだろう、彼女の指は液晶画面の中へと入り込んでいく。
その画面の向こう側に映る彼女の指は、髪と同じ茶色の毛でおおわれている…。
「よいしょ…っとぉ…」
上半身がすっぽり入ってしまう頃には、彼女の顔はタヌキ型獣人のそれに変わっていた…。
やがて全身が入り込んでしまうと、画面内の彼女は自分の手前にあるタスクバーを指で操作し、PCの電源を落としたのだった…。
…聡明なる読者諸君はもう、彼女の正体にお気づきのことであろう。
…風天中学校・校庭。
「やっほー光太郎くん!」
突然現れたおれなを前にして面食らう光太郎。
「どこ行ってたのおれなちゃん!?」
「ごめん、光太郎くんたちでちょっと物語作ってたとこなのw」
「物語って…じゃあ今までのことって!?」
「『わたしがいなくなった』あたりから全部わたしのシナリオ通りってわけw」
「いやいやいやいやwwそんなことがwww」
「で、このSSの最後でね『そうだよな、きっと戻ってくるよな!』っていうのが光太郎くんのセリフね」
「いやwwwそこまで書かれてたってちょっとwwwww」
そんな二人をよそに、ドラゴ郎はただ悩むばかりであった…。
「…ていうかおれな、君一体何者なのさ…」
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ある意味究極のメタフィクションw
■出演
光太郎:http://www.tinami.com/view/789157
おれな(または執筆していた女性):http://www.tinami.com/view/763746
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